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二年目

05.冬の戯れ1

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 隣国との国境地帯が緊迫しているとの一報が入り、ジークフリートが騎士を引き連れて城を出て行ったのは冬に入って間もなくのことだ。
 後を任されたロゼッタはそわそわと落ち着かない日々を過ごした。
 その後来た夫からの手紙によると隣国側で季節外れの冬の洪水があった。
 当初はこちら側からの攻撃が疑われたが、誤解は無事に溶けたらしい。救援活動などをして帰ると書かれていた。

 隣国で起きた災害なら他国のことと思われるが、留守を預かったジークフリートの従兄によると、辺境では事情が異なるようだ。
「お互い中央に打診するより隣国の方が近い。救助には協力して当たります」

 隣国なのだが、隣り合わせの領土に住む辺境伯同士の繋がりがある。特に一刻を争う時は敵味方なく助け合う。
 国と国は戦い合うが、つとめて民を守るのが辺境の騎士道であった。
 ジークフリート達一行が戻ったのは、かれこれ二週間が経ってのことだった。

 戻っても仕事は山積みだった。
「今年はこちら側も雨、雪が多い。人ごとではない。雪解け水には気を付けて今から遊水池を確保に当たれ」
 いつもならのんびりと過ごすはずの冬だが、ジークフリートの執務室に人が集まり、対応に追われた。


 結局出迎えの時少し顔を合わせただけで、ロゼッタはジークフリートとろくな会話も出来なかった。
「ジークフリート様」
 駆け寄ろうとすると、「汚れているから近寄るな」と飛び退いて逃げられた。産後の体を気遣われているのは分かるが、寂しくなる。

 そんなロゼッタがジークフリートに会えたのは夜遅くになってからだった。
「先に休んでなさい」
 そう言われたロゼッタが、領内の名産品である羽毛布団に包まれ、うつらうつらした頃、ジークフリートは執務の時に着るチェニックの上にサーコートという服装のまま部屋に入ってくる。
 この服は主に騎士階級が着る服装だ。中央なら貴族は豪華なジュストコールを着るものだが、騎士でもあるジークフリートはこのサーコートを気に入っていて着ている。
 長旅で汚れきっていたので、風呂には城に戻ってすぐに入っていた。

「お帰りなさ……」
 とロゼッタが言い終える前に、
「ロゼ」
 覆い被さるようにジークフリートがきつくロゼッタを抱きしめた。
 キスされる。

『あ……』
 噛みつくような口付けにロゼッタは蹂躙される。
「ふ……」
 あまりの激しさにロゼッタは苦しくなり、呼吸を求めて喘ぐがジークフリートは更にロゼッタの掻き抱いて舌の根元まで舐めてくる。

 騎士は仕事で疲れると『溜まる』らしい。
 そういう時は、感情をぶちまけるようなキスをしてロゼッタを求めてくる。

 ジークフリートはロゼッタを組み敷いて腰を太ももと膝で逃れられないように器用に挟む。
 上着から乱暴に服を脱ぎ出し、次々放り投げ、裸になると、力いっぱいロゼッタを抱きしめた。

「ロゼッタ……」
 愛撫は性急だった。
 ロゼッタの官能を無理矢理引き出すような余裕のない愛撫にロゼッタはきゅんとときめいた。
 ジークフリートの下腹部はもう硬く熱い。

 その熱を全て受け止めたい。
「ジークフリート様、来て……」
 誘いかけると、ジークフリートはロゼッタに体をすり寄せ、首筋に舌を這わした。

 すぐに挿入してきて、そのままジークフリートはイくのかと思った。
 だが、突き入れるとジークフリートはロゼッタの膣を堪能するようにじっくり腰を振った。
「あんっ、ジークフリートさまぁ……」
「いいな…もっと啼いてくれ。君の声が聞きたい」
 散々喘がされた後にようやく精を吐き出した。
 気持ち良いと言うにはあまりにも激しすぎた。
 終わったかと思ってほっと息を吐くロゼッタだが、ジークフリートはものをロゼッタの中に突き入れたままで、逃すまいとするようにまた抱きしめる。

「ジークフリート様」
 戸惑うロゼッタに対して、
「駄目か?そうだな、産後だしな……」
 渋々というようにジークフリートはペニスを抜く。

 だが、未練がましく汗ばんだ体を抱きしめて離そうとしない。
 ジークフリートはロゼッタのすっかり薄っぺらくなった腹を指先で撫でながら、囁いた。
「すまなかったな、無理をさせて」

「いえ、ご無事にお戻り下されば私はそれで……。お怪我は?」
「何もない。全員無事だ」
「それはよろしゅうございました」
 ロゼッタはほっとする。

「寝ようか、うん。眠いだろう、寝なさい」
 とは言ったが、ジークフリートはもう少し妻と戯れたい。

 つい話しかけてしまう。
「ランドルフはどうだった。良い子にしていたか?」
「はい、元気ですよ。良く笑うようになりました」
 生後三ヶ月といえば、可愛い盛りというやつだ。ジークフリートも思わず顔をほころばす。
「そうか」

 ジークフリートは妻を仰向けにして、自分はその横で寝そべりながら、頬杖を付き、じっとロゼッタを見つめた。
 整った顔立ちに澄んだ青い大きな瞳、紅も差さぬのに赤い唇。
 妻の体をそっと撫でる。
 滑らかな柔肌。小さく華奢な指。金色の豪奢な髪。
 そして。
『やっぱり胸、大きいな……』

 胸に直接触れると我慢出来る自信がなかったので、その側の肋骨の辺りを撫でた。
 細いのに胸だけむっちり脂肪が乗っている。
 柔らかそうに見えて弾力があるのはもう知っている。
 白くて、揉み心地の良い、吸い付くようなあの感触……。
 ジークフリートは眠れそうにない。

 ロゼッタも眠れそうにない。
 ジークフリートが体を撫でてくるのだ。きわどいところを撫でられるわけではなく、背中や肩や腕を触れるだけだが、愛する夫にそんな真似をされて落ち着かない。
 時折、ロゼッタの体にジークフリートのアレが当たる。
『大きくなっている……』
 気付くと何だか無性にそわそわした。
 夫は確実にもう一戦やりたがっている。

 ロゼッタの髪の毛をクルクルと人差し指に巻き付けて遊ぶジークフリートに、
「あの……」
 とロゼッタは根負けして声をかけた。
「なさいますか?」





 ***

「体に負担が少ないから」
 とジークフリートは寝そべりながら後ろからする体位を選んだ。
 娼館辺りでは、側位とか、横向きの寝バックと呼ばれる体位だ。
 妊娠中は良くこの体位でまぐわった。
「あっ……」
 ジークフリートは後ろから片手は胸を揉みながら、片手はクリトリスをいじった。
「うんっ…あっ…りっ、両方は……駄目っ……!」

「大丈夫だ。イかせたりはしない」
 耳元でジークフリートに囁かれる。
 夜に聞く夫の声は艶めかしい。
「ひゃ……」
 耳を舐められてロゼッタの肌が粟立つ。
「入れやすくしているだけだ。ロゼッタもイくなよ、体に負担だからな」
 くすくすと笑いながら、両手を動かされる。
 胸もクリトリスもジークフリートはロゼッタの良いところを知っている。いじられるとすぐにイきそうになってしまう。
「…だっ、だめ……もう……」
「そうだな、もう良さそうだな」
 後ろ向きに抱かれて顔は見えないが、ジークフリートの声には少し楽しんでいる気配がした。

 指で少し膣口を馴染ませた後、ジークフリートはロゼッタのそこにペニスを入れる。
「あっ……」
 膣口がカリにこすられてロゼッタは声を上げた。
 セックスを再開した時より、随分と体は敏感になったと思う。
 膣がジークフリートの与える快感を拾い上げていくのは、心地いい感覚だった。
 体も心も満たされる気がした。

 ジークフリートは膣にペニスを沈めた後はしばらくそのまま動かなかった。
 ジークフリートのあれが奥まで届いているが、そこを激しく突かれるのはまだ苦痛の方が大きかった。
 宛がって刺激されているだけの今は、ただ気持ち良い。
『……!』
 身じろぎするほんの小さな刺激でジークフリートのペニスに擦られて、膣が濡れる。
 ロゼッタは声にならない悲鳴を漏らした。

「ロゼッタ」
 背中側から太い腕で抱きしめられる。
「ジークフリート様……」
「たまにはいいだろう?」
「はい……」
 背中に感じるジークフリートの暖かみに包まれてロゼッタはうっとり頷く。

 後ろから胸を揉まれる。絶妙な強さで揉まれながら、乳輪を指先で撫でられた。
「あっ……」
 それだけなのに、たまらなく気持ち良い。
 中はもうぐしゃぐしゃに濡れている。ジークフリートも分かっているはずだ。

 次は乳首を刺激される。
「あん!」
 両手で器用に両方の乳首をいじられるとロゼッタは跳ねるように反応した。
 その度に膣に入っているペニスがきゅっと締められる。
 ジークフリートは動いてないが、ロゼッタの方がジークフリートが与える刺激に体をくねらす。
 その度に膣がこすられて……。

「も、もうして……」
 焦れておねだりしてきたのはロゼッタだ。
 激しく動いて自分を突いて欲しい。
「ロゼは胸が弱いな。まあこんなに大きければ、しょうがないか」

 ジークフリートは淫らな妻の欲求に応じて律動する。

 すぐに二人は絶頂に達したが、その直前、
「ロゼッタ……」
『あ……』
 腰を振りたくる行為の激しさと裏腹に優しく手を握りしめられた。
 背中から包み込まれるようなジークフリートの重みと熱を感じながら、ロゼッタは悦楽の境地に達した。
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