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「おい、数匹逃した。追え!」
「森から出すな!急げ!」
闇夜を駆けるは数人の騎士。
彼らは皆一様に黒い甲冑に身を包み、夜の闇に溶け込んでいた。
第四騎士団、通称獣人部隊。ここに配属されるのは夜目の効く獣人のみで、活動時間は主に深夜。彼らの主な任務は、闇に潜む「穢れ」の討伐。多くの人々が住まうこの地には、人の欲望から産み出される「穢れ」が多く発生する。放置すれば人間の欲望を餌として更に力を増し、自我が芽生え、やがては魔神となる。ひと度魔神に進化してしまえば、その強大な力故に只人は手を出せなくなる。
月の光の届かない新月の夜は、その闇夜から穢れが多く産み落とされる。その日、第四騎士団精鋭の八名が四人二組に別れ穢れの森の警戒に当たっていた。いつもであれば穢れに十分対応できるだけの人数であったが、今宵は異変が起きていた。
「くそ、数が多すぎる。」
その数、二十。一際暗い森の奥地に同時に産み落とされた穢れの群れ。その場に居合わせた四人の騎士は必死に剣を振るったが、たった四人で全ての穢れを相手取れる訳もなく、なんとかそれらを逃さないように包囲網を作るので精一杯であった。
「増援はまだか!?」
「副団長の匂いが近づいてきます。もう間も無く到着するかと!」
「それまで持たせろ。一匹も逃すな!」
「「はい!」」
穢れの群れを相手に奮闘する一人の騎士の背後で、闇夜が蠢いた。真っ暗な空間からボトリと、新たな穢れが産み落とされた。生まれたてのそれは音もなく目の前の騎士に近づくと、大きな口を開けその牙を騎士に向けた。
「っ!ハンス、後ろだ!」
リーダー格の騎士が警告を発したものの時すでに遅く、穢れはハンスと呼ばれた騎士の腕に噛みつき彼を引きずり倒し、包囲網を崩した。崩れた箇所に穢れ達がここから逃げ出さんと一斉に集まった。背中を向けた穢れを残りの騎士達が斬りつけ、六体が塵となって消えた。
「残りは我々がやる。お前達はハンスの治療を。」
「すまない副団長!」
残りの十四体を追いかけようとした騎士達に声を掛けて颯爽と飛び出していったのは黒髪の猫獣人。それに少し遅れて他の三人の騎士も倒れたハンスの隣を駆け抜けていった。
「ぐうっ…」
「ハンス!大丈夫か、まだ正気か!?」
「う、は、はい…でも、早く…グルゥ」
脂汗をかいたハンスはなんとか他の騎士の問いかけに答えるも、徐々にその口からは牙が伸び、噛まれた傷の周囲からは獣の毛が生えてきていた。
「獣化が進んでいるな。本能に支配される前に手当てをするぞ。」
「グルルゥ…」
「少し耐えろ。『パージ』」
「グヴ!グルル…うぐっ!…はあ、はあ…」
手当てをした騎士の呪文にハンスは一瞬苦悶の表情を見せたが、腕の傷が治ると徐々に元の姿に戻っていった。
「ハンス。正気か。俺の名が分かるか。」
「はあ、はあ…ガイナス…。ガイナス=アドルフ…」
「よし、戻ったな。汚染が残らなくてよかった。俺はあまりパージは得意ではないからな。」
「す、すみません…油断しました。まさか背後にもいたなんて…」
「仕方ねえよ。普通同じ場所で産み落とされる穢れは精々五、六体だ。まさかあれ以上産まれるとは誰も思わなかった。」
「副団長達は大丈夫でしょうか…。」
「さあな。でも少なくとも俺達よりはヤレるだろ。なんたって副団長が率いているんだからな。お前を置いていくわけにもいかねえし、俺達はここで警戒を続ける。また新たな穢れが産まれないとも限らん。」
「そうですね…。申し訳ないです。」
「だから気にすんなって。」
ーーーーーーーーー
副団長と呼ばれた黒髪の騎士は穢れを追って森の浅層まで来ていた。穢れの群れは脇目も振らずある一点を目指しているように思えた。
(生まれたばかりの穢れなのにまるで意思を持っているようだ。)
通常、生まれたての穢れに自我はなく、ただ欲深い人間の気配に反応してそれに向かって突き進むだけの存在だ。歩みも遅く、複数の穢れがいたとしても皆揃って同じ方向に進むということはまずない。
副団長は違和感を感じながらも、決して足を止めなかった。森を越え、王都に入った穢れは人間に取り憑き、身を隠す。取り憑かれた人間は穢れに汚染されて欲望に染まっていく。そしてその欲望を糧に奴らは成長するのだ。欲望を喰らい尽くされた人間は廃人となり、やがて死ぬ。人間に取り憑かれてしまえば見つけるのは困難だ。なんとしてもこの森で奴らを仕留めなくてはならなかった。
やがて穢れは木々が生い茂り一層暗くなった場所で止まった。副団長は剣を抜き穢れの群れに襲い掛かろうとしたが、あるものの存在に気付き足を止めた。穢れの集まったその暗闇はただの闇ではなかった。猫獣人の彼が目を凝らし、辛うじて認識できるほどの漆黒の身体。穢れの気配など赤子のように感じられるその圧倒的存在感。
(魔神、か…?)
魔神は強大な力を持ち、知能も高い。副団長一人でどうにかなる存在ではなかった。それどころか、第四騎士団総員で掛かっても敵う相手ではない。彼は気配を断ち、様子を見ることにした。
魔神は、その場に集った穢れを四体捕まえると、それらに喰らいついた。グチョグチョと黒い液体を滴らせながら四体全てを食べきると、魔神はその手を虚空にかざした。すると、その部分の景色が歪み、渦を巻き、やがて時空の捻れが生じた。
(あれは…ゲートか?異界に逃げ出そうというのか。)
異界へと続く扉、通称ゲート。穢れが異界へと渡ると、その世界の人間の欲望を喰らい急激に成長する。穢れへの対抗手段を持たない異界の人間はなすすべも無く彼らの餌となるのだ。そうして異界で魔神にまで成長すると、彼らはこの世界に戻り、こちらの人間を襲う。
千年程前、異界帰りの魔神の群れに襲われたこの世界は人類滅亡の危機に陥った。そこにゲートからこちらの世界に渡ってきた異界の巫女が魔神達を浄化し、滅亡は免れたという。ゲートの存在はそれ以来報告されていない。
その伝説とも言えるゲートを、彼は今目の当たりにしていた。しかしその奇跡とも呼べる場に居合わせ、彼が覚えた感情は感動ではなく、戦慄。残り十体の穢れが異界で成長し、魔神になって戻ってきたら。今度こそ人類は滅亡するかもしれない。冷や汗が彼の額から流れた。
まるで魔神の命令に従うかのように、穢れ達はゲートを通り、虚空へと消えた。それを見届けた魔神は闇夜に溶け、消えていった。消える寸前、魔神は副団長をちらりと見て、笑った。
魔神の気配がなくなったことを確認すると、副団長は詰めていた息をホッと吐き出した。彼が後ろを振り向くと、青い顔をした残り三人の騎士達が立ち竦んでいた。
「副団長、あ、あれは…」
「魔神、だと思う。そして穢れをゲートに導いた。」
「そ、それは千年前の悪夢の…再来では。」
「お前達は王都に戻りこの事を報告しろ。自体は一刻を争う。」
「副団長は…?ゲートを見張るんですか。」
「いや…ゲートを渡ろうかと思う。」
「「!!」」
「む、無茶です!」
「だが、異界へと渡った穢れを放置すれば必ず魔神となって戻ってくる。穢れの段階で討伐するべきだ。」
「しかしゲートを渡るなど…」
「ゲートを渡れるのは俺しかいない。ならば俺がやるべきだ。」
「で、ですが…」
「記録によると、このゲートは一年は持つ。それまでには戻ってくる。可能ならば、定期的に報告に戻る。」
「…本気なのですね。そうなってしまったら、私達はあなたを止める術がない。…ですがどうかお気をつけて。必ず、生きて戻って来てください。」
「当たり前だ。では、後は頼んだ。直ぐにでも奴らを追わなければ見失ってしまう。もう行く。」
「「ご武運を!!」」
そうして副団長は最敬礼をした騎士達に見送られ、時空の捻れの中へと消えていった。後に残された三人の騎士は顔を見合わせ頷くと、ガイナス達が待っている地点へと急ぎ戻っていった。
「森から出すな!急げ!」
闇夜を駆けるは数人の騎士。
彼らは皆一様に黒い甲冑に身を包み、夜の闇に溶け込んでいた。
第四騎士団、通称獣人部隊。ここに配属されるのは夜目の効く獣人のみで、活動時間は主に深夜。彼らの主な任務は、闇に潜む「穢れ」の討伐。多くの人々が住まうこの地には、人の欲望から産み出される「穢れ」が多く発生する。放置すれば人間の欲望を餌として更に力を増し、自我が芽生え、やがては魔神となる。ひと度魔神に進化してしまえば、その強大な力故に只人は手を出せなくなる。
月の光の届かない新月の夜は、その闇夜から穢れが多く産み落とされる。その日、第四騎士団精鋭の八名が四人二組に別れ穢れの森の警戒に当たっていた。いつもであれば穢れに十分対応できるだけの人数であったが、今宵は異変が起きていた。
「くそ、数が多すぎる。」
その数、二十。一際暗い森の奥地に同時に産み落とされた穢れの群れ。その場に居合わせた四人の騎士は必死に剣を振るったが、たった四人で全ての穢れを相手取れる訳もなく、なんとかそれらを逃さないように包囲網を作るので精一杯であった。
「増援はまだか!?」
「副団長の匂いが近づいてきます。もう間も無く到着するかと!」
「それまで持たせろ。一匹も逃すな!」
「「はい!」」
穢れの群れを相手に奮闘する一人の騎士の背後で、闇夜が蠢いた。真っ暗な空間からボトリと、新たな穢れが産み落とされた。生まれたてのそれは音もなく目の前の騎士に近づくと、大きな口を開けその牙を騎士に向けた。
「っ!ハンス、後ろだ!」
リーダー格の騎士が警告を発したものの時すでに遅く、穢れはハンスと呼ばれた騎士の腕に噛みつき彼を引きずり倒し、包囲網を崩した。崩れた箇所に穢れ達がここから逃げ出さんと一斉に集まった。背中を向けた穢れを残りの騎士達が斬りつけ、六体が塵となって消えた。
「残りは我々がやる。お前達はハンスの治療を。」
「すまない副団長!」
残りの十四体を追いかけようとした騎士達に声を掛けて颯爽と飛び出していったのは黒髪の猫獣人。それに少し遅れて他の三人の騎士も倒れたハンスの隣を駆け抜けていった。
「ぐうっ…」
「ハンス!大丈夫か、まだ正気か!?」
「う、は、はい…でも、早く…グルゥ」
脂汗をかいたハンスはなんとか他の騎士の問いかけに答えるも、徐々にその口からは牙が伸び、噛まれた傷の周囲からは獣の毛が生えてきていた。
「獣化が進んでいるな。本能に支配される前に手当てをするぞ。」
「グルルゥ…」
「少し耐えろ。『パージ』」
「グヴ!グルル…うぐっ!…はあ、はあ…」
手当てをした騎士の呪文にハンスは一瞬苦悶の表情を見せたが、腕の傷が治ると徐々に元の姿に戻っていった。
「ハンス。正気か。俺の名が分かるか。」
「はあ、はあ…ガイナス…。ガイナス=アドルフ…」
「よし、戻ったな。汚染が残らなくてよかった。俺はあまりパージは得意ではないからな。」
「す、すみません…油断しました。まさか背後にもいたなんて…」
「仕方ねえよ。普通同じ場所で産み落とされる穢れは精々五、六体だ。まさかあれ以上産まれるとは誰も思わなかった。」
「副団長達は大丈夫でしょうか…。」
「さあな。でも少なくとも俺達よりはヤレるだろ。なんたって副団長が率いているんだからな。お前を置いていくわけにもいかねえし、俺達はここで警戒を続ける。また新たな穢れが産まれないとも限らん。」
「そうですね…。申し訳ないです。」
「だから気にすんなって。」
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副団長と呼ばれた黒髪の騎士は穢れを追って森の浅層まで来ていた。穢れの群れは脇目も振らずある一点を目指しているように思えた。
(生まれたばかりの穢れなのにまるで意思を持っているようだ。)
通常、生まれたての穢れに自我はなく、ただ欲深い人間の気配に反応してそれに向かって突き進むだけの存在だ。歩みも遅く、複数の穢れがいたとしても皆揃って同じ方向に進むということはまずない。
副団長は違和感を感じながらも、決して足を止めなかった。森を越え、王都に入った穢れは人間に取り憑き、身を隠す。取り憑かれた人間は穢れに汚染されて欲望に染まっていく。そしてその欲望を糧に奴らは成長するのだ。欲望を喰らい尽くされた人間は廃人となり、やがて死ぬ。人間に取り憑かれてしまえば見つけるのは困難だ。なんとしてもこの森で奴らを仕留めなくてはならなかった。
やがて穢れは木々が生い茂り一層暗くなった場所で止まった。副団長は剣を抜き穢れの群れに襲い掛かろうとしたが、あるものの存在に気付き足を止めた。穢れの集まったその暗闇はただの闇ではなかった。猫獣人の彼が目を凝らし、辛うじて認識できるほどの漆黒の身体。穢れの気配など赤子のように感じられるその圧倒的存在感。
(魔神、か…?)
魔神は強大な力を持ち、知能も高い。副団長一人でどうにかなる存在ではなかった。それどころか、第四騎士団総員で掛かっても敵う相手ではない。彼は気配を断ち、様子を見ることにした。
魔神は、その場に集った穢れを四体捕まえると、それらに喰らいついた。グチョグチョと黒い液体を滴らせながら四体全てを食べきると、魔神はその手を虚空にかざした。すると、その部分の景色が歪み、渦を巻き、やがて時空の捻れが生じた。
(あれは…ゲートか?異界に逃げ出そうというのか。)
異界へと続く扉、通称ゲート。穢れが異界へと渡ると、その世界の人間の欲望を喰らい急激に成長する。穢れへの対抗手段を持たない異界の人間はなすすべも無く彼らの餌となるのだ。そうして異界で魔神にまで成長すると、彼らはこの世界に戻り、こちらの人間を襲う。
千年程前、異界帰りの魔神の群れに襲われたこの世界は人類滅亡の危機に陥った。そこにゲートからこちらの世界に渡ってきた異界の巫女が魔神達を浄化し、滅亡は免れたという。ゲートの存在はそれ以来報告されていない。
その伝説とも言えるゲートを、彼は今目の当たりにしていた。しかしその奇跡とも呼べる場に居合わせ、彼が覚えた感情は感動ではなく、戦慄。残り十体の穢れが異界で成長し、魔神になって戻ってきたら。今度こそ人類は滅亡するかもしれない。冷や汗が彼の額から流れた。
まるで魔神の命令に従うかのように、穢れ達はゲートを通り、虚空へと消えた。それを見届けた魔神は闇夜に溶け、消えていった。消える寸前、魔神は副団長をちらりと見て、笑った。
魔神の気配がなくなったことを確認すると、副団長は詰めていた息をホッと吐き出した。彼が後ろを振り向くと、青い顔をした残り三人の騎士達が立ち竦んでいた。
「副団長、あ、あれは…」
「魔神、だと思う。そして穢れをゲートに導いた。」
「そ、それは千年前の悪夢の…再来では。」
「お前達は王都に戻りこの事を報告しろ。自体は一刻を争う。」
「副団長は…?ゲートを見張るんですか。」
「いや…ゲートを渡ろうかと思う。」
「「!!」」
「む、無茶です!」
「だが、異界へと渡った穢れを放置すれば必ず魔神となって戻ってくる。穢れの段階で討伐するべきだ。」
「しかしゲートを渡るなど…」
「ゲートを渡れるのは俺しかいない。ならば俺がやるべきだ。」
「で、ですが…」
「記録によると、このゲートは一年は持つ。それまでには戻ってくる。可能ならば、定期的に報告に戻る。」
「…本気なのですね。そうなってしまったら、私達はあなたを止める術がない。…ですがどうかお気をつけて。必ず、生きて戻って来てください。」
「当たり前だ。では、後は頼んだ。直ぐにでも奴らを追わなければ見失ってしまう。もう行く。」
「「ご武運を!!」」
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