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一年目
12.饗宴の秋6
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「あっ…あっん……んっ……あっ!ジークフリート様…」
ジークフリートが愛撫を始めると、ロゼッタは自分で驚く程濡れた。
気持ち良くて仕方ない。
肌を撫でられるだけで、達しそうになる。
呼吸をするのも苦しい。勝手に腰が動く。
淫らな声で喘くのが止まらない。
ロゼッタの痴態にジークフリートは狂喜した。
「随分淫乱だな」
快楽を与え続けて楽しげに自分を嬲ってくるジークフリートに、ロゼッタはますます高みへと押し上げられる。
――今のこの瞬間だけは彼は私のものなんだわ。
王都のどんな娯楽も令嬢もジークフリートの心を動かさなかった。彼はただ冷ややかに見つめるだけだった。
『氷の狼』
その呼び名通りの氷のような視線が今は危険なほどの熱を孕んでロゼッタを映している。
「はい……気持ち良いの…ジークフリート様……」
ロゼッタは恍惚と口を開く。
ジークフリートは自分の下半身が熱を持ち、欲情していくのを愉しんだ。
陰茎が硬く大きく立ち上がってくる。
自分が雄であることを心地良く堪能する。
そしてロゼッタは自分の雌だ。
指が滑るほど汗ばんだ胸を揉みながら、パンパンに膨れ上がった陰茎をロゼッタの膣に押し込む。
「あっ……はぁ……!」
挿入された瞬間にロゼッタは震えてイった。
「いいぞ、ロゼッタ」
ジークフリートは機嫌良く腰を振り、ロゼッタを貪った。
「はぁはぁ……」
快感に慣れる間もなく、膣がペニスに擦り上げられる。
ジークフリートが動く度に狂いそうなくらいの淫楽が襲ってくる。
それはジークフリートも同じだった。
我を忘れる程の法悦に二人は酔いしれた。
***
ジークフリートは愛しげに疲れ切ったロゼッタの髪を撫でている。
ふと立ち上がると、部屋の明かりを消す。
またベッドに潜り込み、ジークフリートはロゼッタの体にしっかりと毛布をかけ直した。
「さて、そろそろ寝ないとな」
明日の朝早くにはここを発つ予定だ。
その前にロゼッタは聞いてみたいことがあった。
「あの……今日のことはよろしいのですか」
「今日のこと?」
ロゼッタは思い切って口を開く。
ダンスの間マーガレットがジークフリートに話す声を聞いてしまった。
「マーガレット王女殿下が本来のご婚約者でしたわ……」
それを聞くとジークフリートは不快そうに眉を寄せた。
「ああ、そうだったな。あれが我が家に来なくて本当に良かった。我が儘な娘とは聞いていたがほんの少し話しただけでも辟易した」
マーガレットに対するジークフリートの評価は大分辛い。
踊りの最中、マーガレットはジークフリートの妻の座を乞い、ロゼッタの悪口をまき散らした。
「子供がないならまだ白い結婚と言い張れます。今なら結婚を無効に出来ますわ」
意地の悪く微笑む女の顔は思い出すだけで反吐が出る。
大体ジークフリートとロゼッタは王命により結婚した。
王に恭順を示したジークフリートとリーネルト侯爵に対し、その娘が結婚をなかったことにせよとはまったくもって無礼極まりない。
マーガレット王女から婚約を断ってきて実に幸運だった。
そう思い返すジークフリートをロゼッタは不安げに見つめた。
「マーガレット殿下はとてもお綺麗です」
なおも言葉を重ねてくるロゼッタにジークフリートは不敵に口角を持ち上げる。
大人の余裕に満ちた微笑み。
蠱惑的な仕草にロゼッタの胸が高鳴る。
耳に唇が触れるような距離で楽しげに囁かれた。
「嫉妬か?ロゼッタ」
否定したかったが、結局はそうなのだ。
「はい」
とロゼッタは恥じらいなから頷いた。
ジークフリートは妻の反応に満足してロゼッタを抱きしめる。
「あれより君の方がずっと美しい。それより君にも王太子や他に縁談があった男もいたはずだ」
確かにいた。
だが父親からジークフリートとの結婚を命じられたロゼッタに彼らは文一つ寄越さなかった。
ロゼッタに手を差し伸べたのはあれほど嫌だった結婚相手のジークフリートだ。
――結局はそういうことなのだ。
ロゼッタは指先でジークフリートの唇をなぞった。
「あなたを愛しております。父にも王太子殿下にもマーガレット殿下にも陛下にも感謝しておりますわ」
全てはこの男に出会うためだった。と今は思える。
「ロゼ……」
就寝の体勢に入っていたはずのジークフリートがロゼッタを組み敷く。
ジークフリートの指先がロゼッタの頬を撫でた。
それだけで重だるい腰がまたじわっと濡れてくる。
「ジークフリート様」
情熱的な瞳がロゼッタを射ぬく。
「私の妻は君だけだ」
近づいてくる夫の顔にロゼッタは唇を重ねた。
翌朝はジークフリートがくたびれ果てたロゼッタを腕に抱きかかえ、上機嫌で馬車に乗せた。戻る頃には領地は既に冬だ。
冬ごもりの準備が忙しく行きは同行出来なかったジークフリートも帰りは共に馬車でロゼッタと帰る。
夜はもちろん毎晩共に眠った。
大抵は街の質の良い旅籠に泊まれ、不便は感じなかったが、なにせ長旅だ。小さな村の小さな宿屋に泊まる日もあった。
壁の薄い宿屋のベッドの上でロゼッタはうつ伏せで尻を高く上げていた。
「あっ…あっ…ゃん……」
ロゼッタは懸命に声をこらえて枕に顔を押し付ける。
後背位は初めてだった。初めて取らされた恥ずかしい体位にロゼッタはいつもより声を上げたくなる。
だがジークフリートがロゼッタの上半身をぐっと抱きかかえると四つん這いの体位に戻した。
「ジ、ジークさまぁ」
「声を出すなよ、ロゼッタ」
と言うとジークフリートはパンパンと勢いよく抽挿を始める。
「あっ……」
声を出しかけてあわててロゼッタは口をつぐむ。
上半身を寝かして尻を高く突き上げる恰好は本来ジークフリートが好むところだが、四つん這いの体位だと、ロゼッタの美しい乳房が後ろから少し見える。
丸く大きな胸が膣を突く度にたぷんたぷんと揺れ動く。
ゾクゾクするほど刺激的だ。じっくりと目に焼き付けたい。
腰の使い方で胸の揺れ方が違う。気付いたジークフリートはロゼッタを早い動きやゆっくりと深い挿入やはたまた角度など散々試して、興じた。
三週間の旅の間、二人は退屈とは無縁の日々を過ごした。
ジークフリートが愛撫を始めると、ロゼッタは自分で驚く程濡れた。
気持ち良くて仕方ない。
肌を撫でられるだけで、達しそうになる。
呼吸をするのも苦しい。勝手に腰が動く。
淫らな声で喘くのが止まらない。
ロゼッタの痴態にジークフリートは狂喜した。
「随分淫乱だな」
快楽を与え続けて楽しげに自分を嬲ってくるジークフリートに、ロゼッタはますます高みへと押し上げられる。
――今のこの瞬間だけは彼は私のものなんだわ。
王都のどんな娯楽も令嬢もジークフリートの心を動かさなかった。彼はただ冷ややかに見つめるだけだった。
『氷の狼』
その呼び名通りの氷のような視線が今は危険なほどの熱を孕んでロゼッタを映している。
「はい……気持ち良いの…ジークフリート様……」
ロゼッタは恍惚と口を開く。
ジークフリートは自分の下半身が熱を持ち、欲情していくのを愉しんだ。
陰茎が硬く大きく立ち上がってくる。
自分が雄であることを心地良く堪能する。
そしてロゼッタは自分の雌だ。
指が滑るほど汗ばんだ胸を揉みながら、パンパンに膨れ上がった陰茎をロゼッタの膣に押し込む。
「あっ……はぁ……!」
挿入された瞬間にロゼッタは震えてイった。
「いいぞ、ロゼッタ」
ジークフリートは機嫌良く腰を振り、ロゼッタを貪った。
「はぁはぁ……」
快感に慣れる間もなく、膣がペニスに擦り上げられる。
ジークフリートが動く度に狂いそうなくらいの淫楽が襲ってくる。
それはジークフリートも同じだった。
我を忘れる程の法悦に二人は酔いしれた。
***
ジークフリートは愛しげに疲れ切ったロゼッタの髪を撫でている。
ふと立ち上がると、部屋の明かりを消す。
またベッドに潜り込み、ジークフリートはロゼッタの体にしっかりと毛布をかけ直した。
「さて、そろそろ寝ないとな」
明日の朝早くにはここを発つ予定だ。
その前にロゼッタは聞いてみたいことがあった。
「あの……今日のことはよろしいのですか」
「今日のこと?」
ロゼッタは思い切って口を開く。
ダンスの間マーガレットがジークフリートに話す声を聞いてしまった。
「マーガレット王女殿下が本来のご婚約者でしたわ……」
それを聞くとジークフリートは不快そうに眉を寄せた。
「ああ、そうだったな。あれが我が家に来なくて本当に良かった。我が儘な娘とは聞いていたがほんの少し話しただけでも辟易した」
マーガレットに対するジークフリートの評価は大分辛い。
踊りの最中、マーガレットはジークフリートの妻の座を乞い、ロゼッタの悪口をまき散らした。
「子供がないならまだ白い結婚と言い張れます。今なら結婚を無効に出来ますわ」
意地の悪く微笑む女の顔は思い出すだけで反吐が出る。
大体ジークフリートとロゼッタは王命により結婚した。
王に恭順を示したジークフリートとリーネルト侯爵に対し、その娘が結婚をなかったことにせよとはまったくもって無礼極まりない。
マーガレット王女から婚約を断ってきて実に幸運だった。
そう思い返すジークフリートをロゼッタは不安げに見つめた。
「マーガレット殿下はとてもお綺麗です」
なおも言葉を重ねてくるロゼッタにジークフリートは不敵に口角を持ち上げる。
大人の余裕に満ちた微笑み。
蠱惑的な仕草にロゼッタの胸が高鳴る。
耳に唇が触れるような距離で楽しげに囁かれた。
「嫉妬か?ロゼッタ」
否定したかったが、結局はそうなのだ。
「はい」
とロゼッタは恥じらいなから頷いた。
ジークフリートは妻の反応に満足してロゼッタを抱きしめる。
「あれより君の方がずっと美しい。それより君にも王太子や他に縁談があった男もいたはずだ」
確かにいた。
だが父親からジークフリートとの結婚を命じられたロゼッタに彼らは文一つ寄越さなかった。
ロゼッタに手を差し伸べたのはあれほど嫌だった結婚相手のジークフリートだ。
――結局はそういうことなのだ。
ロゼッタは指先でジークフリートの唇をなぞった。
「あなたを愛しております。父にも王太子殿下にもマーガレット殿下にも陛下にも感謝しておりますわ」
全てはこの男に出会うためだった。と今は思える。
「ロゼ……」
就寝の体勢に入っていたはずのジークフリートがロゼッタを組み敷く。
ジークフリートの指先がロゼッタの頬を撫でた。
それだけで重だるい腰がまたじわっと濡れてくる。
「ジークフリート様」
情熱的な瞳がロゼッタを射ぬく。
「私の妻は君だけだ」
近づいてくる夫の顔にロゼッタは唇を重ねた。
翌朝はジークフリートがくたびれ果てたロゼッタを腕に抱きかかえ、上機嫌で馬車に乗せた。戻る頃には領地は既に冬だ。
冬ごもりの準備が忙しく行きは同行出来なかったジークフリートも帰りは共に馬車でロゼッタと帰る。
夜はもちろん毎晩共に眠った。
大抵は街の質の良い旅籠に泊まれ、不便は感じなかったが、なにせ長旅だ。小さな村の小さな宿屋に泊まる日もあった。
壁の薄い宿屋のベッドの上でロゼッタはうつ伏せで尻を高く上げていた。
「あっ…あっ…ゃん……」
ロゼッタは懸命に声をこらえて枕に顔を押し付ける。
後背位は初めてだった。初めて取らされた恥ずかしい体位にロゼッタはいつもより声を上げたくなる。
だがジークフリートがロゼッタの上半身をぐっと抱きかかえると四つん這いの体位に戻した。
「ジ、ジークさまぁ」
「声を出すなよ、ロゼッタ」
と言うとジークフリートはパンパンと勢いよく抽挿を始める。
「あっ……」
声を出しかけてあわててロゼッタは口をつぐむ。
上半身を寝かして尻を高く突き上げる恰好は本来ジークフリートが好むところだが、四つん這いの体位だと、ロゼッタの美しい乳房が後ろから少し見える。
丸く大きな胸が膣を突く度にたぷんたぷんと揺れ動く。
ゾクゾクするほど刺激的だ。じっくりと目に焼き付けたい。
腰の使い方で胸の揺れ方が違う。気付いたジークフリートはロゼッタを早い動きやゆっくりと深い挿入やはたまた角度など散々試して、興じた。
三週間の旅の間、二人は退屈とは無縁の日々を過ごした。
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