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学園
しおりを挟むシャルマイノス王国の王宮から馬車で半時足らずの場所に貴族家の令息令嬢の通う学園がある。豊かな国は学園の門徒を増やし、地方貴族家、さらには貴族家から派生した家の子息も後見人を立てれば通えるようにしたのは数年前からだった。未来を担う者への教育を十分にと国王が決めたことだった。
「レオン様」
「いいぞ、力量を見せろ」
騎士科の鍛練場の空いた場所でレオンとガイルが木剣を持ち、対峙している。
「最年少の俺が騎士に勝ったらどうするんすか?全力なんて勝っちゃいますよ!」
「リードの名が上がる。辺境伯は喜ぶぞ。こい」
ガイルはレオンの言葉に足を踏み出し、肩を狙って剣を突く。レオンは僅かに身を反らして躱し木剣を素手で押し流れを変える。ガイルは流れに逆らわず木剣を回しレオンの足を狙う。レオンは素早く足を上げながら、握る木剣をガイルの胴へ進める。レオンがガイルの木剣を踏み、ガイルがレオンの振る木剣の側面を拳で叩き軌道を変え、柄を握るレオンの手を捕まえた。
「手は使えるんすよね?」
「ああ、実戦に近くなくては意味がないだろ。だが、これは木剣だ。拳で叩き落とすことはできるが対決では鋼の剣だぞ。軌道が少し下がるだけでお前の太股に当たる」
レオンの手を握り、止めたと思ったガイルは木剣の先端に視線を移す。レオンの持つ木剣の先が足首に触れていた。
「レオン様の手を強く押すわけにいかないっす。相手がそこらの騎士なら捻って剣を落とさせます」
「肩を突くとき視線に気を付けろよ。狙うと語っては意味がないだろ」
ガイルはレオンに踏まれた木剣から手を離し、直立する。
「瞬に見ただけっす!レオン様がおかしいんすよ…」
「ははっどうしても相手の表情や視線に注視するのは仕方ない。そうやって心を読む。感情っていうのは案外顔に出る…隠そうとする貴族でさえな」
ガイルの眉間を指で押して、場の端に置かれてある長椅子へ向かう。
「テオ様の顔は変わらんですよ」
「よく見てみろ。怒り、喜び、不快…僅かだが動いている。お前は隠そうともしない。探さなくても何を思うか…誰でもわかる」
「へへ、そこを気に入っている…すよね?」
ガイルの言葉は間違ってはいない。ガイルはガブリエル寄りの気質を持っている。
「お前は辺境伯の三男だ。俺が使い捨ててやる」
「ありがたき幸せ」
ガイルは胸に拳を当てて頭を下げる。レオンはその黒い頭に手のひらを乗せる。
「生涯俺を守れよ。その命を使ってな」
ガイルは潤む瞳を耐え、頭に触れる手に感謝を伝える。
「あー冷たい果実水が飲みたいが、ここには氷がない」
レオンは愚痴りながら長椅子に置いてある水筒を持ち栓を抜いて口に含む。水筒をガイルに渡し飲めと黒い瞳で伝える。察したガイルは水筒を受け取り喉を潤す。
「丸薬は持っているな?」
レオンの言葉に懐を叩き頷いた。
「さて、汗を拭うか」
「了解」
ガイルを従え、水場へ向かう。騎士科鍛練場の外れに井戸があり、鍛練終わりの生徒が汗を拭う場所だが、人がいなかった。レオンは井戸から水を掬い布を浸して絞り顔を拭い、上着の釦を外して隙間から体を拭う。ガイルも同じように拭い、腰紐を緩め股間まで拭い始めた。
「速効性か?」
「ははっぽいっすね。入れちゃっていいんすか?」
「言質を取れよ?」
「嫌って言われますよ。辺境伯の種なんて要らないわ!とか言われる。あー効いてきました」
「俺はふらつくからな、支えろ」
レオンは布を地面に落としガイルの体に倒れ込み呼吸を止めて頬を赤くする。
「レオン様!医務室に行かれますか?」
「いい…休憩室…」
ガイルはレオンを支え、騎士科の近くにある休憩室へ向かう。許された高位貴族が使用できる空間。個室が数部屋並ぶ建物には、高額の寄付をした貴族家の生徒だけが自由に使え、招待状を持つ高位貴族が入れる。ゾルダークが建てたものだった。入り口には門衛が一人立ち、使用許可を持つ貴族を選別している。
部屋は広くなく机と大きなソファが置いてあり、棚の上には水差しがある。
「飲みました?」
ソファに腰を下ろしたレオンをガイルが見下ろす。
「いや、口に含んで水筒に戻した」
「…それを俺に渡したんっすね…」
「よくある媚薬だ。滾っているぞ」
ガイルは自身の股間を見下ろし頭を掻いた。
「レオン様が飲めって」
その時、門衛から客の訪れを報せる合図が送られた。
「来たな。部屋に入れるなよ、廊下でやれ」
「一人っすかね。複数は相手にできませんよ…三人が限度」
「ははっ三人は複数だろ。下品な奴だ」
ガイルは扉の前に立ち耳を澄ませる。足音を聞き、指を一本立てレオンに報せる。ガイルの背を見ながら、開いた扉の隙間からドレスが見えた。直ぐに扉は閉まり、レオンはソファに足を投げ出し昼寝をするため瞳を閉じた。
ガイルは女が声を出す前に口を手で覆い、柱の陰に連れていく。女は驚きで体が固まりガイルの力強い腕に逆らうことができない。
「はぁ…信じらんねぇ…外れだよ。これはこれはブライ伯爵令嬢様」
ガイルはエリサ・ブライの片足を蹴り広げ、その狭間に身を入れ自身の腰を下ろして、滾る陰茎の上に乗せる。
「望み通りの陰茎だ。入れてやる」
硬く熱い陰茎はエリサ・ブライの秘所にあたる。恐慌するエリサは激しく首を振り、否やを伝えるがガイルは笑う。
「お前、紅を塗りすぎだろ。手がべとつく…これはわかるぞ…恐怖の顔だ。ははっ」
下着越しに秘所に陰茎を擦り付け存在を教える。
「お前は卒業が近いよなー焦る気持ちはわかるぜ」
よいしょっと呟いたガイルは腰紐を緩め陰茎を取り出し、エリサの下着を掴み破る。ガイルの手をエリサの悲鳴が涙と共に汚している。
「泣くなよなぁ…望んでたんだろ?これが陰茎だぞ?」
秘所の割れ目を熱く滾り、先端から出る子種が濡らしながら動く。
「処女?」
エリサは懸命に頷く。
「なら痛いぞ、頑張れ!」
「んー!」
「嫌なのか?ならどうするよ。俺の陰茎、こんなにしたのは盛ったお前のせいだろ?ああ…これだけでも果てる…あんま動くなよ…入っちゃうぞ?」
ガイルの言葉にエリサは動きを止める。ガイルは早々に終わらせるため、壁にエリサを押し付けたまま腰を動かし快楽を得る。
「小公爵に盛るとは…ああ…ブライ伯爵は死ぬなぁ。くっ出るぞ…そうだ、飲めたら俺がレオン様に許してやってくれと言ってやる。嫌は…無しだぞっ」
ガイルは持ち上げていたエリサを落とし、呆然とする顔の前で陰茎をしごき、紅が色づけた頬を掴んで口を開けさせ、子種を出す。何をされているのか理解したエリサが暴れる前に押さえつけ、噛まれないよう顔が歪むほど頬を掴み白濁を出しきり、エリサの顎を持って開いた口を閉ざす。
「ああ……辺境伯の子種は上手いか?」
残滓を頬に擦り付けながら吐き出さないように手のひらで口を覆う。
「飲み込めよ…罰だ。吐き出したら今度はぶちこんでブライ伯爵に警告する…俺の子種がお前の中を満たしたってな。俺は爵位がないから未来の平民だぞ、嫁ぐか?」
エリサは顔を青くしながら、生臭い子種を飲み込んだ。それしか選択肢はなかった。喉の動きを確認したガイルは汚れた陰茎をエリサのドレスで拭い、手に着いた紅も拭う。まだ滾る陰茎を仕舞い腰紐を結ぶ。エリサは床に座ったまま口を押さえ震えている。
「お前一人でやったのか?協力した奴がいたろ?騎士科に…ブライ伯爵の配下か?」
目を離したといえゾルダーク小公爵の水筒に媚薬を入れるにはドレスは目立つ。鍛練する生徒しかいない。
「口を開けな」
大人しく開いた口の中を見て、残りがないことを確認する。立たないエリサの前に屈み、乱れた髪を掴んで涙の溢れる瞳を見つめる。
「言えよ。そいつは二度と剣を握れなくしなきゃな」
青ざめるエリサに近親者かと見当をつけ尋ねる。
「お前…弟がいたな…騎士科に入ったのか…ふーん。終わったな」
「いや!おぇ…」
声を上げたエリサは自身の口から匂う生臭さにえずく。
「あー吐くなよ?辺境伯の三男の子種は腹に入れとけ。ははっ…ほら行けよ。二度とやんなよ…全部の穴を犯すぞ」
ガイルはエリサの腕を掴み立ち上がり、ふらつくエリサの背を押す。捲れたドレスに気づかず走り出すエリサにガイルは声を上げる。
「おい!情事の後って格好だぞ!整えろよ!」
ガイルは乱れた黒い髪をかきあげ、レオンの待つ部屋に向かう。静かに扉を開けるとソファに寝転ぶレオンが見えた。足音を忍ばせ近づく。濃い紺色の髪が乱れたまま、目蓋を閉じ動かないレオンを見つめる。ホールに飾られたハンク・ゾルダークに面差しは似ているが瞳を開けると垂れる様は周りが言うより似ていないとガイルは思う。
「誰だった?」
「ブライ伯爵令嬢っす。今回は外れっす。可愛い子がよかった」
「ふーん。手助けしたのは弟か…」
「入園したっすよね。騎士科に」
「純潔を散らしたのか?」
ガイルは上品な言い方をするレオンに笑いだしそうになる。
「散らしてないっす…飲んでいただきました」
「エリサ・ブライは頑なに婚約話を断っているそうだ。離れた地の男爵辺りに…死産薬を与えて嫁がせるか…修道院に幽閉か。あの血筋は…よくない」
「レオン様の婚約を聞いたんすかね」
あまりに無謀な計画を実行した訳は卒業と婚約かとガイルは予想した。
「ならば箝口令の意味がないな…五日後には知るけど…ガイル、ゾルダークの騎士服は届いた?」
ゾルダークの騎士服の漆黒は以前と変わらないが胸を彩る家紋の刺繍は空色の糸を使用している。
「柔らかく動きやすい、丈夫な生地でした」
「お前は髪が黒いから似合うだろうと思った」
閉じていた瞳が開かれ、黒がガイルを捉えた。
「他の部屋に使用者がいるだろ?誰かに見られたか?」
「素早く終わらせたんで…あっでも服が乱れてるぞって叫んだんで噂は上がるかと」
「辺境伯令息と伯爵令嬢が廊下でな…破廉恥だ」
廊下でやれと言ったのはレオ様なのにと心で悪付きガイルは微笑んだ。
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