上 下
231 / 386

第226話 闇の獣人、奴隷達の申し出に憮然となる

しおりを挟む

 あれから俺はアルロンとロンドウェルを連れて、背後に奴隷達を連れて城内を散策していった。

 とはいえ、表向きは散策だが…実際は奴隷達にとって気に入った場所があれば住んでもらうという内容だ。

 その事は事前に奴隷達や従者二人に話しているのだが、どうにも奴隷達の表情が人間らしくない。

 かといって人形のような無表情でもない。

 何というか、ボーッとしていて心ここにあらず、といった感じなんだ。比喩やたとえ話じゃなくて本当にそんな顔の連中は歩いているのだが、リーターのミアナを含めてほとんど今の彼等は夢遊病の患者のようだった。

 とにかく城の中を歩いても、ほとんどノーリアクションなのが地味に辛い。

 連中が唯一反応したのが、北、東、西に配置された別館の存在だった。

 あと鑑定してみると、東と西は主に使用人の住居用で、北の別館が城にくる商人や貴族などが寝泊りする為のものだった。

 そこで彼等は常に一緒にいたいというので、東の別館に住みたいと言ってきた。

 俺としては別に貴族や王族がダンジョン内の地下131階層にまで来るわけがないのだから、本館の城の中でもいいんじゃないかと言ったが、全員が奴隷の分際でそんな事はできません! と、あろうことかミアナまで首を横に振って、別館で暮らしたいと言ってきた。

 だが俺としては本館で仲良く寝泊りしてもらいたかったのだが、アルロン達従者も、奴隷や従者はよほどの実力があるか、地位が高いか、武力や魔力が強くてそれを使いこなせるか、あるいは資産家といった何か普通の人間よりも優れたものが最低でも一つはないと、別館で寝泊りするのが常識なのだという。

 例外としては城で寝泊りできるほどの人物の愛人か恋人になること。これなら武力、知識、技術、金などがなくても本館の城で主と一緒に寝泊りできるのだという。

 そういえばそんな事習ったな。一応別館の方も分身達と一緒に絨毯とかテーブルとかタンスとか設置したけど、作業に忙しくて、落ち着いてじっくりとは見ていなかったんだよな。

 だがここで東の別館で奴隷達が生唾を飲み込んでいく音が聞こえてきた。

 「嘘でしょ…。こんな素晴らしいベッドで寝れるなんて」

 「このタンスもすごいな。こんなにでかくて立派な造りは貴族でも下級貴族はもてないぞ?」

 と、奴隷達がタンスの中を覗いて硬直した。

 うん。御想像の通り、全部ミスリル製の服と下着ですが、なにか?

 そしたら予想通りというか…もっと格下の素材を使った衣服が欲しいと言い始めましたよ、この連中は。

 こいつら…。折角俺が丹精込めて機織りしてまで作った衣服がもったいないからとか言って、ゴネやがって。

 そーかい、そーかい。ならばもっとありふれた素材で衣服を作ってやろうじゃないか。
 
 というわけで久しぶりというわけでもないが、時間停止を起動。

 後は城の中から外(とはいってもダンジョンの中なんだけど)に出て、そこで地下185階に闇魔法で転移。

 後はクリスタル・ドラゴンを無形の刃で手加減無しで攻撃したら呆気なく死んだ。

 やっぱり限界突破ポーションのお陰なんだろうか、そんな訳で186階。イエロークリスタル・ドラゴン。

 187階。ブルークリスタル・ドラゴン。

 188階。トパーズ・ドラゴン。

 189階。ペリドット・ドラゴン。

 190階。ルチルクォーツ・ドラゴン。

 191階。マラカイト・ドラゴン。

 192階。オニキス・ドラゴン。

 193階。レッドクリスタル・ドラゴン。

 194階。ルビードラゴン。

 195階。サファイア・ドラゴン。

 196階。エメラルド・ドラゴン。

 197階。ブルーダイヤモンド・ドラゴン。

 198階。グリーンダイヤモンド・ドラゴン。

 199階。ダイヤモンド・ドラゴン。

 以上のドラゴンを無形の刃で殺しまくりました。いや生命体じゃないから起動不能状態にしたといった方が正しいのかな?

 あと何だか折角の好意を無下にされたのでムカついていたので、地下149階層に転移して、5000体以上いる植物の軍団をアビスファイアを手加減なしで普通に放ってみた。

 腹癒せを兼ねた実験だったけど、相手が密集していたせいもあったのか…あっという間に燃えて灰だけが残ってしまいました…。

 というかこれ、相手が大型の水属性の魔物で戦場が荒地とか海のど真ん中や湖の真ん中でないと、怖くて使えないな。宝箱やドロップ品さえ灰になるほどだから、殲滅以外には使えないわ、この魔法…。

 それからミスリルの武器と防具とか作るのめんどいので、ヒョドリンに食わせてコピーさせるために、地下140階層へ転移。

 そこでミスリル・ゴーレムナイトを撲殺してみた。タラミレーナに毎朝アダマンタイトのゴーレム数百体を相手に戦闘していて素手で殴ったり、蹴ったり、ぶん投げたりしていたからな。

 どれだけ威力が上がったのかを試してみたが、あっさりと吹き飛んで動かなくなった。

 でもこれじゃ使い物にならないので超・修復をかけたら起き上がってきたので、また闇魔法を手加減なしでかけてこいつのエネルギーを吸いまくって倒しました。

 正直言ってこいつは宝の山だ。ミスリルの鎧や具足はそのままコピーできるし、マントは空を飛べるから、大いに価値がある。

 それだけじゃない。こいつの持っている魔剣クリムゾン・ライトは真紅の光の波を起こして敵を一網打尽にできるし、真紅の光弾を一度に3発以上放てる上に威力も強い。

 以前倒したから持っているけど、魔剣ってヒョドリンに食わせてコピーできたっけ? まあやってみればわかるかな。

 後はゴーレムの中でもジュエルゴーレムなんてのもいたな、と思い出して地下105階へ転移。

 そこで水晶と青水晶のジュエルゴーレムを無形の刃で斬って倒して回収。

 地下106階層ではジュエルゴーレムの一種であるファイアーゴーレムが出たので、アビスアイスを使用。

 そしたら燃え盛る火属性のゴーレムもごの地獄の氷の魔法には勝てなかったのか、あっさりと氷漬けになって倒れてしまいました…。うん、なんかごめんな。

 一応、火魔法で氷を溶かしてから回収しました。紅い水晶だからいっそこの紅い水晶をヒョドリンに食わせて、マフラーとか防寒着とか作るのもいいかもな。

 地下107階層から109階層では雷をまとったトパーズでできたジュエルゴーレムや全身に暴風をまとったジェダイトゴーレム、ハリネズミのように全身から針が出ているルチルクォーツでできたニードルゴーレムなんて、今まで見たことのないゴーレムばっかり出ました。もちろん全員、無形の刃で体には傷をつけないで倒しました。

 だっていちいち超・修復で直すのってめんどくさいからな。それなら最初から無形の刃で殺した方がいいってことだな。

 ドロップもそれぞれ大きくて高品質の宝石が出ました。

 あとニードルゴーレムは奴隷が触ったら怪我するので、一旦過去に倒した分も含めて闇の中の空間から出してから針の神に念話で頼んで、全身から出ている針を体内に入れてもらいました。

 ざっとこんな感じかな。とりあえずミスリルで作った服に対して文句を言ったり、着るのを遠慮するんなら、別の素材でできた服を作ってやろうじゃないか。

 要するにあいつらはミスリル、オリハルコン、アダマンタイトの服が嫌なんだから、他の水晶とかならありふれているから文句はないだろう。

 というか主人の俺に対して遠慮したり、気を遣っているのはわかるが、そういうのって度が過ぎるとかえって無礼になるってことを学ばなかったのか? と思ったが、やっぱり多くの神々と縁をもっている俺に対して、あまり立派なものを着るのは不敬だと思っているんだろうな。

 それなら水晶の服を作ってやることにして、一旦時間停止を解除して、奴隷達には望み通り東の別館に行かせてそこで待機するように命じた。

 俺は闇の中の空間から出した機織り機を出して、どんな水晶の服を作ろうかと考えることにした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました

Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。 そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて―― イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】触手に犯された少年聖女を見て興奮した俺はヒトとして獣人として最低です

アマンダ
恋愛
獣人騎士のアルは、護衛対象である少年と共に、ダンジョンでエロモンスターに捕まってしまう。ヌルヌルの触手が与える快楽から逃れようと顔を上げると、顔を赤らめ恥じらう少年の痴態が――――。 連載中の『世界のピンチが救われるまで本能に従ってはいけません!!〜少年聖女と獣人騎士の攻防戦〜』のR18ver.となります。おなじく『男のフリした聖女は触手にアンアン喘がされ、ついでに想い人の獣人騎士も後ろでアンアンしています。』の続編・ヒーロー視点となっています。 本編は読まなくてもわかるようになってますがヒロイン視点を先に読んでから、お読みいただくのが作者のおすすめです! ヒーロー本人はBLだと思ってますが、残念、BLではありません。

【R18】ファンタジー陵辱エロゲ世界にTS転生してしまった狐娘の冒険譚

みやび
ファンタジー
エロゲの世界に転生してしまった狐娘ちゃんが犯されたり犯されたりする話。

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

【R18短編】白銀でクールなむちむち奴隷サキュバスから正直にされる催眠に墜とされ、両想い判明から結婚確定中出しえっちを思う存分にするお話

フォトンうさぎ
恋愛
奴隷のサキュバスさんに催眠をかけられて正直にさせられ、お互いに好き好き言いあいながら婚約えっちするお話です。 表紙は『NovelAI』に出力していただきました。 ※旧題『白銀クール奴隷サキュバスに催眠をかけられ、両想い判明からの婚約中出しをする話』

処理中です...