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第244話 闇の獣人、巨人を魔法の実験台にする

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 地下16階層はクラーケン、ファイア・ジャイアントといった相反する属性の大型魔物が存在していた。

 やっぱりクラーケンは暑いのか、湖の中にいてファイア・ジャイアントに近寄るな、といわんばかりに触手を使ってバッシャバッシャと水をぶっかけている。
 
 それに怒ったファイア・ジャイアントは炎のツバをはきかけて湖の中にペペペペペッ! と投げ入れている。

 …何だか下品というか、子供じみているというか…このまま見ていても仕方ないので、また上空に時空魔法で転移した俺は、今度はアビス・アイスを使って、これもそっと両者の中間地点に投げ入れてみた。

 すると両者共に離れたのはいいが、この魔法。ちょっと離れた程度じゃ威力は変わらない。
 
 つまりファイア・ジャイアントが20メートル近く離れても無意味なのである。

 俺が最小限の威力で放った、氷結地獄の氷は即座に周囲を凍らせていく。

 それはファイア・ジャイアントでも例外ではなかった。咄嗟に炎で全身を覆うも、無駄な抵抗でしかなかった。

 一方、湖の中に逃げ込んだクラーケンは…完全に凍り付いた湖の中で息絶えていた。

 俺が湖を見ている間、ズズ…ン、と大きな物が倒れる音が聞こえてきた。

 思わずそっちを見ると、凍死したファイア・ジャイアントが両手で体を抱きしめた姿勢で倒れていた。

 覇王竜の叡智を使ったら、急激な冷え込みによる凍死とあったので、ちょっと可哀想だと思ったが、すぐにダンジョン内で復活するんだからいいか、と思い直して遺体と側に出現していた宝箱を闇の中の空間に放り込んでいく。

 一方、クラーケンは湖ごと凍り付いたいたので、火の大精霊達に命じて、湖を溶かしてクラーケンの遺体と湖底に出現していた宝箱を回収することができた。


 地下17階層ではシードラゴンが二体いて、その…夫婦らしくて生殖活動の真っ最中だった。

 簡単にいえば交尾の最中だったので、何か無性に腹が立った俺は風と光の大精霊達に命じて、最大級の電撃を二頭のシードラゴンめがけてぶっ放してもらった。

 おかげで黒焦げになった夫婦のシードラゴンは絶頂に達したと同時にお亡くなりになったようで、雄のシードラゴンの体が離れると、股間から出ていた生殖器から白い液体がとめどなく出ていた。

 雌のシードラゴンの体からも白い糸を引いていたので、この二匹…絶頂に達しながら逝ったのかもしれない。

 シードラゴンの精液は珍しいので、人魚の涙を回収した時の試験管を闇の中の空間から取り出して、採取しておくことにした。遺体は浄化魔法で綺麗にしてから闇の中の空間に回収。宝箱はなかった。

 地下18階層。ここにはやたらとでかいシーサーペントが二体いたが、俺を見ると金縛りにあったように動けなくなり、そのまま奥にある林へと逃げていった。

 「変だな。俺、特に何もしていないんだけど。…あっ、もしかしてこれもアナントスの祝福のお陰か?」

 「そうじゃよ。この儂がいるのにあんな格の低い蛇なんぞに、ワシの大切な婚約者殿を襲わせるのを許すわけにはいかんじゃろうが」

 どうやらまたも蛇神の祝福のお陰らしい。まさか蛇のモンスターにまで通用するとは。
 
 アナントスによると、七大精霊王の眷属のような例外を除けば、そこらにいる蛇の魔物は、蛇神の祝福のアビリティをもつ者には近寄れないのだという。

 そうなるとこいつら…逃げ出したのはいいが、何というか無駄なことをしているなぁ、と半分呆れてしまった。

 そのままセレソロインに命じて、俺の放った闇の球(即死効果あり)を逃げ続けている二頭の蛇の頭上に転移してもらった。

 蛇は手足が生えていないので、頭上からの攻撃には弱い。

 ましてや空間転移で頭上から降ってきた即死魔法なら尚更で、あっさりと二匹とも絶命した。

 今回は宝箱が出なかったので、ちょっと鬱陶しいと思っていた俺にはちょうどよかった。

 そのまま二体の蛇の遺体を回収する。結構いい皮なので、革職人に売ればかなりの値段になるだろうな。

 そして地下19階層。ここではファイア・ジャイアントの夫婦が喧嘩していた。

 俺も目が点になった。何というか、お互いに罵り合って、やたらと胸のでかいファイア・ジャイアントの女が旦那と思われるハゲの燃え盛る巨人をビシバシと往復ビンタを放っている。

 旦那は黙って耐えているだけだ。そして奥さんと思われる女性巨人の攻撃が止まると、待ってましたといわんばかりに襲い掛かって、胸を覆っていた毛皮をはぎ取って嘗め回しはじめた。

 だがそれが奥さん巨人には不快だったらしく、蹴りを旦那巨人に放った。

 それは旦那巨人の股間にもろに決まって、ハゲの火炎巨人は股間を抑えながら叫び声を上げつつ、転げ回った。

 奥さん巨人はその隙に、奪われた胸当ての毛皮を取り戻したが、旦那巨人の再生能力は凄かったのか、涙目で立ち上がると、奥さん巨人に体当たりした。

 それを予測していたのか、奥さん巨人も両腕を交差して体当たりを受け止める。

 それでも旦那巨人は涙目で罵りながら、奥さん巨人を思いっきりビンタ攻撃した。

 体をよろめかせる奥さん巨人をそのまま押し倒して、下半身に履いていた腰巻をとって強引に生殖活動をとろうとする旦那巨人。

 それを嫌がって、旦那巨人の腕に噛みついたり、旦那巨人の顔を引っかいたりする奥さん巨人。

 どうも旦那巨人は性行為をしたいだけに対して、奥さん巨人はもっとムードを出せとか言っているようだった。

 それが夫婦喧嘩の原因らしい。いや俺、巨人語ってわからないから夫婦の表情とか雰囲気から察しているだけなんだけどな。アナントスも予想していなかったのか、呆然とした顔で小さく口を開いている。

 もう何が何だか。というかここダンジョンの中なのにどうして夫婦喧嘩を見物しなければいけないのか。

 そう考えると無性に腹が立って、そのままアビス・アイスを普通に手加減なしで夫婦、それぞれに一発ずつぶっぱなしてやりました。

 立ち上がって互いのほっぺたをつねったりしていた二人が俺の存在に気付いた時は、時すでに遅し。ほんの二秒ほどで巨体が凍り付いていき、二人はほぼ同時に地面の上に倒れていく。

 このまま倒れたんじゃ凍った遺体が壊れて価値が下がるので、慌てて俺は巨人夫婦の遺体を闇の中の空間に収納した。

 

 そしてついに来ました地下20階層。コア・ブランチの情報ではここがこのダンジョンの最下層だった。

 足音を立てずにそっと階段を下りていく俺。そして階段を下りた俺はまたしても目が点になった。

 そこには全長20メートルはあろうかというハイ・サイクロプスが自慰活動の真っ最中だった。

 ハァハァとあえぎ声を出しながら、腰布を側に置いてシコシコと己の肉棒をしごいでいる。

 すでに何度も逝ったのか、顔や胸には白濁液が付着している。

 この一つ目巨人。敵がぜんぜん来ないので暇でたまらないので、暇つぶしに自慰行為に勤しんでいるようだった。

 それだけじゃない。もっていた棍棒の柄を尻の穴に入れて後ろの穴の開発もしているようだった。

 何ていうかこのダンジョンって変だよ! 何が悲しくてクラーケンとファイア・ジャイアントの喧嘩を見物したり、シードラゴンの夫婦の交尾とかファイア・ジャイアントの夫婦喧嘩やハイ・サイクロプスの自慰シーンとか見学しないといけないわけ?

 と、心中で唸っているとハイ・サイクロプスが俺とアナントスに気づいたようだった。

 全裸の一つ目巨人はニマァ、と不気味な笑みを浮かべるとそのまま俺達の方に両膝をついたまま向き直って、さらに激しく、早く己の肉棒をしごいていく。

 「オオォオオオ…!!」

 と、一つ目巨人が瞑目すると、彼の肉棒からすさまじい勢いで精液が噴出していく。

 完全に射精が終わると、今度は一つ目巨人は菊門に刺していた棍棒の柄に手を沿えて、腰を上下に動かしていく。

 相変わらず不気味な、だが恍惚とした笑みを浮かべながら巨人の腰を動かす仕草は早くなっていった。

 どうやら、この巨人。俺の存在を敵として認識していないようだった。むしろ見られていることに燃えるタイプのようで、自分の自慰シーンを俺に見学されて、勝手に一人でヒートアップして興奮しているようだった。

 そしてまた大きな一つ目がぎゅっと閉じられると同時に、巨人の人間一人よりも大きな肉棒から、再度白い液体が何度も連続して空中に放たれていった。

 巨人は満足そうにため息をつくと、次に己の肉棒を咥えこんでしゃぶりはじめた。

 こんな感じで巨人は一時間ほど自慰行為を繰り返し、俺とアナントスの前で行っていった。

 そしてまだ股間にそそり立って少しも勢いが衰えていない完全に勃起した分身と俺達を交互に見ると、飽きたのかどうなのかわからないが、俺達を野良犬を追い払うかのようにシッシッと手を振って、俺が下りてきた上の階層へと続く階段を空いた右手で指さして巨人語で何か言っている。

 どうやら一時間付き合ったからその褒美として見逃してくれるらしい。だが俺も仕事で来たのでこのまま帰るわけにはいかない。そのまま即死魔法の闇の球を一度に15発まで同時起動できるので、そのままハイ・サイクロプスに投げてやった。

 まさか攻撃してくるとは思わなかったのだろう。え? 戦うの? マジで? といった感じで仰天した顔のまま、一つ目巨人は即死効果のある闇の球をまともに食らって、あっさりと死んでいった。

 そして俺は精液まみれのまま、座り込んだ姿勢で息絶えたハイ・サイクロプスの精液も高く売れるかもしれないと思い(または何かの材料に使えると思って)、また試験管を闇の中の空間から出して採取した。

 と、いうのも人魚の涙で気づいたことなんだが、最近何かの素材を鑑定すると、エリクサーの材料の一つ、とか賢者の石の素材の一つ、と何かの材料の一つであることがわかってきたからだ。

 だが精液まみれというのはまずいので、棍棒を尻の穴から念動のアビリティで抜いてから、一つ目巨人の腰布と肉体といっしょに浄化して綺麗にしてから、闇の中の空間に収納しておいた。

 すると忽然と宝箱が現れた。何だか嫌な予感がすると思ったが、罠の解錠の知識も技術もないドワーフ達の為に、このダンジョンと北東のダンジョンに出る宝箱には罠がない。

 例によって鍵がかかっていたので、念動のアビリティで強引に錠前を外して開けてみる。

 すると中には目を象ったペンダントが入っていた。

 覇王竜の叡智で鑑定してみると、一つ目の魔物や生物を支配できるだけでなく、巨人族をランダムで召喚できる機能もある、との事だった。

 「なんというか…疲れたのう。まさか巨人があそこまで性的に奔放な種族だとは思わんかったぞ」

 と、アナントスも呆れたような、疲れたような顔で言っていた。俺も完全に同感だった。

 とにかく報告は後にすることにして、俺は早々にドワーフの防衛軍の宿舎の用意された部屋に転移して、待機していた二人に説明して、まだ夕方だったが早目に寝ることにした。


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