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第47話 闇の獣人、口止め料という名の献上品を用意する

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 レヴィンの部屋へ転移すると、寝ないで待っていてくれた彼に、俺は皇子が呪いにかかっていること。その呪いを放置しておくと、どんどん若返って赤ん坊に戻って死ぬんだということも説明した。

 そしてその呪いを消すことはできないが、緩和させることは可能で、若返りを遅らせるために皇子は一日に精気の塊である獣人の精液を三回は飲まなければいけないということ。明日は皇子と宰相と獣人の二人の近衛騎士を除いた他の2人の獣人とメイド達が情報収集をするということも伝えた。

 「で、どうするんだよ? 俺ならすぐに助けられると思うけどな。ただ、気になるのは呪霊紋が二つあるってことだから、呪いって二種類あるってことだよな? まとめて浄化することもやってみるけど、一つは確実に消せると思うんだが、明日になったらやってみるか?」

 「そうすれば向こうは大喜びだろうけど、できる限り恩を売る形で助けた方がいいと思うんだよね。とりあえず、そうだな。恐らく情報収集すれば、すぐに君を頼ればいいということがわかるから、君としては精液を皇子に飲ませてやってほしい。もちろん精液ポーションじゃなくて君の生の精液をね。

 ただし相手は帝国の人間だから、女王陛下の立ち会いのもとに皇子には君の肉棒をしゃぶって君の精液を飲んでもらうことになるね。もちろんあちらが君の精液を飲んでもいいということを了承してくれたら、の話だけどね」

 「あ、それなら大丈夫だと思うな。何しろ近衛騎士の獣人の精液を飲んでいたし。ただ、寿命が縮むからって理由でなかなか虎の獣人の精液を飲もうとしなかったけどな。

 だけど何で女王陛下のいる前で俺と皇子のオーラル・セックスを披露しないといけないんだよ!? 俺は見世物になるつもりはないぜ? 第一そんな事する理由がないじゃないか! やるなら俺と皇子の二人だけでだろ? 俺にだって羞恥心はあるんだからな。女王の前でそんな事はしないからな!」

 だがレヴィンはしごく真面目な顔で首を横に振って俺の抵抗を却下する。

 「君が精液を飲ませる相手の事を忘れていないかね? 相手は呪い付きで衰弱しているとはいえ、れっきとした帝国の第三皇子なんだよ? その彼に君の精液を飲ませて呪詛を解除できたとしよう。皇子としてはとても喜ぶだろうね。そして自分と同じような呪いのかかっている者を治療させようと、君を帝国に連れていこうとするだろう。

 そうなったらもう、簡単にはレナリアーラ王国には戻れないよ? それだけじゃない。闇を自由自在に操る君は帝国の上層部にとっては、とても魅力的に見えるだろうね。第三皇子を人質にして、いいように君を操ろうとするだろう。つまり死ぬまで帝国で飼い殺しにするつもりだろうね。

 つまりだ。皇子が君に時間の問題で好意を抱くのはわかっているから、皇子の誘いを非礼・無礼にならないようにやんわりとかわすには、この国の最高権力者であるフィラーレ女王陛下に止めてもらった方が一番、角が立たなくていいということだ。それは宰相である私やシャリアーナ姫には無理だね」

 駄々っ子みたいに嫌がる俺をやんわりと諭すレヴィン。やっぱり宰相なんだな。人の上にたつ地位についているだけあって、説得力のある言葉を長々と言ってくれる。しかも俺にもわかるようにわかりやすく言ってくれるんだからな。

 それじゃせめて隠れて見ていて、いざお誘いとなったらすぐに駆け付けられるような場所を用意して、そこに女王陛下をお呼びして待機してもらうことになったが、彼女だけでは万が一のことがあってはまずいので、シャルミリア局長とシャリアーナ王女。そしてレヴィンが付き添うことになった。

 もともとシャルミリア局長は皇子が来城するという日にはこの王城にくるつもりだったとか。そりゃそうか。何といっても帝国の皇子様だもんな。俺が何か無礼なことしないか心配というか監視のつもりで来るんだろうな。

 って…えぇえぇえぇ!? レヴィンだけならまだしも、女王陛下だけじゃなくて局長や姫様にも俺と皇子のオーラル・セックスを見られるのかい!? 何の羞恥プレイだよ、それ!

 やっぱり嫌だぁあ! と叫ぶ俺の肩を優しく叩くレヴィン。そして彼は微妙な笑顔でこう言った。

 「ラフィアス。もしも君が皇子の誘いを断って、国際問題になったら君が恐れるシャルミリア局長にどんな目に遭わされるかわかるかい? 少なくとも半殺しにされるだけじゃ済まないと思うんだけどね。それを思えば多少、恥ずかしい思いをすることくらいは…ね?」

 「何かもう…俺、皇子を癒したら、逆に俺の方が再起不能になる気がする…」

 「大丈夫だよ。その時は私が君を慰めてあげるから…」

 そう言いながらレヴィンは俺を優しくベッドの上に倒すと、まだ駄々をこねる俺の口をキスすることで封じてしまった。

 その後はもう、すごく濃密なプレイでした。主にレヴィンが攻めだったんだけど。でも動きは激しくなくて、逝く度に俺にキスをしてきて…もう、どうにでもなれ、という感じでした。

 ちなみにその後はレヴィンを泥眠の魔眼で眠らせて、ダンジョンの地下100階層に行って、キングドラゴンを腹癒せを兼ねて倒してきた。

 もう何か腹が立って。何で俺がそんな恥ずかしい思いをよりによって、この国のトップの地位にいる人達の前でしなきゃならないんだと思うとね。

 だから覇王竜の剣を所持しているだけで効果あるらしいので、俺は思いっきりキングドラゴンをぶん殴ってやったよ。そしたら一撃で即死してしまいました。

 どうも他のアビリティを吸収していたせいか、俺の拳の当たり所が悪かったのか…何かごめん。キングドラゴンさん。まさか一撃で死ぬとは思わなかったんだよ。次に会った時は即死魔法で楽に死なせてやるから勘弁してくれな。

 と、心の中で謝りながら宝箱を開けて、竜王の牙や竜王のマント.あと珍しいことに緑色のダイヤモンドが入っていた。20cmはあるだろうか。そういえばキングドラゴンの宝箱の中身って竜王の牙と竜王のマント以外に入っているのって完全にランダムみたいだな。以前は青いダイヤモンドだったし。大きさもまちまちなんだよな。

 もっともコア・ブランチの事だからランダムの方が何が入っているのかわからなくてドキドキするでしょ? とか言いそうだな。実際は適当なものを被らない程度に宝箱の中に入れているだけだと思うんだけどな。

 他にリビングホイールのいた階…つまりコア・ブランチの塔のある階に転移した俺は、また復活していたリビングホイールを闇魔法で即死させて、砂の中に落ちてきた宝箱を慌てて念動のアビリティで空中でキャッチして、塔の上に転移してから開けてみる。

 …うん。ちゃんと馬車の模型が入っているな。皇子が俺に誘いをかけてきたら、いくつか献上品をプレゼントするつもりだ。これもその候補の一つ。

 あとはグリフォンのいた階がどこだったのか忘れたので、一度コア・ブランチのいた階へ行って聞いてみたら、少し呆れながら教えてくれた。
 
 『確かにあれだけいろんな敵と戦っていたら、どこの階だったか忘れちゃうでしょうね。地下184階ですよ?』

 「ありがとう。今は皇子様への献上品を集めていて、忙しいんだけど、暇な時はお茶菓子とか持ってきてお前に吸収させてやるからな」

 『献上品ですか? それなら地下181階層はどうですか? あそこはいろんな種類のドラゴンがいるので、出る宝箱によっては献上するのにいいものが出るかもしれませんよ? ドラゴンウィングとか言って空を飛べるマントとか皇子様なら喜ぶんじゃないですかねぇ? ま、出れば、の話ですけど』

 「確かにそれならいいかもな。ちなみに予定としてはゴールドクリスタル・エッグと空飛ぶ馬車の模型とあとは大きめの宝石だな」

 『…随分と大盤振る舞いですねー。帝国の皇子様ってそんなに偉いんですか? 私にとっては村の村長の息子とあまり違いがわからないんですけど』

 「いや皇子が呪い付きでさ。明日は呪いを浄化するんだけど、そしたら皇子に帝国に来てくれと誘われる可能性が高いから、こうした献上品で誤魔化しておくことにしようかと思っているわけなんだ」

 『人間って難しいし、めんどくさい生物ですねー。ま、ラフィアスさんがそうしたいのならいいんじゃないですかね? 私にはあまり理解できないですけど。要するに強力で珍しくてあまりないマジックアイテムをプレゼントして相手のご機嫌を損ねたくないってことですかね?』

 「言葉を飾らないで言えばお前の言う通りだよ。コア・ブランチ。それじゃまた来るからな。ドラゴンもいいアイテムもっているってこと教えてくれてありがとうな」

 『いえいえ。ラフィアスさんのお陰で私はこの世界でも屈指の実力をもつダンジョン・コアになったのですからね。これくらいはお安い御用です。それではラフィアスさん。お時間のある時にまた精液の提供をお願いします』

 俺はまたその内、と言って頷くと、地下181階層に行ってみた。目当ては宝箱なので、こいつらの遺体じゃないので、また殴ってみた。するとキングドラゴンよりも下の階層にいるせいか、さすがに一撃では死ななかった。

 そういえばコア・ブランチのいた階、つまり地下131階のキメラやマンティコアも一撃で倒せたな。ドラゴン以外の雑魚だと一撃で殺せるのか、もっと検証してみないといけないな。

 俺は肉弾戦でドラゴンをひたすら殴ってみた。ドラゴン達も同士討ちを恐れて得意のブレスを吐くことができないのをいいことに、殴り、蹴り、長い首を掴んでは投げ飛ばすということを何度も繰り返していった。

 そして10分ほどで12体のドラゴンは全滅していた。もちろん今までの俺ならこんな無謀なことはしなかっただろう。股間の完全勃起はもう無視だ。え? ストレス解消を兼ねた八つ当たり? それもあるな。

 だが覇王竜の闘衣のアビリティを上げるのには敵と肉弾戦をするのが一番いいんだよな。

 このアビリティは魔法攻撃も物理攻撃も半減させる効果がある。30レベルまで上げると魔法攻撃も物理攻撃も四分の一になるけど、無敵になったわけじゃないからね、という釘をさす言葉が鑑定にあったので、慢心しないように注意しないといけないな。

 それにドラゴンも接近戦に持ち込まれたら、噛みつくか、尻尾で攻撃してくることはあるけど、ブレスさえ吐けなければこっちのものだ。
 
 さらに覇王竜のマントの効果もある。俺が装備すると完全勃起状態のままになるという、困った効果があるんだけど、物理的な防御力なら全長30メートルの巨人に殴られようが、踏まれようがダメージを全く負わないという優れものだからな。

 そんなわけでドラゴン全部倒して、以前やったけど念のために吸い忘れがあった時の為にアビリティを再度吸収する。同じアビリティを吸収しても「アビリティ完全固定」のおかげで機能衝突することがない。そして遺体を全部闇の中の空間に収納も吸収して、宝箱もいくつか出たので開けてみました。

 するとやっぱりコア・ブランチの言ってた通り、ドラゴン・ウィングというマントが出ました。それも二つも。

 これは皇子に献上しようかな。これさえ持っていれば、リビング・ホイールを倒した時に出た宝箱に入っていた馬車の模型を実体化させた時に空を飛ぶことができるようになるし。

 あ、そうだ。後はグリフォンのいた地下184階へと転移する。

 するとグリフォンがいた。ドラゴンほどじゃないけど、やっぱり遺体も価値があるので闇魔法で即死させた。

 そして宝箱が出たので開けてみると、欲しかったアイテムがありました。

 その名も「グリフォン・ウィング」。

 グリフォンの羽でできたマントで、これを装備すれば竜王のマントには及ばないけど、それでも雨や風に悩まされることはないし、空を飛ぶスピードだけなら、竜王のマントよりも上だと鑑定してみてわかった。

 以前、ここの階に来た時にこいつを倒して一個手に入れてたけど、献上する分が見つかってよかったな。

 俺は朝までまだ時間があるのをいい事に、明日の羞恥プレイをすることへのうっぷん晴らしを兼ねて、ヴァンパイアやリッチ、アークリッチやヴァンパイアロードのいる階層へ行って、ひたすら覇王竜の息吹をかけまくって浄化してやった。もちろん宝箱が出たので、開けてみたら宝石ばかり出てきやがった。

 確かにでかい宝石ばかりだけど、何だよこれ。これも皇子様に献上しろってか? 仕方ないので宝箱も収納して覇王竜を倒した時に出た30cm大の大きさのダイヤモンドとドラゴン・ウィングとグリフォン・ウィング。ゴールドクリスタル・エッグに馬車の模型を入れておいた。
 
 これで皇子への献上品は揃ったし、内容的にも十分だろう。これだけの宝物をもって帝国に帰れば十分な国益にもなるしな。

 問題は女王陛下と姫様だな。…面倒だからこの二人への献上品にはそれぞれ以下のものを宝箱に入れておいた。

 まずは竜王のマントに馬車の模型とゴールドクリスタル・エッグと10cm大のダイヤモンドを3つほど入れておいた。

 後は局長の機嫌を損ねたらまずいし、レヴィンにはお世話になりっぱなしなので、女王と姫様と同じ内容の品を入れた宝箱を用意した。

 …うん。これで大丈夫だろう。これだけ用意して献上すれば、今回のことは城中に広められることはない。俗に言う口止め料というやつだ。

 しかし竜王のマントの数があってよかった。俺が装備していた残りの一つを除けば、献上品に4つのマントを全部使うことになったよ。皇子は帝国の人間で信用できないのもあって、ドラゴン・ウィングとグリフォン・ウィングを代わりに入れておいた。どっちも貴重な飛行可能なマジックアイテムだし、グリフォンとドラゴンを倒さないと入手不可能だから、かなりのレアものだということは皇子一行にもわかるだろう。

 あ、そういえばヴェルゼラートのおみやげを忘れていたな。しょうがないから、余っていた多くの空の宝箱の中に
俺が装備していた竜王のマントとゴールドクリスタル・エッグ。あとは馬車の模型と恋人として特別に30cm大のダイヤモンドを入れておいた。

 だって覇王竜ことドランギルを11回も倒しちゃったから、毎回宝箱の中に入っていて余っているんだもんな。

 今回、皇子とヴェルゼの二人に分けても記憶にある限り、すでに持っている分をあわせるとこのでかい30cm大のダイヤモンドは最低でも10個はもっているしな。

 だから特に困ることはないので、ヴェルゼにはこれからもお世話になるので、奮発して特別に君の為に、とか言えばこれからもいろいろと俺を助けてくれるのは間違いないだろうしな。

 これでやっと一安心だ。俺は他にぶちのめすのに最適なモンスターはいないか、覇王竜の額飾りを装備している俺は寝る必要がないので、あちこちの階層を転移して時間を潰すことにした。

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 後書きです。ラフィアスがもっとも恐れる「あの人」が再度この城に。

 実はすでにお城に来ていたんですが、ラフィアスが真面目に皇子の影に入っていて仕事しているので安心して待機していたのでした。

 そしてラフィアスはちょっとグレてトップの人達限定とはいえ、彼等の見ている前で皇子とのオーラル・セックスをするのが確定事項になり、夜の間にダンジョンに行って一晩中、アビリティ上昇とお宝ゲットという名目で暴れ続けると。

 何しろ覇王竜の額飾りのおかげで飲食不要で睡眠不要なので寝る必要がないので、ダンジョン内の冒険という名の憂さ晴らしをしていくことになります。

 皇子とのオーラル・セックスはもう少し後の予定です。
あと近況ボードにも書きましたが、文字数30万を突破しました。
こんな小説を読んでくださり、ありがとうございます。





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