チャロアと99人の魔法使い

雪村みおり

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 おどろくみんなの視線しせんさきに、チャロアがいました。

「ぼくは、意味いみがないとはおもわないな」

 チャロアはこえあかるくはずませながら、教室きょうしつわたします。

「ぼくは魔法まほうをおぼえるの、たのしいよ」

 教室きょうしつは、しーんとしずまりかえっています。チャロアは目をキラキラとかがやかせながら、はなしをつづけました。

「ぼくのゆめはね、サンタクロースさんになることなんだ。だから、魔法まほうをたくさん勉強べんきょうして、りっぱな魔法使まほうつかいになりたいんだ」

 おとなはみんな、魔法まほう使つかえません。でも、ひとりだけはちがいます。
 その人はクリスマスの夜だけにあらわれ、トナカイがひっぱるそりを魔法まほうであやつり、空をんでやってきます。そして、子どもたちにプレゼントをくれるのです。

 町の人たちは、かれのことを「サンタクロース」とよんでいました。チャロアは、そんなかれにあこがれていました。


 すると、クラスのみんなは大声おおごえでわらいだしました。

なにってるんだい、チャロア! おとなになると、みんな魔法まほう使つかえなくなるんだよ? サンタクロースになんて、なれるわけないじゃないか」
「そうよ。サンタクロースさんは、おとなでただひとりの魔法使まほうつかい。特別とくべつで、すごい人なのよ! だれも、なれっこないわ」

 みんなにわらわれ、チャロアは下をきました。
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