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第226話 闇の獣人、奴隷達の申し出に憮然となる
しおりを挟むあれから俺はアルロンとロンドウェルを連れて、背後に奴隷達を連れて城内を散策していった。
とはいえ、表向きは散策だが…実際は奴隷達にとって気に入った場所があれば住んでもらうという内容だ。
その事は事前に奴隷達や従者二人に話しているのだが、どうにも奴隷達の表情が人間らしくない。
かといって人形のような無表情でもない。
何というか、ボーッとしていて心ここにあらず、といった感じなんだ。比喩やたとえ話じゃなくて本当にそんな顔の連中は歩いているのだが、リーターのミアナを含めてほとんど今の彼等は夢遊病の患者のようだった。
とにかく城の中を歩いても、ほとんどノーリアクションなのが地味に辛い。
連中が唯一反応したのが、北、東、西に配置された別館の存在だった。
あと鑑定してみると、東と西は主に使用人の住居用で、北の別館が城にくる商人や貴族などが寝泊りする為のものだった。
そこで彼等は常に一緒にいたいというので、東の別館に住みたいと言ってきた。
俺としては別に貴族や王族がダンジョン内の地下131階層にまで来るわけがないのだから、本館の城の中でもいいんじゃないかと言ったが、全員が奴隷の分際でそんな事はできません! と、あろうことかミアナまで首を横に振って、別館で暮らしたいと言ってきた。
だが俺としては本館で仲良く寝泊りしてもらいたかったのだが、アルロン達従者も、奴隷や従者はよほどの実力があるか、地位が高いか、武力や魔力が強くてそれを使いこなせるか、あるいは資産家といった何か普通の人間よりも優れたものが最低でも一つはないと、別館で寝泊りするのが常識なのだという。
例外としては城で寝泊りできるほどの人物の愛人か恋人になること。これなら武力、知識、技術、金などがなくても本館の城で主と一緒に寝泊りできるのだという。
そういえばそんな事習ったな。一応別館の方も分身達と一緒に絨毯とかテーブルとかタンスとか設置したけど、作業に忙しくて、落ち着いてじっくりとは見ていなかったんだよな。
だがここで東の別館で奴隷達が生唾を飲み込んでいく音が聞こえてきた。
「嘘でしょ…。こんな素晴らしいベッドで寝れるなんて」
「このタンスもすごいな。こんなにでかくて立派な造りは貴族でも下級貴族はもてないぞ?」
と、奴隷達がタンスの中を覗いて硬直した。
うん。御想像の通り、全部ミスリル製の服と下着ですが、なにか?
そしたら予想通りというか…もっと格下の素材を使った衣服が欲しいと言い始めましたよ、この連中は。
こいつら…。折角俺が丹精込めて機織りしてまで作った衣服がもったいないからとか言って、ゴネやがって。
そーかい、そーかい。ならばもっとありふれた素材で衣服を作ってやろうじゃないか。
というわけで久しぶりというわけでもないが、時間停止を起動。
後は城の中から外(とはいってもダンジョンの中なんだけど)に出て、そこで地下185階に闇魔法で転移。
後はクリスタル・ドラゴンを無形の刃で手加減無しで攻撃したら呆気なく死んだ。
やっぱり限界突破ポーションのお陰なんだろうか、そんな訳で186階。イエロークリスタル・ドラゴン。
187階。ブルークリスタル・ドラゴン。
188階。トパーズ・ドラゴン。
189階。ペリドット・ドラゴン。
190階。ルチルクォーツ・ドラゴン。
191階。マラカイト・ドラゴン。
192階。オニキス・ドラゴン。
193階。レッドクリスタル・ドラゴン。
194階。ルビードラゴン。
195階。サファイア・ドラゴン。
196階。エメラルド・ドラゴン。
197階。ブルーダイヤモンド・ドラゴン。
198階。グリーンダイヤモンド・ドラゴン。
199階。ダイヤモンド・ドラゴン。
以上のドラゴンを無形の刃で殺しまくりました。いや生命体じゃないから起動不能状態にしたといった方が正しいのかな?
あと何だか折角の好意を無下にされたのでムカついていたので、地下149階層に転移して、5000体以上いる植物の軍団をアビスファイアを手加減なしで普通に放ってみた。
腹癒せを兼ねた実験だったけど、相手が密集していたせいもあったのか…あっという間に燃えて灰だけが残ってしまいました…。
というかこれ、相手が大型の水属性の魔物で戦場が荒地とか海のど真ん中や湖の真ん中でないと、怖くて使えないな。宝箱やドロップ品さえ灰になるほどだから、殲滅以外には使えないわ、この魔法…。
それからミスリルの武器と防具とか作るのめんどいので、ヒョドリンに食わせてコピーさせるために、地下140階層へ転移。
そこでミスリル・ゴーレムナイトを撲殺してみた。タラミレーナに毎朝アダマンタイトのゴーレム数百体を相手に戦闘していて素手で殴ったり、蹴ったり、ぶん投げたりしていたからな。
どれだけ威力が上がったのかを試してみたが、あっさりと吹き飛んで動かなくなった。
でもこれじゃ使い物にならないので超・修復をかけたら起き上がってきたので、また闇魔法を手加減なしでかけてこいつのエネルギーを吸いまくって倒しました。
正直言ってこいつは宝の山だ。ミスリルの鎧や具足はそのままコピーできるし、マントは空を飛べるから、大いに価値がある。
それだけじゃない。こいつの持っている魔剣クリムゾン・ライトは真紅の光の波を起こして敵を一網打尽にできるし、真紅の光弾を一度に3発以上放てる上に威力も強い。
以前倒したから持っているけど、魔剣ってヒョドリンに食わせてコピーできたっけ? まあやってみればわかるかな。
後はゴーレムの中でもジュエルゴーレムなんてのもいたな、と思い出して地下105階へ転移。
そこで水晶と青水晶のジュエルゴーレムを無形の刃で斬って倒して回収。
地下106階層ではジュエルゴーレムの一種であるファイアーゴーレムが出たので、アビスアイスを使用。
そしたら燃え盛る火属性のゴーレムもごの地獄の氷の魔法には勝てなかったのか、あっさりと氷漬けになって倒れてしまいました…。うん、なんかごめんな。
一応、火魔法で氷を溶かしてから回収しました。紅い水晶だからいっそこの紅い水晶をヒョドリンに食わせて、マフラーとか防寒着とか作るのもいいかもな。
地下107階層から109階層では雷をまとったトパーズでできたジュエルゴーレムや全身に暴風をまとったジェダイトゴーレム、ハリネズミのように全身から針が出ているルチルクォーツでできたニードルゴーレムなんて、今まで見たことのないゴーレムばっかり出ました。もちろん全員、無形の刃で体には傷をつけないで倒しました。
だっていちいち超・修復で直すのってめんどくさいからな。それなら最初から無形の刃で殺した方がいいってことだな。
ドロップもそれぞれ大きくて高品質の宝石が出ました。
あとニードルゴーレムは奴隷が触ったら怪我するので、一旦過去に倒した分も含めて闇の中の空間から出してから針の神に念話で頼んで、全身から出ている針を体内に入れてもらいました。
ざっとこんな感じかな。とりあえずミスリルで作った服に対して文句を言ったり、着るのを遠慮するんなら、別の素材でできた服を作ってやろうじゃないか。
要するにあいつらはミスリル、オリハルコン、アダマンタイトの服が嫌なんだから、他の水晶とかならありふれているから文句はないだろう。
というか主人の俺に対して遠慮したり、気を遣っているのはわかるが、そういうのって度が過ぎるとかえって無礼になるってことを学ばなかったのか? と思ったが、やっぱり多くの神々と縁をもっている俺に対して、あまり立派なものを着るのは不敬だと思っているんだろうな。
それなら水晶の服を作ってやることにして、一旦時間停止を解除して、奴隷達には望み通り東の別館に行かせてそこで待機するように命じた。
俺は闇の中の空間から出した機織り機を出して、どんな水晶の服を作ろうかと考えることにした。
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