25 / 224
25
しおりを挟むキャスリンはソファに座りゾルダークの家紋を刺繍している。もうそろそろ出来上がる。誰に上げようかしらと考えながら針を刺す。月の物が始まって痛みがある時は過ぎ、それでも大事を取ってゆっくり過ごしている。歩けるときはダントルと庭へ、食事も食べる量が増えている。
見舞いに来てくれて嬉しかった。子が宿らず落ち込んだ気持ちもあの日を思い出すと浮上して前を向ける。社交もハインス以降、私の体調不良で参加していない。カイランに一人で参加をとトニーに伝えたけれど夫婦で行くべきだと参加しない。ゾルダークは元々夜会嫌いで有名だったから特に何も言われない。カイランとリリアンのことも社交に出ない私には何も届かない。キャスリンはゾルダークで信頼できる者達と穏やかな日々の中にいる。
「旦那様が本日は共に夕食をと仰っていますがいかがですか?」
嬉しい申し出だけれど、カイランには会いたくない。でも、ハンクから誘われるなんて珍しいわね、
「カイランはいないの?」
ソーマは頷く。それならばとキャスリンは申し出を受けた。いつものように食事中は会話がない。私の食べる量は増えてきたけれど元々の量には追いついていない。料理番は私が食べやすいようにと最近では切り分けておいてくれる。自分で切ったりしているとそれだけでお腹が満足してしまい残してしまっていたのを気にしてくれたのだ。そのおかげで食べる量も元に戻りつつある。食後のソーマの紅茶の時間は久しぶり。一息つく頃ハンクが立ち上がり私に近づく。上から見下ろされ私は首を傾げ何ですか?と問う。
「立ってみろ」
ハンクが椅子を引くのでその場に立ってみる。すると脇の下に手を入れられ上へ持ち上げられる。呆気にとられなすがままになっている私に。
「軽くなってる」
私の食べる量が減っていたのを気づいていたようだ。私は微笑みハンクに答える。
「これでも増えたのです。料理番が工夫してくれて少しずつ元に戻ってますわ」
ハンクの眉間に深くしわが刻まれている。心配してくれているのかしら。私は子供のような格好も気にせず、ふふふと笑って動かないで好きなようにさせた。ハンクはそのまま私を片腕に抱きソーマへ目配せする。ソーマは食堂から出て、少し待つと戻りハンクへ頷く。ハンクはそれを確認してそのまま歩き出した。
誰かに見られたらと、ふと過ったがソーマが一時退室したのはそういうことなのかと納得し聞くことはしなかった。久しぶりにハンクの執務室に入った。あの時と変わらない。ソファに座る。私はハンクの膝に下ろされた。大きな手は私の下腹を撫でている。もう痛みはないのに。
「痛みは収まりましたわ」
そう告げても下腹を撫でている。心地いいから止めることはしない。
「閣下。吸い付くと赤くなるのですね」
「ああ」
この前の夜ハンクが鎖骨辺りに吸い付いた。朝起きてジュノに聞かれるまで気づかなかったが鏡を見て点々と肌が色を付けていた。以前胸にあったものと同じに見えたので納得したのだ。こうしてなったのねと。
「またしてくださいな」
「わかった」
私はハンクの胸に頭を預け心地よい気分でいた。こうしていると安心する。ハンクは私の髪の先をくるくる指に巻いて遊んでいる。髪をくんっと引っ張るので見上げると口が落ちてきた。合わせただけの唇。すぐに離れてしまった。私は顔を上げたまま待つ。焦れて口を開けるとハンクが覆ってきた。私は舌をハンクに入れ舐める。ハンクの舌の奥の方から絡め舐める。唾液が流れてくるがそのままに飲み込んで舌を絡めて吸う。すぐに息が上がり呼吸が激しくなる。ハンクは腕を私に巻き付けて抱き込む。気持ちいい、もっとと私もハンクの体に手を回す。隙間が消えるほど密着する。気持ち良くて安心する。ハンクは口を離し私を見つめ二人の唾液だらけになった唇を拭う。黒い瞳が私を映す。私のお尻の下には硬くなったハンクの陰茎を感じる。まだ月の物が終わってないから子種を貰えない。ハンクの手は私を撫でている。大きな手は気持ちがいい。私はお尻に当たる陰茎を擦るように腰を動かした。ハンクの動きが止まるけれど私を止めることはしない。私は陰茎に手を伸ばす。服の上から触るととても硬い。手で撫でて掴んでを繰り返す。これが私の中に入っていた。こんなに大きくて太い、どうやって入っていたのかしら、入るときは小さくできるのかしら、と考えながら陰茎に触れている。ハンクの体が少し反応したので手を止める。
「痛いのですか?」
私は悪いことをしたのかと少し不安になる。ハンクが何も言わないことをそのまま否と捉え、好きなようにしていた。
ハンクは答えないでただ私を見つめている。痛いなら嫌がるわよねとまた手を動かす。服の上から撫でるいつまでも硬い。微笑みながら撫でているとハンクは私を抱き上げ立ち上がり寝室へ向かう。初めて入るハンクの寝室。
「まだ月の物が終わってないのです」
私は残念に思いながらハンクに告げる。ハンクは私を寝台に座らせ自身は立ったまま腰紐を弛ませ陰茎を取り出す。薄暗い中でもわかる赤黒く太くて長い陰茎が立ち上がっている。私は手を伸ばし触る。温かくすべすべしている。指先で撫でる。ハンクは私の手を掴み重ね陰茎を握り込ませ、前後に動かした。結構強く掴んでいるけれど痛くはないようだ。ハンクが手を離したので私は一人で陰茎を握り動かす。片手だと大変で両手で握り込み動かす。陰茎が時々跳ね先の所から液体が滲み出てきた。子種が溢れてしまう。私は手に取り口に含む。少し苦い。これが私の中に注がれている。感慨深い思いが溢れまた手を動かして子種を出してみる。次々と先から出てくるのがもったいなく、手を止めて掬うのも面倒で陰茎の先を口につけ舐めとる。これにはハンクが反応したので駄目なことかしらと見上げると頭を撫でられたので続けることにする。手は陰茎を前後に撫で続け先は口に含んだままにしているとハンクの手が私の手を包み激しく動かす。片方の手は私の頭を撫でている。陰茎が僅かに膨らみ私の口の中に子種が大量に注がれる。一度注がれその後も何度か口に注ぐ。大量の子種が口から溢れてしまう。陰茎から口を離し押さえる。青臭く苦い味が口中に広がる。ハンクは掛け布を私の前に広げた。
「吐き出せ」
吐き出すものなのかと口からとろりとした子種を出す。口の中はまだ苦い。ハンクは水差しから器に注ぎ私の口元に持ってくる。水を飲んで口の中から子種が消える。初めて味わう子種の味に嬉しくなり布に出した子種を掬って口に入れようとしていたらハンクに腕を掴まれ止められた。舐めてはいけないのかしらと仰ぎ見る。
「また出してやる」
そう言って陰茎を拭いトラウザーズを履いてしまった。ハンクはまた器を差しだし私に飲ませる。
「約束ですよ?」
私がそう言うと抱き締めてくる。そのまま寝台に倒れ二人で抱き合う。ハンクの胸に顔をつけ鼓動を聞く。優しい音に心が温かくなる。少し速かったのか間隔が変わる。ハンクは私の頭を撫で腕に力を込め掻き寄せる。その苦しさも心地いい。しばらくそのまま過ごす。このままこうやって眠りに落ちてみたいけど扉を叩く音が終わりを告げる。私はハンクの服を握り、まだもう少しと願う。
「俺を見ろ」
言われて顔を上げハンクを見つめる。頭を撫でられながら約束する。
「待ってろ」
私は頷き握り込んだ手を離す。自分の足で立ち歩いて寝室を出ていく。執務室には誰もいない。そこには私がハンクへと渡した硝子の器が棚の中に置いてあった。
キャスリンが自室に戻り、ハンクは酒を飲んでいた。あそこまでするつもりなどなく、ただ触れていればそれで良かった。なのにあれはなんだ。ハンクはソーマを問いただす。
「あれに指南書を読ませたか?」
ソーマはいいえと答える。
「我が家にある指南書はすべてここにありますよ」
なぜそんな事を聞くのかとソーマは問う。ハンクは答えられない。なんと言えばいいのか。
「忘れていい」
それだけでソーマを黙らせる。
指南書を読まずにあんなことを自ずとしたのか。ハンクは手酌で酒を注ぎ呷る。椅子から立ち上がると窓の外を眺め気を鎮める。
そんな主をただ見つめ、寝室で何かがあったのだろうなとソーマは察し、空の器に酒を注ぐ。
375
お気に入りに追加
4,897
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる