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第105話 闇の獣人、世界一高い山に登って空気清浄機となる

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 蛇の神アナントスと一緒に時間停止空間の中を移動した俺は、アナントスに運ばれたまま空を飛んでいる。

 結構早い。少なくとも俺がアビリティ増強で空を100倍速で飛んでいるよりも速いのは確かだ。

 それなのにほとんど風を感じないのは、アナントスが俺を風圧から守ってくれているからだ。

 俺を大事そうに抱えているアナントスは、現在の所、首が11も生えている多頭蛇もどきだ。

 もどきといったのは、手足が生えているからだ。

 よりわかりやすく言うと、もう羽の生えていない角なしの、首が沢山生えているドラゴンといっても過言ではないのだ。

 しっかりとした前足と、その巨体を支えるのにふさわしい大きくて太い後ろ足。

 そして多くの首に全身をキスされては、くすぐったいのを必死に我慢している俺。

 もちろん俺は全裸のままで、首の一つが俺の肉棒を口の中に咥えこんでいるので、単発ではあるが射精してやっている。精液濃度は「王者の霊衣」でマント最高の5万枚にしたままだ。

 しかし…こうしてみるとアナントスってもう蛇の神様じゃないような感じがするな。

 かといって竜でもないしな。竜といっても地竜とか水竜とかは翼が生えていないけど、角が生えているし。

 明らかに彼女はパワーアップしている。それはアナントス自身も自覚しており、出かける前に井戸の護衛をしている眷属の蛇が数万から数十万にまで増設可能だと、鼻息を荒くして言っていた。

 それだけ彼女の神力(神としての力)が上がっているということなんだろうな。

 このまま俺の「王者の霊衣」で増大した覇王竜のマント5万枚分の精液を飲み続ければ、マジでドラゴンになるかもしれない。

 そうなると多頭蛇じゃなくて多頭竜になるのかな?

 そんな事を考えていると、体に感じる風が弱まってきた。どうやらメレキアーナ山の頂上に着いたらしい。

 沢山の蛇の首から解放されて、俺は肩を揉みながら山の上に降り立つ。

 ちなみに俺の装備は覇王竜のマント、額飾り、ブーツ、指輪といったおなじみのものだ。

 これから射精しまくるので衣服は着用していない。

 後は光の大精霊達と風の大精霊達に命じて、俺が射精した精液を光の粒に変えて風に乗せるのが光の大精霊の仕事にして、風を世界中に運ぶのが風の大精霊達の仕事としてやるように命じた。

 そして俺は覇王竜の精気をアクティブにしてから、倍速を50倍くらいにして射精しまくってみた。

 すると鈴口から光の噴水ともいうべき精液が次々と噴出していく。

 それは頂上で風が本来は強いのだが、時間停止させている空間なので、光の大精霊が俺の射精した光る精液を光の細かい粒に変える。

 それと同時に風の大精霊が光の粒を世界中に運ぶべく、強い風となって俺の全身から生えている獣毛をなびかせながら、右から左へと吹いていく。

 分身を使おうかと思ったんだが、いくらなんでも5万倍にしている状態では強すぎると思ったので、アナントスには悪いが俺の側で警護してもらうことになっている。

 彼女には特に不満はないようだった。ここに来る前に俺の精液をさんざん飲んだし、ここに来る途中も俺の精液を飲んでいたんだからな。

 こうして俺は世界中に浄化された空気を循環させるべく、ひたすら射精しまくった。

 こうやって射精しまくっていけば、浄化された空気が世界中に充満する。

 当然ながら邪神達や悪魔達にとっては不快なものになる。何しろ正面きって戦うには、神々の側も邪神や悪魔の側も戦力が足りないからだ。

 だから手駒となる人間を操ろうとする。その為に人間の心の隙間をついて操ろうとするのだが、空気が清浄だと人間が嫉妬や闘争、怠け心を起こしにくくなるのだ。

 逆に空気が淀んでいたり、汚れていると心がマイナスの方に傾いてしまう。

 そうなると嫌なことばかり考えるようになり、犯罪を起こさないまでには至らなくても、何もする気力が涌きあがらなくて、ただ生きているだけの無気力状態になってしまう。

 そうならない為にもここで射精するのは大切なことだ。こうやって精液濃度5万倍の精液を射精し続けていれば、汚染地域の拡大とか食い止められるかもしれない。

 もしくは現在、苦境に立たされている人間や獣人に活力を与えられるかもしれない。

 たださすがに精液そのままだとまずいし、錠剤や粉末にするにしても限度があるので、こうして光の粒に変換して風に乗せて世界中に運んでいるのだ。

 そして邪神達は誰がこんな事をしたのかと調べるだろう。そして俺がその精液の持ち主だということがわかれば、向こうから来てくれるかもしれない。

 というのも若干イライラしていたのも事実だ。あれだけ多くの都市を作って破壊したというのに、邪神はおろかその眷属さえも姿を全く見せなかったんだからな。

 それに調理のアビリティを上げて16レベルほどになってから、俺の信者じゃない元・料理人の魂を死神に頼んで来てもらい、俺の作った貝料理のスープを食べてもらった。

 すると確かに美味しくて一流の腕前だが、これは腕が良ければ誰にでも作れてオリジナリティーがないと言われてしまって、ちょっとガッカリしたことがあったからだ。

 もちろん逆ギレなんてみっともなくてできないから、死神に頼んでまた冥界にその元・料理人には戻ってもらったんだが…。

 それからはアビリティをチェックするのも身が入らないわ、他に何か料理しようとしても…どうせ腕が良ければ俺じゃなくても作れるから、無理してアビリティのレベルを上げなくてもいいんじゃないか、という考えが浮かんで調理をする気が萎えてしまった。

 そんな時には射精するのがいい。セックスもいいが、一緒に逝ったりしなければ興醒めするという事でもある。

 女であれ男であれ、誰かとセックスをするというのは共同作業なので気持ちよくなる為には、相手に合わせないといけない。それがセックスの長所であり、短所でもある。

 だがこうして山の山頂からひたすら時間停止させて射精し続けるのはいい。相手に合わせる必要がなくて、好きな時に射精できるからだ。気を遣う必要がなくて一人できままに、という意味では最高だといえる。
 
 毎回射精時の快楽を味わい続けていても、「王者の霊衣」の効果を5万倍に上げているので、射精時の快楽に酔いしれたり、快楽に狂うことがないのだから。

 そうして俺は山頂の岸壁に寄りかかったまま、ひたすら怒張したムスコから噴出する精液が光の粒に変わって、風に乗って流されていくという幻想的な風景をずっと見ていた。

 そしていつのまにか半覚醒状態になっていたらしい。頂上の岸壁に寄りかかっていた状態から、前のめりになって落ちそうな所をアナントスの首の一つが俺の胴体に巻き付いて支えてくれた。

 「あぶなかったの。お前さんが睡眠不要のアビリティをもっているから寝ないと思っていたが…疲れたのかの?」

 「ごめん。ちょっと幻想的な風景に心を奪われていたみたいだ。落ちそうな所を支えてくれてありがとうな」

 「まあ最近はいろいろあったからのー。あっちこっちの村や街に行ってアビリティを設置したり、武器や防具の精霊達を神に昇華させたり。それにそろそろ射精して浄化した風を世界中に行きわたらせるのは、もう十分だと思うんじゃがな。時間停止空間の中じゃからわかりづらいとは思うが、現実時間に例えれば一月ほどお前さん射精しまくっておるし」

 「えっ!? も、もうそんなに経ったの? 俺、そんなに長い間ボーッとしていたのかな?」

 「体感時間としては射精を始めてから、一時間ほどでそんな感じじゃったぞ?」

 うわー。そんなに俺って長い間、寝ぼけているのに近い状態で射精しまくっていたんだ…。

 そりゃ寝ている間も連続射精できるように設定できるけどさ。まさかこんな凡ミスを俺がするなんて…そりゃ崖から転がり落ちてもほとんどダメージ受けないし、仮に受けたとしてもすぐに回復するからいいんだけどね。

 それでも体感時間で一ケ月かぁ…。それじゃもう射精しなくてもいいよな。でもそんなに時間が経っていたのか。飲食不要、睡眠不要、排泄不要、入浴不要のアビリティもっているから、こういう意味で祟るとは思わなかったよ。

 俺が覇王竜の精気をパッシブにして、飛び散った光る精液を浄化魔法ピュリファイで綺麗にしたら、どこからか遠くで声がしてきた。それは空中を移動してきているようで、俺の側に木の枝でできたとしか形容しようがない服を着た緑の髪の子供が降りてきた。

 「あのー。もしもし…。私、大地の中級精霊のゾフィアという者なんですが、先程からきれいな空気を沢山作ってくれた聖者様で間違いないでしょうか?」

 「聖者というのは間違っているとは思うが、射精してその精液を光に変えて世界中に風に乗せて運ばせているのはこの俺だが」

 「それならお願いがあります。実は私のご主人様の霊木に力を与えてあげてほしいんです。あなたさまのその不思議な精液の力で。どうか、どうかお願いします!」

 岩や石だらけの地面の上に這いつくばるゾフィアを見て、俺は困惑した顔をアナントスに向けるしかなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 樹木の中級精霊ゾフィアが登場しました。ソフィアじゃなくてぞふぃあですからね。

 ぞが付くのが特徴です。そんな彼女が持ちかけた依頼とはなんなんでしょうか。

 そして全裸の獣人に土下座する大地の中級精霊の図…。シュールすぎますね。

 そんなわけでラフィアスが常識の大切さを次回、知る予定です。

 読んでくれてありがとうございます。

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