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第315話 闇の獣人、ルルドン達の為にいろいろ考える

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 怖くなったけど、フェンリルの卵とやらを覇王竜の叡智で鑑定してみたら、どうもこの卵は赤ん坊のフェンリルを一から育てないと駄目なタイプのようだった。

 何でかというと、育てた者(テイマーというモンスターを飼いならせる職業についている者を指すが極めて少数の者しかいない)の好みによって、ある程度までは能力を調整できるからだ。

 つまり格闘メインのフェンリルを育てることもできるし、魔法メインのフェンリルも育成できるそうだ。

 でもテイマーっていたっけ? と思ってこの言語を鑑定してみたら、極めて稀だがテイマーというものは存在しているが、全員が下級から中級程度の魔物しかテイムできないそうだ。

 これ、おそらくは神々の計らいだろうな。歴代勇者のほとんどがアホばかりだったから、なまじ強力なモンスターをテイムできてしまうと、戦争の道具として使われてしまうからだろう。

 それにアナントスが説明してくれたが、テイマーというのは完全にその本人の才能によるものであって、努力とかしてどうにかなる次元じゃないようだった。

 つまり他の冒険者がテイマーのマネをすることはできない。せいぜい奴隷につける首輪を改良して、魔物の首に付けることぐらいだ。

 もちろん魔物はテイマーじゃない連中にこき使われるのだから、いい感情はもっていない。

 その為、もしも首輪が外れたり、破壊されたりした時は首輪を付けた者に真っ先に報復して殺すと言われているのだという。

 実際に過去に10件ほどそういう話があったそうだ。

 じゃあテイマーはどうして魔物を飼いならせることができるのかというと、これについても詳細は何もわかっていないそうだ。

 そのテイマー自身は冒険者としての才能は普通かそれ以下の一般人といっていいほどで、魔物を飼いならせる才能以外は何ももっていない例が圧倒的に多いそうだ。

 そんな平凡な者が冒険者を長く続けられるわけがない。まるでそんな平凡な者を守り、支える為に神が与えたとしか思えない才能。

 それが魔物を魅了し、飼いならせる者だ。そこには何の努力も修行も必要ないのだから、テイマーじゃない者から見れば、あんな奴にどうして魔物が? と理不尽な現実から目を逸らして嫉妬してしまう者が多い。

 だから一部の魔術師はモンスターテイマーを、魔物を魅了できる者として、モンスターチャーマーとも呼んでいることもあるのだという。

 飼い慣らされた魔物達も餌や報酬とか目当てにしている者はごく少数で、なんとなく…とかテイマーを好きになった(または気に入ったから)という理由で、テイマーがモンスターを飼いならせるのは魔物と相性がいいからとしかいえない。

 もちろん精霊を魅了できる者や死霊を支配するのも才能が必要なので、ある意味彼等もテイマーといえるのかもしれない。

 つまりルルドン達も限定的とはいえ、テイマーかそれに近いといえるんだが…。

 「うーん。この水晶球はどうだ?」

 「…すみません。この玉ではちょっと…」

 といった感じで、なかなか精霊や死霊などを封じられるのに適した水晶玉は見つからない。

 ルルドンは火属性の精霊と相性が良くて、ララフォンが死霊を封じられる玉が必要なんだけど。

 これが単に精霊や死霊を封じられる玉では駄目で、ルルドン達と相性のいい玉でないといけないんだとか。

 こうなるとわかっていたのなら、あの時玉を砕くんじゃなかったと後悔しても、もう遅い。

 いろんな宝箱を開けてもいいアイテムとか見つからないんだよね。

 まあそれも当然だな。これらのアイテムは冒険者用のものであって、ドラゴンがパワーアップする為に用意されたものじゃないんだし。

 俺なら覇王竜の装備シリーズがあるけど、あれは竜人サイズになったルルドン達がドランギルが発狂して射精しまくっていたのを見てから、そんな呪いの装備は絶対に嫌です! と拒否されてしまったんだよな。

 うーん…脅しが効きすぎたかな? かといって適度に脅しておかないと覇王竜の装備シリーズを着用して、天狗になられても俺が懲らしめないといけないからな。

 いっそ魔術師タイプになってみるのはどうだろうか。杖とか沢山あるし。

 もっとも…大抵の杖は詠唱速度をアップさせるものとか、消費MPを削減するタイプのものばかりなんだけど。

 「発想の転換でさ、いっそ竜人の姿で格闘とかするのっていうのはどうかな?」

 「それも考えたのですが…あいにく我々、この姿で戦うのは初めてなものでして。使い物になるのにはかなりの長い年月がかかるのではないかと」

 うーん。竜人の姿にいろんな武器や防具で武装するのって似合っていると思うんだけどな。

 肝心の経験がないんでは戦闘ではちょっと…あまり役に立たないか。

 そうなると弓矢とかで後方支援とか? それはそれで弓矢の練習に時間がかかりそうだな。

 結局いい考えが浮かばないまま、お昼になってしまったので一同は何か食べることにした。

 まさかここまで頭を捻ることになるとは思わなかった。竜人姿のドラゴンにふさわしい装備って…どんなのがいいんだか見当がつかない。

 俺はタラミレーナとミリーヤが手招きしているのを見て、テーブルの方に歩いていって席について異世界料理の味噌汁とおにぎりを食べることにした。
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