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二年目
02.豊潤の秋2
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「はい、よろしいですよ」
ロゼッタは即座に頷き、言い出したジークフリートの方が戸惑った。
「いいのか?断ってくれて構わないぞ。母乳を飲みたいなど我ながら正気の頼みではない」
だが、ロゼッタの悩みは他ならぬその母乳だった。
ロゼッタは乳の出が良く、何もしなくても母乳が出てしまうことがある。
行為の最中に母乳が出るのを興ざめと嫌がる男性もいるらしい。
……とはロゼッタの愛読書、色事指南書に書かれていた。
しかも対処法は書かれていない。
産後から妻を女とは見られずにその後性交渉がなくなったり極端に減ることも多いらしい。
そんな恐ろしい事態が本には書かれており、ロゼッタを不安にさせた。
「本当に?」
念を押して尋ねてくるジークフリートに、ロゼッタも顔を近づける。
姿勢を変えると、ネグリジェの胸元がぐっと盛り上がる。
豊かな谷間が強調された。
真っ白く綺麗な胸だ。
そして子供を産んで一回り育った。
そんな妖艶な体で、ロゼッタはふんわりと女神のように微笑んだ。
「ジークフリート様がよろしいなら」
「ロゼッタ……」
万感がこみ上げて止まない。
妻が愛おしかった。
衝動のまま、しかし苦しくないようにロゼッタを抱きしめる。
『ああ、この匂いだ』
この一ヶ月、ジークフリートはロゼッタの側に近づく度に悶々としていた。
良い匂いがするのだ。甘いミルクの香りだ。
***
「先に乳を吸っていいか?」
乞われてロゼッタは一瞬躊躇したが、「はい」と頷いた。
ネグリジェのボタンを外し、子にするのと同じように乳房を出した。
恥ずかしかった。
子を産んだロゼッタの乳首は少し黒ずんでいる。
経産婦なら当然の変化だが、ロゼッタ自身がまだ今の自分の体を受け入れられないのだ。
『幻滅されないかしら』
女として、ロゼッタはジークフリートをその気にさせられるのだろうか。
ロゼッタの逡巡をよそに、ジークフリートはすぐさまロゼッタの乳首に吸い付いた。
強く吸わなくても口の中にかすかに甘いミルクのような味が広がる。
旨いとも、不味いとも聞いていたが、ジークフリートは旨いと思った。
ロゼッタは赤子のように乳房に吸い付くジークフリートを見て、『可愛い』と思った。
ランドルフよりは随分と大きな頭を抱きしめてやると心なしか少し喜んでいる気がした。
が、すぐにジークフリートは唇を離す。
一分ほどではなかっただろうか。
ランドルフなら、――赤子と比べるものなのかは疑問だが――五分は吸っている。
「逆の胸もいいか?」
「はい」
これもランドルフにはそうする。両方の乳を均等に吸わせるのが良いらしい。
こちらも同じほどですぐに唇を離す。
ランドルフは母乳だけで育っている。その分、吸い付く時の真剣さが違う。
無心に吸うランドルフと違い、ジークフリートはもっと加減して優しく吸った。
きちんと飲めたのか不安なくらいだ。
ロゼッタはおそるおそる聞いた。
「よろしいのですか?」
「ああ、ありがとう」
ジークフリートは恥じらいながら礼を言う。
「あれだけではお腹いっぱいにならないんじゃあ……」
ロゼッタがそう言うと、ジークフリートは声を上げて笑った。
「ははは」
笑い声と共に抱きしめられる。
「ジークフリート様?」
「私がお腹いっぱいになったらロゼッタが干からびてしまう。それに母乳は大人が沢山飲むと腹を壊す」
「そうなのですか?」
ロゼッタは驚いた。
興味がなかったせいかそんなことは知らなかった。王都の淑女教育では教えられない話だ。
「そうだ。牛や山羊の乳もだが大人がそのまま飲むと腹を壊すぞ。火を通してから飲むものだ」
「まあ、ではジークフリート様は飲んでも大丈夫なの?」
「少量なら問題ない」
「ロゼッタ……」
ひとしきり笑い終えると、ジークフリートの表情は急に真剣なものへと変わる。
頬を這う指先の感触に、急にドキリと胸が高鳴った。
ジークフリートの顔が近づき、口付けされる。
臨月に入るとさすがにセックスはしなかった。
時折交わすキスも夫婦のそれというより、親愛の情に思えた。
だが、今はジークフリートはロゼッタを強く抱きしめ、苦しいほど舌を絡めてくる。
愛欲を思い起こさせるような激しい口付けに、息が出来ない。
「はあはあ……」
二ヶ月ぶりの本気の口付けに、唇を離した後も二人は息を弾ませ、ぼーっとお互いを見つめ合った。
熱で頬が赤い。
「続けて大丈夫そうか?」
「はい……」
返事を受けてジークフリートはロゼッタの体をそっと横たえ、愛撫しようとした。
だが、ロゼッタが首を横に振る。
「い、嫌、明かりは消して……」
「分かった」
ジークフリートは渋々言う通りにした。
本音を言えば最高潮に膨らんだロゼッタの胸をこの目に焼き付けたいが、ロゼッタはひどく不安そうだ。無理強いはしたくない。
明かりを消すとロゼッタは少し落ち着いたようだ。
ジークフリートはロゼッタの体の線をゆっくりと愛しむように撫でた。
「綺麗だよ、ロゼッタ」
「嘘……」
囁かれた言葉にロゼッタは思わず言い返してしまう。
ジークフリートはロゼッタの目を覗き込んで否定した。
「嘘ではない。君はとても美しい」
「ジーク様……」
乳房はやんわりと触れられた。
日によっては触れられるだけで痛いこともあったが、ジークフリートが大きな手に乗せるようにして揉むと辛さはなかった。
乳首をそっと舌で撫でられる。
「あっ……」
思わず喘ぎ声が出た。
さっき吸われた時とはまるで違う甘い痺れだった。
乳首がきゅっと硬くなる。
気付いたジークフリートはニヤリと笑うと、ロゼッタの耳元に顔を近づけた。
「女にすると乳が出なくなると聞いていたが本当だな」
得意気に囁かれた言葉にロゼッタはカッと頬が熱くなる。
こういう言葉をかけられるのも久しぶりだった。
「あっ、あ……」
愛撫にロゼッタは戸惑いながら声を上げた。
ジークフリートは『母子共にふにゃふにゃしている』と思った。
思っただけで口には出さない分別くらいは、ジークフリートにもある。
産後で皮が少し余った感触はふにゃふにゃと柔らかく心地良かった。
新生児のランドルフはふにゃふにゃと頼りない生き物だった。
母のロゼッタの方もふにゃふにゃとしている。
そして母子共に幸せそうな甘い匂いがした。
かいがいしくランドルフの世話をするロゼッタを微笑ましく思い、感謝する一方で、何処か心の片隅では「ロゼッタを取られた」という子供じみた独占欲もあるのだ。
だが、今ロゼッタは腕の中で愛撫に甘い声で答えてくれる。
胸に蠢いていたつまらぬ嫉妬が、腕に抱いたロゼッタのぬくもりで溶けていく。
ひどく幸福な気分だった。
結局その日は性交までには至らなかった。
ロゼッタが濡れていなかった。
「私ならお気になさらないで……」
健気にそう言うロゼッタだが、ジークフリートは焦らぬことに決めていた。
ジークフリートには既に両親は亡く、ただ一人の弟も幼い時に死んでしまったが、父は男女合わせて六人の弟姉妹がいる。従兄弟従姉妹は数多い。
この叔父伯母叔母、従兄弟従姉妹達から「産後の妻はよく気遣え」と口を揃えて心得を伝授された。
セックスを強要すると妻から産後を機に共寝を拒絶されることもあるらしい。
なんという恐ろしいことだろうか。
それだけは絶対避けたいジークフリートだった。
ロゼッタは即座に頷き、言い出したジークフリートの方が戸惑った。
「いいのか?断ってくれて構わないぞ。母乳を飲みたいなど我ながら正気の頼みではない」
だが、ロゼッタの悩みは他ならぬその母乳だった。
ロゼッタは乳の出が良く、何もしなくても母乳が出てしまうことがある。
行為の最中に母乳が出るのを興ざめと嫌がる男性もいるらしい。
……とはロゼッタの愛読書、色事指南書に書かれていた。
しかも対処法は書かれていない。
産後から妻を女とは見られずにその後性交渉がなくなったり極端に減ることも多いらしい。
そんな恐ろしい事態が本には書かれており、ロゼッタを不安にさせた。
「本当に?」
念を押して尋ねてくるジークフリートに、ロゼッタも顔を近づける。
姿勢を変えると、ネグリジェの胸元がぐっと盛り上がる。
豊かな谷間が強調された。
真っ白く綺麗な胸だ。
そして子供を産んで一回り育った。
そんな妖艶な体で、ロゼッタはふんわりと女神のように微笑んだ。
「ジークフリート様がよろしいなら」
「ロゼッタ……」
万感がこみ上げて止まない。
妻が愛おしかった。
衝動のまま、しかし苦しくないようにロゼッタを抱きしめる。
『ああ、この匂いだ』
この一ヶ月、ジークフリートはロゼッタの側に近づく度に悶々としていた。
良い匂いがするのだ。甘いミルクの香りだ。
***
「先に乳を吸っていいか?」
乞われてロゼッタは一瞬躊躇したが、「はい」と頷いた。
ネグリジェのボタンを外し、子にするのと同じように乳房を出した。
恥ずかしかった。
子を産んだロゼッタの乳首は少し黒ずんでいる。
経産婦なら当然の変化だが、ロゼッタ自身がまだ今の自分の体を受け入れられないのだ。
『幻滅されないかしら』
女として、ロゼッタはジークフリートをその気にさせられるのだろうか。
ロゼッタの逡巡をよそに、ジークフリートはすぐさまロゼッタの乳首に吸い付いた。
強く吸わなくても口の中にかすかに甘いミルクのような味が広がる。
旨いとも、不味いとも聞いていたが、ジークフリートは旨いと思った。
ロゼッタは赤子のように乳房に吸い付くジークフリートを見て、『可愛い』と思った。
ランドルフよりは随分と大きな頭を抱きしめてやると心なしか少し喜んでいる気がした。
が、すぐにジークフリートは唇を離す。
一分ほどではなかっただろうか。
ランドルフなら、――赤子と比べるものなのかは疑問だが――五分は吸っている。
「逆の胸もいいか?」
「はい」
これもランドルフにはそうする。両方の乳を均等に吸わせるのが良いらしい。
こちらも同じほどですぐに唇を離す。
ランドルフは母乳だけで育っている。その分、吸い付く時の真剣さが違う。
無心に吸うランドルフと違い、ジークフリートはもっと加減して優しく吸った。
きちんと飲めたのか不安なくらいだ。
ロゼッタはおそるおそる聞いた。
「よろしいのですか?」
「ああ、ありがとう」
ジークフリートは恥じらいながら礼を言う。
「あれだけではお腹いっぱいにならないんじゃあ……」
ロゼッタがそう言うと、ジークフリートは声を上げて笑った。
「ははは」
笑い声と共に抱きしめられる。
「ジークフリート様?」
「私がお腹いっぱいになったらロゼッタが干からびてしまう。それに母乳は大人が沢山飲むと腹を壊す」
「そうなのですか?」
ロゼッタは驚いた。
興味がなかったせいかそんなことは知らなかった。王都の淑女教育では教えられない話だ。
「そうだ。牛や山羊の乳もだが大人がそのまま飲むと腹を壊すぞ。火を通してから飲むものだ」
「まあ、ではジークフリート様は飲んでも大丈夫なの?」
「少量なら問題ない」
「ロゼッタ……」
ひとしきり笑い終えると、ジークフリートの表情は急に真剣なものへと変わる。
頬を這う指先の感触に、急にドキリと胸が高鳴った。
ジークフリートの顔が近づき、口付けされる。
臨月に入るとさすがにセックスはしなかった。
時折交わすキスも夫婦のそれというより、親愛の情に思えた。
だが、今はジークフリートはロゼッタを強く抱きしめ、苦しいほど舌を絡めてくる。
愛欲を思い起こさせるような激しい口付けに、息が出来ない。
「はあはあ……」
二ヶ月ぶりの本気の口付けに、唇を離した後も二人は息を弾ませ、ぼーっとお互いを見つめ合った。
熱で頬が赤い。
「続けて大丈夫そうか?」
「はい……」
返事を受けてジークフリートはロゼッタの体をそっと横たえ、愛撫しようとした。
だが、ロゼッタが首を横に振る。
「い、嫌、明かりは消して……」
「分かった」
ジークフリートは渋々言う通りにした。
本音を言えば最高潮に膨らんだロゼッタの胸をこの目に焼き付けたいが、ロゼッタはひどく不安そうだ。無理強いはしたくない。
明かりを消すとロゼッタは少し落ち着いたようだ。
ジークフリートはロゼッタの体の線をゆっくりと愛しむように撫でた。
「綺麗だよ、ロゼッタ」
「嘘……」
囁かれた言葉にロゼッタは思わず言い返してしまう。
ジークフリートはロゼッタの目を覗き込んで否定した。
「嘘ではない。君はとても美しい」
「ジーク様……」
乳房はやんわりと触れられた。
日によっては触れられるだけで痛いこともあったが、ジークフリートが大きな手に乗せるようにして揉むと辛さはなかった。
乳首をそっと舌で撫でられる。
「あっ……」
思わず喘ぎ声が出た。
さっき吸われた時とはまるで違う甘い痺れだった。
乳首がきゅっと硬くなる。
気付いたジークフリートはニヤリと笑うと、ロゼッタの耳元に顔を近づけた。
「女にすると乳が出なくなると聞いていたが本当だな」
得意気に囁かれた言葉にロゼッタはカッと頬が熱くなる。
こういう言葉をかけられるのも久しぶりだった。
「あっ、あ……」
愛撫にロゼッタは戸惑いながら声を上げた。
ジークフリートは『母子共にふにゃふにゃしている』と思った。
思っただけで口には出さない分別くらいは、ジークフリートにもある。
産後で皮が少し余った感触はふにゃふにゃと柔らかく心地良かった。
新生児のランドルフはふにゃふにゃと頼りない生き物だった。
母のロゼッタの方もふにゃふにゃとしている。
そして母子共に幸せそうな甘い匂いがした。
かいがいしくランドルフの世話をするロゼッタを微笑ましく思い、感謝する一方で、何処か心の片隅では「ロゼッタを取られた」という子供じみた独占欲もあるのだ。
だが、今ロゼッタは腕の中で愛撫に甘い声で答えてくれる。
胸に蠢いていたつまらぬ嫉妬が、腕に抱いたロゼッタのぬくもりで溶けていく。
ひどく幸福な気分だった。
結局その日は性交までには至らなかった。
ロゼッタが濡れていなかった。
「私ならお気になさらないで……」
健気にそう言うロゼッタだが、ジークフリートは焦らぬことに決めていた。
ジークフリートには既に両親は亡く、ただ一人の弟も幼い時に死んでしまったが、父は男女合わせて六人の弟姉妹がいる。従兄弟従姉妹は数多い。
この叔父伯母叔母、従兄弟従姉妹達から「産後の妻はよく気遣え」と口を揃えて心得を伝授された。
セックスを強要すると妻から産後を機に共寝を拒絶されることもあるらしい。
なんという恐ろしいことだろうか。
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