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二年目

04.豊潤の秋4

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 夫婦の寝室である。
 二人はベッドの上で、向かい合わせに抱き合っていた。
「ロゼ……」
 ジークフリートはロゼッタの唇に吸い付きながら、器用にネグリジェを脱がせ、妻の胸元を指でいじった。

『んっ……』
 ロゼッタの声はジークフリートの濃厚な口付けに飲み込まれた。
 ロゼッタはジークフリートのキスが好きだった。
 抱きしめる力は情熱的で、口内を這い回る舌の感触はロゼッタの理性を根こそぎ奪っていく気がした。
 腰が立たなくなる。

「あっ……」
 胸元からとろっと母乳が溢れてくる。
 ロゼッタはあわてるが、ジークフリートはそのまま胸に母乳をこすりつけた。
「ジークフリート様」
 恥ずかしいのか、ロゼッタが咎めるようにジークフリートの名を呼んだ。
 寝室に甘い香りが漂う。
 母乳でてらてらとぬめった双丘をジークフリートは舐めた。
 牛の乳のようだが、それよりサラリとしている。
 そしてほんの少し甘みがある。
「ジークフリートさまぁ」
 再度呼ばれたが、今度は甘ったるい声だった。
 少し乳輪を搾るとまた染み出てくる。
 それもジークフリートは丁寧に舐め取る。


 出産して三ヶ月が過ぎたロゼッタは既に抱きしめてもふにゃふにゃはしていない。
 絹のような滑らかな肌触りに戻っていた。
 多少もの寂しいのは、少しばかり気に入っていたからかも知れない。
 子の方も体重が倍になりずっしり重くなった上、ふにゃふにゃとあの何とも頼りなかった生き物から赤子らしく成長した。
 最近では両手を合わせて叩いたり、母親だと分かるのか、ロゼッタをじっと見つめていたりする。
「我が子は天才である」と領内中に言って回りたい。



 その絹のような肌は汗で濡れて、ロゼッタが感じてきている。
 そろそろ頃合いだった。
「ロゼッタ、いいか?」
「はい」

 誘いかけるとロゼッタは頷き、体位を変えようとしたジークフリートはふとロゼッタに言った。
「上に乗るか?」

 騎乗位で男を楽しませるには技量がいる。
 自分が初めてのロゼッタに娼婦のような技はなく、まだ若いジークフリートはロゼッタを思うがままに突いて遊びたいのだ。
 だから二人がこの体位を選ぶことはほとんどなかった。

 ジークフリートも言ってみただけだ。
 戸惑って恥じらうロゼッタが見てみたくなった。
 だが、ロゼッタはコクンと頷いた。
「はい」

 ジークフリートは向かい合った体勢のままロゼッタを跨がせる。
 ジークフリートの下腹部は期待にへそに着くほど反り返っている。
 悦に入るより恥ずかしい。
 ペニスに手を添えガイドしながら、ロゼッタの腰をホールドし、静かに腰を沈めさせ、いきり立ったペニスをゆっくり飲み込ませる。

「ああぁっ!」
 貫かれる質量にロゼッタも声を上げたが、きつい膣口の抵抗にジークフリートも耐えきれなかった。
「く……」
 ジークフリートはうめいて、束の間目を閉じた。
 ロゼッタはそんなジークフリートに目を見張る。
『気持ち良いのかしら』

 不安定で恥ずかしい体位に緊張もあったが、胸が高鳴った。
 悩ましいとも思える夫の表情に目が離せない。
 冷ややかで意志の強いあの緑の瞳が閉じられると、ジークフリートは色気が増す。
 が、すぐにジークフリートはその緑の瞳を開いてしまう。

 ロゼッタはハッと我に返る。
「ご、ご覧にならないで」
 恥じらうロゼッタにジークフリートは口の端を持ち上げる。
「そうはいかない。愉しませてくれるんだろう?」

 そのままジークフリートは寝そべってしまう。
 体を離されてロゼッタはどうしていいのか分からないのに、ジークフリートはそんな彼女を楽しげに見つめ、ロゼッタの尻を揉み、下から軽く突いてきた。
「ほら、動け、ロゼ」
「やぁん!」

 夫の求めに応じて、ロゼッタはおそるおそる腰を上下させる。
「あっ…あっ……」
 怖かったが、自分のリズムで動けるのはいい。
 ずんと硬く重く熱い凶器のような肉塊だが、そっと揺するように動くと、ロゼッタの膣内を優しく擦りあげる。

「あっ…ぅん…気持ち良い……」

 ロゼッタは深くは腰を沈めない。動きもイライラするほどゆっくりだが、勃起したペニスをロゼッタのそこが咥え込んでいる様がよく見えてなかなかに良い。

 乳房もロゼッタの動きに合わせてたぷんと重たげに揺れる。
 官能的な光景をしばらく眺めて愉しんでいたが、触れたいという欲求に負けて、ジークフリートは腕を伸ばし、乳房に触れる。

「いやぁん、胸はだめぇ」
 拒絶だが、決してそうは聞こえない嬌声が上がる。
 ロゼッタは閨で非常に可愛い声を出す。
 下から胸をこねくると、ロゼッタのご奉仕の方はおろそかになる。

 ピタリと動きは止まって気持ちよさそうに喘ぐ。
「あっ、あぁん……」

「ほら、どうした、動け」
 と下から突いて催促すると、ロゼッタは「ひゃんっ!」と声を上げてイった。

 ぺたんとジークフリートの胸に張り付いてくる。
 頬が真っ赤だ。
「もうイッたのか」
「ジークさまぁ…」

「ロゼッタは淫乱だな」
 欲情がジークフリートを心地良く酔わす。
 ロゼッタから女の匂いがしてくる。
 男なら感じるむずがゆくなるようなあの匂いだ。

 ジークフリートはロゼッタを下にして腰を動かした。
 ロゼッタは青ざめる。
「あっ、いっ、嫌っ、駄目っ、ジークフリート様、待っ!」

 絶頂したばかりの体をジークフリートは容赦なく貪ってきた。
 膣内は先程とは比較にならないくらい強く激しい動きで擦り上げられる。
 奥まで突かれるのは、まだ気持ち良いより、苦しい。
 だが。

「あっ、あっん…こんな…あっ……」

「気持ち良いんだろう。ロゼッタの中が吸い付いてきている」
 囁かれる言葉にロゼッタはうっとり頷いた。
「気持ち良い…です。すごくいい……」

 久しぶりに乱れるロゼッタの反応にジークフリートも嬉しくなる。
 犬のように腰を振りたくる。

 膣の中全部が、ジークフリートのもので捏ねくられる。
「ジーク様ぁ……おかしくなっちゃう……!」
 こんな風に喘がれるのは一年ぶりくらいだ。
「ああ、いいぞ、ロゼッタ…おかしくなってくれ…」

 ロゼッタも快楽に翻弄されながら、熱い眼差しでジークフリートを見つめた。
 いつも遠慮がちに自分を抱くジークフリートが、ギラギラと獣のような目で屠ってくるのは一年ぶりだ。

 何もかも余さず自分の全てが求められている気がした。
「ジークフリートさま……」
 腕を伸ばすとジークフリートも抱きしめてくる。
 腹を潰さぬように優しく抱いたあの手つきではなく、壊れそうなくらい強く抱きしめられた。
 そして何度も繰り返される言葉。
「愛してる」
「わっ、私も……愛しております……」

 ひどく満たされた気分で二人は登り詰めた。
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