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2章 変化
夢現③
しおりを挟むそこに現れたのは昔読んだ本の登場人物。
憧れに近いのかな?
そんな彼をイメージした。
その物語は主人公がいろんな世界を冒険してその世界の問題を解決していくというお話。
その主人公をサポートし様々な世界へ行くときに魔術使い道を作る偉大な賢者。
和柄の上掛けがとても印象的で長い黒髪をうなじあたり束ねた最果ての男の賢者。
「すごいルクスだ!」
小説の挿絵の通りの青年がそこに立っていた。
『…このイメージの名前なのかい?』
「あっはい!すみませんつい…」
『いや、じゃあその名前を借りてしまおういいかな?』
そういうと軽くお辞儀をし彼は話し始めた。
『えーと初めまして…になるのかな真名は名乗れないからルクスというものイメージを借りたものだよ』
「はっはい!」
『そしてこの時間帯の人じゃないんだ』
と付け足した。
んんんー?
いま何って言った?
『自分…えーと大丈夫か…な?』
「はい!一応!でもできればゆっくり説明お願いします!今日色々ありすぎて」
『あ~…今日は忙しい日だったのかな』
遠い目をしてる…挿絵や表紙の絵しか見たことなかったからとても新鮮だ。
表情がある…こんな顔するんだ。
『じゃあ、大切なことだけでも…君にどうしても話したいことと、君に渡すものを合計二つ伝えるけどいいかな?』
まるで子供に諭すような言い方。
主人公に丁寧に説明するルクスにとても似ていた。
「わかりました」
『まずは話したいことから、いいかい?』
こくりと頷くと、ルクスは話し始めた。
『まず、自分は君を助けるためにきた…と言ってもそばにいてお手伝いできるわけじゃないんだ』
「はい」
助けに…まぁ巻き込まれてるし、今日だってキャパオーバーしそうに何度もなってたし…よくオレパンクしなかったな。
『こうやって、夢を利用して君に話したりしてるんだ、自分はこの世界や時間帯とは違うところにいるからね』
「違う…世界」
『君の目線からだと[異世界]になるね、いろんな世界があって選択が変わることによってズレた世界パラレルワールドがいくつもあるんだ』
おっと話が逸れてしまったね。
とにこりと微笑んでいる。
『ちゃんと本題に入ろうか、君は今後いろんな出来事に会い巻き込まれていくんだ』
「巻き込まれ…」
もしかしてじゃなくてもこの事件解決したとして、またこんなことに巻き込まれるのかオレ…。
ごくりと唾を飲む、不安と恐怖と…ほんの少しだけ好奇心がくすぐられてしまった。
安易な方向に考えてはダメなのに、危険とわかっていても興味を持ってしまう。
人間とは,そうゆう生き物らしいけど[たしか、高校の一年の時の担任が言ってたなー。
…といけね、集中しないと。
『…まぁ簡単に言うときみに[能力や才能]はあるんだけどまだ[覚醒]してないんだ』
「え?視る以外に?」
『うん』
そうなんだ…視えるだけでもすごいと思うんだけど。
彼からしたら基礎中の基礎と言いたいのだろう。
『それで君の力を開花させる手伝いをしようと思うんだ』
「…はぁ」
変な返事をしてしてしまった。
それはオレに利点がある…けどルクスは何を考えているんだ?
『君が今能力の開花をしてくれるとこっちの利点があるんだ』
「利点?」
『教えてあげるよ、いくつかの世界が悪い方向に行かなくなる滅びが遅くなるんだ』
「思ったより重い理由だった!」
『ね?利点でしょ?』
ニコリと返してくる。
この人…人?とても怖い。
まるで考えが一般と離れている…気がする。
『あんまり話すと長くなるけど…どうする?』
このまま聞いておきたい気はするけど,今話を聞いても多分覚えられない…ただでさえいろいろ起きすぎて…下手したらミトやコジローの話覚えてるか危ういし…。
夢を利用して会いにきてくれるのなら…この質問をしてみよう。
「つぎは、いつ会えますか?」
『…うーん絶対は言えないからなぁ[時間のズレ]があるからそれに合うかどうか…会える時は頻度高くても会えなくなる時は本当に会えないし…』
「不確定だけど会えるって思っていいのかな?」
『そうだね、極力コンタクトは取るつもりだよ』
「うん、なら今回は聞かないでおきます」
『…その心は?』
「今聞いて全部覚えて慣れなさそうだから!」
『…あはっあはははっ!』
「え?今笑うところだった?!」
『いや、ごめっ…すまない、潔いなと』
ルクスはそういうとふぅと息を整え、こちらをしっかり向いて少しかがみ、目を合わせてきた。
『頭を今から触るけどいいかな?力を使えるように少し[流れをよくするから]』
「えっ?…はい」
『あっそうだこれも持って、渡すものはこれまだ見てはいけないよ目を逸らさないで』
左手に何か握らされた。
手触りだと丸っこい何かと紙切れみたいなものいうことだけわかる。
右手は頭を少し触り何か温かいエネルギーのようなものがこちらに来てる感じがした。
『…よしこれで開いたかな、お疲れ様えーと…ごめんねなんで呼んだらいいかな?』
離れながら彼が困ったように質問してきた。
「あれ?オレの名前知ってるんじゃあ…」
『名前は知ってるけど…』
「今更気を遣わなくていいよ、空でいいよ」
『じゃあ…空、君の旅が幸あらんことまた近いうちに』
そう言われてさらに続けて。
『手に握らせたそれは現でひらいてくれ君の役に立つ』
そう聞こえてお礼を言おうとした…次の瞬間には…。
オレはホワイトアウトした。
続く
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