205 / 386
第200話 闇の獣人、光と闇の大精霊召喚したことを後悔する
しおりを挟む
封鎖区画はこの城内に4か所存在する。それは通路や各室内に備えられたパネルに表示されているので、すぐにわかった。
問題はこの城、やたらと部屋の数が多いので、結果的に部屋の中にいるゾンビもどきとご対面! ということになる。普通なら。
だが大精霊にとってはゾンビもどきなんぞ敵ではない。光の大精霊ロンナも、闇の大精霊シェンダルも不意討ちを食らうほど馬鹿じゃないようだった。
片っ端からドアを破壊して(シェンダルは主に蹴破って)、中にいたゾンビもどきを光か闇そのものに変化させて消していく。
当然ながら、これらのゾンビもどきに巣食っていたウイルスという病原体も一緒に光か闇に変えるので、お手軽だな。
風に変えるとウイルスが残る危険性があるし、土や水でも同様。火だと城に備わる火災防止機能が働いて勝手に天井から水が降り注いでくるので却下。
というわけで光と闇の大精霊を召喚したが、どっちか片方だと消耗が激しいので両方とも召喚したが、二人共反目しあっている割には、結構仲がいいようだった。
俺は壊れたドアを超・修復をかけて直していることぐらいしかしていない。異世界で作られた物品とか大丈夫かと思ったんだが、普通に修復できて安心した。
普段なら不意討ちを警戒する所だが、あいにく俺にはアナントスがいるし、「状態異常完全無効」のアビリティがあるからな。いくら邪神王でも一柱の神であることには変わりない。俺のアビリティを無効化、削除、書き換え、封印、破壊、移動などの操作は、2万柱以上の神々が同意しないと不可能だ。
そんな訳で実際にはしていないが、気持ち的には、両腕を頭の後ろに組んでこの二人が片っ端からぞんびもどきを光と闇に変えていくのを見守りながら進んでいる。
だがそれも途中までだった。この城には掃除や防衛の為のゴーレムが数百体は存在するらしい。
で、何が言いたいのかというと…俺は城の人工精霊レメリアーナが新規登録してくれたから、まあ攻撃されることはない。
だがこの二人は登録していない。そのせいで二回ほどゴーレム・ナイトから攻撃された。
慌てて俺は二人を呼び集めて、地下のレメリアーナのいる場所へ転移した。
それからは二人共新規登録されたおかげでゴーレム達から攻撃されることはない。
もっとも一体壊しちゃったけどな。俺がゴーレムを止めようとしたけど、二人の息の合った同時攻撃で、二人を侵入者と勘違いしなゴーレム・ナイトが光の刃と影の中から出てきた闇の槍で、一瞬で破壊されてしまった。
幸いなことに俺がすぐに二人を掴んで地下に転移したから、他のゴーレムの救援が来ることはなかった。
いや本当に、下手すると城中のゴーレムを全部破壊しないといけなくなる所だったよ。
だが本当に厄介なのは、この後の出来事だった。二人共仲良くゾンビもどきを光と闇にそれぞれ変換していたのは最初の内だけだったようで、時間が経つにつれて仲の悪さを露呈するようになってきた。
おそらく新規登録されていないのを俺に気づかせなかった事で、お互いにお前が悪いと口論になりかけたのが原因だったのだろう。
それからは二人はお互いにわざと間違った攻撃をした振りをして、ゾンビもどきもろとも相手を攻撃しようと躍起になっている。
「あら、ごめんなさい。間違えちゃいましたー!」
「気にするなお嬢さん。おや儂も間違えてしまったぞー!」
と、さっきから棒読みの台詞を何度も何度も、飽きもせずに口にしながらお互いに光と闇の魔法を繰り出していってる。
おかげで部屋や廊下の壁が穴まみれになって、俺も修復するのに手一杯になってしまった。
だがこの二人のお陰で、二つの封鎖区画にいる全てのゾンビもどきを光、あるいは闇に変換することができた。
「のう、婚約者殿。この封鎖区画…よく見たら住居区画が隣にあるんでないかの?」
と、かなり離れているのに、アナントスは白い蛇の頭をもたげて、遠くにあるパネルに表示された地図を見つめている。
緑は人がいる区画だ。感染者ばかりで特殊な魔道具の筒の中に入れられて眠っているとか。
赤色は危険を意味する。この区画はゾンビもどきが出没しているので、俺達が全滅させると白に変わる。現に二つのエリアが赤から白に変わったしな。
だがこの封鎖区画は今までとは違った。アナントスが言った通り、魔道具の筒の中に入れられて眠る人達がいる緑の区画が隣にあったのだ。それも二つも…。
「ほーっほっほっほ! その程度でしかのですかぁ?」
「なんの! この鍛えぬいた筋肉の前には貴様などゴミクズにすぎんわぁ!」
と、ワラワラとやってきた死臭まみれのゾンビもどきを闇や光に変換する二人。
だが範囲型じゃなくて、光弾や闇弾といった一体ずつを狙う形に変えている。どうやらどっちがどれだけ多くのゾンビもどきを消し去るのかを競い合っているようだった。
それはいいんだけどね、君達。流れ弾が四方八方に飛び散っているんですけど!?
うぉ!? 危ぶな…っ! 今、しゃがまなかったら俺に直撃していたぞ!?
おまけに流れ弾が壁や天井に当たって、穴まみれになっているし!
まあ複数操作で超・修復を3つ以上かけられるから、天井や壁、床の修復はできるんだけど…このままじゃキリがない。
…ってまた壁に穴が開いた! しかもゾンビもどきが穴の中に入っていったし!
「こらーっ! お前らいい加減に…」
「婚約者殿。説教は後にしてまずはあの臭いゾンビもどきを何とかせんと」
「全く…あんな連中なんか召喚するんじゃんかったよ…そりゃ実戦経験ないのは知ってたけどさ…」
俺の頬の獣毛を舌で舐めて元気づけるアナントス。正直くすぐったいけど、確かに住居区画に入ったゾンビもどきを始末する方が先だ。
闇転移ですぐに穴の側まで行くと、俺は紛れ込んだゾンビもどきを消す為に室内に飛び込んだ。
問題はこの城、やたらと部屋の数が多いので、結果的に部屋の中にいるゾンビもどきとご対面! ということになる。普通なら。
だが大精霊にとってはゾンビもどきなんぞ敵ではない。光の大精霊ロンナも、闇の大精霊シェンダルも不意討ちを食らうほど馬鹿じゃないようだった。
片っ端からドアを破壊して(シェンダルは主に蹴破って)、中にいたゾンビもどきを光か闇そのものに変化させて消していく。
当然ながら、これらのゾンビもどきに巣食っていたウイルスという病原体も一緒に光か闇に変えるので、お手軽だな。
風に変えるとウイルスが残る危険性があるし、土や水でも同様。火だと城に備わる火災防止機能が働いて勝手に天井から水が降り注いでくるので却下。
というわけで光と闇の大精霊を召喚したが、どっちか片方だと消耗が激しいので両方とも召喚したが、二人共反目しあっている割には、結構仲がいいようだった。
俺は壊れたドアを超・修復をかけて直していることぐらいしかしていない。異世界で作られた物品とか大丈夫かと思ったんだが、普通に修復できて安心した。
普段なら不意討ちを警戒する所だが、あいにく俺にはアナントスがいるし、「状態異常完全無効」のアビリティがあるからな。いくら邪神王でも一柱の神であることには変わりない。俺のアビリティを無効化、削除、書き換え、封印、破壊、移動などの操作は、2万柱以上の神々が同意しないと不可能だ。
そんな訳で実際にはしていないが、気持ち的には、両腕を頭の後ろに組んでこの二人が片っ端からぞんびもどきを光と闇に変えていくのを見守りながら進んでいる。
だがそれも途中までだった。この城には掃除や防衛の為のゴーレムが数百体は存在するらしい。
で、何が言いたいのかというと…俺は城の人工精霊レメリアーナが新規登録してくれたから、まあ攻撃されることはない。
だがこの二人は登録していない。そのせいで二回ほどゴーレム・ナイトから攻撃された。
慌てて俺は二人を呼び集めて、地下のレメリアーナのいる場所へ転移した。
それからは二人共新規登録されたおかげでゴーレム達から攻撃されることはない。
もっとも一体壊しちゃったけどな。俺がゴーレムを止めようとしたけど、二人の息の合った同時攻撃で、二人を侵入者と勘違いしなゴーレム・ナイトが光の刃と影の中から出てきた闇の槍で、一瞬で破壊されてしまった。
幸いなことに俺がすぐに二人を掴んで地下に転移したから、他のゴーレムの救援が来ることはなかった。
いや本当に、下手すると城中のゴーレムを全部破壊しないといけなくなる所だったよ。
だが本当に厄介なのは、この後の出来事だった。二人共仲良くゾンビもどきを光と闇にそれぞれ変換していたのは最初の内だけだったようで、時間が経つにつれて仲の悪さを露呈するようになってきた。
おそらく新規登録されていないのを俺に気づかせなかった事で、お互いにお前が悪いと口論になりかけたのが原因だったのだろう。
それからは二人はお互いにわざと間違った攻撃をした振りをして、ゾンビもどきもろとも相手を攻撃しようと躍起になっている。
「あら、ごめんなさい。間違えちゃいましたー!」
「気にするなお嬢さん。おや儂も間違えてしまったぞー!」
と、さっきから棒読みの台詞を何度も何度も、飽きもせずに口にしながらお互いに光と闇の魔法を繰り出していってる。
おかげで部屋や廊下の壁が穴まみれになって、俺も修復するのに手一杯になってしまった。
だがこの二人のお陰で、二つの封鎖区画にいる全てのゾンビもどきを光、あるいは闇に変換することができた。
「のう、婚約者殿。この封鎖区画…よく見たら住居区画が隣にあるんでないかの?」
と、かなり離れているのに、アナントスは白い蛇の頭をもたげて、遠くにあるパネルに表示された地図を見つめている。
緑は人がいる区画だ。感染者ばかりで特殊な魔道具の筒の中に入れられて眠っているとか。
赤色は危険を意味する。この区画はゾンビもどきが出没しているので、俺達が全滅させると白に変わる。現に二つのエリアが赤から白に変わったしな。
だがこの封鎖区画は今までとは違った。アナントスが言った通り、魔道具の筒の中に入れられて眠る人達がいる緑の区画が隣にあったのだ。それも二つも…。
「ほーっほっほっほ! その程度でしかのですかぁ?」
「なんの! この鍛えぬいた筋肉の前には貴様などゴミクズにすぎんわぁ!」
と、ワラワラとやってきた死臭まみれのゾンビもどきを闇や光に変換する二人。
だが範囲型じゃなくて、光弾や闇弾といった一体ずつを狙う形に変えている。どうやらどっちがどれだけ多くのゾンビもどきを消し去るのかを競い合っているようだった。
それはいいんだけどね、君達。流れ弾が四方八方に飛び散っているんですけど!?
うぉ!? 危ぶな…っ! 今、しゃがまなかったら俺に直撃していたぞ!?
おまけに流れ弾が壁や天井に当たって、穴まみれになっているし!
まあ複数操作で超・修復を3つ以上かけられるから、天井や壁、床の修復はできるんだけど…このままじゃキリがない。
…ってまた壁に穴が開いた! しかもゾンビもどきが穴の中に入っていったし!
「こらーっ! お前らいい加減に…」
「婚約者殿。説教は後にしてまずはあの臭いゾンビもどきを何とかせんと」
「全く…あんな連中なんか召喚するんじゃんかったよ…そりゃ実戦経験ないのは知ってたけどさ…」
俺の頬の獣毛を舌で舐めて元気づけるアナントス。正直くすぐったいけど、確かに住居区画に入ったゾンビもどきを始末する方が先だ。
闇転移ですぐに穴の側まで行くと、俺は紛れ込んだゾンビもどきを消す為に室内に飛び込んだ。
0
お気に入りに追加
250
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる