44 / 69
聖剣の行方
01.どんぐり杯入手!? の続き
しおりを挟む
「こ、これがどんぐり杯……」
九十九階にあるという最上級状態異常解除ポーションの材料、どんぐり杯。
通常のものとは比較にならないほど大きいが、男が掲げ持つ『それ』の色と形は確かにどんぐりである。
『それ』はどんぐりの上の部分を切って中身をくりだしてあった。
杯というのは、器やカップの意味だから、まさしく「どんぐり」の「杯」だ。
九十九階はまだまだ先なので、カチュア達はどんぐり杯の正確な情報を掴んでなかった。
分かっているのは、九十九階である特殊なイベントを発生させるとゲット出来る入手困難なアイテムというだけだ。
イベントの発生条件ももちろん分からず、どんぐり杯の姿形も不明だった。
「それって……」
本物のどんぐり杯なの?
カチュアがそう男性に尋ねる前にジェシカが男に駆け寄った。
「お願いです! そのどんぐり杯、私に譲ってください!」
男はジェシカを見て、知り合いなのか、「ああ、ジェシカか。久しぶりだな」と言った。
「はい、お久しぶりです。お願いです! お金ならいくらでも出します! どうか、譲ってください!! ベルンハルトで……様!」
ジェシカは必死な表情で男に頭を下げる。
カチュアはジェシカのあまりの剣幕に驚いたが、驚いたことは、もう一つ。
「あ、この人が、でんでん虫さんなのね」
以前にジェシカがパーティーを組んでいた恩人、ベルンハルト。
あだ名はでんでん虫である。
カチュアはアンとジェシカの友達として、とりあえず彼に挨拶せねば、と思った。
よく見ると鞄にはあの時バザーで買った幻獣『ろあちゃん』の刺繍入り巾着が結ばれている。愛用しているらしい。
そんなに怖い人じゃないかも。と思いながら、カチュアは男の方を向き、声を掛けた。
「でんでん虫さんですか? ジェシカとアンの友人のカチュアです。以前にジェシカが随分お世話になったそうで……」
「駄目! カチュア」
話しの途中で、ジェシカが悲鳴のような声を上げてカチュアを止めた。
「?」
「不敬よ! カチュア、その方はベルン=ルヴァルド第二王子殿下なの!」
一般庶民と王族は直に声を掛けることが出来ない身分差がある。
カチュア達の国は絶対王政で、許しもなくこちらからお声がけをした場合、不敬罪で殺されたり、投獄されても文句は言えないのだ。
ジェシカが知るベルン=ルヴァルドならそんな理由で民に罰を与える人ではないが、ジェシカ自身はもし手打ちにあっても止めるわけにはいかない。
覚悟の上の不敬である。
「「「えっ」」」
だが、そんなことは全く知らないアンを除くガンマチームは衝撃の事実に絶句した。
シンと静まりかえった室内で、ローラがぼそっと呟いた。
「……美少年じゃない」
***
「残念だが、ジェシカ。どんぐり杯はアンに捧げたものだ。渡すわけにはいかない」
とベルン=ルヴァルドは言う。
改めて聞くとどう見てもあらくれ者という外見に似つかぬ、どこか高貴な声だ。
ベルン=ルヴァルドの返事にジェシカは次にアンを振り向く。
「先輩! お願いです! どうか、私にどんぐり杯を譲ってください!」
ジェシカの思い詰めたような表情は、普通ではない。鬼気迫る姿で彼女はそう訴えるが。
「ジェシカ。悪いけどアンタの頼みでも駄目よ。アタシ達もこのどんぐり杯を渡すわけにはいかないのよ」
アンはすまなそうだが、きっぱりと断る。
しかしジェシカはめげずに食いついてきた。
「先輩!」
見かねてカチュアが口を挟んだ。
「ジェシカ」
「カチュア」
「あのね、私達もどんぐり杯をずっと探していたの。渡せって言われても今は絶対に無理よ。また日を改めて話し合いましょう? だからとりあえず今は帰って、ねっ」
カチュア達もどんぐり杯を追い求めていた。
簡単に渡せるものではない。
「…………」
ジェシカはガンマチームのメンバーの顔を見回し、「……分かった。今は帰ります」と部屋を出て行く。
その姿を見送り、オーグが言った。
「まさかジェシカさんもどんぐり杯を探していたなんて……」
「奇遇だよなぁ」
レアレア茸(切り身)といい、なんという偶然だろう。
レアレア茸(切り身)はどちらのチームも手に入れることが出来たが、どんぐり杯を『分け合う』のは難しそうだ。
「ベル、アンタも帰りな」
アンが残るベルン=ルヴァルドに言うと、彼はあっさり頷いた。
「そうだな、後で二人きりで話そう。今夜、ガルファホテル501号室で待っている」
そう言うと、ベルン=ルヴァルドはマントのフードを被った。
「……!」
ガンマチームはおののいた。
途端にベルン=ルヴァルドの気配が消えて、「いる」のは分かるのだが、何故か注意を向けられなくなってしまう。
彼が黙っていれば、そこに「いる」ことすら忘れてしまうだろう。
「じゃあ、アン、今夜待っている」
その声を最後に、彼は部屋から姿を消した。
***
しばらく誰も言葉を発せず、黙り込んだが。
「あれ、識別阻害魔法付与の最高級品ですね、初めて見た」
とリックが感動した様子でため息をついた。
確かにあのマントを着けていたら、とにかく目立つベルン=ルヴァルドでも誰にも見つからず暮らせるだろう。
「…………」
部屋には気まずい空気が漂った。
チームメンバーはアンに聞きたいことが山ほどあるが、どこから聞けばいいのか、そもそも聞いていいのだろうか。
ベルン=ルヴァルドとの関係は?
もらっちゃったけど、どうしよう? どんぐり杯。
などなど。
だが一番衝撃を受けたのは。
ローラが再び呟いた。
「……美少年じゃない」
ベルン=ルヴァルドが儚げな美少年から、ワイルドムッキムキなルックスに変化した理由とは?
その時、コンコンとノックがして、「デザートのプリンでーす」とプリンが来た。
「とりあえず食べましょうか?」
とカチュアが促し、皆、再び椅子に座り直す。
内心、あんまり食が進まないかなと思ったが、そうでもなかった。
デザートは、『ビッグバードのビックリプリン』。
巨大な鳥のモンスタービッグバードの卵を使ったプリンだ。
一個ずつ配られる系のプリンではなく、どんぐり杯より大きなボールいっぱいになみなみ作られたプリンを各自がすくって食べるのだ。
しかも付属のピッチャーにはカラメルソースがたっぷり入っていて、カラメルかけ放題だ。
「美味しいわねー」
「美味しい」
「そうですね」
とプリンを食べながら部屋は再び和やかな雰囲気に包まれた。
「で、アン、どうするの? ホテル行くの?」
スイーツ気分に後押しされて、カチュアはアンに聞いた。
「あー、それねぇ」
とアンは顔を上に上げ、歯切れが悪い。
「あの、どんぐり杯は本物なんでしょうか?」
と尋ねたのはオーグである。
「だと思うわ。アイツも偽物掴ませるほど愚かじゃないでしょう」
「どうやって手に入れたんでしょう?」
「どうやってって、九十九階に行ったんじゃない?」
アンはサラッと答え、皆はどよめいた。
「九十九階ですよ!」
「Aランクチームしか行けないって聞くけど」
「殿下のチームってどんなんだろう?」
ガンマチームのメンバーは想像を巡らすが、
「アイツ、一人だと思うよ」
という答えに、
「ひーえー、殿下、一人で九十九階に行ったの?」
とカチュアは悲鳴を上げた。
九十九階にあるという最上級状態異常解除ポーションの材料、どんぐり杯。
通常のものとは比較にならないほど大きいが、男が掲げ持つ『それ』の色と形は確かにどんぐりである。
『それ』はどんぐりの上の部分を切って中身をくりだしてあった。
杯というのは、器やカップの意味だから、まさしく「どんぐり」の「杯」だ。
九十九階はまだまだ先なので、カチュア達はどんぐり杯の正確な情報を掴んでなかった。
分かっているのは、九十九階である特殊なイベントを発生させるとゲット出来る入手困難なアイテムというだけだ。
イベントの発生条件ももちろん分からず、どんぐり杯の姿形も不明だった。
「それって……」
本物のどんぐり杯なの?
カチュアがそう男性に尋ねる前にジェシカが男に駆け寄った。
「お願いです! そのどんぐり杯、私に譲ってください!」
男はジェシカを見て、知り合いなのか、「ああ、ジェシカか。久しぶりだな」と言った。
「はい、お久しぶりです。お願いです! お金ならいくらでも出します! どうか、譲ってください!! ベルンハルトで……様!」
ジェシカは必死な表情で男に頭を下げる。
カチュアはジェシカのあまりの剣幕に驚いたが、驚いたことは、もう一つ。
「あ、この人が、でんでん虫さんなのね」
以前にジェシカがパーティーを組んでいた恩人、ベルンハルト。
あだ名はでんでん虫である。
カチュアはアンとジェシカの友達として、とりあえず彼に挨拶せねば、と思った。
よく見ると鞄にはあの時バザーで買った幻獣『ろあちゃん』の刺繍入り巾着が結ばれている。愛用しているらしい。
そんなに怖い人じゃないかも。と思いながら、カチュアは男の方を向き、声を掛けた。
「でんでん虫さんですか? ジェシカとアンの友人のカチュアです。以前にジェシカが随分お世話になったそうで……」
「駄目! カチュア」
話しの途中で、ジェシカが悲鳴のような声を上げてカチュアを止めた。
「?」
「不敬よ! カチュア、その方はベルン=ルヴァルド第二王子殿下なの!」
一般庶民と王族は直に声を掛けることが出来ない身分差がある。
カチュア達の国は絶対王政で、許しもなくこちらからお声がけをした場合、不敬罪で殺されたり、投獄されても文句は言えないのだ。
ジェシカが知るベルン=ルヴァルドならそんな理由で民に罰を与える人ではないが、ジェシカ自身はもし手打ちにあっても止めるわけにはいかない。
覚悟の上の不敬である。
「「「えっ」」」
だが、そんなことは全く知らないアンを除くガンマチームは衝撃の事実に絶句した。
シンと静まりかえった室内で、ローラがぼそっと呟いた。
「……美少年じゃない」
***
「残念だが、ジェシカ。どんぐり杯はアンに捧げたものだ。渡すわけにはいかない」
とベルン=ルヴァルドは言う。
改めて聞くとどう見てもあらくれ者という外見に似つかぬ、どこか高貴な声だ。
ベルン=ルヴァルドの返事にジェシカは次にアンを振り向く。
「先輩! お願いです! どうか、私にどんぐり杯を譲ってください!」
ジェシカの思い詰めたような表情は、普通ではない。鬼気迫る姿で彼女はそう訴えるが。
「ジェシカ。悪いけどアンタの頼みでも駄目よ。アタシ達もこのどんぐり杯を渡すわけにはいかないのよ」
アンはすまなそうだが、きっぱりと断る。
しかしジェシカはめげずに食いついてきた。
「先輩!」
見かねてカチュアが口を挟んだ。
「ジェシカ」
「カチュア」
「あのね、私達もどんぐり杯をずっと探していたの。渡せって言われても今は絶対に無理よ。また日を改めて話し合いましょう? だからとりあえず今は帰って、ねっ」
カチュア達もどんぐり杯を追い求めていた。
簡単に渡せるものではない。
「…………」
ジェシカはガンマチームのメンバーの顔を見回し、「……分かった。今は帰ります」と部屋を出て行く。
その姿を見送り、オーグが言った。
「まさかジェシカさんもどんぐり杯を探していたなんて……」
「奇遇だよなぁ」
レアレア茸(切り身)といい、なんという偶然だろう。
レアレア茸(切り身)はどちらのチームも手に入れることが出来たが、どんぐり杯を『分け合う』のは難しそうだ。
「ベル、アンタも帰りな」
アンが残るベルン=ルヴァルドに言うと、彼はあっさり頷いた。
「そうだな、後で二人きりで話そう。今夜、ガルファホテル501号室で待っている」
そう言うと、ベルン=ルヴァルドはマントのフードを被った。
「……!」
ガンマチームはおののいた。
途端にベルン=ルヴァルドの気配が消えて、「いる」のは分かるのだが、何故か注意を向けられなくなってしまう。
彼が黙っていれば、そこに「いる」ことすら忘れてしまうだろう。
「じゃあ、アン、今夜待っている」
その声を最後に、彼は部屋から姿を消した。
***
しばらく誰も言葉を発せず、黙り込んだが。
「あれ、識別阻害魔法付与の最高級品ですね、初めて見た」
とリックが感動した様子でため息をついた。
確かにあのマントを着けていたら、とにかく目立つベルン=ルヴァルドでも誰にも見つからず暮らせるだろう。
「…………」
部屋には気まずい空気が漂った。
チームメンバーはアンに聞きたいことが山ほどあるが、どこから聞けばいいのか、そもそも聞いていいのだろうか。
ベルン=ルヴァルドとの関係は?
もらっちゃったけど、どうしよう? どんぐり杯。
などなど。
だが一番衝撃を受けたのは。
ローラが再び呟いた。
「……美少年じゃない」
ベルン=ルヴァルドが儚げな美少年から、ワイルドムッキムキなルックスに変化した理由とは?
その時、コンコンとノックがして、「デザートのプリンでーす」とプリンが来た。
「とりあえず食べましょうか?」
とカチュアが促し、皆、再び椅子に座り直す。
内心、あんまり食が進まないかなと思ったが、そうでもなかった。
デザートは、『ビッグバードのビックリプリン』。
巨大な鳥のモンスタービッグバードの卵を使ったプリンだ。
一個ずつ配られる系のプリンではなく、どんぐり杯より大きなボールいっぱいになみなみ作られたプリンを各自がすくって食べるのだ。
しかも付属のピッチャーにはカラメルソースがたっぷり入っていて、カラメルかけ放題だ。
「美味しいわねー」
「美味しい」
「そうですね」
とプリンを食べながら部屋は再び和やかな雰囲気に包まれた。
「で、アン、どうするの? ホテル行くの?」
スイーツ気分に後押しされて、カチュアはアンに聞いた。
「あー、それねぇ」
とアンは顔を上に上げ、歯切れが悪い。
「あの、どんぐり杯は本物なんでしょうか?」
と尋ねたのはオーグである。
「だと思うわ。アイツも偽物掴ませるほど愚かじゃないでしょう」
「どうやって手に入れたんでしょう?」
「どうやってって、九十九階に行ったんじゃない?」
アンはサラッと答え、皆はどよめいた。
「九十九階ですよ!」
「Aランクチームしか行けないって聞くけど」
「殿下のチームってどんなんだろう?」
ガンマチームのメンバーは想像を巡らすが、
「アイツ、一人だと思うよ」
という答えに、
「ひーえー、殿下、一人で九十九階に行ったの?」
とカチュアは悲鳴を上げた。
786
お気に入りに追加
1,382
あなたにおすすめの小説
「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。
亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません!
いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。
突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。
里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。
そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。
三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。
だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。
とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。
いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。
町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。
落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。
そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。
すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。
ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。
姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。
そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった……
これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。
※ざまぁまで時間かかります。
ファンタジー部門ランキング一位
HOTランキング 一位
総合ランキング一位
ありがとうございます!
『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月
りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。
1話だいたい1500字くらいを想定してます。
1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。
更新は不定期。
完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。
恋愛とファンタジーの中間のような話です。
主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる