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第11話。闇の獣人、局長に怒られて王城に行く馬車に乗る

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 翌日の午前八時には俺は局長の執務室の前に転移していた。

 本当は執務室の中に転移することもできたのだが、それを以前やったら心臓に悪いから非常事態以外はやるな、と光魔法を宿した拳で3回ほど頭を叩かれた。

 そして今回は俺が部屋の前に立つと同時に、盛大に勢いよく、ドアが内側へと開かれた。

 「やあお早うラフィアス君…どうした? 早く入りたまえ」

 にこやかに笑っているが、目が全く笑っていない。俺が入ってドアを締めると、勝手に鍵がかかった。

 このドアは特別性で、局長の机から遠隔操作で鍵の開け閉めができる優れものだ。

 そして局長は机の上で肘をついて両手を組んでこちらを上目遣いで睨んでいる。
 そういえば局長って毎回、髪の色や瞳の色が違うんだよな。局員仲間では光魔法が使えるからその日の気分で髪や瞳の色を変えているらしい。だから誰もシャルミリア局長の本当の髪と瞳の色を知らないんだとか。

 まあ別に俺に何らかの被害が及ぶわけじゃないから今まで気にしていなかったが、こういうことを考えるほど今の彼女はおっかない。はっきりと怒っているということがわかる。うん、間違いないな。危険感知のアビリティも少し反応している。かといって転移で逃げたらもっと恐ろしいことになるからここは甘んじて叱責を受けよう。

 「さて、この三日間の間に修行して君もより一層バケ、いや強くなったようだがな。まずは昨日の謎の光について知っていることを洗いざらい喋ってもらおうか?」

 局長、今、一瞬だけど俺のことバケモノと言おうとしたでしょ? そりゃ一人でドラゴン倒せるほど強くなったけどな。でもこれって女神様の加護のお陰だし。いや、それより彼女を怒らせたらまずい。それは今までの経験でよくわかっている。

 だから俺は正直に話すことにした。自分のMP(魔力)とLP(生命力)を上げる為にいろいろとやったけど、どれもなかなか効率的に上がらなかったこと。そして貧民街の連中を癒すのに使えばいいということ。

 もちろん詳細は伏せておいた。俺は闇魔法がメインなので回復系の魔法とかは使えないけど、そっちはダンジョン内で拾ったマジックアイテムを使うことで治癒魔法が使用可能になったということを伝えてある。

 それは嘘じゃない。竜王の牙という剣にはその機能がある。これさえ装備すれば誰でも攻撃魔法・防御や補助といった支援魔法、さらには素質のない者でさえも回復魔法が使えてしまうのだから。

 この竜王の牙は単なる魔法を制御・増幅させる魔法の杖なんかじゃない。よほど強力な魔法でない限り、誰でも魔法が使えるようになる禁断のマジックアイテムだ。無知な子供や殺人鬼がこの剣を装備したらと思うと…ゾッとするのは俺だけじゃないだろう。

 一通り話を聞いて局長は難しい顔をしていた。ふう、と大きくため息をつくと彼女は目を細めてまた、ため息をついた。

 「どれ、そんなマジックアイテムがあるのなら見せてみろ。そして私を癒してみせろ。単なるヒールでいいから」

 人指し指を立てて自分の方へと折り曲げる。構わないからやってみろというジェスチャーに俺は首を横に振った。

 「残念ながら局長であっても見せられません。もしもこれを使ったことが誰かに漏れたら、そいつはどんな方法を使ってでも俺から奪い取るでしょう。でも、回復魔法はアイテムを収納していても使うことができます」

 そういいながら俺は竜王の息吹を発動させる。たちまちシャルミリア局長とその周囲が光に包まれる。

 光が収まると、局長は仰天した顔で自分の体を見ていた。わかるよその気持ち。俺だって魔法使えない奴にいきなり回復魔法をかけられたら同じような反応するだろうしな。

 「わかった。どうやら使い方によってはかなり物騒なアイテムになるようだな。とにかく君がマジックアイテムの助けを借りた状態であるとはいえ、癒しの魔法が使えることがわかった。実際に寝不足の状態が見事に解消されたわけだしな。だが――」

 ダン! と机を激しく叩くと局長が上体を浮かして叫び出した。

 「それならそうと、何故事前に私に相談しなかった! おかげで調査局員の大半がこの謎の怪光についての調査をしてくれと依頼されたんだぞ! 君に事の詳細を聞こうとしてもダンジョン内にいて連絡もつかないし! ああそうとも! 多くの貧民を救ったのはいいが、その前に報告、連絡、相談! この三つを守って行動しろとあれほど言ったのに、勝手な事をしおって! 多くの市民や貴族、商人や王家の使い達からどれだけ質問攻めにあったと思っている!? おかげで昨夜はロクに眠れなかったんだぞ!!」

 「それについてはその…俺、姿を隠していましたし…まだ明るかったのでそんな大騒ぎになるとは思っていなかったので…いや、言い訳ですね、これ。局長を睡眠不足にしてすみませんでした。お詫びにもう一回、治癒魔法をかけますのでこれでお許しください」

 と、言って俺は再び竜王の息吹を発動させる。優しく暖かい感じの光に包まれて、オーガやトロールでも漏らしそうな形相の局長の顔が普段の顔に戻っていく。ありがとうキングドラゴン。おかげで局長に殺されなくて済みそうです。

 「…まぁいいか。君の回復魔法のお陰で昨夜の睡眠不足による疲労も全快した。本来ならもっと長く説教する所だが、君の回復魔法に免じて許してやろう」

 思わずホッとため息をつく俺の目の前に手紙が差し出される。かなりの高級紙を使った代物だ。匂いでわかる。

 読んでみろ、と顎をしゃくって指示する局長の前で俺は手紙を封筒から取り出してみる。

 あらかじめ予想して通り、封筒が丁寧に破られて中身が取り出された跡があった。おそらく局長が先に読んだのだろう。俺達局員個人の所に来る手紙は局長が最初に読むという掟がある。

 いくら調査局員でも中身は人間や獣人だ。知らない間に他国の組織に利用されていた、という例は数多くあった。
 家族や恋人からの手紙が偽物だと気づかないで犯罪を起こしたり巻き込まれたケースは枚挙に暇がない。
 そういった真贋を見抜く為にも局長が最初に読まなければいけないのだ。これはこの国に調査機関が設立されてからずっと続けられてきた掟だ。もともと調査局員になるのは捨て子や社会的弱者や元・犯罪者ともいうべき存在が非常に多い。

 だからそんな俺達にプライバシーなんてものはほとんどない。こうして働けるだけありがたいと思わないといけないのだ。少なくとも冒険者なんてやって、老後の保障がきかないで家族の足を引っ張るだけの存在になるよりかはまだマシである。
 
 俺は手紙を読んでみた。その筆跡はとても優雅なもので訓練されたものであると伺える。

 そして内容だが…要するにあなたがドラゴン倒した時のお話聞きたいし、いろいろと知りたいのでお城に遊びに来てください。一週間から一月ほど泊まってくださるとうれしいです。

 簡単に説明するとそういう内容だったが…手紙の中に薄い鋼鉄製の板が二枚とマジックアイテムと思われる棒が入っていた。

 それは俺達、調査局員と貴族・王族しか知らない符号のようなものだった。

 簡単に言うと、この板にはまるで板菓子(板チョコ)のように八つに区切られている。

 そして八つの穴には薄い半透明の赤い膜が張られている。俺は棒を取り出すと、無造作に二枚全部に張られた半透明の幕を突き破っていく。

 傍から見れば何をしているのかわからないだろうが、これは要するに夜伽(よとぎ。相手の為に夜通し付き合うこと。この場合は一晩中情事に励むことを意味する)の誘いだ。

 で、俺が幕を専属の棒で突き破ったのは、了承したという意味だ。しかも全部の幕を破ったので、徹底的にやってやって、やりまくっちゃいますよーという意味になる。普通は半分から6つの幕までしか破らないそうだが、俺はセックスには自信があるのだから正直に意志表明しておいた方がいいだろう。何しろ相手は王族なのだから。

 誘われた以上は受けて立たないと男がすたる。無言で全部の幕を破った俺に、局長は小さく吹きだしていた。

 「まさか全部の幕を破るとはね。…ククッ。いや、実に君らしいな。魔力と精力の強さと戦闘能力だけに限定すれば、君はこの調査局でも最強といえる存在だからな。誘いをかけた王族が気の毒でならないよ、まったく」

 右の掌で口元を隠して含み笑いをするシャルミリア局長。何ですか局長。その言い方は…。

 それじゃ俺がまるでセックスと戦闘しか取り柄のない野蛮人みたいな言い方じゃないですか。いや、否定できないのが悲しい所ですけど。

 でも肩を震わせてまで笑わないでほしいんですけど? 俺、結構繊細で傷つきやすいんですよ? とか言ったら更に笑われるので無言で手紙と板と棒を封筒の中に戻す。

 「それでこの手紙によると一週間から一ケ月ほど泊まりにこいとありますが…いいんですか? そんなに長く王城に入り浸っても?」

 「王家の連中が何を考えているのかわからないが、この国の最高権力者達だ。一週間でも一ケ月でも好きなだけ泊まってこい。おそらく君を試そうといろいろとちょっかいをかけてくる連中といつかは対面するだろう。そいつらが逃げたりするのなら良し。力の差を見抜けないで君に攻撃する馬鹿が出たら死なない程度にぶちのめしてやれ。面倒だがちゃんと治してやるんだぞ? 今の君ならそれができるのだからな」

 「しかし専用の馬車まで寄越すとは…俺ってそんなに大切な存在なんですかね?」

 「違うな。ドラゴンを倒せるほどの実力者だから、なるべく怒らせないようにしたいというのが本音だろう。だから甘いお菓子とか女で君を釣ろうとしているのだろう。わかっているとは思うが、飼いならされることがないようにな? 国の言いなりになる君ではないと思うが、他国侵略の戦争の道具になりたくなければ、な」

 「そんな。まるで俺を破壊兵器みたいに。それならいっそ何人か脅していう事を聞かせるってのはどうですかね?女王かその側近なら脅しても大丈夫かとは思いますが」

 「別に構わないが、こちらに火花が飛んでくるような真似はするなよ? だが…そうだな。脅すというやり方では後々、遺恨が残るが…確かに君なら精力の強さで男だろうが女だろうが、君無しでは生きていけないようにする事は可能だろうな。よし、こうなったら上位貴族か王族。またはそれらに強い影響力を持つ男女を魅了してみろ。そいつらを最低一人は虜にしてみるまでは帰ってくるな」

 何かもう無茶苦茶なこと言い出すなこの人。そりゃアビリティ使えば不可能じゃないけどさ。

 「わかりました。あと昨夜の光の件ですが、調査報告書にはどう書くつもりですか?」

 「それなら簡単だ。旅の冒険者が善意でやったと書けばいい。もっとも王家の連中が真相を知りたがったとしても君が関わっているという事を匂わせておけば大丈夫だ。君はいろんな意味で有名人になっているからな。調査依頼をした商人や貴族・王族も6体のドラゴンを倒した君が関係しているという事実を知れば、偽りの調査報告で我慢するしかないだろうさ。文句があるのなら自分で調べろということだな」

 半分投げ槍で手を組みながら椅子の背もたれに寄りかかる局長。確かに俺が関係していると知れば、それでも噂の真相を知りたいと思うのは余程の命知らずだけだ。

 壁についた時計を見ると、あと30分ほどで馬車が調査局に来る時間になる。

 「そろそろ時間になるな。今の内に自室に戻って貴族・王族の護衛用に渡した服を着て、正面玄関に行って待っていろ。時間はすぐに経つからな。わかったら行け」

 軽く手を振って退室を促す局長。さっきまでの怒気はどこへやら、今はかなり上機嫌だ。ほんと女って感情がコロコロ変わるもんだと改めて思いながら、俺は局長の執務室から自室へと歩いて移動した。

 途中で他の調査局員達から「いよっ、色男!」とか「ドラゴンスレイヤーさん頑張ってねー」とかいろんな声が飛んでくる。おいおい局長。時間の問題でバレるとは聞いていたが、一週間も経っていないじゃないですか。

 いや王族からの手紙が来たんだからちょっとした騒ぎになったんだろうな。

 俺は目立ちたくなかったが、知り合いの錬金術師アンネリーザから王族が持つマジックアイテムの事を知ると、それを入手したくなった。その為には何らかの手柄を立てるしかないと。

 結局、俺も王族を利用したいだけなんだよな。向こうが向こうならこっちもこっちだ。

 俺は自室へと向かい、鍵を開ける。あ、まずい。念動のアビリティを使って開けてしまった。
 ちゃんと懐から鍵を取り出して開けないとまずいな。ダンジョン内での生活や強姦の依頼のせいでアビリティを使うのが俺の中で常識になりつつある。これはまずい。幸い誰にも見られていないので、俺は逃げるように室内へと入り込んだ。

 


 俺は着替える前に念入りに浄化魔法、クリーンをかける。

 確かクリーンの魔法はレベルマックスになったのだから、もしかしたらピュリファイが使えるのかもしれない。

 そこでステータス・ボードを見ると…あった。早速ピュリファイを使ってみる。

 一瞬だが水蒸気のようなものが体全身を包み込み、風呂に入ったような爽快感をはっきりと感じる。

 ただクリーンにせよ、ピュリファイにせよ、聖属性のものと無属性のものと、二つあるんだよな。

 無属性もどこで吸収したのか覚えていないが、恐らく地下100階近くの階層だと思ってる。

 聖属性は便利だが闇属性や魔属性の者にかけるとダメージを与えることがある。

 そこで汚れを消し去るという意味で無属性のクリーンとピュリファイが開発されたそうだ。

 聖属性との違いは、光の量の違いだろうか。

 後は匂いだな。無属性の場合は汚れを消し去るだけなので匂わないが、聖属性の場合だと

 芳香を発するんだそうだ。それもとてもいい匂いになるんだとか。

 

 俺は上機嫌で貴族・王族の護衛用の上等な服に着替え始めたが、何か違和感を感じた。

 下半身。それも俺のムスコが肉棒になりつつある。半勃ちという奴だ。

 どうも嫌な予感がしたので、俺は下着を膝の辺りまでずり下してからズボンを穿くようにした。

 そして正面玄関の階段を下りた所で10分ほど待っていると、豪華な外装の馬車がやってきて俺の前で停止した。

 馬車の御者が下りてきて、手紙を差し出した俺の前で何かの水晶玉のようなものをかざし始めた。

 水晶玉が緑色に光ると、彼はうんうんと頷いて馬車のドアを開けてにっこりと微笑みながら馬車の中に入るように
手で示す。その優雅さは訓練されたものでしか発揮できないものだった。

 中に入ると、自動的に鍵がかかるのか、ガチッと音がした。俺が座るとほぼ同時に馬車が動き出す。

 それにしても広い。普通は馬車というと駅馬車を除けば大抵は狭くて圧迫感があるのだが、この馬車はアンネの店で売っているテント同様に、時空魔法がかかっているのか、やたらと広い。

 外側から見た時の3倍ほどの広さがある。空間拡張の魔術だろうな。それに内装もしっかりしていてチリ一つ落ちていない。

 それにしても奇妙な馬車だ。普通は御者席との間が開いていて御者と会話できるのだが、完全に大きな箱になっていて御者の後ろ姿が見えない。

 そこへ、いつの間に現れたのか向かい合う座席の後ろから立ち上がった者がいた。

 手にはお茶とお菓子の乗せられたトレーをもっている。しゃがんでいたから今まで気づかなかったが、女性で着ているお仕着せからして王城で働いているメイドだということがすぐにわかった。

 彼女は向かい合う座席の中央に置かれた小さなテーブルの上にトレーを置くと、数歩下がって瞑目したまま控えている。

 そのまま何かを待っているようだったので、俺は一声かけることにした。

 「あの、何を待っているんですか?」

 「はい。あなたがお菓子とお茶を召し上がった後に片付けなければいけないので、待機している所ですわ」

 このメイド、金髪碧眼とよくあるタイプで髪型はボブカットと人形のように見えるがちゃんと呼吸しているので人間になるのだろう。多分。

 だがどこか違和感を感じる。それに目をつぶっているとはいえ、近くにいられては落ち着いてお茶やお菓子を食べられない。

 それにこのお茶もおかしも何か変な匂いがする。もっとも俺には毒無効のパッシブアビリティがあるから、そこらの毒や媚薬なんて通用しないのでさっさと小さな皿にあるお菓子を食べてやることにした。

 お茶も2杯ほど飲んでおく。別に喉なんて乾いていないが、出されたお菓子を食べたのにお茶に手をつけないのも変な話なので義理で飲むことにした。

 「あの、食べ終わりましたので片付けとかどうぞ。お待たせしてすみませんでした…」

 「もう、いいのですか? では失礼しますわ」

 と、言うや否や、俺の方にツカツカと歩みよってくると、お茶菓子のトレーを片付ける。一度奥に引っ込んだと思ったら、またこっちに来た。そしてお茶菓子の置かれた小さなテーブルの上に腹ばいになる姿勢を取りながらスカートを下ろしてパンティを足首まで下げていく。

 俺の前にはピンク色の美しい膣が晒された。唖然とする俺に彼女は無感動な声を紡ぎ出した。

 「どうぞ。私を抱いてください。よりはっきり言うのならあなたの肉棒を私の下の唇の中に入れてください。それが私に命じられたあなたへのおもてなしです」

 「おもてなしって…もしも断ったらどうするんだ?」

 その時、初めて振り返った彼女の瞳が揺らいだ。

 「もしも断られたら城についた時に私に何もなかったことで私に何か問題があるとみなされて、クビになるでしょう。いえ解雇だけでなく文字通りの意味で。ですからどうかお願いです。私を抱いて私の中で射精してください。そうしてくれないと私は生きていけません」

 「しかし…どうしてここまでする必要があるんだ?」

 腕を組んで唸る俺。だってここ馬車の中だし。王城までゆっくりと移動しているからその間退屈だけど、まさかここですることになるとは。

 「それは…おそらくあなたが男性としての機能を確かめる為だと思います。姫様や女王陛下はあなたに好意を持っていますが、あの城に住むすべての者があなたに好意を持っているとは限りません。中にはあなたが同性愛好者ではないかとい疑っている者もいるのです」

 「だからこんな方法をとるのか…わかった。君がそれでいいのなら。あと子供ができたらまずいから、避妊用のハンコを押させてもらうぞ?」

 「それはいいですね。それを押してあなたの精液が私の中にあれば、解雇されることはありません。さ、どうぞ。早く押してくださいな。大丈夫。ここでの会話は御者席にいる者には聞こえませんし、情事が終わるまで馬車が城に着くことはないですから。終わると用意されていたボタンを押せば城に向かいます。それまでは遠回りするだけですわ」

 俺はハンコを闇の中の空間から取り出すと、素早く彼女の下腹部に押した。すぐに闇の中にハンコを戻すと、俺はファスナーを下ろして完全に勃起している肉棒を彼女の下の口の中に挿入した。

 「ああ…っ。お、大きい。こんなに太くて大きいの…はじめて、です…」

 すでに十分濡れているのは匂いでわかっていたし、早く済ませないと馬車が王城についてしまう。

 いくら遠回りしているといっても時間の問題で着いてしまう。

 相変わらずゆっくりと移動している馬車だが、俺は彼女との情事を素早く済ませるために、激しく腰を振り始めた。

 やはり下着をずり下しておいてよかった。おかげですぐに肉棒をファスナーから取り出すことができた。

 乗っているのが高級馬車なせいか、振動はほとんど感じない。まさか貴族・王族護衛用の上等な制服を着たままメイドとセックスすることになるとは思わなかった。

 窓から外が見えるが魔力の波動を感じるので中の情事は見えないだろうが、念のためにカーテンを閉めておくことにした。

 相変わらず呑気にゆっくりと移動する馬車の中で俺はあえぎ声を出す彼女の腰を両手でしっかりとつかむと、さらに激しく腰を振り始める。彼女はテーブルの上にしがみついて小さく叫んでいる。よがり声というやつだな。

 俺も少しずつだが逝きそうになっている。肉棒が出し入れされる箇所からはジュブ、ズチュチュといやらしい音を立てている。

 さて、馬車が止まるまで何回射精できるのか、と俺は彼女の中に肉棒を出し入れしながら考え始めていた。
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