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第176話 闇の獣人、眷属に説明して女神との結婚を辞退する
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俺は枯れ木となった俺とアミリルス様との間に生まれたトレントを、ダンジョン内で俺を待っていたみんなに見せながら説明していった。
「…だからな。俺がいけなかったんだよ。俺が女神様と交尾したいなんて願ったりしなければ、この子は産まれるはずがなかったんだ」
事の発端は俺が精液ポーションを毎度のごとく、女神アミリルス様に献上した事にある。
そして大量の精液ポーションを捧げられて女神としての力がかなりアップしたようだったので、女神様は何かお礼をしたいということで願い事を一つだけ叶えてくれるということで、俺に水晶板と一緒になったペンを使いのエルフ(そういえば名前聞くのを忘れていた)に渡して、願望を書かせた。
そこで俺が女神様とセックスしたい、なんて半分本気で半分冗談で書いたりしたもんだから、女神様はどういうわけか俺とのセックスを叶えるようにしてくれたようだった。
おかげで俺は女神様と楽しく、気持ちよく交尾することができたが、俺が女神の子宮内に射精した精液が原因で俺にも女神にも予想外の事が起きた。
何と子宮内で俺と彼女の子供ができてしまい、数分後には出産という形でこの世に生を受けたのだ。
結局、そのトレントは生まれてから1時間ほどで死んでしまった。
以上の事を説明したらヒョドリンとドラフォールさんは、俺の事を「旦那様」と呼ぶようになった。俺との交尾を女神が受け入れてくれたこと、そして処女であることはドラフォールさんもヒョドリンも知らなかったそうだ。その処女を俺に捧げてくれたということで、それだけ俺を愛してくれている=時間の問題で結婚=未来の夫である俺への呼び方を変えないと不敬、ということで旦那様と呼ぶようになってしまった。
馬鹿親父のゴルンルプスと元・老人の美少女二級創造神のフェランさんは、俺を慰めてくれた。
そしてアナントスは女神の元へ抗議しにいくといって聞かなかった。彼女曰く、避妊は性交の基本中の基本なのにそれを怠って子供を妊娠させて儂の婚約者を傷つけるとは何事かと、完全にアミリルス様が悪いと激怒していた。
それも一級創造神の分身の馬鹿親父ゴルンルプスと二級創造神の分身のフェランさんが何とかなだめて、抗議は中止にしてもらった。
俺の子供だったトレントは、闇の中の空間に丁寧に収納しておいた。本来なら火葬にするべきだが、俺の子供は必ず一年以内に死ぬ…この事実を忘れない為に、この子の遺体は俺が預かっておくことにした。二度と同じ過ちを犯さないために。
俺は気を紛らわせる為に、感触変化と液体吸収・浸透の魔法を自分にかけてから、限界突破の薬をえんえんと飲んでいた。別に自分を虐めたいわけじゃない。ただ起きてしまったことは変えられない。
変えられないけど、何かやらないといけなかった。それで自分を強化できる(一万本飲んでも最低レベルで、もっと飲まないと駄目らしい)限界突破の薬を飲みまくっていた。
胃や喉が痛んできたらアルティメット・ヒールを自分にかけて、ただひたすらテントの前で飲んでは空瓶を闇の中の空間に放り込む、という作業を繰り返していた。もう500本ほど飲んだ辺りでフェランさんに止められた。いくらなんでも飲みすぎだと。
一方、ミリーヤは「申し訳ありませんが、今回の騒動は半分は女神と交尾したいと願ったご主人様にも責任があります。相手が処女だとわかっていたのなら、避妊処置をするべきでした。相手が神だからどうにでもなると思っていたのでしょうが、結果はコレです。もうご主人様はアミリルス様とお会いになるべきではないと思いますが、それも難しいので結婚とかはしないで愛人になる程度で済ませておくべきだと思いますわ」
「うん。俺もそう思うよ。ただ…彼女と交尾したいと願ったのは俺なんだから、できる限りの事はアミリルス様にしておきたいと思うな。次に会ったら避妊処置はできているのか、しつこいくらい確認してから情事に入ることにするよ」
「その方がいいかと思います。あとご主人様。ひどくお疲れのようですので、ここは一晩テントの中でお休みになられた方がよろしいかと」
ミリーヤはサキュバスの頂点であるサキュバス・エンプレスだ。女帝を意味するその称号通りに人心を感じて、読み取って掌握するのが実に上手だった。
彼女のいう通りに鏡を見た俺は結構ひどくやつれていた。まさか子供ができて一日も経たない内に死んでしまったなんて思わなかった。
そして俺はまる一日、テントの中の寝袋の中で眠り続けた。
目が覚めたのは誰かがテントの近くに来たという気配を感じたからだ。
幸い髪型は乱れていない。水魔法で顔を洗ってうがいをして、すすいだ水を消し去ってからテントを出る。
そこには無表情のミリーヤがむっつりと手紙を手にして立っていた。
「おはようございます、ご主人様。どうやら少しは回復なされていたようですわね。できればもう二日ほど眠ってもらった方がよかったかと思いますが、どうもそうはいかないようですわね。また女神様からです」
「またか。どれどれ…」
と、精神的疲労を少し感じながらも渡された手紙の封筒を開けてみる。
どうも俺が寝ている間にアミリルス様からの使者がこのダンジョン内の拠点に来たようだった。そしてミリーヤとドラフォールさん、馬鹿親父のゴルンルプスやフェランさんが説明してくれたおかげで、女神様も悪いのは自分だということで、謝罪したいということでぜひ来てほしいという内容だった。
断ればこちらから謝罪しにいくと書いてあったので、俺はげんなりしながらも女神の寝室に行く為のボタンをまた押すことに決めた。どうせ断っても向こうから来るのではヒョドリン達に何を言われるかわかったものじゃない。
「お待ちください、ご主人様。女神の元へ向かわれる前に、魔皇神様から神であっても妊娠できない薬は創れないかとお伺いになるのがよろしいかと思います」
黙って手紙を読んでいた俺を見守っていた彼女は厳しい顔で、黒い四角の部分を押そうとする俺に忠告してくれた。本当にこの淫魔の女帝はいつも適格なアドバイスをしてくれる。思わぬ拾い物に感謝しながらも、俺は心の中で魔皇神に尋ねてみた。
さすがに神の妊娠までは無理かな、と思っていたら左右のブーツに、これでもかといわんばかりの10本ほどのポーションが挿し込まれていた。
その内の一本を見るとラベルには「妊娠不可のポーション。飲んでもいいし、塗ってもいいし、膣内に注入するのもOK.その効果は1級創造神でない限り妊娠することは不可能。効果時間は永遠だが、子宮内は常に変化しているので毎回使用するのがベスト」
と、長々と書かれていた。
アミリルス様への信用が下落していたのに対して、俺の魔皇神への信頼は高まる一方だった。
当然ヒョドリンに頼んだら即座に了解してくれて、妊娠不可の薬を10万本ほど作成してから、俺は手紙にある資格の部分を押して、一日ぶりに女神の寝室に転移していた。
そして俺が来ると、ベッドに座っていた白いガウンを着ていた女神がどこかぎこちない笑顔で立ち上がった。
だが獣人である俺には彼女の愛液が多量に分泌されているのを匂いで感じ取っていた。
結局、やるべきことは一つだ。勿論その点については俺が交尾したいと願わなければ、こんな事にはならなかったので、最後まで責任とってこの女神を気持ちよくさせるだけだ。彼女が俺に飽きるまで。
そういうわけで俺は駆け寄ってきた彼女を抱きしめて、強引にキスをした。
「俺とあなたの子供は死んだ。その点については俺にも半分責任がある。だからこれからはこの薬を使わせてもらおう。魔皇神が創造した神でも妊娠不能になる薬だ。これを飲むなり、子宮内に浸透させるなりして避妊処置させてもらわないと、もうあなたとは交尾できない」
闇の中の空間から取り出した青みがかった半透明の液体入った、細いポーション瓶を見て彼女は不安そうな顔になったが、無言で頷いてくれた。
「何を言っても言い訳にしかなりません。ですから今回は私をあなたの好きなようにしてください。そしてもう、あなた自身を責めないでください。悪いのは全て私なのです。あなたの怒りや情欲を全て受け止めますから、もうこれ以上悲しまないでください」
そう言ってガウンを脱ぎ捨てる彼女。同時に俺の着ている服も覇王竜の装備シリーズを除いたものが前回同様に、近くの絨毯の上に転移させられた。
俺は彼女をベッドの上に押し倒すと、素直に倒れてくれた。そして彼女の下腹部にポーション瓶の蓋を外して中身を彼女の皮膚の上に垂らしながら「液体浸透・吸収の魔法」を起動させて子宮内に透過されていくようにする。
完全にポーション瓶の中身が子宮内に透過されると、俺は感触変化の魔法を彼女にかけると、空になったポーション瓶を闇の中の空間に放り投げて、怒張している俺の分身の肉棒を彼女の中に挿入した。
前回と同じように俺は激しいピストン運動をしていった。もちろん感覚鈍化の能力も挿入と同時に起動している。
俺の肉棒が彼女の膣内を存分に掻き回して、彼女を何度も絶頂へと導いていく。
だが俺は射精しなかった。感覚鈍化の能力で肉棒が感じる快感を限界まで鈍らせていた。
ただひたすら彼女を絶頂へと導いて逝かせて、気絶するまで肉棒を激しく動かして彼女を気持ちよくさせていった。
射精しなかったのは、いくら薬を使っていたとしても…またトレントの種ができたら、と思うと怖くてできなかったからだ。
例え彼女の子宮を覇王竜の叡智で鑑定して、魔皇神の創造した薬で妊娠不可の状態になっていても、だ。
俺が彼女を逝かせはじめてから2時間ほど経っただろうか。その間、俺は一度も射精していなかった。
気絶した彼女を尻目に、役目は終わったと言わんばかりに俺は自身に浄化魔法のピュリファイをかけてから、服を着ていく。
そこで目が覚めたのか、彼女はうつ伏せになったまま口を開いた。
「まだ怒っているのですね。でも…私、そんなあなたが大好きですよ。あなたに何か願い事があれば私に可能な限り叶えてあげましょう。少なくとも前回と今回の二回は叶えてあげられますわ」
「それなら俺の創れる分身の数を今の倍の1万人にしてください。これから王国と帝国に行かないといけないからな。そこで使者のもっていた依頼書によると、できる限り多くの人民に俺の精液を飲ませてやってくれとあったからな。時間停止をかけても、こちらも分身の数を多くしないといくら時間があっても足りないので頼む」
「わかりました。…それで二つ目の願いは決まりましたか?」
「アミリルス様。今回の騒動、元を正せば俺が情欲に負けてあなたと交尾したいと願った事が原因です。だからあなたが俺が欲しくなった時はいつでも呼んでください。ただし呼び出す回数は非常事態を除けば、10回まで。次の条件を守れるようであれば、俺はあなたが気絶するまで、もしくは気絶しない場合は3~5時間という時間限定で交尾します。時間停止させても制限を決めないと俺とあなたなら永遠に、お互いに快楽を貪り合うだけです。それはお互いの為になりません。
…まず最初に王国や帝国、その他の地域に住んでいる住民と交尾している最中や俺が食事、睡眠、入浴、排泄などをしている最中に呼び出すのは禁止ですね。あと避妊の薬の使用は必須であり、義務です。それからセックスをする時の主導権は俺にあるようにしてください。どういうプレイをするのかは俺が決めるのでそれに従ってもらいます。
そして俺を呼び出す時は俺とセックスをする時だけ。情報交換や会話はセックスをしながらという事になりますので、そういう形でお願いします。お茶会や読書会をするのであれば、二人だけの時の場合は必ずセックスをしながらという淫らな形になるということを覚悟しておいてください。
あと俺にも都合があるので、俺と今後も関係を持ちたければ俺に全面的にありとあらゆる意味で協力し、支援すること。つまり俺の願いを呼び出した回数に応じて叶えてもらいます。あと最後に俺はあなたと結婚する事はありません。でもあなたの愛人にはなれますのでそれで我慢してください。半神半人の俺とあなたでは不釣り合いだ。こうしてあなたと交尾してあなたの情欲を満たす。それがあなたに性の喜びをしる切っ掛けになった俺の責任です」
そこで彼女は起き上がって、潤んだ目で俺を見た。
「違います! 私が…もっと自分の事を把握していればあのトレントは生まれなかったのです。今回、あなたが私の胎内に一切射精しなかったのも、またあのような子が生まれるのが怖かったからでしょう?
でも大丈夫です。あなたにあんな悲しい思いは二度とさせません。そして二つ目の願いですが…あなたにこの権限を与えます。これがあれば、あなたはいつでも好きな時に私のいるこの部屋に転移できます。
私があなたを呼び出した時にその回数に応じて願いを叶えるという条件、確かに承りました」
ピンク色の光の球を差し出したアミリルス様の目をみて、俺はそのまま桃色の光球を手にした。
即座に脳裏に「ラフィアス・ゾルトロンドのアミリルス様のプライベート・エリアへの参入権が認められました。あなたはいつでも女神・アミリルス様と交尾が可能です。回数に制限はありません。期間も無期限です」という機械的な音声が響き渡った。
「でもあなたは信じないでしょうが、私はあなたが好きです。愛しています。結婚してもらいたいですけど、それは時間をかけてお互いの関係を築いていけばいいだけの事です。あなたが愛人としての関係を望むのなら、それでも構いません。
私があなたを呼び出す際に願いを叶えるという条件ですが、逆にあなたが私を欲しくなって抱きに来た時にもその回数に応じて、願いを叶えることにします。一日に3回わたしを抱きにきたのなら、3回分ですね。
それが私があなたを全面的に協力し、支援するという証になるでしょう。私自身に手が出せない内容でも、私の兄弟や部下達がいますから、大抵の願い事は叶えられる自信がありますので、遠慮なく言ってくださいね」
おいおい。それじゃ俺にとって絶対的に有利じゃねーか。さては女神様、願い事を餌に俺をおびき寄せる魂胆だというわけか。それならこっちも少し脅してやろう。
「…本当にいいのか? 俺が来るのはアミリルス様。あなたと交尾したい時だ。体目当てだぞ? そしてあなたとのセックスは俺に主導権がある。つまりあなたは俺に強姦されても文句はいえないということになるが?」
「それでも構いません。あなたは本来、痛みを感じるはずの感覚を快楽に変える魔法を使っていますね? そういう心配りをするあなただからこそ愛しているのです。あなたがどんな状態になっても、例え性交が不可能になってもこの気持ちは変わりません。なんならアナントスの前で誓約しましょうか?
だから強姦されても、私の体が目当てでも構わないです。きっとあなたは私を気持ちよくするように細心の注意を払うでしょうから
私…邪神達との戦いでは彼等の放つ瘴気のせいで、一時はすごく醜い老婆の姿で眠っていたんですよ?
ずっとこのままの姿なのか、もう元の姿には戻れないんだろうか、ずっとそんな事ばかり考えていました。
今は元の姿に戻れましたけど、私が本来の姿と力を取り戻せたのは、ラフィアス。あなたのお供えしてくれた精液ポーションのおかげなのですよ?」
見透かされている。俺が彼女が性に目覚める原因を創った元凶だということに責任を感じていることを見抜いているのだ。
精液ポーションも大量に特定の神に何度もお供えすれば、力を回復させることができるのはわかっていたが、瘴気に侵された神をも癒して復活させられるとは思わなかったな。
だが結果的にそうなっただけだ。彼女がどんなに俺を恩人として見て愛しても、俺にはこの女神を愛していないのだから。
「強姦でもいいのなら、俺は来たくなるかもしれないな。考えておこう」
そう言いながら俺はダンジョンの地下131階層へと転移した。アナントスや魔皇神と話し合わないといけないからな。彼女が口約束で俺を騙すとは思えないが、念には念をいれておかないと。
それにこれは魔皇神、アナントスにも言えることだが、アミリルス様が俺に恋をすることで三角関係ならぬ四角関係になってしまった。いや、俺が悪いんだけど。
そうなると三つ巴の血まみれの修羅場が始まってしまうから、もっと上位の神の助けを借りないといけなくなるかもな。
とにかく、アミリルス様達には俺を巡って殺し合いにならないように誓約させないと。
その為にもっといい方法はないかと、俺はダンジョンの中で俺を崇拝する為に跪くドラフォールさんを叱っているミリーヤを見て考えるのだった。
「…だからな。俺がいけなかったんだよ。俺が女神様と交尾したいなんて願ったりしなければ、この子は産まれるはずがなかったんだ」
事の発端は俺が精液ポーションを毎度のごとく、女神アミリルス様に献上した事にある。
そして大量の精液ポーションを捧げられて女神としての力がかなりアップしたようだったので、女神様は何かお礼をしたいということで願い事を一つだけ叶えてくれるということで、俺に水晶板と一緒になったペンを使いのエルフ(そういえば名前聞くのを忘れていた)に渡して、願望を書かせた。
そこで俺が女神様とセックスしたい、なんて半分本気で半分冗談で書いたりしたもんだから、女神様はどういうわけか俺とのセックスを叶えるようにしてくれたようだった。
おかげで俺は女神様と楽しく、気持ちよく交尾することができたが、俺が女神の子宮内に射精した精液が原因で俺にも女神にも予想外の事が起きた。
何と子宮内で俺と彼女の子供ができてしまい、数分後には出産という形でこの世に生を受けたのだ。
結局、そのトレントは生まれてから1時間ほどで死んでしまった。
以上の事を説明したらヒョドリンとドラフォールさんは、俺の事を「旦那様」と呼ぶようになった。俺との交尾を女神が受け入れてくれたこと、そして処女であることはドラフォールさんもヒョドリンも知らなかったそうだ。その処女を俺に捧げてくれたということで、それだけ俺を愛してくれている=時間の問題で結婚=未来の夫である俺への呼び方を変えないと不敬、ということで旦那様と呼ぶようになってしまった。
馬鹿親父のゴルンルプスと元・老人の美少女二級創造神のフェランさんは、俺を慰めてくれた。
そしてアナントスは女神の元へ抗議しにいくといって聞かなかった。彼女曰く、避妊は性交の基本中の基本なのにそれを怠って子供を妊娠させて儂の婚約者を傷つけるとは何事かと、完全にアミリルス様が悪いと激怒していた。
それも一級創造神の分身の馬鹿親父ゴルンルプスと二級創造神の分身のフェランさんが何とかなだめて、抗議は中止にしてもらった。
俺の子供だったトレントは、闇の中の空間に丁寧に収納しておいた。本来なら火葬にするべきだが、俺の子供は必ず一年以内に死ぬ…この事実を忘れない為に、この子の遺体は俺が預かっておくことにした。二度と同じ過ちを犯さないために。
俺は気を紛らわせる為に、感触変化と液体吸収・浸透の魔法を自分にかけてから、限界突破の薬をえんえんと飲んでいた。別に自分を虐めたいわけじゃない。ただ起きてしまったことは変えられない。
変えられないけど、何かやらないといけなかった。それで自分を強化できる(一万本飲んでも最低レベルで、もっと飲まないと駄目らしい)限界突破の薬を飲みまくっていた。
胃や喉が痛んできたらアルティメット・ヒールを自分にかけて、ただひたすらテントの前で飲んでは空瓶を闇の中の空間に放り込む、という作業を繰り返していた。もう500本ほど飲んだ辺りでフェランさんに止められた。いくらなんでも飲みすぎだと。
一方、ミリーヤは「申し訳ありませんが、今回の騒動は半分は女神と交尾したいと願ったご主人様にも責任があります。相手が処女だとわかっていたのなら、避妊処置をするべきでした。相手が神だからどうにでもなると思っていたのでしょうが、結果はコレです。もうご主人様はアミリルス様とお会いになるべきではないと思いますが、それも難しいので結婚とかはしないで愛人になる程度で済ませておくべきだと思いますわ」
「うん。俺もそう思うよ。ただ…彼女と交尾したいと願ったのは俺なんだから、できる限りの事はアミリルス様にしておきたいと思うな。次に会ったら避妊処置はできているのか、しつこいくらい確認してから情事に入ることにするよ」
「その方がいいかと思います。あとご主人様。ひどくお疲れのようですので、ここは一晩テントの中でお休みになられた方がよろしいかと」
ミリーヤはサキュバスの頂点であるサキュバス・エンプレスだ。女帝を意味するその称号通りに人心を感じて、読み取って掌握するのが実に上手だった。
彼女のいう通りに鏡を見た俺は結構ひどくやつれていた。まさか子供ができて一日も経たない内に死んでしまったなんて思わなかった。
そして俺はまる一日、テントの中の寝袋の中で眠り続けた。
目が覚めたのは誰かがテントの近くに来たという気配を感じたからだ。
幸い髪型は乱れていない。水魔法で顔を洗ってうがいをして、すすいだ水を消し去ってからテントを出る。
そこには無表情のミリーヤがむっつりと手紙を手にして立っていた。
「おはようございます、ご主人様。どうやら少しは回復なされていたようですわね。できればもう二日ほど眠ってもらった方がよかったかと思いますが、どうもそうはいかないようですわね。また女神様からです」
「またか。どれどれ…」
と、精神的疲労を少し感じながらも渡された手紙の封筒を開けてみる。
どうも俺が寝ている間にアミリルス様からの使者がこのダンジョン内の拠点に来たようだった。そしてミリーヤとドラフォールさん、馬鹿親父のゴルンルプスやフェランさんが説明してくれたおかげで、女神様も悪いのは自分だということで、謝罪したいということでぜひ来てほしいという内容だった。
断ればこちらから謝罪しにいくと書いてあったので、俺はげんなりしながらも女神の寝室に行く為のボタンをまた押すことに決めた。どうせ断っても向こうから来るのではヒョドリン達に何を言われるかわかったものじゃない。
「お待ちください、ご主人様。女神の元へ向かわれる前に、魔皇神様から神であっても妊娠できない薬は創れないかとお伺いになるのがよろしいかと思います」
黙って手紙を読んでいた俺を見守っていた彼女は厳しい顔で、黒い四角の部分を押そうとする俺に忠告してくれた。本当にこの淫魔の女帝はいつも適格なアドバイスをしてくれる。思わぬ拾い物に感謝しながらも、俺は心の中で魔皇神に尋ねてみた。
さすがに神の妊娠までは無理かな、と思っていたら左右のブーツに、これでもかといわんばかりの10本ほどのポーションが挿し込まれていた。
その内の一本を見るとラベルには「妊娠不可のポーション。飲んでもいいし、塗ってもいいし、膣内に注入するのもOK.その効果は1級創造神でない限り妊娠することは不可能。効果時間は永遠だが、子宮内は常に変化しているので毎回使用するのがベスト」
と、長々と書かれていた。
アミリルス様への信用が下落していたのに対して、俺の魔皇神への信頼は高まる一方だった。
当然ヒョドリンに頼んだら即座に了解してくれて、妊娠不可の薬を10万本ほど作成してから、俺は手紙にある資格の部分を押して、一日ぶりに女神の寝室に転移していた。
そして俺が来ると、ベッドに座っていた白いガウンを着ていた女神がどこかぎこちない笑顔で立ち上がった。
だが獣人である俺には彼女の愛液が多量に分泌されているのを匂いで感じ取っていた。
結局、やるべきことは一つだ。勿論その点については俺が交尾したいと願わなければ、こんな事にはならなかったので、最後まで責任とってこの女神を気持ちよくさせるだけだ。彼女が俺に飽きるまで。
そういうわけで俺は駆け寄ってきた彼女を抱きしめて、強引にキスをした。
「俺とあなたの子供は死んだ。その点については俺にも半分責任がある。だからこれからはこの薬を使わせてもらおう。魔皇神が創造した神でも妊娠不能になる薬だ。これを飲むなり、子宮内に浸透させるなりして避妊処置させてもらわないと、もうあなたとは交尾できない」
闇の中の空間から取り出した青みがかった半透明の液体入った、細いポーション瓶を見て彼女は不安そうな顔になったが、無言で頷いてくれた。
「何を言っても言い訳にしかなりません。ですから今回は私をあなたの好きなようにしてください。そしてもう、あなた自身を責めないでください。悪いのは全て私なのです。あなたの怒りや情欲を全て受け止めますから、もうこれ以上悲しまないでください」
そう言ってガウンを脱ぎ捨てる彼女。同時に俺の着ている服も覇王竜の装備シリーズを除いたものが前回同様に、近くの絨毯の上に転移させられた。
俺は彼女をベッドの上に押し倒すと、素直に倒れてくれた。そして彼女の下腹部にポーション瓶の蓋を外して中身を彼女の皮膚の上に垂らしながら「液体浸透・吸収の魔法」を起動させて子宮内に透過されていくようにする。
完全にポーション瓶の中身が子宮内に透過されると、俺は感触変化の魔法を彼女にかけると、空になったポーション瓶を闇の中の空間に放り投げて、怒張している俺の分身の肉棒を彼女の中に挿入した。
前回と同じように俺は激しいピストン運動をしていった。もちろん感覚鈍化の能力も挿入と同時に起動している。
俺の肉棒が彼女の膣内を存分に掻き回して、彼女を何度も絶頂へと導いていく。
だが俺は射精しなかった。感覚鈍化の能力で肉棒が感じる快感を限界まで鈍らせていた。
ただひたすら彼女を絶頂へと導いて逝かせて、気絶するまで肉棒を激しく動かして彼女を気持ちよくさせていった。
射精しなかったのは、いくら薬を使っていたとしても…またトレントの種ができたら、と思うと怖くてできなかったからだ。
例え彼女の子宮を覇王竜の叡智で鑑定して、魔皇神の創造した薬で妊娠不可の状態になっていても、だ。
俺が彼女を逝かせはじめてから2時間ほど経っただろうか。その間、俺は一度も射精していなかった。
気絶した彼女を尻目に、役目は終わったと言わんばかりに俺は自身に浄化魔法のピュリファイをかけてから、服を着ていく。
そこで目が覚めたのか、彼女はうつ伏せになったまま口を開いた。
「まだ怒っているのですね。でも…私、そんなあなたが大好きですよ。あなたに何か願い事があれば私に可能な限り叶えてあげましょう。少なくとも前回と今回の二回は叶えてあげられますわ」
「それなら俺の創れる分身の数を今の倍の1万人にしてください。これから王国と帝国に行かないといけないからな。そこで使者のもっていた依頼書によると、できる限り多くの人民に俺の精液を飲ませてやってくれとあったからな。時間停止をかけても、こちらも分身の数を多くしないといくら時間があっても足りないので頼む」
「わかりました。…それで二つ目の願いは決まりましたか?」
「アミリルス様。今回の騒動、元を正せば俺が情欲に負けてあなたと交尾したいと願った事が原因です。だからあなたが俺が欲しくなった時はいつでも呼んでください。ただし呼び出す回数は非常事態を除けば、10回まで。次の条件を守れるようであれば、俺はあなたが気絶するまで、もしくは気絶しない場合は3~5時間という時間限定で交尾します。時間停止させても制限を決めないと俺とあなたなら永遠に、お互いに快楽を貪り合うだけです。それはお互いの為になりません。
…まず最初に王国や帝国、その他の地域に住んでいる住民と交尾している最中や俺が食事、睡眠、入浴、排泄などをしている最中に呼び出すのは禁止ですね。あと避妊の薬の使用は必須であり、義務です。それからセックスをする時の主導権は俺にあるようにしてください。どういうプレイをするのかは俺が決めるのでそれに従ってもらいます。
そして俺を呼び出す時は俺とセックスをする時だけ。情報交換や会話はセックスをしながらという事になりますので、そういう形でお願いします。お茶会や読書会をするのであれば、二人だけの時の場合は必ずセックスをしながらという淫らな形になるということを覚悟しておいてください。
あと俺にも都合があるので、俺と今後も関係を持ちたければ俺に全面的にありとあらゆる意味で協力し、支援すること。つまり俺の願いを呼び出した回数に応じて叶えてもらいます。あと最後に俺はあなたと結婚する事はありません。でもあなたの愛人にはなれますのでそれで我慢してください。半神半人の俺とあなたでは不釣り合いだ。こうしてあなたと交尾してあなたの情欲を満たす。それがあなたに性の喜びをしる切っ掛けになった俺の責任です」
そこで彼女は起き上がって、潤んだ目で俺を見た。
「違います! 私が…もっと自分の事を把握していればあのトレントは生まれなかったのです。今回、あなたが私の胎内に一切射精しなかったのも、またあのような子が生まれるのが怖かったからでしょう?
でも大丈夫です。あなたにあんな悲しい思いは二度とさせません。そして二つ目の願いですが…あなたにこの権限を与えます。これがあれば、あなたはいつでも好きな時に私のいるこの部屋に転移できます。
私があなたを呼び出した時にその回数に応じて願いを叶えるという条件、確かに承りました」
ピンク色の光の球を差し出したアミリルス様の目をみて、俺はそのまま桃色の光球を手にした。
即座に脳裏に「ラフィアス・ゾルトロンドのアミリルス様のプライベート・エリアへの参入権が認められました。あなたはいつでも女神・アミリルス様と交尾が可能です。回数に制限はありません。期間も無期限です」という機械的な音声が響き渡った。
「でもあなたは信じないでしょうが、私はあなたが好きです。愛しています。結婚してもらいたいですけど、それは時間をかけてお互いの関係を築いていけばいいだけの事です。あなたが愛人としての関係を望むのなら、それでも構いません。
私があなたを呼び出す際に願いを叶えるという条件ですが、逆にあなたが私を欲しくなって抱きに来た時にもその回数に応じて、願いを叶えることにします。一日に3回わたしを抱きにきたのなら、3回分ですね。
それが私があなたを全面的に協力し、支援するという証になるでしょう。私自身に手が出せない内容でも、私の兄弟や部下達がいますから、大抵の願い事は叶えられる自信がありますので、遠慮なく言ってくださいね」
おいおい。それじゃ俺にとって絶対的に有利じゃねーか。さては女神様、願い事を餌に俺をおびき寄せる魂胆だというわけか。それならこっちも少し脅してやろう。
「…本当にいいのか? 俺が来るのはアミリルス様。あなたと交尾したい時だ。体目当てだぞ? そしてあなたとのセックスは俺に主導権がある。つまりあなたは俺に強姦されても文句はいえないということになるが?」
「それでも構いません。あなたは本来、痛みを感じるはずの感覚を快楽に変える魔法を使っていますね? そういう心配りをするあなただからこそ愛しているのです。あなたがどんな状態になっても、例え性交が不可能になってもこの気持ちは変わりません。なんならアナントスの前で誓約しましょうか?
だから強姦されても、私の体が目当てでも構わないです。きっとあなたは私を気持ちよくするように細心の注意を払うでしょうから
私…邪神達との戦いでは彼等の放つ瘴気のせいで、一時はすごく醜い老婆の姿で眠っていたんですよ?
ずっとこのままの姿なのか、もう元の姿には戻れないんだろうか、ずっとそんな事ばかり考えていました。
今は元の姿に戻れましたけど、私が本来の姿と力を取り戻せたのは、ラフィアス。あなたのお供えしてくれた精液ポーションのおかげなのですよ?」
見透かされている。俺が彼女が性に目覚める原因を創った元凶だということに責任を感じていることを見抜いているのだ。
精液ポーションも大量に特定の神に何度もお供えすれば、力を回復させることができるのはわかっていたが、瘴気に侵された神をも癒して復活させられるとは思わなかったな。
だが結果的にそうなっただけだ。彼女がどんなに俺を恩人として見て愛しても、俺にはこの女神を愛していないのだから。
「強姦でもいいのなら、俺は来たくなるかもしれないな。考えておこう」
そう言いながら俺はダンジョンの地下131階層へと転移した。アナントスや魔皇神と話し合わないといけないからな。彼女が口約束で俺を騙すとは思えないが、念には念をいれておかないと。
それにこれは魔皇神、アナントスにも言えることだが、アミリルス様が俺に恋をすることで三角関係ならぬ四角関係になってしまった。いや、俺が悪いんだけど。
そうなると三つ巴の血まみれの修羅場が始まってしまうから、もっと上位の神の助けを借りないといけなくなるかもな。
とにかく、アミリルス様達には俺を巡って殺し合いにならないように誓約させないと。
その為にもっといい方法はないかと、俺はダンジョンの中で俺を崇拝する為に跪くドラフォールさんを叱っているミリーヤを見て考えるのだった。
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