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第247話 闇の獣人、異世界料理の試食会を開く

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 あれから時間停止空間の中でも、落ちても中身がこぼれたり、破損しないような特殊な木の実を付けた状態のさまざまなトレントを俺は創造した。

 だけどやっぱり一回に沢山の実を実らせるのはいいけど、その度に俺の分身に根元に射精させないと質のいい実ができないのが困るな。

 あと驚いたのが、このアミリルス様からもらった薔薇の入った水晶玉、何と食べ物も実らせることができる事に気づいた時は俺も唖然とした。

 異世界商店というアビリティがある。これは門と扉の神・バンダムによってもらったアビリティだが、何と異世界の商品を貨幣を特定のパネルに入れることで買ったり、逆に売ったりできるというアビリティだ。

 それで冗談半分でシューマイという食べ物を実らせるトレント(もちろん時間停止空間の中でも活動可能で、中身を破損させない丈夫な木の実をつけた状態)ができろ、と念じたら本当にトレントが出現した。

 そして実った木の実を割ってみたら、本当にシューマイが俺の購入したような器に入った状態で、出てきました。

 ただ覇王竜の叡智で鑑定してみたら、やっぱり日持ちはよくないようなので品質保存の魔法か、永久化(パーマネンス)の魔法をかけておく必要があった。

 つまり食べ物の場合は、品質が永久に保たれて腐敗や傷んだりしない状態で、中身を破損させたり、こぼれ落ちたりしない状態で出ろ、とイメージしながら念じないとうまくいかない。

 だから現物を俺の側に置いてやるのが一番効率がいい。

 とはいえ、最初のシューマイを実らせたトレントを消すのは可哀想なので、このトレントはそのまま寿命が終わるまで植えておくことにする。水やりとかもちゃんとやっておくようにしておかないとな。

 それが創造した者の責任であり、義務だ。

 で、それから後はもう夢中になってショートケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキなどを品質劣化しないで永久にそのままの状態で、頑丈な木の実に入った状態で何十個も枝に実らせることに夢中になってしまった。

 いや時間停止かけておいてよかったわー。

 ただやっぱりというか…、品質劣化を防ぐための永久化したものを大量に実らせるのに、相当なエネルギーを必要とするようで、一人の分身の射精した精液では間に合わなくなり、結局三人の分身を根元に射精させることで、やっと何十個もの木の実を実らせることができた。

 そして、これらの料理だけどケーキの場合は俺も学習しており、一つ一つではなくて表示パネルというか、スクリーンというか、そういう表示板のようなものの画像に指を当てると、拡大画像が空中に出る。

 それで一ピースだけのケーキと、六つのケーキが向い合せになっていて円を描くようにして売られているものがあったので、俺は大量生産するのなら間違いなく沢山あったものを購入した方がいいと思って、六つのケーキが売られているものを購入した。

 もちろん問題点もある。ヒョドリンが食べたものを何でも増やせるのに対して、俺が創造したトレントは一種類しか増やせないのだ。

 ま、俺の分身が射精し続けている限りは何度でも実らせることができるから、その点は問題ない。

 ただヒョドリンと違って、六ピースのチーズケーキを小さくして、それをいくつかにまとめて食わせて数千個というのは無理だ。

 だったら最初からヒョドリンのように食わせて増やせるトレントを作ればいいのではないか? という声が聞こえてきそうだが、それをやったらヒョドリンがまず確実にグレる。

 あるいは落ち込むだろうからな。世の中何があるのかわからないし、ヒョドリンだけに頼るのはまずい。

 それにそもそもこの水晶玉の効力を実験するという意味が強いしな。まさか食べ物まで増やせるとは思わなかったし。

 そんな感じで俺はラーメン、うどん、蕎麦、スパゲッティといった麺類を実らせるトレントを次々と創造していった。

 もちろん木の実を開けると新鮮であったかい状態のまま食べられる。

 だけど異世界料理の中ではちょっと苦手なものもあった。

 それはカレーライスという食べ物だ。香辛料を大量に使っているせいか、匂いが獣人の俺にとってはきつい。すぐに慣れたけど、味も辛すぎて水なしでは食べられなかった。

 幸いなことに甘口カレーといって、辛さ控えめのカレーがあったので、それを実らせるトレントを創造。

 だけどメニューを見ると激辛カレーなんてものもあるんだな。匂いがきつすぎるだろうから、絶対に購入しないから、実物がないのでこの料理を実らせるトレントなんて創造できないし、したくもないけどな。

 あとまた仰天したのが、宝石でも俺がイメージしたら、カットや研磨されたものを実らせるトレントが創れたということだ。

 これも異次元商店で購入した一番でかい、最大カラットのダイヤモンドのネックレスや指輪(それでも大した大きさのものはなくて、合計して金貨8000枚ほどした)だけど、これらの物も三人の分身達が射精した精液を吸収させておけば、一度に数十個増やすことができた。

 他に回復系ポーションの小回復、中回復、大回復の効果をもった薬瓶を実らせるトレント達。

 さらに魔力回復系の小回復、中回復、大回復のポーション瓶を実らせるトレント達と、いろいろ創造してみた。

 とはいえ、やっぱりヒョドリンには及ばない。あくまでヒョドリンの予備と考えた方がいいな、これは。

 それにヒョドリン一体だといろいろ増やせるのに対し、こっちはそれぞれ専門分野があるから、根元に射精する分身の数も増やさないといけないし。

 まあそれに対しては食べ物とか一種類ずつ増やして、数十個実ったら別の木に行って射精しまくってチョコレートケーキ担当のトレントの根元に行って射精しておく、とかするしかないか。

 まだ分身の数に余裕があるから、とりあえず上記の食べ物、宝石、鉱石などは600個ほどに増やしておいた。

 つまり10回ほど実らせるのを繰り返したってことだな。

 それから後はアルロン、ロンドウェル、ラトマウリーの信者で暇な連中を30名ほど呼んで、俺の部屋にある大きなテーブルの上に料理を乗せて(料理を配ったのはミリーヤとタラミレーナだった)、全員に異世界料理を食べてもらった。

 一応時間停止は解除してある。だが俺の室内では時間経過はほんの1分程度しか経過しないように、時空の大精霊達に命じておいたから、中でどれほど時間が経っても大丈夫なようにしてある。

 全員がおいしい、おいしいと言って喜んで食べてくれた。あとドラフォールさんもどさくさに紛れて料理を食べていた。別に呼んでないけど、俺の警護の為に来たと言い訳していた。…まあいいけどさ。

 そして大体食事が終わりにさしかかった所で、これらの食事は異世界の商店で買ったもので、レナリアーラ、エルモーラ、グリシャールの国々で広めることはできるか、といったら全員が難しい顔をしていた。

 あ、やっぱり? アルロンは腕を組みながら空になった皿を見つめながら難しい顔をしている。

 「これは広めるとなると、よほどの権力のある組織で、なおかつ時間をかけてゆっくりと広めていかないといけませんな。うかつに広めると他の飲食店が潰れて閉店する店が相次ぐことは間違いありません」

 その言葉にロンドウェルや他のネズミの獣人たちも、うんうんと頷いている。

 「やっぱりか。それじゃこれらの料理は何かの偉勲とか偉業を成し遂げた連中へのご褒美として振る舞ったほうがいいってことだな。俺も他の料理店が潰れるのなんて見たくないし」

 「その方がいいでチュ。確かにこれらの料理はおいしいんでチュが。今のこの世界の文明レベルでは、上手に再現んできるかわからないでチュ。レシピ公表しても、料理によっては調理するための道具がこの世界にないものもあるから、うかつに公表しても、聖人様がウソツキ呼ばわりされる可能性もあるでチュ」

 と、ネズミの神ラトマウリーがソーセージを食べながら言った。お前、神様なんだから食べながら喋るんじゃないって。行儀悪いだろうが。

 一方、俺の腕に巻き付いているアナントスもチキンステーキといって鶏肉をメインにした肉料理を食べていたけどさすがに10皿も食べるか? いや神なんだからこの程度の量を食べても平気なんだろうけど。

 しかし…やっぱりこれらの異世界料理は今のこの世界では不採用か。

 それに俺は売られているものを買っただけだからな。レシピを公表しようにも、時間がかかるし道具もこの世界にないから再現できるわけじゃないしな。

 俺は料理は得意な方だけど…それが争いの原因になるのなら解明しない方がいいんだろうな。

 覇王竜の叡智をうまく使うとか、あの世から料理人を呼んで研究させればレシピなんて簡単に解明できると思うけどな。

 しかしこれらの料理はご褒美用か。もともと異世界で作られて売られていた物だから、無料で配布しようと思ったがまずいのは間違いないし。

 何だか半分予想していたとはいえ、ちょっと疲れたな。…そうだ。確か装備した者の能力とか3倍に上げるリボンとかあったな。

 あれをヒョドリンに食わせて増やしてみるか。そして俺の運を上げてどんな宝箱が出るのか確かめてみよう。

 今回は黄金水晶卵は一個だけだし、鉱石増える紐は装備していないから、運のステータスだけを上げまくったらどんなお宝が出るのかワクワクしてきたな。


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