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第330話 闇の獣人、ダンジョンには常識が通用しないと改めて痛感する
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俺はダンジョン内の城の自室で目が覚めた。有事や異世界から怪物や魔物が来るのは、もう最近では常識になっているので、俺は眠る時は時間停止状態の中で寝ている。
目が覚めると…軽い自己嫌悪に陥っていた。相手が魔王で、俺と同じ闇属性だったとはいえど、結局の所はアミリルス様がくれた薔薇の入った水晶玉と、タラミレーナのアドバイスがあったからこそ勝てたんだよな。
何が自力で勝ちたいだ。結局の所、神々の力を借りているじゃないか…と自己嫌悪になった。
もっともその症状も軽いものだ。世の中にはストレスを抱えてそれを発散させる方法見つからないで、胃袋に穴を開けたり、毛髪が生えなくなってハゲる人も多いという。
俺の場合はそこまで酷くはないし、その事を寝る前にアナントスに言ったら呆れ返っていた。
「婚約者殿。相手は魔族の神の魔皇神を除けば最強ランクの存在である、魔王なんじゃぞ? そんな奴を相手に一人で戦いを挑むなんて、いくら半神半人であっても無謀の極みというものじゃ。普通は神の加護を受けた武具や防具に身を固めて、仲間と一緒に倒すものじゃぞ?」
と、魔王退治で俺がとった戦略については正しかったのじゃ、と言ってくれた。
まあ…そうだよな。普通ならいくら魔法が使えたとしても…魔力も膂力も超一流の魔王相手なんだから、これくらいは許されるかもしれない。
「ラフィアス様がとった戦法はゴーレムやエント、トレントを使ったものです。これがルルドンさんやララフォンさん、サンデラルさん達なら、完全武装していても殺されていた可能性が高かったでしょう。
それを誰一人犠牲を出すことなく魔王を倒せたのですから、もっと胸を張っていいと思いますよ?」
「そうだな。でも魔王退治は連続しては無理だな。何より…俺があいつを倒すのに、こいつが相手ならこんな外道な戦法も大丈夫だろう。こいつならこんな卑怯な事が許されるって…その、どんどん心が汚くなっていきそうだからな。よほど価値のあるお宝とか必要な事態でも起きない限りは、あいつを倒すのは止めておくよ」
結局俺がとった戦法は、ゴーレム、トレント、大型のトレントのエントを使った数にもの言わせたものだったからな。
増減のリボンを使ったのも、あいつが弱っていたからだ。もしもあいつがもっと冷静なら、俺の魔力が急に強くなったことがわかるので、すぐに装備に何かあると気づいていただろうし。
そういう意味ではアビス・ファイアかアビス・アイスや各属性魔法のマスターかアルティメットクラスの攻撃魔法を乱打するか、神々のアビリティを連発するしかない。
例えば家屋の神のもつ柱を模した、セイクレッド・ピラー。この巨大な聖なる柱は魔王の隠し持っていたサン・フレアでも崩壊することはない。回避や防御に専念しても無数の柱が上、下、右、左から襲い掛かってくるので、攻撃される側にとっては悪夢でしかない。
井戸の神の聖なる水のホーリーウェーブ。魔属性の魔王にはかなり堪える無限の水量によって構成された聖水の津波だ。しかも魔王が死ぬか気絶するか、半径10キロ以上の距離に瞬間移動しないと、どこまでも追ってくるというえげつなさだが、リヴァイアサンの津波とは違って攻撃対象が一人だけなら、他の者が巻き込まれることはないし、濡れることもない。
畑の神の千の土精のサウザンド・アース・スピリッツ。千の大地の妖精達の軍隊が出てきて魔王をフルボッコにしてくれる。殺してもその度に新しい土精が出てきて際限なく次の妖精が湧いて千の妖精の数が減ることはないというのは恐怖でしかない。いかに魔王といえど数の暴力の前には結界も時間の問題で破られて無残な屍を晒すだけ…。
これらの神聖技を連続で使えば魔王といえど簡単とはいえないが退治できたんだが…。
結局はアミリルス様の薔薇の入った水晶玉に頼ることになってしまった。
ゴーレムはタラミレーナのアドバイスのお陰で作成方法とか、機能追加について教えてもらったというだけなんで半分は自力だと言い訳できるけど…。
それに俺自身が外道な魔王相手に残虐な存在になりそうなのが一番イヤだった。
そしてあいつの纏っていた装備とか覇王竜の叡智で鑑定…とかしてみたら、やっぱり魔王本人にしか装備できないようになっていて、脱衣のアビリティで脱がした装備はすさまじい瘴気を纏っていて、前回開けた宝箱の中に入れて封印しておいた。
もっとも浄化しようと思えば簡単にできる。
できるけど…もしかしたらこの瘴気を利用できるんじゃないかと、そんな予感がする。
ただのカンでしかないんだけどね。でもこういう時の予感ってほとんど的中するから、二回目に魔王退治した時に出現した宝箱の中に放り込んでおいた。
それで今回で三回目なんだけど…何というか。自分一人で倒せたわけじゃないから、宝箱を回収したのはいいんだけど、どうも開ける気が起きないんだよな。
それでもこのままじゃ呪いのアイテムとか、物騒な効果のある武具とか入っている可能性もゼロじゃないので、あまり乗り気じゃないけど、宝箱を開けることにした。
また前回と同じように12の小箱がある。これは小さく見えるが取り出すと本来の大きさに戻るから、重い箱もあるので、念動力のアビリティを使ってもちあげてみた。
一つ目は以前と同じ、魔術や錬金術に使う大型の宝石がビッシリと入った箱。
二つ目は隠しボスへの挑戦権の鍵。これも鍵を手にしたら光と共に消えた。
三つ目は隠しダンジョンへの訪問権。これで隠されたダンジョンに入ることができて、念じれば入ることができるんだそうだが、やたらと雑魚キャラが強いので装備を充実してレベルも十分に上げておかないと危険、と覇王竜の叡智に出ました。
四つ目は無属性永久付与の宝石が出た。これは防具に押し当てると物理攻撃であれ、魔法攻撃であれ、それなりの防御を発揮する。
そして武器なら純粋な魔力付与と同じような効果が出るので、特定の属性の敵を攻撃してもある程度まではダメージを与えられる効果があるそうだ。
当然火属性や闇属性といった反発する属性は無属性にはない上に攻撃力や防御力も上がるので、この宝石は結構な価値があるといえるな。後でヒョドリンに食わせて増やしておこう。
五つ目はミミックの種。はいぃ? ミミックっていうとあの…。宝箱に擬態していて蓋を開けたり、近づいた冒険者を襲うモンスターだよな?
これもレベルの高い冒険者などが鉢の中に埋め込んで水をやると、次の日には鉢の上に宝箱が鎮座しているんだそうだ。
そして宝箱を破壊するほどの勢いで攻撃魔法や武器でミミックを攻撃したら、中に入っていた宝物が鉢の上に落ちてくるんだと。どんなお宝なのかはランダムで運次第。
この種もヒョドリンに食わせて増やしておくか。いいレベル上げになりそうだしな♪
そして六つ目のお宝の箱は…。でかいな。クイーン・ミミックの箱…。何だこりゃ?
覇王竜の叡智で調べてみると、中には開けた者の好みの女性が入っていてその女性がミミック・クイーン。性的行為をして彼女の子宮内に射精しまくると、射精した男のレベルに応じて価値のあるアイテムを子宮内の精液を変換して出産してくれるそうだ…。
だが彼女もモンスターとはいえ、生物なので一度出産したら最低でも一週間は休まないといけないので、連続してお宝を出産はできないそうだ。うーん…。やっぱりダンジョンに常識は通用しないんだな。
七つ目の箱は…。ポーションが一個? 覇王竜の叡智で鑑定すると…。「疑似生命体作成のアビリティ付与(永久)」と出た。どうも対象の道具、家具、武器、防具などの物質に魔力を込めると術者のイメージ次第だが、動物や植物、人間やドワーフ、獣人といった人型に変えることができるらしい。
また魔力の強さと対象の物質の質にもよるが、大抵は一日しか効果が出ない。長くても三日がせいぜいのようで、あまり大型の物質(船とか橋とか家など)はよほど術者のレベルと魔力が高くないと無理だそうだ。
具体例としては箒やちり取りなどにこのアビリティを使って、掃除用具自身に掃除をさせる魔女の婆さんの話が挙げられる。
うーん。便利だが効果時間が一日から三日か。微妙だな。でも進化させると効果時間が延びるかも?
八つめの箱。これは…またアビリティ付与系のポーションか。ラベルの文字が見えにくいので、また覇王竜の叡智で鑑定。
「術者に忠実で強大な力をもったアンデッドの戦士か騎士を召喚できるアビリティ付与のポーション。術者の魔力やレベル次第で防御、敏捷力、ジャンプ力、知性、装備などが大きく変動する上に、忠誠心が術者に高いが、主人を想う余りに無茶苦茶な事をやってしまう可能性もあるので、召喚が終わったら徹底的にぶちのめして力関係を死霊の戦士に叩きこんでやった方がいい。効果は永久で術者が術を解かない限りは守ってくれる」
何だこれは…。ネクロマンサーになれるポーションてか? あ、でも俺は冥王様から気に入られているから、このポーション飲んでも大丈夫なのかな?
いずれにしろ一人しか召喚できないのがネックだな。魔王戦に使えるかもしれないから後で飲んでおくか。
お次の箱は…と。これで九つ目だな。そろそろ疲れてきたけど、これ開けたら休憩するか。
癒しの聖杯…。覇王竜の叡智で鑑定してみると、これさえあれば複数のポーションを持ち歩く必要がなく、一度注いだ液体なら、聖杯が記憶して酒だろうがジュースだろうが、生命力回復ポーションだろうが、魔力回復ポーションだろうが、スープやカレーだろうが、聖杯から出せるという代物らしい。
当然のことながら、聖杯だけあって毒とか注いでも効果なし。麻薬なども効果がゼロの液体だけ出てくるそうだ。
また回復効果のある液体は術者の魔力次第で上下するので、MP消費がほとんどないけど、だからって調子に乗ってポーションを沢山作って売る場合は、効果が永久に続く魔法を別にかけないといけないそうだ。
毒を無害化するんなら、この聖杯から出た酒っていくら飲んでも酔うことはなさそうだな。
それ以前にそんな酒を大量に売ったりしたら、酒屋さんが潰れるけどね。これも公の場には出さない方がいいな。
そして十個目の箱。開けてみたら手袋が入っていました。手袋といっても作業用の手袋のようで、指先が露出しているタイプのものだった。
その名もラック・スティール。幸運を奪う手袋で、これを装備すると相手の「運」を盗むことができるんだって。
具体的に言うとステータス表示画面に出ている運の数値を毎回、1ポイントずつ盗むことができるんだそうだ。
これも装備した者のレベル次第で一回辺りに盗める量が違うそうだが、最低でも1ポイントは盗めて、逆に盗んだ運を返すこともできるんだそうだ。
11番目は…何だこりゃ。画家の道具一式が入っていた。覇王竜の叡智で鑑定したら、この道具を使った絵を描いてから、裏に設定とか書くと大体その設定通りに動いてくれるんだって。
俺、絵心ってあまりないし…。悪用されたら大変なことになるから封印だな、こりゃ。
最後の12番目。知性上昇の杖。スライムとかゴブリンといった知性の低いモンスターの知性を上げることができる杖だって。
でもエペランはエンペラースライムだから最初から知性高いからなあ。他にスライムなんてうちにはいないし。
あ、でもダンジョン内で大きなスライムとか出くわしたら使ってみるといいかもな。
とにかくこれで全部調べることができた。やっぱりちょっと疲れたなー。
俺がうーんと背伸びをしていると、ルルドン達に休暇を与えていたのと同様に、エルモーラ王国内限定ではあるが、やっぱり休暇を与えていたアルロンとロンドウェルが俺の城の自室内に入ってきた。
「ラフィアス様。以前ご主人様をお茶会にお誘いした第一王女様からお手紙を預かっております。どこか緊迫しているというか、少し焦っているようだったのでなるべく早く手紙に目を通した方がいいかと」
俺がおかえりと言う前に、二人共どこぞの貴族みたいに立派な服を着ている。
もちろん俺が着るように言ったものだ。魔力強化済みで、サン・フレアの直撃受けても服が多少焦げるだけで、着た者が死ぬことはない。
それもその筈で俺の精液を固めて、糸の神のアビリティで糸状に変化させたものを服に縫い込んであるので、物理攻撃にもかなりの耐性をもっている。少なくとも重くてガシャガシャとうるさい全身鎧よりも防御力がある。
そんな服を着た二人の表情が曇っている。これは早く会いにいけということか。
どうも夜中や早朝でもない限りは俺がいきなり押しかけても大丈夫らしい。
「じゃあ…今から訪問してもいいんだな?」
俺が聞くと二人は同時に頷いた。起きてから時間停止は解除しているから、自在門を開いて外の風景を見ると、大体午後二時頃か。
ちょうど第一王女も起きている時間だから、詳しい話を聞かせてもらいましょうかね。
俺は自在門を王女の部屋に設定して開けると、やっぱり起きていた。そのまま扉の向こう側へ足を踏み出して室内に入ると背後で門が音もなく閉まっていった。
目が覚めると…軽い自己嫌悪に陥っていた。相手が魔王で、俺と同じ闇属性だったとはいえど、結局の所はアミリルス様がくれた薔薇の入った水晶玉と、タラミレーナのアドバイスがあったからこそ勝てたんだよな。
何が自力で勝ちたいだ。結局の所、神々の力を借りているじゃないか…と自己嫌悪になった。
もっともその症状も軽いものだ。世の中にはストレスを抱えてそれを発散させる方法見つからないで、胃袋に穴を開けたり、毛髪が生えなくなってハゲる人も多いという。
俺の場合はそこまで酷くはないし、その事を寝る前にアナントスに言ったら呆れ返っていた。
「婚約者殿。相手は魔族の神の魔皇神を除けば最強ランクの存在である、魔王なんじゃぞ? そんな奴を相手に一人で戦いを挑むなんて、いくら半神半人であっても無謀の極みというものじゃ。普通は神の加護を受けた武具や防具に身を固めて、仲間と一緒に倒すものじゃぞ?」
と、魔王退治で俺がとった戦略については正しかったのじゃ、と言ってくれた。
まあ…そうだよな。普通ならいくら魔法が使えたとしても…魔力も膂力も超一流の魔王相手なんだから、これくらいは許されるかもしれない。
「ラフィアス様がとった戦法はゴーレムやエント、トレントを使ったものです。これがルルドンさんやララフォンさん、サンデラルさん達なら、完全武装していても殺されていた可能性が高かったでしょう。
それを誰一人犠牲を出すことなく魔王を倒せたのですから、もっと胸を張っていいと思いますよ?」
「そうだな。でも魔王退治は連続しては無理だな。何より…俺があいつを倒すのに、こいつが相手ならこんな外道な戦法も大丈夫だろう。こいつならこんな卑怯な事が許されるって…その、どんどん心が汚くなっていきそうだからな。よほど価値のあるお宝とか必要な事態でも起きない限りは、あいつを倒すのは止めておくよ」
結局俺がとった戦法は、ゴーレム、トレント、大型のトレントのエントを使った数にもの言わせたものだったからな。
増減のリボンを使ったのも、あいつが弱っていたからだ。もしもあいつがもっと冷静なら、俺の魔力が急に強くなったことがわかるので、すぐに装備に何かあると気づいていただろうし。
そういう意味ではアビス・ファイアかアビス・アイスや各属性魔法のマスターかアルティメットクラスの攻撃魔法を乱打するか、神々のアビリティを連発するしかない。
例えば家屋の神のもつ柱を模した、セイクレッド・ピラー。この巨大な聖なる柱は魔王の隠し持っていたサン・フレアでも崩壊することはない。回避や防御に専念しても無数の柱が上、下、右、左から襲い掛かってくるので、攻撃される側にとっては悪夢でしかない。
井戸の神の聖なる水のホーリーウェーブ。魔属性の魔王にはかなり堪える無限の水量によって構成された聖水の津波だ。しかも魔王が死ぬか気絶するか、半径10キロ以上の距離に瞬間移動しないと、どこまでも追ってくるというえげつなさだが、リヴァイアサンの津波とは違って攻撃対象が一人だけなら、他の者が巻き込まれることはないし、濡れることもない。
畑の神の千の土精のサウザンド・アース・スピリッツ。千の大地の妖精達の軍隊が出てきて魔王をフルボッコにしてくれる。殺してもその度に新しい土精が出てきて際限なく次の妖精が湧いて千の妖精の数が減ることはないというのは恐怖でしかない。いかに魔王といえど数の暴力の前には結界も時間の問題で破られて無残な屍を晒すだけ…。
これらの神聖技を連続で使えば魔王といえど簡単とはいえないが退治できたんだが…。
結局はアミリルス様の薔薇の入った水晶玉に頼ることになってしまった。
ゴーレムはタラミレーナのアドバイスのお陰で作成方法とか、機能追加について教えてもらったというだけなんで半分は自力だと言い訳できるけど…。
それに俺自身が外道な魔王相手に残虐な存在になりそうなのが一番イヤだった。
そしてあいつの纏っていた装備とか覇王竜の叡智で鑑定…とかしてみたら、やっぱり魔王本人にしか装備できないようになっていて、脱衣のアビリティで脱がした装備はすさまじい瘴気を纏っていて、前回開けた宝箱の中に入れて封印しておいた。
もっとも浄化しようと思えば簡単にできる。
できるけど…もしかしたらこの瘴気を利用できるんじゃないかと、そんな予感がする。
ただのカンでしかないんだけどね。でもこういう時の予感ってほとんど的中するから、二回目に魔王退治した時に出現した宝箱の中に放り込んでおいた。
それで今回で三回目なんだけど…何というか。自分一人で倒せたわけじゃないから、宝箱を回収したのはいいんだけど、どうも開ける気が起きないんだよな。
それでもこのままじゃ呪いのアイテムとか、物騒な効果のある武具とか入っている可能性もゼロじゃないので、あまり乗り気じゃないけど、宝箱を開けることにした。
また前回と同じように12の小箱がある。これは小さく見えるが取り出すと本来の大きさに戻るから、重い箱もあるので、念動力のアビリティを使ってもちあげてみた。
一つ目は以前と同じ、魔術や錬金術に使う大型の宝石がビッシリと入った箱。
二つ目は隠しボスへの挑戦権の鍵。これも鍵を手にしたら光と共に消えた。
三つ目は隠しダンジョンへの訪問権。これで隠されたダンジョンに入ることができて、念じれば入ることができるんだそうだが、やたらと雑魚キャラが強いので装備を充実してレベルも十分に上げておかないと危険、と覇王竜の叡智に出ました。
四つ目は無属性永久付与の宝石が出た。これは防具に押し当てると物理攻撃であれ、魔法攻撃であれ、それなりの防御を発揮する。
そして武器なら純粋な魔力付与と同じような効果が出るので、特定の属性の敵を攻撃してもある程度まではダメージを与えられる効果があるそうだ。
当然火属性や闇属性といった反発する属性は無属性にはない上に攻撃力や防御力も上がるので、この宝石は結構な価値があるといえるな。後でヒョドリンに食わせて増やしておこう。
五つ目はミミックの種。はいぃ? ミミックっていうとあの…。宝箱に擬態していて蓋を開けたり、近づいた冒険者を襲うモンスターだよな?
これもレベルの高い冒険者などが鉢の中に埋め込んで水をやると、次の日には鉢の上に宝箱が鎮座しているんだそうだ。
そして宝箱を破壊するほどの勢いで攻撃魔法や武器でミミックを攻撃したら、中に入っていた宝物が鉢の上に落ちてくるんだと。どんなお宝なのかはランダムで運次第。
この種もヒョドリンに食わせて増やしておくか。いいレベル上げになりそうだしな♪
そして六つ目のお宝の箱は…。でかいな。クイーン・ミミックの箱…。何だこりゃ?
覇王竜の叡智で調べてみると、中には開けた者の好みの女性が入っていてその女性がミミック・クイーン。性的行為をして彼女の子宮内に射精しまくると、射精した男のレベルに応じて価値のあるアイテムを子宮内の精液を変換して出産してくれるそうだ…。
だが彼女もモンスターとはいえ、生物なので一度出産したら最低でも一週間は休まないといけないので、連続してお宝を出産はできないそうだ。うーん…。やっぱりダンジョンに常識は通用しないんだな。
七つ目の箱は…。ポーションが一個? 覇王竜の叡智で鑑定すると…。「疑似生命体作成のアビリティ付与(永久)」と出た。どうも対象の道具、家具、武器、防具などの物質に魔力を込めると術者のイメージ次第だが、動物や植物、人間やドワーフ、獣人といった人型に変えることができるらしい。
また魔力の強さと対象の物質の質にもよるが、大抵は一日しか効果が出ない。長くても三日がせいぜいのようで、あまり大型の物質(船とか橋とか家など)はよほど術者のレベルと魔力が高くないと無理だそうだ。
具体例としては箒やちり取りなどにこのアビリティを使って、掃除用具自身に掃除をさせる魔女の婆さんの話が挙げられる。
うーん。便利だが効果時間が一日から三日か。微妙だな。でも進化させると効果時間が延びるかも?
八つめの箱。これは…またアビリティ付与系のポーションか。ラベルの文字が見えにくいので、また覇王竜の叡智で鑑定。
「術者に忠実で強大な力をもったアンデッドの戦士か騎士を召喚できるアビリティ付与のポーション。術者の魔力やレベル次第で防御、敏捷力、ジャンプ力、知性、装備などが大きく変動する上に、忠誠心が術者に高いが、主人を想う余りに無茶苦茶な事をやってしまう可能性もあるので、召喚が終わったら徹底的にぶちのめして力関係を死霊の戦士に叩きこんでやった方がいい。効果は永久で術者が術を解かない限りは守ってくれる」
何だこれは…。ネクロマンサーになれるポーションてか? あ、でも俺は冥王様から気に入られているから、このポーション飲んでも大丈夫なのかな?
いずれにしろ一人しか召喚できないのがネックだな。魔王戦に使えるかもしれないから後で飲んでおくか。
お次の箱は…と。これで九つ目だな。そろそろ疲れてきたけど、これ開けたら休憩するか。
癒しの聖杯…。覇王竜の叡智で鑑定してみると、これさえあれば複数のポーションを持ち歩く必要がなく、一度注いだ液体なら、聖杯が記憶して酒だろうがジュースだろうが、生命力回復ポーションだろうが、魔力回復ポーションだろうが、スープやカレーだろうが、聖杯から出せるという代物らしい。
当然のことながら、聖杯だけあって毒とか注いでも効果なし。麻薬なども効果がゼロの液体だけ出てくるそうだ。
また回復効果のある液体は術者の魔力次第で上下するので、MP消費がほとんどないけど、だからって調子に乗ってポーションを沢山作って売る場合は、効果が永久に続く魔法を別にかけないといけないそうだ。
毒を無害化するんなら、この聖杯から出た酒っていくら飲んでも酔うことはなさそうだな。
それ以前にそんな酒を大量に売ったりしたら、酒屋さんが潰れるけどね。これも公の場には出さない方がいいな。
そして十個目の箱。開けてみたら手袋が入っていました。手袋といっても作業用の手袋のようで、指先が露出しているタイプのものだった。
その名もラック・スティール。幸運を奪う手袋で、これを装備すると相手の「運」を盗むことができるんだって。
具体的に言うとステータス表示画面に出ている運の数値を毎回、1ポイントずつ盗むことができるんだそうだ。
これも装備した者のレベル次第で一回辺りに盗める量が違うそうだが、最低でも1ポイントは盗めて、逆に盗んだ運を返すこともできるんだそうだ。
11番目は…何だこりゃ。画家の道具一式が入っていた。覇王竜の叡智で鑑定したら、この道具を使った絵を描いてから、裏に設定とか書くと大体その設定通りに動いてくれるんだって。
俺、絵心ってあまりないし…。悪用されたら大変なことになるから封印だな、こりゃ。
最後の12番目。知性上昇の杖。スライムとかゴブリンといった知性の低いモンスターの知性を上げることができる杖だって。
でもエペランはエンペラースライムだから最初から知性高いからなあ。他にスライムなんてうちにはいないし。
あ、でもダンジョン内で大きなスライムとか出くわしたら使ってみるといいかもな。
とにかくこれで全部調べることができた。やっぱりちょっと疲れたなー。
俺がうーんと背伸びをしていると、ルルドン達に休暇を与えていたのと同様に、エルモーラ王国内限定ではあるが、やっぱり休暇を与えていたアルロンとロンドウェルが俺の城の自室内に入ってきた。
「ラフィアス様。以前ご主人様をお茶会にお誘いした第一王女様からお手紙を預かっております。どこか緊迫しているというか、少し焦っているようだったのでなるべく早く手紙に目を通した方がいいかと」
俺がおかえりと言う前に、二人共どこぞの貴族みたいに立派な服を着ている。
もちろん俺が着るように言ったものだ。魔力強化済みで、サン・フレアの直撃受けても服が多少焦げるだけで、着た者が死ぬことはない。
それもその筈で俺の精液を固めて、糸の神のアビリティで糸状に変化させたものを服に縫い込んであるので、物理攻撃にもかなりの耐性をもっている。少なくとも重くてガシャガシャとうるさい全身鎧よりも防御力がある。
そんな服を着た二人の表情が曇っている。これは早く会いにいけということか。
どうも夜中や早朝でもない限りは俺がいきなり押しかけても大丈夫らしい。
「じゃあ…今から訪問してもいいんだな?」
俺が聞くと二人は同時に頷いた。起きてから時間停止は解除しているから、自在門を開いて外の風景を見ると、大体午後二時頃か。
ちょうど第一王女も起きている時間だから、詳しい話を聞かせてもらいましょうかね。
俺は自在門を王女の部屋に設定して開けると、やっぱり起きていた。そのまま扉の向こう側へ足を踏み出して室内に入ると背後で門が音もなく閉まっていった。
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