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2章 変化

夢現②

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『落ち着いた?』
心配してくれてると思われる光の人はオレが落ち着くまで待っていてくれたし、むしろ落ち着かせてくれた。
むしろよく落ち着けたなオレ。
「えーと、どうしてこんなことになってるがご存じなのでしょうか?」
精一杯の敬語を相手にぶつける。
得体が知れないし、怒らせたらとんでもないものとかだった困るし。
数時間前に世界の見る目が変わっているからこそ警戒せざるおえなかった。
『なんか…むず痒いなぁ敬語は無しでいいよ、ほら…まぁ、敵じゃないから』
「…ますます怪しいんですが」
『あー』
どうしようかなぁという素振りをしている。
ひとまず怪しまれないようにしたいらしいのかこんな提案をしてきた。
『話しやすい相手とか思い浮かべられるかな?』
「え?」
『どうやら[そちら]は[こちら]を認識するには別の姿を用意しなければならないみたいだから』
「はぁ?!」
なんだそりゃ!
『思い浮かばないならそちらの視界は光ったままの質量ある棒人間に見えてるんじゃないかな…』
「…はい」
『そちらのイメージを利用して形取ろうと思うんだけど…どうかな?話しづらい…よね?』
こくりと頷く。
もう、否定ができない。
人の形をしてるだけありがたいのだが…。
先ほどより落ち着いたとはいえ,まだ恐怖心というものは残っている。
全体が光って存在が奇天烈なことが起こると、人はパニックになったり平静を保つことが困難なのを実感した。
今のままだと落ち着いて会話は難しいだろうし…うーん…。
『なんでもいいよ、話しやすい見た目…できれば人の形をした姿だとありがたいんだけど』
「人の姿で,話しやすい…」
『空想上でも構わない、もしかしたら空想上のが楽かもしれない』
「空想上でも…」
それは、漫画のキャラやゲームのキャラでもいいよとのことなのだろうか…。
一応赤の他人に当たる光る人に家族を当てはめるのも何か違うなと思い悩んでいたし、友達や芸能人とかもなんかピンとこない。
程よく…話しやすそう…か。
…どちらかというとこの人の喋り方にあったキャラクターなら思い付いたんだけどそれでもいいのかな…。
「…本の登場人物でもいいですか?」
『え?まっまぁ見た目のイメージがわかれば』
「じゃあ、イメージします」
『…』
イメージを集中するために目を瞑りその存在を思い出したり自分の中の本棚から探し出す。
『へぇ、コレが君がイメージしたものかい?』
終わったのか声をかけてきた。
目を開けたその時には、もう光っておらず、そこには自分がイメージした姿で現れてくれた。

続く
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