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第331話 闇の獣人、第一王女ミラテアの依頼で第二王女リリエルナ王女を治療する

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 第一王女ミラテアの寝室兼作業場の部屋に自在門を開いた俺は、すぐにミラテアを探した。

 幸いにも彼女はすぐに見つかった。薬草を乾燥させた粉末をフラスコの中に入れたり、何かの角か石かわからないが、それを乳鉢に入れてゴリゴリと粉末にしていく。

 何だか懐かしいな。俺も暗殺者の修行をさせられていた時は、似たようなことをしていたっけ。

 終わるまで待つのも退屈だし、ちょっと手伝ってやるのもいいかもな。


 「手伝おうか?」と俺が背後からそっと小声で言うとミラテア王女は、ビクゥ! と体を大きく震わせてすりこぎ棒を落としてしまった。

 青ざめた顔で俺の方に振り返る王女。そんな人を化け物みたいな目で見なくても…。

 「アルロン達からあんたが俺の力を必要としているようだから、急いで来たんだ。何でも妹を助けてやってくれと
いう事だが、ただの怪我や病気じゃないようだな。どんな症状なのか詳しく教えてもらおうか」

 「アルロン様達にお願いしてからまだ一日も経っていないのに…。急いできてくれたのはありがたいのですけれど今度からドアをノックしてから入ってきてもらえませんでしょうか?」

 「相手が敬意に値する奴ならな。少なくともレナリアーラ、エルモーラ、グリシャールの三大国で聖人認定されている俺に、黒の雫なんて物騒なものをケーキやお茶に混ぜるような奴には多少は不作法でも許されると思うんだけどな」

 確かに急に室内に入った俺が悪いが、俺とビゼルフの分離を作った原因はこの女だ。いくらアミリルス様の巫女の資格があったとしても、汚い手を使って俺と関わろうとするその性格が許せない。

 やはり王族らしく、自分の過ちを指摘された程度で顔を赤くして何か言おうとしたミラテアに、虚空から一瞬で出現したまだら模様の蛇が現れて王女を締め上げた。

 「そのまま素直に謝罪すればわしの婚約者殿も、いきなりそちらの居室に入ったことを詫びていたじゃろうが、逆上しようとするとはなんじゃ。まったくもって見苦しい。前回はわしの婚約者殿にも息抜きが必要だと思って、わしは同行するのを控えたんじゃがの。その結果があれじゃ。

 わしは蛇の神にして誓約を司る神、アナントスじゃ。おまえさんが黒の雫を使って篭絡しようとした彼は、わしの婚約者じゃ」

 と、俺の腕から蛇体を縦に伸ばして第一王女に語り掛けるアナントス。どうやら体を少しきつめに拘束するだけで傷つけたり、殺すつもりはないらしい。

 喋る蛇を始めて見たミラテアは顔面蒼白になった。何というか…いろいろと迂闊なお姫様だな。

 俺がこの国に来て城に行った時にアナントスの姿とか聞いていたと思ったのに。

 「まさか本当に誓約の神がおられたとは…てっきり貴族達の大好きな冗談かと思っておりましたわ…。本当にごめんなさい。ラフィアス様も不快にさせる思いをさせて申し訳ありませんでした…」

 涙を目尻に浮かべて謝罪する姫。まあ…いきなり現れた大蛇に体を締め上げられた挙句に、喋る蛇を見たら誰だってビビるよな。

 彼女もアナントスを怒らせるとどういうことになるのか、身をもって知ったらしく俺とアナントスに謝罪してくるけど、これって反省したわけじゃなくてこれ以上酷い目にあいたくないからだよね?

 本当に反省しているのかわからないけど、形だけとはいえ謝罪しているんだから許してやるかな。

 この女のせいでビゼルフなんて半身が生まれてしまった。俺としてはもう一人の自分がこれほど獣じみていたなんて見たくもなかったし、知りたくもなかったけど…。もう誕生してしまったからには仕方ない。

 それはともかく…。彼女の妹の事についてだけど、アナントスにビビッてしまったせいか、あまり要点を言わないで、あの、とかその、とか言ってかなり長くなってしまったので、結論から言うと…。

 どうも彼女の妹のリリエルナという第二王女様が何かに憑りつかれたらしい。

 最初はリリエルナ王女が乱心したのかと周囲は思ったが、だんだん普通の人間では発揮できないバカ力や魔法とかも使うようになっていったそうだ。

 実際にリリエルナ王女は回復系の魔法が少し使えるだけで、攻撃魔法とかそういう系統の魔法を嫌っていたという。

 姉のミラテア王女には同情しており、事あるごとにミラテア王女を庇っていたとか。優しいお姫様だったのは確かみたいだな。でなきゃミラテア王女が俺に助けを求めるはずがないし。

 で、その優しかったリリエルナ王女に憑りついていた者が男を要求するようになり、近衛騎士団の騎士達が毎晩彼女とセックスする羽目になったという。

 中にはお姫様と結婚できるチャンスかも! と小躍りした騎士もいただろうが、その姫様に憑りついた魔物とやらはすごい魔力の持ち主で、何度も射精させるほどのテクニックを第二王女の体を使って発揮した為に、完全に魔物に憑依されたお姫様は寝た切りになって、毎晩毎晩、近衛騎士が交代で姫に憑依した魔物を満足させる為に、彼等の精液を子宮内に射精し続けたが、限界がきて城の中の一般の騎士団に応援要請を出す羽目に。

 それでも姫に憑依した魔物は男を要求するようになり、一晩に3人までが5人に増えてしまった。

 これでは城の中の警備の騎士や下級の見張りの兵士なども姫の夜の相手をさせられることになり、城の中の騎士や兵士達は姫に憑依した魔物を満足させる為に何度も射精して肉棒が勃起しなくなるまで相手をさせられる羽目になってしまい、ほぼ全員が憔悴していったという。

 さすがにこれでは城の中の男達が倒れてしまうということになって、フィヨルド国王に何とかしてくれと頼んだが身内の恥になることなので冒険者を雇えばいいということでその場はおしまいになったそうだ。

 だが冒険者のような身分は低いし、収入も安定していない者に任せられるかと大臣達が反発し、このままではエルモーラ王国が内部から崩壊すると騎士達がミラテア王女に直訴して全てを話して俺に何とかしてくれるように頼んでくれと涙ながらに懇願したとか。

 「わかった。その憑依している魔物を何とかすればいいんだな? アナントス拘束を解いてくれ。このままじゃ案内させる事ができないからな」

 俺が言うとすぐにミラテア王女を締め上げていた蛇が消滅した。

 彼女は体をさすりながら、俺に礼を言って案内しますと短く言うと早足で外に向かって歩き始めた。




 意外なことに第二王女の住まいは第一王女ミラテアの住む館の近くにあった。

 いや近くというよりほとんど裏側だな、こりゃ。うっそうとした林に囲まれていかにも問題のある王族を監禁するための館というべきだろうか。

 そこの二名の衛兵も何だか疲れたような顔をしており、ミラテア王女がやってくると敬礼して彼女と短く会話している。

 衛兵達と振り返った彼女が同時に俺を見た。そのままゆっくりと門の方へ歩いて行くと、衛兵達は俺に敬礼してから通してくれた。

 館の中は薄暗くて、ミラテア王女の住んでいる屋敷よりも一階低い四階建てだった。

 そこかしこに掃除するメイド達がいるが、全員の表情が暗い。さすがにゾンビほどじゃないけど、陰鬱な感じがして気軽に声をかけられる雰囲気じゃなかった。

 そのままミラテア王女の案内で階段を上っていく。

 部屋の前には二名の獣人の兵士が立っていたが、こちらも明らかにやつれていた。

 姫が俺を手で示すと、彼等は暗い表情から一転して希望に満ちた笑顔でドアを開けて俺を満面の笑顔で通してくれた。

 何かえらい変わりようだな、と思いながら室内に入っていくと、そこには犬の獣人が腰を激しく振りながら、必死に射精するのを耐えていた。

 「ひ、姫様。もうオレ限界です…。う…うぅっ!」

 長い金髪の少女の両足を掴んで腰を振っていた犬型獣人は、目を強く瞑ると、ブルブルと全身を小刻みに震わせていた。

 そして1分ほどして目を開く。その目には疲労が色濃く残っていた。

 ゆっくりと腰を引くと白い糸を引いた肉棒が引き抜かれていく。彼はよろめきながら絨毯の上に散らばった服を集めると、そのまま俺に頭を下げて外で待機している兵士に支えられながら退出していった。

 「どうやらその魔物は第二王女の子宮内に潜んでいるようじゃな。以前に子宮に潜んでいたものが婚約者殿のかけた竜王の息吹などで浄化されたので、今度は別の分身か本体かわからんが新たに子宮内に入って、姫を人質にして男達の精気を吸い取っているようじゃ」

 と、アナントスが姫を見るなり、そう断言した。何故精気が必要なのかは聞く必要などなかった。

 男の精液は錬金術ではもっとも生命力の強い液体で、血液よりも強い力をもっている子種という言葉がある通りに子孫を残すための生きた種なんだから当然だ。

 それを魔に属する者達が自分の魔力で変換して、より強い存在になる為の糧とするのにこれ以上の素材はない。

 ならば話は簡単だ。俺は衣類操作のアビリティでファスナーを下げて、パンツも下げて肉棒を取り出し、三回目の魔王退治の時と同様に増減のリボンを両手足に装着して、6000倍濃度の精液を子宮内に注入してみた。

 あまり深く挿入すると子宮内に潜んでいる魔物に攻撃される。一応、覇王竜の装備は新旧含めてフル装備しているものの、まだ不安が残るので子宮の近くで連続射精してみた。

 やはりここまで濃度を上げると肉棒も光って、射精し続けていると一分も経たない内に子宮内に潜んでいたものが何故か出たがっているのを感じて、俺は肉棒を引き抜いた。

 ほぼ同時に光り輝く妖精の羽を生やした赤ん坊のようなものが、第二王女の膣内から飛び出してきた。

 触覚が生えているし、その目は虫のような複眼ではないが、白目の部分がない。

 ネズミやリスのようなげっ歯類に見られがちな黒目だけの部分しかない。つぶらな瞳とか言われているやつだ。

 「ありがとうございます。あなたのお陰で邪神王によってかけられた呪詛が解かれ、私は故郷の世界に戻ることができます。

 元々私は妖精神の一柱ですが、運悪く邪神王に捕まってしまい、醜い邪妖精のゴブリンの姿に変えられ、帝都に住む皇族の生命力を吸い取ることでどうにか死なないで済みましたが、あまりにも非効率だったので、こうして帝国の近くの王国の王女の子宮に宿って精気を吸い取り、呪詛を消し去ろうとしていたのです。

 それがあなたのお陰で完全に呪詛は浄化され、元の姿に戻ることができました。もう帝都の皇族の呪いは私が本来の姿に戻ると共に消えたので、帝都は安全です」

 と、すごくキラキラした目で一方的にまくしたててくる妖精神。その光輝く姿とあまりのうれしさにはしゃいでいる様子に俺もアナントスも意外な展開にただ黙って聞いていることしかできなかった。

 こうして妖精神はそのまま手を振りながら、故郷の世界へと帰っていった。

 「何だったんだ? 一体…」

 「今、イノンシアンに連絡したので、儂らが帰る頃には帝国で何か変化が起きているとわかるはずじゃ。しかし婚約者殿。第二王女は安眠しているようじゃから、そろそろ光り輝くモノを仕舞っておいた方がいいと思うぞ?」

 言われて俺は増減のリボンの効果の解除を念じて、すでに愛液や精液が覇王竜の新旧装備のお陰で消えていた肉棒をまたズボンの中に仕舞った。

 部屋の出入り口の扉は少し開かれており、その開いた部分からは第一王女と衛兵達がこちらの様子を伺っているのが見えた。

 念の為、第二王女を覇王竜の叡智で鑑定してみたら、異常なしと出た。睡眠中と出たから起こさないようにそっと足音を立てずに、廊下へと出た。

 そして第二王女の子宮内に潜んでいた魔物は、かつて邪神王に呪われた異世界の妖精神の一柱で、俺の精液で浄化され、元の世界に戻っていったことを第一王女と衛兵に説明した。

 そしてまた別の化け物が俺の精液目当てに、再度第二王女の子宮内に潜んだら、また連絡してほしいと告げて、俺は自分の城があるダンジョンの地下131階層へと転移して戻ることにした。

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