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人間の国に来ました3

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それにしても、ここまで説明してもレオがピンと来ていないことが驚きだ。もしかしてレオって性欲とかないの?食欲もなかったからな、あり得る。

「魔王様、人間には三大欲求というものがございまして。食欲、睡眠欲、そして性欲。セドリック王太子は性欲を剥き出しにしていたため、リナ様が不快感を覚えたのだと思われます。」
「性欲くらい知っている。人間は交尾をして子孫を残すのだろう?自然の摂理だ。何を嫌がる必要がある。」
「王太子は20代前半といった所でしょう。対してリナ様はまだ4、5歳。通常、子を産むのに適しているのは15歳以上と言われています。それ以下の年齢の少女に性的興奮を覚える者を小児性愛者と呼び、世間では異常性癖をもつ変態という扱いを受けます。」
「なるほど。つまり王太子は変態なのか。リナはそれが嫌だったのか。」
「うん。」

そこまで言わなきゃ分からないんだ。他所の犬がうちの犬に腰を振っていてあらあらまあまあみたいな?そんな感じで見てたのかな。本当に人間の生態に興味ないんだろうな。…ん?性欲がないなら、魔族ってどうやって子供作るんだ?

「ねえ。」
「なんだ。」
「魔族はどうやって子供を作るの?」
「そんなことも知らないのか。」

その言葉、そっくりそのままお返ししたい。

「リナ様。魔族は、男女がお互いの魔力を半分ずつ身体から取り出し、その二つが交わるとそこから新しい魔族が生まれてきます。」
「産んだりしないんだ。」
「妊娠出産という意味でしたら、そうです。」
「へえ…じゃあ人間と魔族は子供作れないって事だね。」
「いえ、そうでもありません。」

サムエルが少し嫌そうな顔をして説明してくれたのが以下だ。
魔族は食事を取らなくても死なないから、人間みたいな本能的な食欲は備わっていない。ただ、人間が三大欲求以外の欲求を持っているのと同じように、彼等魔族も趣味で食事を取ることはできる。
性欲もそれと同じように、本来生きるために必要ではないんだけど、趣味として性的遊びに興じる魔族もいるにはいるらしい。その場合、性欲の発散相手は魔族ではなく人間だ。人間の国に暮らす物好きな魔族っていうのは、まあ大雑把に言えばその性欲を持っている人達らしくて、彼等は人間に化けてパートナーを見つけ、その人と愛を育むのだそう。

なんとその結果、魔族と人間のハーフというものが稀に生まれてくるらしい。性欲を持つ魔族がそもそも稀だから、そこから更に稀なハーフなんて、スーパーレアってわけだね。彼等は外見は人間でも、能力は魔族寄り、つまり魔力があるらしい。魔力があるから寿命も当たり前だけど普通の人間より長くて、そんな彼等が人間の国で暮らしていけば、いずれ異端者として迫害される。だからハーフを保護してあげるのも魔族としての努めなんだって。
ハーフの魔力は普通の魔族の半分もないらしくて、寿命もせいぜい二、三千年程度。魔族の中ではとても短命なんだって。だから純血の魔族的には、ハーフっていうのはかわいそうな、保護すべき存在らしい。

「ふうん…ハーフかあ。会ってみたいな。人間の姿で魔法が使えるなんて、強化版勇者って感じだね。」
「流石リナ様です。そしてそこが問題なのです。人間が混血児を味方につければ、その脅威は勇者の何倍にもなります。そして実際にそのような情報も入ってきております。」
「でもハーフでは純粋な魔族には勝てないでしょう?」
「勿論です。しかし人間側はそれを知りません。魔族と同等の力を持っていると勘違いしているのだとしたら、今回の強気の態度も納得がいきます。」
「確かに、挑戦的だったよねえ。」
「まったくだ。国ごと消すか。」
「決断早いなあ。」
「それも最終手段としてはよろしいでしょうが、まずは国のトップの心を折ることを目標としましょう。国を焦土にすれば罪のない命も無駄に消してしまいますからね。」
「流石サムエルは慈悲深いなあ。」
「愚かな人間の尻拭いをしてやるのも、上に立つ魔族の役目とも言えましょう。」

私がサムエルに感心してうんうんと頷いていると、ひょいと突然身体を持ち上げられた。

「うわ。」

いきなりなんだ?サムエルと仲良くお話ししてたから嫉妬?ってそんなわけないか。

「俺は風呂に入る。サムエルは出ていけ。」

いや唐突。まだ昼前だよ?一体何して汚れちゃったのよ。

「かしこまりました。」
「ついでにミーアを呼んで来い。」
「はい。」
「行くぞ。」

レオは私を抱き上げたままバスルームに向かった。え、ちょっと待って。本当に一緒に入る気!?


「え、あ、あの、本当に一緒に入るの?」
「お前からそう言ったんだろう。」
「うん、いやでも…」
「なんだ。」
「私心は大人だし、レオと入るのはなんか恥ずかしい…」
「気にするな。見た目は子供だ。俺はお前に欲情などしない。」

そうだろうけどさあ…前の世界でも経験ゼロの私には、レオの裸体は刺激が強すぎると思うの。
私が一人でぐるぐる悩んでいると、いつの間にか服を剥ぎ取られていた。すっぽんぽんだ。はやっ。何その早技。え?魔法?ほんと何でもありなんだから。私の服は脱がし方が分からなかったから、服だけ転移魔法で飛ばしたんだって。
レオ自身は自力で服を脱ぐみたい。プチプチと金色のボタンを外していく。上着を脱ぐと、白いシャツ。当たり前だけど何の躊躇いも恥じらいもなくシャツを脱ぎ捨てるレオ。私の目の前にはチョコレートの様に割れた腹筋と、Bカップくらいはありそうな胸筋がそびえ立っている。

「ひょえ…」

色気が凄すぎて変な声出ちゃった。確実に前の私より色気あるわ。褐色の肌がレオの身体をより引き立てる。ボディービルダーがこぞって日焼けする理由が今分かった気がする。
惚ける私を無視して、レオはズボンのベルトに手をかけた。

「あわわわわ」

レオのレオが。大き…いや何も言うまい。年齢制限がかかってしまう。

「何をしている。行くぞ。」

裸のレオは裸の私をいつもの様に抱きあげ、バスタブの前に立った。

「あわわわわ」
「泡風呂か?まあいい。」

違うんです。頭がフリーズしてまして。すみませんね、なんか変態っぽくて。セドリックのこと言えないわ。私の喉から漏れ出た意味のない言葉を、泡風呂の催促と勘違いするレオ。パチンと指を鳴らすと、空っぽだったバスタブの中にはたっぷりの温かいお湯とアワアワが現れた。
全く、本当に魔法ってやつはどうかしてるよ。これじゃあなんでもありじゃないか。


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