くるみの木のパン屋さん

雪村みおり

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 おくふかい森の中に、『くるみの木のパン』がありました。

 そこでは、くるみおばさんが、どうぶつたちにパンをってくらしていました。


 このパンさんは名前なまえのとおりに、くるみの木でできています。
 その店で、くるみおばさんは今日も、パンをります。


 ちょうど今、くるみおばさんは、けたパンを店のたなへ、ならべていました。

「ああ、今日もいろいろなパンがけたわ。かぼちゃつゆ草パンに、たんぽぽミルクパン……」

 くるみおばさんはめがねをかけると、いつものように、パンの数を数えます。
 できたてのパンはきつね色にこんがりけていて、こうばしいかおりに、ことりたちがよってきそうです。


 くるみおばさんは、とびきり元気げんきな人です。

 ちょっとおこりっぽいところや、うっかりしたところもあるけれど、やさしくて、パン作りのうでは森一番いちばん

 できたての、ほかほか、あつあつのおいしそうなパンを見ると、わらってしまうのがくせでした。
 上手じょうずにパンをけて、それを食べるみんなのよろこぶ顔を思いうかべると、うれしくなってしまうのです。


「ふふっ……」

 いつものようにくるみおばさんはわらうと、店のドアのふだを『いらっしゃいませ』に変えました。

 その時です。


 ジリリリリーン!


 店の電話でんわが、ひびきわたりました。
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