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パンたちがささやく言葉はどれも弱気な感じで、今のくるみおばさんの心といっしょです。
「いやだ……。みんな、どうしちゃったの」
「今までご主人は、思いやりをこめながらパンを焼いていました。だから命をふきこまれたパンたちは、堂々と胸をはっていたんです。でも今は、ご主人が弱気な心でパンを焼いているから、このとおり」
くるみおばさんは、おどろきました。
自分の心一つで、パンも変わるなんて…………。
「作る人の心しだいで、作られたものの味も変わってきます。いつものご主人のパンは、とっても元気でおいしかったはず。でも最近のパンは、どことなくはりがないですよ」
「そう言われてみれば……」
「このままでは、本当に『まずい』って言われるようになっちゃいますよ。自分の味を信じて、心をこめて作ればいいんですよ」
ジャムパンに言われて、くるみおばさんは目が覚めました。
「そうだ。私は、大切なことを忘れていた。私らしくないわ。心をこめて、私の味をつくっていけばいいんだ」
ジャムパンもうなずきます。
「ありがとう、ジャムパン。大切なことを教えられたわ。私はまた、がんばるわね。あなた、私が落ちこむ前に焼かれたパンだから、堂々としていられたのね……」
ジャムパンはにっこり笑って、言いました。
「よかった。ご主人が元気になって……」
と、そのとき。
お店のドアが開いて、なんとゆいかちゃんが飛びこんできたのです。
「まあ、どうしたの!」
「いやだ……。みんな、どうしちゃったの」
「今までご主人は、思いやりをこめながらパンを焼いていました。だから命をふきこまれたパンたちは、堂々と胸をはっていたんです。でも今は、ご主人が弱気な心でパンを焼いているから、このとおり」
くるみおばさんは、おどろきました。
自分の心一つで、パンも変わるなんて…………。
「作る人の心しだいで、作られたものの味も変わってきます。いつものご主人のパンは、とっても元気でおいしかったはず。でも最近のパンは、どことなくはりがないですよ」
「そう言われてみれば……」
「このままでは、本当に『まずい』って言われるようになっちゃいますよ。自分の味を信じて、心をこめて作ればいいんですよ」
ジャムパンに言われて、くるみおばさんは目が覚めました。
「そうだ。私は、大切なことを忘れていた。私らしくないわ。心をこめて、私の味をつくっていけばいいんだ」
ジャムパンもうなずきます。
「ありがとう、ジャムパン。大切なことを教えられたわ。私はまた、がんばるわね。あなた、私が落ちこむ前に焼かれたパンだから、堂々としていられたのね……」
ジャムパンはにっこり笑って、言いました。
「よかった。ご主人が元気になって……」
と、そのとき。
お店のドアが開いて、なんとゆいかちゃんが飛びこんできたのです。
「まあ、どうしたの!」
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