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第121話 闇の獣人、シャイターンの仲間全員をぶちのめしてどうするか考える

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 こいつは力で屈服させたわけじゃなくて、単に網の中に捕らえただけだったので未だに反抗的な態度をとっているのが気に入らなかった。

 とにかくこっちが質問してもぜんぜん聞いていない。答えたとしてもウソばかり。…まあ霊魂解析のアビリティがあるから、ウソついても俺のおまえらに対する心証が悪くなりばかりで、自分で自分の首を絞めているってことがわかっていないのが哀れといえば哀れか。

 そしてこいつの魂を解析してみたら、仲間があと4人はいる。全員がシャイターンで男があと二人。女が二人いるが、全員が孤児で売られて怪しい実験の犠牲になったという悲しい過去をもっていた。

 どうもこの実験。儀式魔法の一種らしい。何年か特殊な薬品を飲ませてそれに耐えられるほどの人間なら、悪魔になれるらしいとこの少年の魂の解析からしてわかったが、彼は直接聞いたわけじゃなくて、小耳に挟んだ程度ということらしいので、どこまでが真実なのかはわからない。

 いわゆる眉ツバものの噂話に等しい。まあ仲間がいるってことがわかったので、こいつは「無形の刃」で斬ったら網ごとビクン! と大きく動いて反応した。

 まあ抵抗できない所をなぶる趣味はない。特にこいつらみたいに無理矢理、悪魔に変えさせられた連中となれば尚更だ。

 ただ格の違いはわかってもらわないといけないので、また「無形の刃」で2度、3度と攻撃していったら、5回目で反応を示さなくなった。

 「新・覇王竜の叡智」で鑑定してみたら、完全に気絶していると出たので、こいつを捉えている網ごとひきずって奥の方へと歩いて行った。

 アナントスは相変わらず、俺の腕に絡みついたまま眠っている。まだ俺が危険な状態じゃないからな。

 問題はこいつらの処遇をどうするかだ。その時はアナントスに誓約させてしまえばいいんだが、そこまでもっていくのに説得なんて俺にはできそうにもないしな。

 第一、悪魔化させられた側からしたら、ただの獣人に降参しろとか言われたり、他の生き方もあるとか言われても素直に納得なんかしないだろうな。

 暴力無しだと時間がかかる。だから時間がかからないようにボッコボコにする。

 …うん。乱暴だ。野蛮人だな、この方法。

 だけど相手が悪魔化しているってことは、その悲惨な状況もそうだが、身も心も悪魔になってしまっている場合はやはりぶちのめすしかないんだよな。

 実際に砂漠の街が被害にあっているし。しかもでかい蜘蛛と大きな蛇の二重攻撃と来たからな。

 俺が出張らなきゃ、確実に街の住人の大半は蜘蛛達に食われていたか、破壊された家屋の下敷きになって死んでいただろうしな。

 このまま見過ごすわけにはいかない。正直に俺の言うことに従うのなら暴力はなし。

 だが少しでも逆らうようなら、手加減はするが殴る。

 これでいいじゃないか。俺には強力な回復魔法もあるんだし。

 そう考えながら、奥のでっかい割れ目から入っていくと、奥の方に4人の男女がいた。

 全員、炎の魔法を撃つ準備をしている。俺は機先を制して「多頭蛇の拘束」で2人ほど拘束するこにした。

 後は、真空の刃を俺に飛ばしてくる奴がいた。真紅の髪のシャイターンだ。

 だが遅い。おそらく俺が仲間の白い髪のシャイターンを拘束した網をもっているせいで、範囲型の魔法を使うのをためらって、単体攻撃用の風の刃に切り替えたんだろうな。

 それが命とりだ。俺は念動のアビリティで羽を引っ張って、天井にぶつけてやった。

 そんな攻撃をされるとは思わなかったんだろう。まともに天井に叩きつけられた真紅の髪のシャイターンは、そのまま気絶して、地面の上に落下したのを俺がまた、念動のアビリティで支えてから、新たに作った「束縛の多頭蛇」で拘束。

 残りの金髪のシャイターンは剣で俺に斬りかかってきた。

 俺はそのまま金髪の剣をまともに食らってやった。…うん。やっぱり痛くない。

 「どうした? その程度か? ぜんぜん利いてないぞ?」と挑発してみたら、すぐに顔を真っ赤にして、魔力を纏わせて斬りかかってきたが、結果は同じだった。

 斬られても、突かれても、剣身で叩かれてもビクともしない俺に、とうとう金髪のシャイターンは降参した。

 後はこいつらを俺とアナントスが協力して作った特殊空間に、網の中の奴を入れて5人全員を隔離してやった。


 
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