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第369話 闇の獣人、いつの間にか不死鳥の冥界の炎に対する訓練に付き合わされる

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 冥界には罪人を罰する為の特別な炎が存在する。その炎を上位の不死鳥であるフレジョリーナが浴びると、どうなるかを試してみることにした。

 その結果どうなったかというと…まあそれは叫び声を上げる彼女を見ればわかると思う。

 「キャアアアアアアア! 熱い! 熱くて痛いですわぁ! でも我慢ですわ。この程度の炎に耐えられなくて何が不死鳥ですの! 必ず耐えてみえますわ!!」

 と、地獄の炎に包まれたフレジョリーナはアビス・ファイアに必死に耐えていた。

 邪魔されないように三羽のヒナは俺が異世界市場で購入した透明な箱、確かプラスチックケースといかいう箱に入れている。

 もちろん魔力を込めて頑丈にしてあるし、炎属性の攻撃も無効になるように設定しておいた。

 ヒナ鳥達は心配そうに母鳥のフレジョリーナを見ている。

 最初は火だるまになってのたうち回っていたフレジョリーナだが、さすがに自称・上級不死鳥を名乗るだけあってその再生能力はすさまじく、訓練を開始してから30分ほどでほとんど瞬時に立ち直ることができるようになっていった。

 それでもアビス・ファイアを浴びると痛そうな顔をするんだけど、訓練の最初の時のように叫び声を上げるほどじゃなくなっていた。

 何だか不死鳥って適応力も高いのな。ま、彼等は自分達をイモータルと呼んでいるからな。

 このイモータルというのは不老不死をもった存在を意味するらしい。

 逆に俺達のように寿命があって、毒や魔剣とかで殺害されたら死ぬ存在をモータルというそうだ。

 イが抜けただけで随分と違うが、俺もいつかは馬鹿親父と共に創造神になる修行とかしないかと親父から誘われている。

 もちろん今は邪神が封印されているから、その封印が解けた時の為に俺が限界突破ポーションを飲み続けないといけなかったが、フレジョリーナと知り合ってからは新たな選択肢が生まれた。

 彼女は永遠や永続、永久を司っているから…それってつまり邪神の封印を強化して、その状態を永久化させることができるんじゃないだろうか、と。

 何だか情けない話だが、半神半人である俺には邪神相手に戦っても、一対一で辛うじて勝てればいい方だ。

 大精霊達や大悪魔達と一緒に戦っても、よくて五分、下手すると俺達が全滅するということになる。

 もちろんこれは相手が一級邪神の場合だ。二級以下なら俺や眷属達全員の力を合わせれば、倒せる確率は高くなるんだけど…。

 こっちが数を増やして戦うと、あっちも他の仲間の邪神の封印を解いて複数の邪神を相手に戦わないといけなくなるから、フレジョリーナの力を借りて、邪神の封印を永久化させてしまえばこっちのものということになる。

 これなら世界各地の邪神の封印を強化して、永久化させておけば一体ずつ邪神を滅ぼすことも可能だ。

 もっともその為には俺とフレジョリーナが強くならないといけないんだけどな。

 そして彼女はどうにか冥界の炎に耐えることができるようになったが、あくまでも「耐える」ことだけだ。

 とても制御なんかできやしない。それが悔しいのか、自分から燃え上がる冥界の火のついた焚火に羽をかざしているが、ただの炎ではないので彼女の制御をまるで受け付けない。

 それが屈辱なのか、必死に目を血走らせて冥界の火を操ろうとしているが、ぜんぜんうまくいっていない。

 さて、俺の方は何をしていたのかというと…。植物の大女神アミリルス様からもらった薔薇の入った水晶玉で、触ったら記憶の中にある食べ物を実らせる木を創ってみた。

 この水晶玉、植物限定ではあるが…逆を言えば植物型のオリジナルの魔物とか野菜とか果物を創ることができる。

 それはいいのだが、やはり世の中甘くはない。効力の強い回復の木の実とか、果物とかだと土に栄養を送り続けないと実を実らせる数が少しだけだ。

 その為には木に栄養を送り続けないといけないので、俺の分身を出して根元に射精し続けるように命じるのだが、これだといろんなオリジナルの植物を創造する度に分身が必要になってしまう。

 もちろん精液ポーションを大量に使って、分身の数を増やせばいいのだが…それでも限界はある。

 そこでフレジョリーナの魔力を込めた石を最初に一つ作ってから、ヒョドリンに食わせて大量増殖。

 それを統合化のアビリティで一つにしたら、結構強い魔力をもった石が誕生した。

 その石を記憶の中にある食べ物を実らせる木の根元に置いてみたら、ラーメン、チャーハン、おにぎり、焼きそばといった異世界の料理を入れた木の実が次々に実ってきた。

 それはいいんだが、食べると全部、テンションが高くなるというか、気性が激しくなるというか、精神的な面ではハイテンションになって、肉体的な面では元気になりすぎてじっとしていられない感じになってしまった。

 つまりフレジョリーナの魔力を込めた石を統合化で強化させたのが原因のようだった。

 まさか全部の食べ物が火属性を帯びるとは思わなかった。

 まあ不死鳥の魔力だから当然といえば当然だな。相変わらず悔しそうにアビス・ファイアで生まれた焚火を睨んでいるフレジョリーナ。

 だあ彼女の羽根が上に動くと、少しだけ冥界の火が上に動いた。

 フレジョリーナはアビス・ファイアの制御を。俺は火属性の魔力の込められた石をどうするべきか。

 悩みはまるで違うが、俺もフレジョリーナも頭を悩ませることになってしまった。

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