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第344話 闇の獣人、スライムボスの宝箱を開けて変な機械を見つけてしまう

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 隠しボスの最初の一体はスライム達だった。一体一体はそれほど強くないが、変わった種が多かったのとエペランの部下にしたいので、手加減するのに大変だった。

 そして宝箱に興味があったので、早速開けてみるとスライムマスターの証というバッジが一つあったのと、奇妙なカラクリが一個入っていた。

 見た目は小さいけど、取り出すと本来の姿というか大きさになるって奴だな。

 バッジは文字通り、キングまでのスライムなら操れるようになるが、その為にはある程度のスライムを支配下におかないといけなくなるけど俺にはエペランがいるから、あまりこのバッジの意味ないな。

 エペランはすでにエンペラースライムだから、このバッジの効果は及ばないし。

 かといって悪用されるとまずいので、バッジを外すとそのまま闇の中の空間に放り込んでおいた。

 もう一つのカラクリだが、鑑定してみると異世界ではスロットマシーンといわれる機械のようだった。

 俺が手にしたのは五つまでの数字がランダムになって並んでおり、中央のボタンを押すと五つの数字がすごい勢いで高速で回転していき、その五つの数字をうまくタイミングを見計らって揃えていけば、いい景品がもらえるのだという。

 ようするに数字を揃える為の機械ってわけだな。

 俺はレベルも随分上がっているし、何より限界突破ポーションを350万本飲んできているので、数字を揃えるのも寝ぼけているとか、よほどやる気がない時以外は普通に数字の回転を見ることができる。

 つまりタイミングさえ間違えなければ数字を揃えるのには、それほど大変ではないということだ。

 大体5分ほどかかっただろうか。覇王竜の叡智で鑑定してみると7の数字を五つ全部揃えると、宝物かダンジョンに関する何かがもらえるらしい。

 何かというのがわからないが、これもまたランダムで手に入るということなので鑑定文にもはっきりと細かくは載っていなかった。

 で、俺の場合は7の数字を全部揃えたので、空中に半透明の文字の書かれた板が出現した。

 「おめでとうございます! あなたは隠しボスのキングスライム、またはクイーンスライムの数体のボスを倒してこのスーパーガチャで最高の結果を出しました。

 よってあなたには3つの選択を選ぶことができます!

 最初の一つはどんな魔物も最初から人型のタイプを除いて、霊体型、気体型以外の魔物を人型に変えてしまう能力をゲットできる権利です。

 二つ目は超一流のスナイパークリーチャーを無料で、しかもあなたの気が済むまでほぼ永久に雇用できる権利ですが、遠距離戦のプロとはいえ接近戦での戦いは不得手で守ってあげないと数日間は復活できないので守ってあげてくださいね。

 三つ目は非常に強力な切れ味を誇る魔剣の主になる権利。魔剣の精霊は非常に好色で彼女と事前に性的行為をして大量の精気を彼女に吸わせないと魔剣として、いい切れ味が出なくなる為、持ち主は毎晩毎晩、精霊相手に大量の精気を捧げないといけないため、魔剣の主は全員、短命になるという欠点があります。

 もちろんこれらの権利が気に入らない場合は、ガチャをやり直す事も可能です。この場合はあと4回までやり直すことができますので、どれを選ぶかはあなた次第です!」

 と、長文のやたらとテンションの高い文章を読んだ俺はどれも魅力的じゃないと思った。

 「じゃあ…やり直すということで。あと4回やり直せるのでそれでお願いします」

 相手がどれほどの実力があるのかわからないので、下手に出るしかない俺。

 すると俺の前にさっきのガチャをする機械が出てきた。

 またやり直すのかと思うとゲンナリしてきた。まあ4回やり直せるので少しはいいものが出るといいんだが…。

 最初の時と同じように、俺は真ん中の上にあるボタンを押すと、また高速で回転する五つの数字の7を揃えていくことにした。
 
 だがどの条件とか選択も魅力がないものばかりだった。誰か雇えるというのが魅力的だが、不死の存在じゃないんだしな。

 それに宝石とかいろんな効果が付いているのも、すでに沢山あるんだし。大抵の宝石ってこう…何というかパターンが決まっているんだよな。

 装備すると能力が上がるとか、防具や武具の耐久性が上がるとか。そういう系統のマジックアイテムって何個ももっているし。

 というか俺にはヒョドリンがいるから、防具とかも魔法で小さくして(あんまり小さくしすぎると落としてなくす可能性が高いから、数センチほどの大きさにしてる)、食わせれば沢山防具ができるし。

 それを覇王竜の新旧シリーズの装備できた者が発揮できる統合化のアビリティで増えた防具とかを一つにすればそれだけ耐久性が飛躍的に増す(ただし低品質の鎧や武器だとあまり耐久性が上がらないので、変異のアビリティか他に何か添えて進化させる必要がある)から、そういう系統のマジックアイテムとかいらないんだよな。

 そんな訳で俺が提示された半透明の表示板に記されたものは全部、特に必要がないので最後のガチャ(正確にはスロットガチャというらしい)も7の数字を揃えたものの、結局ぜんぶお断りしました。

 すると俺の前に頭の上に宝箱を乗せた妖精が現れた。全長20cmほどで頭の上に乗せた宝箱を入れると30cmほどだろうか。髪も服も瞳もまつ毛も全部緑色の妖精のようだが、半透明なので本体ではない可能性が高い。

 「あーもう! せっかくスロットガチャをクリアして最高得点を叩き出したのに、何もいらないなんてあなた一体なんなんですか!? そんなに私の用意した条件が気に入らないんですか? というか何、黙っているんですか! こっちは最高得点叩き出した英傑にご褒美あげようとしてるのに全部受け取られないから、傷ついているんですよ!もうこうなったら何でもいいから願いを言ってみてください! 私に叶えられるかどうかわからないけど、叶えられるかもしれませんから、ギャアアア!」

 俺が分裂させた尻尾の一本に電撃を纏わせて、妖精もどきの半透明の少女に纏わりつかせてやった。

 もちろん相手が霊体でもダメージを与えられるように、魔力を込めている。

 というか名乗りもしないで長々といった謎のクリーチャー(異世界では人外の化け物の総称らしい。異世界市場の生存脱出系の本の怪物の総称がこれだった)の話に付き合う必要はない。

 「ななな、何をするんですか、いきなり! これ、普通の人間なら死んでいますよ? 感電死です! 大体初対面でいきなり電撃をまとった尻尾とか絡みつかせたりしますかフツー!?」

 「それは済まなかったな。だが無礼なのはお互い様だろう? とにかくこうして会うのは初めてだな。はじめまして。俺はラフィアスという。ほら、俺は名乗ったぞ? 普通ははじめましての挨拶をしてから名乗るのが礼儀だと思うんだがな。それをしないでそちらの都合を一方的にまくし立ててきた上に長話に付き合う義理など俺にはないと思うんだが?」

 ぐぬぬ、と妖精のような少女が唸っている。
 
 「どうやらあんたは言語が通じない下等なモンスターとは違うようだな。それとスロットガチャとかいうので高得点を叩き出したのに何の報酬も望んでいない俺に対してご立腹のようだが…。報酬を望むのが普通なら気に入らない条件があれば何も望まない、というのも選択の一つじゃないのか?」

 「そ、それはそうですけどぉ…。あ、失礼しました。確かにあなたの仰る通りですね。はじめまして。私はミミック・エンプレスのファーストタイプのゼロフィナといいます。

 私は神々がこの世界にダンジョンという概念を創った時に、ダンジョンの中で罠や魔物をかいくぐって、最奥の領域にまで足を踏み込んだ冒険者達の労苦に併せた報酬を与える存在として生まれたんです。

 本来ならダンジョン・コアさんの仕事なんですけど、ダンジョンの管理で忙しいので私のようなお宝専門の妖精が必要だという事になって、急遽生み出されたのが私、ゼロフィナです」

 「それなら取得した経験値を二倍から三倍以上に増幅させる宝石とかはどうだ? 異世界人を何人か部下に加えているから、異世界人でも使えたり装備できるようにしてほしい」

 「あ、それは…創ろうと思えばできますけどぉ…。止めておいた方がいいですよ? それが冒険者としての通常のレベルであれ、魔法や一般のさまざまな技術であれ、アビリティの経験値が飛躍的に貯まるとレベルアップした時に体が成長するんですが、その時の変化に耐えられなくなって三日は寝たきりになりますから」

 どうも経験値が大量に貯まるとレベルアップした時の反動がきつくて、大抵の冒険者や職人は数日間は使い物にならなくなるらしい。

 どういうことかとゼロフィナに聞いてみたら、取得経験値が二倍から三倍、もしくはそれ以上になると、上がるレベルが1だけじゃなくて2~3と一気に複数のレベルが上がることも珍しくないのだという。

 特に低レベルの時はそれが顕著に起こるらしい。へーそうなのか。俺の場合はそんな苦痛とかあまりなかったけどなー。ってこれは俺が半神半人なのも関係しているんだろうけど。

 「それじゃ他に願い事とか実現できるかどうかわからないが、いくつか叶えてもらいたい事がある。

 まず最初に一つ。俺が異世界に行ってもアビリティや装備しているものが正常に起動できるようにしてほしい。

 二つ目。俺の部下でも一日に一回だけ門と扉の神バンダムのアビリティ自在門を開けるようにしてほしい。主にダンジョンの中ではぐれた時に迅速に戻れるようになってほしいからな。

 三つ目。俺が異世界に行ったとしても、異世界の連中がこちらの世界に来たとしても俺の性的な事をして相手を気持ちよくして仲良くなれるという、俺独自の技能をどの世界に行っても正常に発揮できるようにしてほしい」

 俺が言うとゼロフィナは無表情で固まっていた。そして大きくため息をつくと、両腕を交差させて大きく×印を作った。

 「どれも無理です! この世界に来た異世界人ならまだいいですが、あなたが異世界に行った時の能力や装備品の正常起動? 自在門の起動? 性的な事して仲良くなるって…どれも私には無理です! わたしゃ一介の上級妖精、それもダンジョン内に出る宝箱のお宝専門の妖精には越権行為であって不可能です! そういうのは神々に相談してみてくださーい!」

 と、半泣きになったゼロフィナ。仕方ないので彼女には報酬はいらないから俺と一緒に前述の願い事を神々にお願いしてもらうという形になって、俺の根城の地下131階層に付いてきてもらうことになった。

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