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第371話 闇の獣人、ドワーフの御機嫌取りのアイテムを用意してみる

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 目が覚めた後は俺はどうやったらドワーフ達に聖剣修復を諦めてもらうかについて悩んでいた。

 ちなみに時間停止は解除済みだ。アナントスがかけてくれたから睡眠で時間を消費することがなかったのは嬉しいね。たまに時間停止かけるの忘れるからなー俺…。

 一方フレジョリーナはまだブツブツ言いながらも、俺の私室でソーダ水の入ったグラスを睨んでいる。

 どうやら冥界の火を少ししか操作できない事について落ち込んでいるようだった。

 これについては練習するしかないので、彼女もその事については頭では理解しているが感情が納得していないようだった。

 ドワーフ達の聖剣修復について、自在門を開いてみると…俺にとっては都合よくというべきか、未だに修復が終わっていないようだった。
 
 どうやらどんな素材を入れるかでもめているらしい。

 そこへフレジョリーナが聖剣を修復できるとわかったら、彼等はどれほどガッカリするかと思うと…何とかしないといけないのだが、職人気質のドワーフが満足できるとなると、どんなものがいいのか皆目見当もつかなかった。

 とりあえずドワーフといえば鉱石と金属が大好きなそうだから、俺は異世界市場の表示板を出現させて、リンゴを大量に購入した。

 もちろん一番価格の高いリンゴばかりを200個ほど購入してみた。

 次に金のインゴット10個を横に並べてリンゴ一個に統合化してみたら、金のリンゴができた。

 覇王竜の叡智で鑑定してみたら、金の発見率が大幅に上昇し、仕事や収入がアップする効果があるとか。

 次は銀のインゴット10個よ横に並べてリンゴをまた統合化してみると、銀のリンゴは覇王竜の叡智によると、集中力と器用度が飛躍的に上がって、ドワーフの職人が銀のリンゴを食べたら、その業種によって剣とか鎧とか、道具とかの作成する際の失敗率が大幅に下がるのだという。

 他に水晶のリンゴとか、ダイヤモンドのリンゴとか、ルビーのリンゴ、サファイアのリンゴとかいろいろと作ってみた。

 やっぱり植物となるとアミリルス様からもらった薔薇の入った水晶玉だが、いくら念じても宝石でできたリンゴとかスイカとかメロンとか創造できなかったんだよね。

 幸いというか宝石とか金属なら山ほどあるし、変異のアビリティを使えばパンを金やプラチナに変えることもできたからな。

 代償として俺の精液が必要だから、宝石や貴金属はヒョドリンに食わせて増やした方がいい。

 だから宝石を混じらせたリンゴとかどんどん作れる。

 ドワーフは貴金属や宝石が大好きだから、どうせなら食べられるものにミックスしたらいいんじゃないかと思ってみたら結構いい感じだった。

 もちろんアルロン、ロンドウェル、奴隷達に試食してもらってどのリンゴも食べられるが、ドワーフがこれらのリンゴを食べるかどうかは疑問だという声が多かった。

 彼等は鉱石や貴金属大好きだが、それは彼等が加工できる技術をもっているからであり、自分達の好きなデザインや大きさに変えることができるからだそうだ。

 つまりこれはこれでいいのだが、もったいなさすぎて食べる者は少数ではないか、とアルロン達から指摘された。
 
 「難しいなー。俺はドワーフの生態についてよく知らないし…。まあこの程度の贈り物で怒るんなら、こっちも逆らうことができないように冥王様からもらったアビリティで半死人にするだけなんだがな」

 「すでにラフィアス様は彼等を癒していますからね。さらにアナントス様の本来の御姿を見ていますから、逆らう愚か者はいないと思いますよ?」

 と、ミリーヤがアルロンや奴隷達にお茶を配りながら言った。

 だがもっとこう…ライフラインというか彼等の生活に関わるような物ってなかったっけ?

 魔法の大鍋で酒を増産させる? 却下。あいつらなら大鍋の最後の一滴まで飲み尽くすから、増やせるようなことはできないだろうし。

 シャベルやピッケルのすごいタイプを贈呈する? でもあいつら職人だから、自分達で大抵の物は作れるしな。

 酒は前回振る舞ったから、これだと二番煎じになるし。

 そういえば鍛冶って俺も少しかじった程度だが、結構暑いから暑さでヘバらないように暑さ対策の道具とか装備とか用意しておくか?

 でも汗が出ないドワーフなんて、ドワーフじゃないぜ! って言われそうだな。ドワーフは結構頑強な肉体をもっているし。

 あ、でも…。確か鍛冶の時は結構火を使うから、ゴーグルを装着している鍛冶職人が結構いたな。

 それなら目薬とか用意してみるか。確か過去に宝箱から何度か出たことがあったけど、確か上級回復ポーションにも同じような効能があったよな。

 それなら上級回復ポーションを沢山用意してみるか。これなら視力が落ちたドワーフも、飲めば視力が回復するし地下世界だから上級回復ポーションを創るのは不可能だし。

 俺も錬金術とか製薬関係については素人だから知らないし、その分野についてはアンネリーザというたのもしい錬金術師がいるので、知る必要もない。

 だが彼女によるとポーションとは大抵の場合は回復系で攻撃に使う酸のポーションとか、アンデッドを祓うポーションもあるようだけど、普通はポーション=回復薬と思って間違いないそうだ。

 そのアンネリーザ曰く、回復効果の高いポーションほど、いろんな材料が必要になって製薬するのに手間がかかって時間もかかるからポーション一本分の料金も高くなるそうだ。

 つまり鉱石も多少は必要になるが、他はほとんど植物と魔物の肉とか骨とか角、羽、目玉といったものを用意する必要があるのだという。

 でも俺にはヒョドリンがいるからな。ポーションを魔法で小さくしてから食べさせて大量増産させて、2000本に増やしてから魔法のバックパックに入れて、と…。

 そこへ城から二体のドラゴンがやってきた。

 えーと確か…そうだ! 地竜族の長の候補、ルペリオと水竜族の長の娘、アクリアだったな。

 頭を何度か振りながら俺の前まで来た二体のドラゴン(といっても竜人バージョンだけど)は俺の前まで来るなり跪いた。

 「あなたの情報をやっと把握することができました。生まれた子供が一年以内に必ず死ぬという呪いを神々から受けてさぞつらいでしょうが…その…」

 二人同時に決意を露わにした顔で俺を見上げて言った。

 「性奴隷にするのなら私達だけにしてください! 淫らな行いは私達だけで他の竜達にはなさらないでくださいませ!」

 えぇ~。何だその反応は。俺、そんなに見境なしのスケベな獣人じゃないぞ? 相手が敵でも利用価値があれば殺さないで仲間や部下にする為の手段として使っているだけだってば。

 同時に俺の前でひれ伏して懇願する地竜と水竜に、ドワーフ達へのプレゼントの事は完全に頭から抜けてしまっていた。
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