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第157話 闇の獣人、寒さ対策の為に必要な素材を集めるので人魚を生け捕りにする
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最初は違和感しか感じなかった。
だがそれが悲鳴であり、俺に助けを求めているがわかる。俺の精液を飲んだ者、それが飴や丸薬であろうと関係なしに俺とは魂の繋がりができるように、魔皇神及び冥界からの使者の死神に頼んでおいたのだが…それが稼働したようだった。
何度も俺が精液ポーションを捧げたので、また冥王様からの使いが来たので、それならと俺の精液を一度でも飲んだ者の魂と繋がりができるようになり、その状態もアビリティなしでわかるようにしてもらったのだ。
ちょうどその頃は、王都ジェルロンドの貧民街に住む連中の為に何かいい服でも作ってやろうと機織りをしていた俺の脳裏に、子供達の悲鳴が響き渡った。
緊急事態…なのか? 俺は背後の死神に聞いてみると「ヴァイソン村に移住した元・貧民街の住人の子供達が漁に出る為の練習をしていたら、人魚に襲われた」
俺は性奴隷の魔皇神を召喚した。性奴隷になった以上は俺の命令は絶対だ。やろうと思えば性奴隷が嫌だと思っていても強引に支配し、性奴隷の意志に反してやりたくないと思っているような動作や行動もとらせることができる。
もともと魔皇神は表に出てはいけないが、このダンジョンの地下131階層なら大丈夫だろう。
実際にすんなりと姿を現した。
子供達の位置を把握するのに時間がかかるので、魔皇神に探すように命じたら、これもあっさりと了承してくれたので、銀色の目が虚空へと動く。おそらく探査しているのだろう。
そして30秒ほどで子供達の位置をつきとめたようだった。無言で俺の手をつかむと、脳裏に情景が浮かんでくるが…これはひどい。
人魚が小さな舟をひっくり返して、子供達が海に投げ出された情景が浮かんだ。
すぐに自在門を開くと、俺は現場に駆け付けた。とにかくこの性悪人魚は陸の上に放り投げて、自在門の前に立っている魔皇神に人魚を逃がしたり、死なせたりしないようにと命じておいた。
俺の命令に無言で頷いたので、俺は子供達を探してみた。
やっぱり泳いで逃げたのか、動きがない子供は一人だけだった。鑑定してみると「溺死による死亡」とあった。
念動のアビリティで子供を浮かべて俺の前に持ち上げてみる。
そしたら浜辺で2人の子供達の泣き声が聞こえた。「霊魂解析」で魂を調べてみたら、どうもこのエリーンという少年が金槌で泳げないということは知らなかったらしい。
だから舟に乗せてしまい、人魚の襲撃にあってエリーンを死なせてしまった事を悔やんでいるのか。
俺は子供達を連れて、念には念を入れて「結界移動」を使って少年達と共にヴァイソン村へと移動した。
エリーンは頭がいいが、運動は得意でない、典型的なインドア派の少年だった。
だが他の2人のアルロスとヴィンデの誘いを断り切れず、漁師になる為の練習に付き合わされたらしい。
アルロス達の考えは間違ってはいない。王都ジェルロンドなら就職先はいくらでも見つかるだろうが、このヴァイソン村では畑を耕すにしろ、漁師をするにしろ、体力がないと話にならない。
それも村長の息子だったらよかったのだろうが、エリーンは親無しの孤児だった。
だから貧民街で育って、いつか教師になるという夢を持ち、文字の読み書きも普通の子供の3倍以上の速さで覚えたそうだ。
だが現実は厳しい。孤児で金もコネももっていないエリーンが教師になれるという可能性は、ゼロに等しい。
それでも文字の読み書きができない大人や子供に教える才能はあったので、貧民街で生きる分にはそれほど不自由な思いはしていなかったようだった。
俺が以前、本の神に頼んで初級算術、中級算術、上級算術を算術ならあっさり習得したので、ヴァイソン村でも文字の読み書きができない大人や幼児達に教える為に派遣されたらしい。
それがアルロス達には面白くなかったのだろう。自分達と大して変わらない年の少年が、自分達よりも頭がいいのだから、嫉妬して当然だ。
だが体力があまりないということを知ったこの二人は、エリーンもこの村で暮らす以上は、舟をこいだり、魚や網の使い方を知った方がいいと、しつこく迫ったんだそうだ。
だがまさか、人魚に襲われるとは思わなかったらしい。
そしてエリーンが泳げないことも知らなかったと泣きながら俺や村の住民達に説明していた。
二人は村長宅へと強引に引っ張られていった。
「聖者様。お願いします! セリールさんはいい人なんですが…その、怒ると見境がつかなくなってしまって。エリーンが死んだことであの二人に苛烈な罰を与えかねません。どうか村長がやりすぎた場合は止めていただけませんか? それができるのは聖者様しかおりません!」
と、薬屋の老婆が両手を組んで必死に懇願してきた。俺は無言で頷くと村長宅へと移動した。
俺はアルロス達を殴り続ける村長セリールを無言で見ていた。
だが子供達が鼻血を出し始めた頃から、「束縛の多頭蛇」のアビリティを使って、セリールを拘束した。
もう一人の村長アナキア(もともとこの村の住人は王都ジェルロンドの東と西の住民の中で、村で生活するのに適した人材から選ばれた存在だった)が俺を何故止める? と言わんばかりの目で見つめてきた。
「アルロス達に対するお仕置きはもうそれで十分だろう? お前はアルロス達を撲殺するつもりか?」
「し、しかし! エリーンを死なせたこいつらに対する罰としてはまだ軽すぎます! いくら聖人様でも赤子ならまだしも、12歳の少年までは生き返らせることなど…」と、多頭蛇に拘束されたままセリールが叫んでいる。
「生き返らせる? もちろんできるぞ?」
「そう。いくら聖人様であっても…はっ? い、今何と仰いましたか?」
「いや、だから死んで一週間以内なら蘇生はできると言ったんだが? もっともあまりに遺体の損傷が激しかったり、遺体が寿命を迎えた場合は蘇生は不可能だが…それに蘇生させると、蘇生した者の寿命が縮むからあまり公言しなかったんだがな。だがこのエリーンという少年は十分に蘇生できるぞ?」
「そ、それじゃどうしてもっと早く蘇生してくれなかったんですか?」とアナキアが責めるような声を出す。
何か気に入らない反応だったので、俺は念動のアビリティを使ってアナキアを天井に叩きつけてやった。
痛みと衝撃で声も出せない愚かな青年の両手両足を広げて、大の字にさせて天井に張り付かせておく。
そして俺自身も宙に浮かんで、アナキアの顔の近くまで浮上した。時空魔法もあるし、覇王竜のマントもあるのでこんな芸当なんて朝飯前だ。
「俺がそうしようとしたら、セリールがいきなりアルロス達をここに連れ込んで、殴り始めたからだろうが。あいつらには罰が必要だったとはいえ、少しやり過ぎだ。あのままあいつを拘束しておかなかったら、セリールがアルロス同様に人殺しになっていた所だったぞ? そして俺のようにセリールを諫めたり、止めなかったお前に俺を責める権利があるのかな?」
ダラダラと顔中を脂汗で一杯にしているアナキア。
「一つ一つ…あなた様の仰る通りです。私が間違っていました。今後はセリールを諫めるように努力しますから。どうか私を床の上に戻してくれませんか? いつ落ちるかと思うともう…気が狂いそうです」
「下してやるが、セリール共々、必要以上のお仕置きはしないと俺の婚約者にして蛇と誓約の神アナントスに誓え。セリールがやったことはもはや罰じゃない。ただの暴力だ。そしてそれを止めなかったお前も同罪だ。もしも誓約ができなければ一生、天井に張り付いたままにしてやる。もちろんセリールもだ。お前が誓約しないのなら、一生その蛇に絡まれたまま生きるようにしてやる」
俺の脅しに、彼らは涙を浮かべながら誓約します! と大声で宣言した。
一応、村人同士で協力するように事前にアナントスに誓約したはずだが、今回は悪意があってやったわけじゃないのが難点だな。セリールもエリーンが死んでいなければここまで頭に血が上らなかっただろうし。
こうして俺は二人を誓約させて、馬鹿な子供二人と大人二人をアルティメットヒールで癒してから、エリーンの遺体を抱きかかえて、村長宅の周囲に群がっている人々の前で溺死したエリーンを蘇生させてやった。
目を開けて起き上がると同時に激しくせき込んで、海水を体外に出すエリーンに俺はパーフェクトヒールとアルティメットヒールをかけてやった。
そして泣きながらエリーンにしがみついて、謝罪しまくるアルロスとヴィンデ。
「ごめんよごめんよエリーン! おれ、お前が泳げなかったことを知らなかったんだよぉ!」
「俺も俺も! まさか人魚が出るとは思わなくって! 舟がひっくり返されるとは思わなくって…ほんとにごめんな…」
それからは俺が死人の蘇生はできても、遺体の損傷が激しい場合や灰になっている場合は不可能ではないが、極めて難しくて蘇生できないこともあるということ。
また蘇生に成功しても、復活した人物の寿命が縮むこともヴァイソン村の住人に説明しておいて、他言無用であるということを何度も言ってから、今後は村人同士で争わない、必要以上の罰や暴力は禁止、そして俺が死者の蘇生ができるというのは、俺の許可なしでしゃべったり、他の方法で他者に伝えることは一切禁止ということを、アナントスの前で全員に誓わせた。
ただこのままだと俺が怖れられるばかりなので、作り置きしておいたケーキや菓子を片っ端から出して、村人達にプレゼントしてやった。
もともと貧民街で生活していた連中である。この村に来てからも甘い物といえば、俺の精液を変化させた飴くらいだろう。
さすがにそれじゃ可哀想だったので、4段以上の結婚式でないとまず出てこないほどの大きなケーキとかも出してやったら、全員が感涙しながらお菓子とかを次々と食べていった。
こうして俺は村人達に大変感謝されて、ダンジョンの地下131階層に戻ってきた。
そこでは舟をひっくり返した人魚が両手を後ろに回した状態で拘束されている。
両手を縛っているのは、サキュバス・エンプレスのミリーヤの持っている鞭を変形させたものだそうだ。
「ご主人様…あなた様を不快にさせたこのお馬鹿な人魚の処遇、どういたしましょうか?」
すでに死人が出ているからなあ。本当にどうしたらいいんだろう。知らなかったとはいえ、俺を崇拝する子供を溺死させたんだからな。怒りも強すぎると冷静になってしまう、という話を聞いたことがあるが、それは真実だったようだ。
確か人魚って素材としても高レベルなんだっけ。肉とかいろいろな伝説があるし。
さて、この人魚…どうしてくれようかな?
だがそれが悲鳴であり、俺に助けを求めているがわかる。俺の精液を飲んだ者、それが飴や丸薬であろうと関係なしに俺とは魂の繋がりができるように、魔皇神及び冥界からの使者の死神に頼んでおいたのだが…それが稼働したようだった。
何度も俺が精液ポーションを捧げたので、また冥王様からの使いが来たので、それならと俺の精液を一度でも飲んだ者の魂と繋がりができるようになり、その状態もアビリティなしでわかるようにしてもらったのだ。
ちょうどその頃は、王都ジェルロンドの貧民街に住む連中の為に何かいい服でも作ってやろうと機織りをしていた俺の脳裏に、子供達の悲鳴が響き渡った。
緊急事態…なのか? 俺は背後の死神に聞いてみると「ヴァイソン村に移住した元・貧民街の住人の子供達が漁に出る為の練習をしていたら、人魚に襲われた」
俺は性奴隷の魔皇神を召喚した。性奴隷になった以上は俺の命令は絶対だ。やろうと思えば性奴隷が嫌だと思っていても強引に支配し、性奴隷の意志に反してやりたくないと思っているような動作や行動もとらせることができる。
もともと魔皇神は表に出てはいけないが、このダンジョンの地下131階層なら大丈夫だろう。
実際にすんなりと姿を現した。
子供達の位置を把握するのに時間がかかるので、魔皇神に探すように命じたら、これもあっさりと了承してくれたので、銀色の目が虚空へと動く。おそらく探査しているのだろう。
そして30秒ほどで子供達の位置をつきとめたようだった。無言で俺の手をつかむと、脳裏に情景が浮かんでくるが…これはひどい。
人魚が小さな舟をひっくり返して、子供達が海に投げ出された情景が浮かんだ。
すぐに自在門を開くと、俺は現場に駆け付けた。とにかくこの性悪人魚は陸の上に放り投げて、自在門の前に立っている魔皇神に人魚を逃がしたり、死なせたりしないようにと命じておいた。
俺の命令に無言で頷いたので、俺は子供達を探してみた。
やっぱり泳いで逃げたのか、動きがない子供は一人だけだった。鑑定してみると「溺死による死亡」とあった。
念動のアビリティで子供を浮かべて俺の前に持ち上げてみる。
そしたら浜辺で2人の子供達の泣き声が聞こえた。「霊魂解析」で魂を調べてみたら、どうもこのエリーンという少年が金槌で泳げないということは知らなかったらしい。
だから舟に乗せてしまい、人魚の襲撃にあってエリーンを死なせてしまった事を悔やんでいるのか。
俺は子供達を連れて、念には念を入れて「結界移動」を使って少年達と共にヴァイソン村へと移動した。
エリーンは頭がいいが、運動は得意でない、典型的なインドア派の少年だった。
だが他の2人のアルロスとヴィンデの誘いを断り切れず、漁師になる為の練習に付き合わされたらしい。
アルロス達の考えは間違ってはいない。王都ジェルロンドなら就職先はいくらでも見つかるだろうが、このヴァイソン村では畑を耕すにしろ、漁師をするにしろ、体力がないと話にならない。
それも村長の息子だったらよかったのだろうが、エリーンは親無しの孤児だった。
だから貧民街で育って、いつか教師になるという夢を持ち、文字の読み書きも普通の子供の3倍以上の速さで覚えたそうだ。
だが現実は厳しい。孤児で金もコネももっていないエリーンが教師になれるという可能性は、ゼロに等しい。
それでも文字の読み書きができない大人や子供に教える才能はあったので、貧民街で生きる分にはそれほど不自由な思いはしていなかったようだった。
俺が以前、本の神に頼んで初級算術、中級算術、上級算術を算術ならあっさり習得したので、ヴァイソン村でも文字の読み書きができない大人や幼児達に教える為に派遣されたらしい。
それがアルロス達には面白くなかったのだろう。自分達と大して変わらない年の少年が、自分達よりも頭がいいのだから、嫉妬して当然だ。
だが体力があまりないということを知ったこの二人は、エリーンもこの村で暮らす以上は、舟をこいだり、魚や網の使い方を知った方がいいと、しつこく迫ったんだそうだ。
だがまさか、人魚に襲われるとは思わなかったらしい。
そしてエリーンが泳げないことも知らなかったと泣きながら俺や村の住民達に説明していた。
二人は村長宅へと強引に引っ張られていった。
「聖者様。お願いします! セリールさんはいい人なんですが…その、怒ると見境がつかなくなってしまって。エリーンが死んだことであの二人に苛烈な罰を与えかねません。どうか村長がやりすぎた場合は止めていただけませんか? それができるのは聖者様しかおりません!」
と、薬屋の老婆が両手を組んで必死に懇願してきた。俺は無言で頷くと村長宅へと移動した。
俺はアルロス達を殴り続ける村長セリールを無言で見ていた。
だが子供達が鼻血を出し始めた頃から、「束縛の多頭蛇」のアビリティを使って、セリールを拘束した。
もう一人の村長アナキア(もともとこの村の住人は王都ジェルロンドの東と西の住民の中で、村で生活するのに適した人材から選ばれた存在だった)が俺を何故止める? と言わんばかりの目で見つめてきた。
「アルロス達に対するお仕置きはもうそれで十分だろう? お前はアルロス達を撲殺するつもりか?」
「し、しかし! エリーンを死なせたこいつらに対する罰としてはまだ軽すぎます! いくら聖人様でも赤子ならまだしも、12歳の少年までは生き返らせることなど…」と、多頭蛇に拘束されたままセリールが叫んでいる。
「生き返らせる? もちろんできるぞ?」
「そう。いくら聖人様であっても…はっ? い、今何と仰いましたか?」
「いや、だから死んで一週間以内なら蘇生はできると言ったんだが? もっともあまりに遺体の損傷が激しかったり、遺体が寿命を迎えた場合は蘇生は不可能だが…それに蘇生させると、蘇生した者の寿命が縮むからあまり公言しなかったんだがな。だがこのエリーンという少年は十分に蘇生できるぞ?」
「そ、それじゃどうしてもっと早く蘇生してくれなかったんですか?」とアナキアが責めるような声を出す。
何か気に入らない反応だったので、俺は念動のアビリティを使ってアナキアを天井に叩きつけてやった。
痛みと衝撃で声も出せない愚かな青年の両手両足を広げて、大の字にさせて天井に張り付かせておく。
そして俺自身も宙に浮かんで、アナキアの顔の近くまで浮上した。時空魔法もあるし、覇王竜のマントもあるのでこんな芸当なんて朝飯前だ。
「俺がそうしようとしたら、セリールがいきなりアルロス達をここに連れ込んで、殴り始めたからだろうが。あいつらには罰が必要だったとはいえ、少しやり過ぎだ。あのままあいつを拘束しておかなかったら、セリールがアルロス同様に人殺しになっていた所だったぞ? そして俺のようにセリールを諫めたり、止めなかったお前に俺を責める権利があるのかな?」
ダラダラと顔中を脂汗で一杯にしているアナキア。
「一つ一つ…あなた様の仰る通りです。私が間違っていました。今後はセリールを諫めるように努力しますから。どうか私を床の上に戻してくれませんか? いつ落ちるかと思うともう…気が狂いそうです」
「下してやるが、セリール共々、必要以上のお仕置きはしないと俺の婚約者にして蛇と誓約の神アナントスに誓え。セリールがやったことはもはや罰じゃない。ただの暴力だ。そしてそれを止めなかったお前も同罪だ。もしも誓約ができなければ一生、天井に張り付いたままにしてやる。もちろんセリールもだ。お前が誓約しないのなら、一生その蛇に絡まれたまま生きるようにしてやる」
俺の脅しに、彼らは涙を浮かべながら誓約します! と大声で宣言した。
一応、村人同士で協力するように事前にアナントスに誓約したはずだが、今回は悪意があってやったわけじゃないのが難点だな。セリールもエリーンが死んでいなければここまで頭に血が上らなかっただろうし。
こうして俺は二人を誓約させて、馬鹿な子供二人と大人二人をアルティメットヒールで癒してから、エリーンの遺体を抱きかかえて、村長宅の周囲に群がっている人々の前で溺死したエリーンを蘇生させてやった。
目を開けて起き上がると同時に激しくせき込んで、海水を体外に出すエリーンに俺はパーフェクトヒールとアルティメットヒールをかけてやった。
そして泣きながらエリーンにしがみついて、謝罪しまくるアルロスとヴィンデ。
「ごめんよごめんよエリーン! おれ、お前が泳げなかったことを知らなかったんだよぉ!」
「俺も俺も! まさか人魚が出るとは思わなくって! 舟がひっくり返されるとは思わなくって…ほんとにごめんな…」
それからは俺が死人の蘇生はできても、遺体の損傷が激しい場合や灰になっている場合は不可能ではないが、極めて難しくて蘇生できないこともあるということ。
また蘇生に成功しても、復活した人物の寿命が縮むこともヴァイソン村の住人に説明しておいて、他言無用であるということを何度も言ってから、今後は村人同士で争わない、必要以上の罰や暴力は禁止、そして俺が死者の蘇生ができるというのは、俺の許可なしでしゃべったり、他の方法で他者に伝えることは一切禁止ということを、アナントスの前で全員に誓わせた。
ただこのままだと俺が怖れられるばかりなので、作り置きしておいたケーキや菓子を片っ端から出して、村人達にプレゼントしてやった。
もともと貧民街で生活していた連中である。この村に来てからも甘い物といえば、俺の精液を変化させた飴くらいだろう。
さすがにそれじゃ可哀想だったので、4段以上の結婚式でないとまず出てこないほどの大きなケーキとかも出してやったら、全員が感涙しながらお菓子とかを次々と食べていった。
こうして俺は村人達に大変感謝されて、ダンジョンの地下131階層に戻ってきた。
そこでは舟をひっくり返した人魚が両手を後ろに回した状態で拘束されている。
両手を縛っているのは、サキュバス・エンプレスのミリーヤの持っている鞭を変形させたものだそうだ。
「ご主人様…あなた様を不快にさせたこのお馬鹿な人魚の処遇、どういたしましょうか?」
すでに死人が出ているからなあ。本当にどうしたらいいんだろう。知らなかったとはいえ、俺を崇拝する子供を溺死させたんだからな。怒りも強すぎると冷静になってしまう、という話を聞いたことがあるが、それは真実だったようだ。
確か人魚って素材としても高レベルなんだっけ。肉とかいろいろな伝説があるし。
さて、この人魚…どうしてくれようかな?
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