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11話
しおりを挟む緑鱗の竜人兄弟の屋敷、その庭でニクスと幼い獣竜人がボールを投げて遊んでいる。誰もそれが親子だとは思わないだろう。
ロワのいない生活は少し寂しかった。しかし、ロワとの生活には無かった幸せもあった。
「さぁ、そろそろお父さん達帰ってくるだろうし終わりにしよう。おわり。」
「やぁー!」
「お父さん達のお出迎えしないの?おでむかえ、」
「うーー…」
ふわふわな獣竜人の子は不機嫌そうに唸って、妥協案としてニクスに向かって両腕を広げた。
「あーはいはいだっこね。」
すっかりニクスに懐いている幼子は、生みの親に抱き上げられると彼にピッタリ引っ付く。
我が子でありながら、もう何年も会っていない弟を思い出すニクス。もう自分のことは忘れてしまっただろう。しかし里帰りや文通という選択肢はない。
あの時は大人しく言う親の通りにしていたが、今振り返ると耐え難い日々だった。向こうからもぱったり連絡は途絶えているし、今再会しても素直に喜べないだろう。
それに、ニクスは今の暮らしに満足している。わざわざ遠くの親に頼る必要もないのだ。
宮殿から屋敷に戻って2ヶ月ほど経てば、ニクスに不可抗力の性欲が戻ってくる。彼らも匂いでそれに気づく。そして、仕事の時がやってきた。
「じゃあ僕、お仕事行ってくるからね。…行ってきます。」
「あぁ。いってらっしゃい。兄さんはもう少し準備があるみたいだから先に乗って待ってて。」
主人達と和解し、屋敷での暮らしも前よりずっと良くなって心に余裕ができたせいか、ニクスに迷いはない。次の子を産むために馬車に乗る。
痛いのは嫌だが、子供を可愛がってくれるとわかっているので胎動の時の温かい気持ちに素直になれるし、何より体が求めている。
今度も平然と依頼者の前で裸体になる。今まで心に閉じ込めていた、この人の子供を産む、という興奮に今は素直になれる。
円滑に進むよう、まずは相手をベッドに座らせてその肉棒をしゃぶり昂らせる。
興奮した息を漏らす相手の欲望に張り詰めた剛直の上にまたがって、手で掴んで自分の穴に位置を合わせると、どこにもぶつけられなかったその欲をなだめるために、彼の幸せを産むために、ゆっくり腰を下ろしていく。
大きな肉棒がお腹をかきわける。もう3度も赤子を産み落としたニクスのお腹は難なくそれを受け入れて、ニクスはゾクゾクとした快楽に息を荒げた。
「あ…良い…んん…おっきい……溜まってるんですね…いつでも僕のお腹の中に出していいですからね…」
「それは社交辞令か?」
彼の言葉にえへへ、と笑う。彼の逞しい金色の身体がニクスを抱きしめて、ニクスも身を委ねる。
「…生まれたのが女の子だった時のために、続けて予約してたんですか?」
「それはわかってて言っているのか?」
あるいは、期待を裏切られることが怖いのかもしれない。欲の前にただの獅子獣人の青年となったロワは、ニクスをまっすぐ見つめた。
ニクスは本当に何も知らず、馬車から見慣れた街と宮殿が見えた時は大層驚いた。
それでも、自分とロワを見たロワの側近や護衛役が自分を望んだのかもしれないという可能性はあった。
何度も歩いた廊下を案内され、見慣れた部屋に入ればバスローブを着た獅子獣人の青年がいたのだ。
無言で抱き合い、裸体になり、昂らせて、繋がって、今に至る。
「お前だけなんだ。俺がただの雄でいられるのは。俺はお前に嫁を用意することはしない。ニクス、俺のものになって欲しい。」
返事を聞くのが怖いとでも言うように、ロワは腰を波打たせてニクスを喘がせる。
「お前の最初の子とは定期的に会わせる。その子の肉親として振る舞ってくれて構わない。だからずっと側にいてくれ。お前に普通の雄としての暮らしはさせてやれない。その代わり、きっと幸せにするから。…お前が断るなら、それを受け入れるから、それなら俺から離れて…うっ、」
ニクスも腰をうねらせるとロワの身体にも力が入った。どうやらもう限界が近いらしい。
行き先がここだということはみんな承知の上で、この後どうするかはニクス次第ということ。ロワが必死に交渉したのか、主人達が依頼を蹴ってニクスをロワに託すと決めたのか、両方なのか。
ひとまずそれは置いておこう。もちろん答えは決まってる。ロワのベッドの横の小さなベッドに寝ている薄灰色の獅子の赤子。ニクスが名前をつけた、ロワとの子を横目で見て、ロワの胸に頬擦りした。
「…寂しかったです。」
「俺もだよ。」
ニクスが身体を擦り付けながら腰を動かす。熟れた肉壁が雄槍を扱いて、ロワは牙の隙間から熱い息を漏らす。
挿れる前に口淫をしていたといつのもあるが、ロワの下腹部はすでに欲が渦巻いて破裂寸前。胸に抱く柔らかな温もりの中に全て注いでしまいたい。ニクスと会うまでこんなに興奮することはなかった。やはりロワにとってニクスは特別なのだ。
それはニクスも同じ。確かに雄だが、他人の子を孕んだ状態で許嫁と自分の子を作るより、全てを受け入れてくれた上で満たしてくれるロワの伴侶としての暮らしを受け入れた方が幸せだ。
「うっ…あぁ…ニクス…」
「ロワ様…僕にもあなたしかいません…」
ストンと腰を下ろし、キュッとお腹に力を入れてまた腰を上げる。ギシギシとベッドが軋み、それにニクスの喘ぎが加わる。
「……良いんだな?」
ニクスは言葉では答えず、ロワの首の後ろに手を回して腰の動きを少し早くした。ロワも腰を波打たせてスパートをかける。奥を突かれたニクスが身体を震わせる。
ロワはニクスの頭を胸に押し付けて、彼の名前を呼びながらギュッと抱き締めた。ビグン、ビグンとニクスのお腹の中で雄槍が跳ね、熱い子種を奥へ注ぐ。ニクスは自分の肉棒からも熱いものが漏れるのを感じたが、もうそれを我慢することはない。
「んぁっ……」
「あぁ…良い……」
脈動が終わるまで密着し、先に落ち着いたロワは耳を伏せ目をつむって感じているニクスの頭を撫でた。
「可愛いなぁ…」
今度こそ、ニクスを自分のものにする。今後、ニクスには自分の子供だけを生ませる。そして、その子供達とニクスのみんなを幸せにする。前よりもずっと固い覚悟だ。
「今夜はもちろん枯れるまでだからな。」
「わかってます。」
ロワが一旦離れるよう言ったので、ニクスはズズっとお腹の肉が引っ張られる快感に震えながら立ち上がった。
ぶるん、とロワの巨根がニクスから出て白濁が垂れる。
「俺の番だ。」
ニクスが言われた通りベッドに座って後ろに手をつくと、膝を立たせて股も開くように言われる。
「は、恥ずかしいです…」
ロワの温かい精液がお腹の中をつたって外に漏れる。ロワの巨根で開き白濁を垂らす穴と肉棒を曝け出させられてニクスは思わず顔を背けた。
「こっち向けって。ふふ、良い体だ。」
相変わらず華奢だがどこかふっくらしている中性的なニクスの身体。そのお腹に顔を埋め、脇腹を撫でる。
「んっ…あっ…」
「ここにダヴィドがいたんだよな…」
「…兄弟、できたら良いですね。」
ニクスからその言葉が出るとは思っていなかったロワが思わず見上げると、ニクスは優しく微笑んでいた。そこには妖しさも含まれていた。それは、あなたとならいくらでも、と言っているようで。
あんなに苦しんだというのに、これからも望んでくれる。心に温もりを感じながら、ロワはニヤリと笑った。
「あぁ。この身体も今日から俺のものだ。可愛がってやるからな。」
へそまわりを舐め、胸板を揉み、胸板を舐める。ニクスにゾワゾワと快感が走って、油断したら肘から力が抜けそうだった。
「こっちも期待してるみたいだぞ。」
「あっ…ロワ様…」
さっきの刺激では完全には達せず、いきりたっているニクスの肉棒を見てニヤリと笑い、そしてその穴から玉袋、そして竿をベロンと舐め上げる。
「柔らかい…あぁ…かわいいぞニクス…全部俺のものだからな…」
ニクスの玉袋を棒付き飴のようにしゃぶって、その上の肉棒を咥える。温かな口内、肉厚な舌が敏感なニクスの雄を舐め回す。
「ロワ様っ…あっ…吸っちゃ…ふあっ…」
乳飲みのように吸いつきながら顔を前後させるロワの口淫にあっという間に限界が近づく。ニクスの子種が芽吹くことは許さない、とでも言うようにロワはニクスの肉棒を執拗に責め続け、ニクスは屈服の射精をしてしまう。
耳を伏せ顔をギュッとしかめながら牙を食いしばって射精の快楽に悶えるその姿が、ロワの興奮を煽り立てる。子種を芽吹かせない代わりに孕ませてやろう。
ロワは口を窄ませて肉棒から精液を吸い出し、ニクスがその快楽に喘いでいる間にそれを飲み込んで、覆い被さる。
間髪いれずにロワの剛直がニクスを奥まで貫いて、嬌声を上げるニクスに体重をかけて押さえつける。そしてニクスの腕が自身を抱いたことを確認してから大きく腰を前後させた。
「んぅっ…!ロワ様っ…あぁっ…」
「ニクス…俺のツガイになってくれ…」
大きく重い腰振りに、ニクスも締め付けと愛撫で応える。そう、夫婦にはならない。ニクスは雄だから。子供を産んでも雄だから、ツガイになる。全てを受け入れてくれるロワのツガイとして、生涯の伴侶になる。
「んぅっ…なります…!おっ…側に…いさせてください…!ロワ様のっ…ものに…して…」
「絶対幸せにする。」
これが、初めてロワと夜を過ごした時からニクスが心の奥底で求めていた結末。ロワの大きな背中を抱きしめる。
「ロワ様…ありがとう…」
大きなロワの身体に包まれてニクスは喘ぐ。ロワがニクスの口を貪って、ニクスにかける体重を強くし腰の動きも大きくなる。
時々息継ぎをさせられながらの一方的な、主従関係を刻みこむような行為。しかしロワの大きな手は優しくニクスの頭や頬を撫でる。
ニクス射精しようがロワが精を注ごうが激しい腰振りは続く。ロワの雄槍は互いの体液でぬめり淫らな音を立て、達するたびにくぐもったニクスの嬌声が漏れた。疲労が溜まってくると打って変わって甘い交わりになる。
ロワが溜まっている時はいつもそうだ。最後の方は今まで一方的に欲を受け止めていたニクスを労うようにゆったりと、彼の1番感じるところをグリリと押しながら身体を波打たせて擦り合う。
いつもは体勢を変えるのだが、今日は俺のものだと主張する様にニクスに覆い被さったままだった。
それはもう、次期国王の寵愛ではなく愛し合う獣の交尾。
「はぁ…あぁ…あぁぁ…」
「そうだ…お前も全部出せ…」
2人のお腹に挟まれているニクスの肉棒が震えて吐精し、合わせてお腹の中も締まりロワの雄槍を強く感じてしまう。そしてニクスは射精しながらお腹の中でも絶頂する。
それにロワの愛撫と優しい腰振りが追い討ちをかけて、そのまま全身が溶けてしまったと錯覚するほどの熱と快感が続き思考までも溶けていく。ロワとの境界が無くなってしまったような感覚に陥って、そしてさらなる快楽で視界が白くなった。
ガタイの良い獅子獣人の下で精液を漏らし肉棒を締め付けるひとまわり小さなユキヒョウ獣人。
小さく痙攣し焦点が怪しくなるニクスを、ロワはそれで良いと言うように撫でて何度目かわからぬ絶頂をニクスの中で迎えた。
「…よかった、寝てる。…お前は大丈夫か?」
「気持ちよくて身体が動かないです。」
ロワ様は満足げに笑って、幼子に毛布をかけ直すと快楽の沼の底から浮き上がってきたニクスを抱きしめ、背中や腰をさする。
「俺も、もう素直になって良いよな。」
そう言って普段は雄々しく勇ましいロワはニクスにスリスリと頬を擦り付けて甘えた。ニクスも彼のたてがみや頭を撫でて、顎をかく。
ロワはうっとりと目を瞑って受け入れて、そしてまたニクスを撫でる。
明日は休日。昼間はニクスとニクスとの愛しい我が子とで…家族でゆっくり過ごそう。夕食はシェフに頼んで腕によりをかけてもらおう。
準備が整ったら披露式をしよう。我が子ダヴィドの披露式はもう済んでいるが、ニクスと一緒にやり直さなければならない。次期国王たる自分が堂々とすれば何の問題もない。
「ニクス、」
呼ばれてロワを見上げる。優しい瞳はいつになく情熱的で釘付けになる。その瞳は閉じられ、ロワはニクスの頭を抱き寄せ口を重ねた。
行為中に興奮が高まった時だけ交わしていた接吻。熱いまぐわいの余韻に浸りながら、今度は互いの愛情を確かめ合うためだけに唇を重ねた。
ねっとりと、湿った唇が擦れ合い、牙がコツリと触れ合って、ロワの舌がニクスの舌を絡め取る。
そして離れて、お互いの恍惚とした視線が交わる。
「愛してるよ、ニクス。」
「僕も愛しています。ロワ様。」
今度は僕にも、一生の幸せをくれた。
おわり
最後までありがとうございました。
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