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緑川、人類の運命を背負う
神の掟
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「まあ…なんだか混沌とした世界ね」
「お前すげえところから来たんだな」
ヘスティア、ヘパイストス、二人がスマホの動画を眺めてる傍でパンのようなものをさっきの飲み物に浸して食べる。
素朴な味…これはあれだな…インドのナンもどきだ。
「それにしても奴隷が多過ぎだろう。無茶苦茶にならねえか」
やっぱり奴隷に見えるらしい。
俺もそのうちの一人だが。
「はい次焼けたわよ」
皿に盛って出された。
味はナンよりチャパティに近い。
かまどで焼いたパンか。
こういうの、においや雰囲気も含めて、陽キャの世界だよなー
…………方や俺は、加工品にまみれて、いっつも怒られてたなーー
スマホを戻してもらい電源をオフにした。
どうしよう俺…。ここからどうなるんだ? フー……。
「まあゆっくりしてけよ。しばらくいるんだろう?」
「うん」
そうするしかないよな……しばらく様子見だ。
夢であってほしいけど…。
ゆらゆら壁が揺れて見えるのはかまどの熱気か。
「またいらっしゃいな」
ヘスティアに見送られ外に出ると、やはり…イチャイチャ…LGBTの世界……。
オヤジな顔した獣人が抱き合って…。
天女か妖精か女同士でキャッキャ……。
美女が花を摘んでいる。
「あら、ミドリカワ」
初めに見た美女女神だ。
「よかったら、私の家にいらっしゃいな」
お招きに預かることになった。ヘパイストスと別れて彼女についていく。歩いているんじゃない、ムーンウォークみたいな感じでスーッと進む。「さあ、どうぞ」
でかっ。うっすらピンクマーブルの宮殿だ。
「アドニスよ」
びっくりするほど美少年が出てきた。「こちらはミドリカワ。遠い世界から来たの」柔らかそうな栗色の髪、緑色の瞳、跪いて手にキスされた。
「はじめまして。ミドリカワ」
またまたびっくり、というかドキドキする…。
「どうぞ、お掛けください」
立派な台座に座らされる。
彼は再び膝をつき、飲み物を差し出された。
び、美少年…。
「ねえ、あの…もう一度見せてくれない?」
スパイダーマンか、お安い御用さ。
スマホを出して再生してみせる。「ありがとう」
御馴染みのBGM……。
♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:
いいわ、この音楽。なつかしーー……。
「なんです? これ」アドニスはきょとんと見つめた。
まあ、見てってよ。21世紀の娯楽さ。
女神はそれをお気に召したようだ。
じっと見てる。
「この女の子、よく喋るわね」
でしょうね、ヒロインだもん。
「こっちは蜘蛛と人間のキメラなのね」
そうなりますかね。掛け合わせだよな?
「……ねえ、もしかしてこの人、女の子を助けようとしてるの?
……いいなあ」
くす。
それを見てアドニスが笑った。
「さみしいのでしょう。珍しく冥界から出てこられたのに、会わずにお帰りになりましたからね」
何の話?
冥界って…もしや…。
「ああ、そうか、ご存じないのですね。……ペルセポネ様はハデス様のお后様なんですよ」
「ペルセポネ?」ここで初めて名前を知った。
「ええ。ご存じありませんでしたか」
えー…。
そうだったんだ。
へえ……。
結婚してたのね。
ガックシ…。
ハデスの嫁さんかあ……。
ーーーん、なんかおかしくね?
「何でここに? 結婚してて何故別に暮らしてるんだ?」
「掟があるんですよ。ペルセポネ様は年の3分の2ほど地上にいなければならないんです。大事なお仕事がありますので」
ふうん、そうなんだ。
「あーん、かっこいい」
相変わらず楽しんでる女神様。
こうしてると女子だよ……。
ソファにごろ寝してずっとスマホ…。
人間の女の子と変わんないんだな。
「いいなぁ、素敵……」
って。
なるあき……。
お前の嫁が寂しがってるようだけど?
「お前すげえところから来たんだな」
ヘスティア、ヘパイストス、二人がスマホの動画を眺めてる傍でパンのようなものをさっきの飲み物に浸して食べる。
素朴な味…これはあれだな…インドのナンもどきだ。
「それにしても奴隷が多過ぎだろう。無茶苦茶にならねえか」
やっぱり奴隷に見えるらしい。
俺もそのうちの一人だが。
「はい次焼けたわよ」
皿に盛って出された。
味はナンよりチャパティに近い。
かまどで焼いたパンか。
こういうの、においや雰囲気も含めて、陽キャの世界だよなー
…………方や俺は、加工品にまみれて、いっつも怒られてたなーー
スマホを戻してもらい電源をオフにした。
どうしよう俺…。ここからどうなるんだ? フー……。
「まあゆっくりしてけよ。しばらくいるんだろう?」
「うん」
そうするしかないよな……しばらく様子見だ。
夢であってほしいけど…。
ゆらゆら壁が揺れて見えるのはかまどの熱気か。
「またいらっしゃいな」
ヘスティアに見送られ外に出ると、やはり…イチャイチャ…LGBTの世界……。
オヤジな顔した獣人が抱き合って…。
天女か妖精か女同士でキャッキャ……。
美女が花を摘んでいる。
「あら、ミドリカワ」
初めに見た美女女神だ。
「よかったら、私の家にいらっしゃいな」
お招きに預かることになった。ヘパイストスと別れて彼女についていく。歩いているんじゃない、ムーンウォークみたいな感じでスーッと進む。「さあ、どうぞ」
でかっ。うっすらピンクマーブルの宮殿だ。
「アドニスよ」
びっくりするほど美少年が出てきた。「こちらはミドリカワ。遠い世界から来たの」柔らかそうな栗色の髪、緑色の瞳、跪いて手にキスされた。
「はじめまして。ミドリカワ」
またまたびっくり、というかドキドキする…。
「どうぞ、お掛けください」
立派な台座に座らされる。
彼は再び膝をつき、飲み物を差し出された。
び、美少年…。
「ねえ、あの…もう一度見せてくれない?」
スパイダーマンか、お安い御用さ。
スマホを出して再生してみせる。「ありがとう」
御馴染みのBGM……。
♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:。・゜♪:
いいわ、この音楽。なつかしーー……。
「なんです? これ」アドニスはきょとんと見つめた。
まあ、見てってよ。21世紀の娯楽さ。
女神はそれをお気に召したようだ。
じっと見てる。
「この女の子、よく喋るわね」
でしょうね、ヒロインだもん。
「こっちは蜘蛛と人間のキメラなのね」
そうなりますかね。掛け合わせだよな?
「……ねえ、もしかしてこの人、女の子を助けようとしてるの?
……いいなあ」
くす。
それを見てアドニスが笑った。
「さみしいのでしょう。珍しく冥界から出てこられたのに、会わずにお帰りになりましたからね」
何の話?
冥界って…もしや…。
「ああ、そうか、ご存じないのですね。……ペルセポネ様はハデス様のお后様なんですよ」
「ペルセポネ?」ここで初めて名前を知った。
「ええ。ご存じありませんでしたか」
えー…。
そうだったんだ。
へえ……。
結婚してたのね。
ガックシ…。
ハデスの嫁さんかあ……。
ーーーん、なんかおかしくね?
「何でここに? 結婚してて何故別に暮らしてるんだ?」
「掟があるんですよ。ペルセポネ様は年の3分の2ほど地上にいなければならないんです。大事なお仕事がありますので」
ふうん、そうなんだ。
「あーん、かっこいい」
相変わらず楽しんでる女神様。
こうしてると女子だよ……。
ソファにごろ寝してずっとスマホ…。
人間の女の子と変わんないんだな。
「いいなぁ、素敵……」
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なるあき……。
お前の嫁が寂しがってるようだけど?
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