『正義』に憑かれた青年の物語

絶望

俺は『正義』が好きだ、憧れている、焦がれている。

そして何より     -美しいと感じている-

俺は子供の頃から自身が他と違う事を自覚し始めた。

なぜ問題の原因である物を見て見ぬ振りをして平然としていられるのか？

そんな疑問を両親に聞いてるみると２人とも口を揃えてこう言った

「自分から面倒事に首を突っ込んでも嫌な思いをするだけだから」

俺にはこれが理解出来なかった。後悔するから？なら原因を野放しにして、また次に誰かが嫌な思いをするのか？

俺がこの世で1番嫌いな事は
『善人』が泣き『悪人』が笑う    だ。

そんな考えを悶々と持ちながら成長し、今もその考えは変わらない。むしろ強く強固な物になっていった

そんなある日俺はコンビニにおにぎりを買いに行き、お気に入りの紅シャケのおにぎりを3個買って帰っている途中だった。

道の曲がり角を曲がった時に３人の人物が視界に入った

(こんな所で何してるんだ？)

そう思い少し近付き目を凝らしてるみると、1人の女性に男性の大人２人が刃物を向けてにじり寄っていた

既に女性は軽く横腹を刺されていたのか
完全に痛みと恐怖で動けなくなっており、両足がガクガクと震え、目には涙が浮かんでいた

それを見ながら男２人組は汚い下衆な笑をしながら更ににじり寄って行く

その場面を見て状況が理解出来た瞬間、俺の頭の中は男２人組への殺意で埋めつくされた

その後の記憶はほぼ無く、気が付けば俺は男達が持っていたナイフを握り締め、男達は地面に倒れたままピクリとも動かない。

そして急いで女性の方を見るも女性も倒れ込意識が無い状態だった、すぐ様救急車を呼び、その後に警察も呼んだ

先に警察が到着し、その後に救急隊員も到着した。そして俺は........





-そのまま殺人容疑で逮捕された-


俺はその後裁判で無期懲役が決まり独房にいる

「なんでだ....俺は人を助け、クズを処分しただけなのに.....」

心の中では分かっていた、例えクズでも殺人は許されない。それが社会なのだと

それでも俺はクズ共を殺した、そこに後悔は無い。むしろ湧いて来るのは

『なぜお前達は犯罪者の命すら守ろうとするのだ』という怒りだった

それと同時に「俺の正義は誰にも理解して貰えない」と言う絶望も湧いて来た。

(俺の正義が認めて貰え無いなら俺は生きている意味が無い、俺から正義を取ったら何も残らない....何も....)

もはや生きる気力も意味も無くなった俺は食事時に出された箸を使い自身の喉に突き刺し、自殺した......