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さぁ、はじめようか
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「一時はどうなるかと思いましたが、勝機が見えました」
サディアスがニヤリと笑う。
あれからオズワルドはサディアス達と合流。
「オズワルドが居ないのはかなり痛かったですからね、それに…」
イザークとリオを見る。
「オズワルドに加え魔物の魔法にリオの身体能力が使える、城に残っている戦力を考えれば中にさえ入れば勝ち戦よ」
そう言って豪快に笑うジークヴァルト。
まだ包帯が取れない体を慣らすように腕を伸ばす。
「あのメッセージカードが無ければ無理でした、流石リディア嬢、彼女の機転に助かりました」
これから引き起こすクーデターに何としてもイザークとリオの力が欲しい。
だけどイザークとリオを引き留めるのに苦労した。
ここに居た方がリディアの情報が得られるとなだめ何とか留まらせてはいた。
だがそれだけではリディアの命令しか聞かないこの二人をこのクーデターに引き入れるのは無理だ。
彼らにとってはリディア以外は意味を持たない、城や政権などどうでもいい事なのだから。
どうしたものかと苦心していた所でリディアのメッセージを持ってオズワルドが現れた。
リディアの血で書かれた文字に慌て、すぐにでもリディアの元に行くと聞かない二人に『彼女のこの必死な思いを無碍にするつもりか』と投げかけたことで二人は渋々クーデターに参加することを決めた。
「しかし、気になるのは彼女の居場所、それにこの血は一体…リディア嬢の身が心配ですね」
「あいつが口を割らんからな」
「リディア嬢に頼まれたのでしょうか?」
「生きていると言ったんだ、無事は無事なのだろう、探すのは全てを終わらせてからだ」
「そうですね」
何も口を割らないオズワルドに生死だけでも答えろと問うと『生きている』とだけ答えた。
「リディアの事だ、こんな危険な場所はお断りと姿を晦ましているのやもしれん」
「ふふ、あり得ますね、危険な場所はほぼ人任せでしたから」
過去の思い出に少し浸り笑うと、顔つきをガラリと変え立ち上がった。
ジークヴァルトが立ち上がると皆もザッと立ち上がった。
「皆準備はいいか?」
皆がしっかりと頷く。
「いいか、情は捨てろ!この戦、勝たねば死あるのみ!」
「はっ」
「この戦、速さが勝負だ!入ったら襲ってくる奴は全て切り捨てろ!言葉を交わし見知った奴でもだ!一切の躊躇は許さん!躊躇したものは死を覚悟しろ!」
「はっ」
「いいか、ここで負けたらお前たちが命懸けで守ってきたこの祖国アグダスはなくなる!ヨルムや他国で分散されアグダスという名は歴史から遠くは皆の記憶から消え去るだろう」
「っ」
皆の表情がぐっと険しくなる。
「祖国アグダスを失くすのは嫌か?」
「嫌です!」
「そうだ、その気持ちだけを考えろ!自分の家族が他国のモノに殺され凌辱されたくなければ一切の情は今ここで捨てろ!」
「はっ」
「一気に攻め落とす事だけを考えろ!」
「はっ!!!」
サディアスがジークヴァルトを見て頷く。
「アグダスを!そしてお前たち家族を守るために!行くぞ!!」
「おお―――っっ!!!」
「くそ、ダメか」
「うーんやはりこの人数では無理か…」
城に到着したジークヴァルト革命軍は苦戦していた。
目前にある封鎖された大きな扉。
皆が全力で掛かるも全くビクともしない。
「この戦、唯一の問題、やはりそうやすやすと突破は無理でしたね」
想定内ではあった。
この扉はアグダス城が堅城鉄壁と言われる所以にもなっている。
物凄く頑丈で打ち破るのも至難の業。
「こういう時のためにアレがいる」
「ええ、戻って来てくれて助かりました、数が少ない我々には相手が大勢整える前に打ち破らなければなりませんでしたから」
ジークヴァルトが叫ぶ。
「オズワルド!出番だ!」
え?と皆がオズワルドを見る。
元王宮騎士団長ハーゼルゼットの出来損ないの息子と思っていた皆は何故ここでオズワルドが呼ばれるのかと頭に疑問符が浮かぶ。
「力の開放を許す!この扉を打ち破れ!!」
その言葉にオズワルドの目が輝く。
「え…?」
その場にそぐわない表情に皆が一瞬呆気にとられる。
「いけっ!一気にぶち破れ!!」
オズワルドが一歩前に出た時だった。
「待ったぁああああ――――――っっ!!!」
内側から大きな声がしたと思ったら、扉が開かれていく。
「!」
「一体誰が?」
「戦略が漏れていた?!」
敵かと皆が緊迫し身構える。
そんな中、ゆっくりと重厚な扉が開かれる。
そしてその扉から現れた者に皆が信じられないと目を瞬かせた。
「な…」
「まさか‥‥そんな?」
真っ白な髭を生やした精悍な老人が仁王立ちしている姿に皆、息を飲み込む。
「じじい、生きておったか!」
「じじいではありません!殿下!!じじいと呼ぶなとあれほど言ったのに、まったく、殿下は国王となるお方、言葉遣いは気を付けて頂かないと!大体、次期国王自らこのアグダスの守り扉という大事な扉を壊すなど以ての外!」
いきなりジークヴァルトを説教するその精悍な老人に皆が信じられないと何度も目を擦る。
「嘘、本当にハーゼルゼット様?!」
「夢じゃないよな?!」
皆がざわめく中、サディアスが胸に手を当て口を開いた。
「ハーゼルゼット団長補佐、その…報告では死も間近と…」
「ああ心配ない、この通りピンピンしております」
そう言って力こぶを見せるハーゼルゼット元王宮騎士団長に兵達の怒号の歓声が沸き起こる。
「なぜ…?ここに居る?」
オズワルドも信じられないという様に目を真ん丸に見開き突っ立つ。
「この戯けが!その力は開放を禁じていただろう!」
「命令を実行しただけだ、ジークヴァルト殿下の命令を聞けだっただろう?」
「それでもダメなもんはダメじゃ!!」
ハーゼルゼットがオズワルドを叱咤する。
その隣でジークヴァルトが顎に手を当てる。
「それよりも、気になるはその目…一体どうやって治した?」
牢獄に入れられる前に目の前でハーゼルゼットの両目を剣で潰され盲目となったのを目撃している。
なのに傷一つないその様に怪訝に見る。
「話は後ですぞ!この戦、勝つには時間が勝負!私が案内します、さっ早く!!」
「おう、そうだった!」
ハッと我に返るとジークヴァルトが声を上げる。
「扉は制覇した!一気に攻め落とすぞ!!」
「おお――――――っっ!!」
「オズワルド、来い!わしらが先陣を切るぞ!」
ハーゼルゼットがオズワルドを呼ぶ。
「第一第二は殿下を挟め!身を挺してでも殿下に傷一つ負わせるな!!」
「はっ!!」
「おおおっっ!!!」
兵達の士気がハーゼルゼットにより一気に高まる。
彼らにとって団長はハーゼルゼットだった。長く戦を共にし、信頼と尊敬を集めた憧れの存在だ。
それが両目を失わされ、牢獄でもう長くないと聞かされ悲嘆にくれた。
何もできない自分達を何度も悔いた。
そこまで尊敬を一身に集める王宮騎士団長が今目の前で元気な姿で前の様に指揮を執っていることに皆の気持ちが最高潮に達していた。
調子に乗った軍は強い。
「ゲラルト!リオと共に上を頼む!」
「おうよ!」
弓部隊を倒すべくゲラルトとリオが隊を離れ高く飛び上がる。
いきなりのクーデターにまだ体制が整ってない城内をどんどんと突き進む。
先頭に立つハーゼルゼットが圧倒的な力を見せつけ敵を薙倒していく。
「オズワルド、やり過ぎるな」
「安心しろ、加減はしている、さっさと動け」
「親に命令するな!」
「お前が動かなければ大事な殿下が負けるぞ?」
「まったく、お前という奴は…」
「約束は守っている、気分がいいだろ?」
「っ‥‥」
苦渋の表情を浮かべ眉を寄せ、前に迫る城の者を薙倒していく。
その後ろについてジークヴァルトを守り剣を振るうキャサドラが怪訝な瞳でちらりと見る。
(ハーゼルゼット様‥なぜ?…ああ、団長の力は秘密だからか…でもこれは…)
見た目ハーゼルゼットが圧倒的な力で薙倒しているように見える。
だけどオズワルドを良く知るキャサドラの目にはしっかりとそれがオズワルド団長が倒していると解った。
オズワルドの力が秘密とは言え、後ろから見ればオズワルドは普通の戦闘力に見えてしまう。
(また、舐められちゃう、団長、もっと自分も力ある所見せればいいのにっっ)
少しイラっとするキャサドラの前に見知ったうっとおしいアナベル派の貴族が武装して現れた。
「やっと一発殴れるわ」
「な、なんだとっこのデカ女!! ぐあっっ」
呆気なくやられ、地面に倒れる。
「ふぅ、スカッとした♪」
「キャサドラ!ボケッとしない!」
「はっ」
サディアスの叱咤に返事を返すと、部下の女が並ぶ。
「隊長、中庭に回ります」
「じゃ、私も‥」
「ドラ!お前はこっちだ」
「はっ」
「そちらはルーサーに向かわせなさい」
「はっ」
どんどんとジークヴァルト革命軍が物凄いスピードで攻め入る。
そして城の奥へと進んだところで足を止めた。
「殿下、お覚悟はできておりますか?」
「ああ、もちろんっ」
ハーゼルゼットに力強くジークヴァルトが頷く。
「殿下!お行き下さい!」
「ここからは俺達が身を挺してでも突破はさせません!」
「悲願を!アグダスの未来のために!殿下!お行き下さい!」
キャサドラはじめ殿下を守っていた兵達が先頭のジークヴァルト達に背を向ける。
「任せた、必ず悲願を達成させると約束しよう!」
「オズワルド、お前もここに残って食い止めよ」
オズワルドも頷く。
そしてハーゼルゼットはジークヴァルトを見た。
「殿下」
ハーゼルゼットに頷くと、案内役のそのじじいの背を追う。
「あの扉の向こうです!殿下!」
「解った!」
案内されたその先の扉を思い切り蹴り破る。
「!」
そこには父である国王陛下が剣を手に一人佇んでいた。
「来たか、待っていたぞ」
陛下が剣を構える。
「父上!ご覚悟を!!」
ジークヴァルトも剣を手に取ると、一気に陛下に向かう。
「うぉおおおおっっっ!!!」
「!」
―――― …‥ グサッッ
勝負は一瞬だった。
いや、違う。
陛下は剣を構えただけで動かなかった。
「父…上…?」
「よくやった、我が息子よ」
驚き振り返るその目の前で崩れ落ちていく。
「父上!何故?!」
既に息絶えた父である陛下に膝をつき叫ぶジークヴァルト。
そこへサディアスが駆けつけ、声を張り上げた。
「今すぐ皆に伝えよ!ジークヴァルト殿下が陛下を倒したと!まだ歯向かう者は皆切り捨てると!」
「はっ!」
サディアスの命令に兵達が城中を駆け巡る。
「ディア!どうなった?!」
「ジーク様を頼みます」
駆け付けたキャサドラにそう言うと、陛下の遺体の前に跪くジークヴァルトを置いてサディアスがその場を掛け去る。
陛下を倒したことで震えあがったアナベル派の兵は怖気づき、あっけなくアナベル派が降伏した。
「何ですって?!クーデター?何としてでも城を守りなさい!陛下の元に兵を集めよ!」
「はっ」
アナベルの兵が部屋を駆け出す。
「アナベル様、ここは危険です、安全な場所へ避難を」
頷くアナベルがふと天井に目線を向け、そしてまた目線を戻す。
「外の状況は?」
「敵は既に場内奥深くまで進出しております」
「なっ、早過ぎるわ、一体どうして?」
「ハーゼルゼットが城門を開きジークヴァルト率いる革命軍を引き入れたようです」
「?!」
瞠目するアナベル。
「…ハーゼルゼット…ですって?」
確かに両目を潰し、もう牢獄で動くことさえできぬほど衰退し死にかけていたはず。
「どうやって…、まずい、ハーゼルゼットで士気が上がる、このままでは――――」
「アナベル様、早く非難を、ここも幾何の猶予はないでしょう」
「っ!すぐに安全な場所に案内なさい!」
「はっ」
部屋にいる臣下に目を向ける。
「お前たちは皆、何としてでも陛下を守りなさい!」
「はっ」
命令に飛び出す臣下。
その部屋にまた兵が駆け込む。
「大変です!」
「今度は何です?!」
「陛下が!――――うぐっ」
駆け込んできた兵が血飛沫を上げ倒れていく。
その後ろからロングの髪を靡かせ優雅に入ってくる男を睨み見る。
「サディアス軍師」
「ごきげんよう、元王妃アナベル様」
「!」
『元』を付けた事で全てを察するアナベルは扇子をパチンと閉じる。
「ご安心ください、まだ宣言は有効ですから今は殺しは致しません」
「まさか力でくるとはね、あの坊やが」
悔しそうに手を震わせ扇子を握りしめる。
「王妃でないあなたはこの部屋を退場して頂きましょう、大丈夫です、とっておきの場所をご用意して差し上げます」
そう言うとサディアスが手を上げる。
兵達がサッと入り込むとアナベルに剣を携え連行するように横に立つ。
「元王妃を連れていけ!」
「はっ」
キッとサディアスを睨む。
「覚えてらっしゃい」
そう言い残すと、兵達に連れられ部屋を出ていく。
「さて、後は…」
サディアスが王室に戻ると、丁度目当ての客がやってきた。
「これは… 本当でしたのね」
「な、何てことを!!」
ロドリゴ教皇が顔を真っ青にさせ声を上げる。
陛下が血に塗れ横たわっている姿に、レティシアはジークヴァルトを睨む。
「おう、いい所に来たな」
ジークヴァルトが振り返り二人を見る。
「何を暢気な!何て…何てことをしたのです!陛下はあなたの父親ではなかったのですか!国賊ですぞ!これは国家反逆罪です!!」
「ほう、お前はおかしなことを言う」
「何がです!」
「今この国の王はこの俺だ、国家反逆罪も何もないだろう?」
「馬鹿な、屁理屈を仰っている場合じゃないのですぞ!」
「ジークヴァルト!聖女としてあなたをこの国の王であることを認めません!」
「聖女の言葉に教会側は付きますぞ!」
まくしたてるロドリゴ教皇と聖女として宣言するレティシア。
「そう、それだ」
「何がそれですの?」
「国王として新しい改革を提案する!我が国では教会は民間のものとし、協定は破棄する!」
「!」
「何ですと‥‥正気ですかっ」
口をパクパクとさせるロドリゴ教皇に頷く。
「我が国の事は我が国の国王が決める、シンプルでいいだろう?」
「協定を破棄するなど!!この世界の教会側を敵にするおつもりか!」
「敵も何も我が国の事は我が国で決めると言っているだけだ、至極当然のことだろう?」
「当然ではありません!教会を無視するなどそんなこと許されるはず――――っっひっ」
ジークヴァルトの剣がロドリゴ教皇の前に翳される。
「剣で脅すなど卑怯な!聖女としてあなたを絶対認めない!」
「許す許されるじゃぁない、認める認めないではない、協定を破棄するか我が国に反逆するかを問うておる」
「聖女は神の言葉ですわ!」
「そ、そうじゃ!これは正当な聖女の神の言葉!反逆などでは―――ひっっ」
剣が煌めく。
「この国の国王に逆らうのだ、反逆だろう?」
「っ…」
「まだ聖女の言葉は有効ですわ!」
「はぁ~まだ解らんか」
ジークヴァルトがやれやれと息を吐くとギラリと睨みつける。
その瞳にロドリゴ教皇が尻餅をつく。
「これは話し合いではない、協定を破棄しないというならば力で排除すると言っておる」
「!」
「協定を破棄するのであれば、この国に置いてやることぐらいは許してやる、今までの民の希望の象徴でもあったからな、それを潰すのは俺もちと気が引けるからの」
「ぅ‥‥」
「卑怯ですわ!」
「卑怯?城の中だけのお姫様には解らんか」
「私は正当性を――――」
「これはクーデターだ、戦だ! 卑怯など口論のレベルはとうに終わっている」
「な…」
「この城を抑えた時点で、レティシア、お前はもう負けたのだ」
「!」
剣をグイッと前に出す。
「さぁ、今すぐ決めろ!」
「ひ‥‥う‥‥わ、わ、解りました、破棄します」
「教皇!」
ロドリゴ教皇の言葉にザッとレティシアを兵が取り囲む。
「何ですの?」
「只今を以てあなたは民間の聖女です、そして教会は国に関与しない事になりました、よって前回の宣言に効力が無くなったという事です」
「!」
「アナベル元王妃は国家反逆罪で死刑、そしてレティシア嬢あなたは…そうですね、爵位も返上ですから民間人となります、ですが民間で暮らすのは厳しいでしょうからお情けで遠くの修道院にでも行ってもらいましょうか」
「な‥‥」
容赦ないサディアスの言葉にポロっと扇子が床へ落ちる。
「ああ、準備が必要ですから、しばらくはこのお城に留まる事を許しましょう、監視はもちろん付けます、下手な動きはなさらない方が身のためだと心に留め置きください」
「‥‥な、ナセルは…ナセルはどうなりますの?」
「ナセル殿にはロレシオの元にでも入れましょう、あそこなら監視が十分に行き届きますから」
「‥‥」
「他に質問は?」
レティシアはがくりと肩を下ろし首を横に振る。
「では連れて行きなさい」
「はっ」
サディアスがニヤリと笑う。
あれからオズワルドはサディアス達と合流。
「オズワルドが居ないのはかなり痛かったですからね、それに…」
イザークとリオを見る。
「オズワルドに加え魔物の魔法にリオの身体能力が使える、城に残っている戦力を考えれば中にさえ入れば勝ち戦よ」
そう言って豪快に笑うジークヴァルト。
まだ包帯が取れない体を慣らすように腕を伸ばす。
「あのメッセージカードが無ければ無理でした、流石リディア嬢、彼女の機転に助かりました」
これから引き起こすクーデターに何としてもイザークとリオの力が欲しい。
だけどイザークとリオを引き留めるのに苦労した。
ここに居た方がリディアの情報が得られるとなだめ何とか留まらせてはいた。
だがそれだけではリディアの命令しか聞かないこの二人をこのクーデターに引き入れるのは無理だ。
彼らにとってはリディア以外は意味を持たない、城や政権などどうでもいい事なのだから。
どうしたものかと苦心していた所でリディアのメッセージを持ってオズワルドが現れた。
リディアの血で書かれた文字に慌て、すぐにでもリディアの元に行くと聞かない二人に『彼女のこの必死な思いを無碍にするつもりか』と投げかけたことで二人は渋々クーデターに参加することを決めた。
「しかし、気になるのは彼女の居場所、それにこの血は一体…リディア嬢の身が心配ですね」
「あいつが口を割らんからな」
「リディア嬢に頼まれたのでしょうか?」
「生きていると言ったんだ、無事は無事なのだろう、探すのは全てを終わらせてからだ」
「そうですね」
何も口を割らないオズワルドに生死だけでも答えろと問うと『生きている』とだけ答えた。
「リディアの事だ、こんな危険な場所はお断りと姿を晦ましているのやもしれん」
「ふふ、あり得ますね、危険な場所はほぼ人任せでしたから」
過去の思い出に少し浸り笑うと、顔つきをガラリと変え立ち上がった。
ジークヴァルトが立ち上がると皆もザッと立ち上がった。
「皆準備はいいか?」
皆がしっかりと頷く。
「いいか、情は捨てろ!この戦、勝たねば死あるのみ!」
「はっ」
「この戦、速さが勝負だ!入ったら襲ってくる奴は全て切り捨てろ!言葉を交わし見知った奴でもだ!一切の躊躇は許さん!躊躇したものは死を覚悟しろ!」
「はっ」
「いいか、ここで負けたらお前たちが命懸けで守ってきたこの祖国アグダスはなくなる!ヨルムや他国で分散されアグダスという名は歴史から遠くは皆の記憶から消え去るだろう」
「っ」
皆の表情がぐっと険しくなる。
「祖国アグダスを失くすのは嫌か?」
「嫌です!」
「そうだ、その気持ちだけを考えろ!自分の家族が他国のモノに殺され凌辱されたくなければ一切の情は今ここで捨てろ!」
「はっ」
「一気に攻め落とす事だけを考えろ!」
「はっ!!!」
サディアスがジークヴァルトを見て頷く。
「アグダスを!そしてお前たち家族を守るために!行くぞ!!」
「おお―――っっ!!!」
「くそ、ダメか」
「うーんやはりこの人数では無理か…」
城に到着したジークヴァルト革命軍は苦戦していた。
目前にある封鎖された大きな扉。
皆が全力で掛かるも全くビクともしない。
「この戦、唯一の問題、やはりそうやすやすと突破は無理でしたね」
想定内ではあった。
この扉はアグダス城が堅城鉄壁と言われる所以にもなっている。
物凄く頑丈で打ち破るのも至難の業。
「こういう時のためにアレがいる」
「ええ、戻って来てくれて助かりました、数が少ない我々には相手が大勢整える前に打ち破らなければなりませんでしたから」
ジークヴァルトが叫ぶ。
「オズワルド!出番だ!」
え?と皆がオズワルドを見る。
元王宮騎士団長ハーゼルゼットの出来損ないの息子と思っていた皆は何故ここでオズワルドが呼ばれるのかと頭に疑問符が浮かぶ。
「力の開放を許す!この扉を打ち破れ!!」
その言葉にオズワルドの目が輝く。
「え…?」
その場にそぐわない表情に皆が一瞬呆気にとられる。
「いけっ!一気にぶち破れ!!」
オズワルドが一歩前に出た時だった。
「待ったぁああああ――――――っっ!!!」
内側から大きな声がしたと思ったら、扉が開かれていく。
「!」
「一体誰が?」
「戦略が漏れていた?!」
敵かと皆が緊迫し身構える。
そんな中、ゆっくりと重厚な扉が開かれる。
そしてその扉から現れた者に皆が信じられないと目を瞬かせた。
「な…」
「まさか‥‥そんな?」
真っ白な髭を生やした精悍な老人が仁王立ちしている姿に皆、息を飲み込む。
「じじい、生きておったか!」
「じじいではありません!殿下!!じじいと呼ぶなとあれほど言ったのに、まったく、殿下は国王となるお方、言葉遣いは気を付けて頂かないと!大体、次期国王自らこのアグダスの守り扉という大事な扉を壊すなど以ての外!」
いきなりジークヴァルトを説教するその精悍な老人に皆が信じられないと何度も目を擦る。
「嘘、本当にハーゼルゼット様?!」
「夢じゃないよな?!」
皆がざわめく中、サディアスが胸に手を当て口を開いた。
「ハーゼルゼット団長補佐、その…報告では死も間近と…」
「ああ心配ない、この通りピンピンしております」
そう言って力こぶを見せるハーゼルゼット元王宮騎士団長に兵達の怒号の歓声が沸き起こる。
「なぜ…?ここに居る?」
オズワルドも信じられないという様に目を真ん丸に見開き突っ立つ。
「この戯けが!その力は開放を禁じていただろう!」
「命令を実行しただけだ、ジークヴァルト殿下の命令を聞けだっただろう?」
「それでもダメなもんはダメじゃ!!」
ハーゼルゼットがオズワルドを叱咤する。
その隣でジークヴァルトが顎に手を当てる。
「それよりも、気になるはその目…一体どうやって治した?」
牢獄に入れられる前に目の前でハーゼルゼットの両目を剣で潰され盲目となったのを目撃している。
なのに傷一つないその様に怪訝に見る。
「話は後ですぞ!この戦、勝つには時間が勝負!私が案内します、さっ早く!!」
「おう、そうだった!」
ハッと我に返るとジークヴァルトが声を上げる。
「扉は制覇した!一気に攻め落とすぞ!!」
「おお――――――っっ!!」
「オズワルド、来い!わしらが先陣を切るぞ!」
ハーゼルゼットがオズワルドを呼ぶ。
「第一第二は殿下を挟め!身を挺してでも殿下に傷一つ負わせるな!!」
「はっ!!」
「おおおっっ!!!」
兵達の士気がハーゼルゼットにより一気に高まる。
彼らにとって団長はハーゼルゼットだった。長く戦を共にし、信頼と尊敬を集めた憧れの存在だ。
それが両目を失わされ、牢獄でもう長くないと聞かされ悲嘆にくれた。
何もできない自分達を何度も悔いた。
そこまで尊敬を一身に集める王宮騎士団長が今目の前で元気な姿で前の様に指揮を執っていることに皆の気持ちが最高潮に達していた。
調子に乗った軍は強い。
「ゲラルト!リオと共に上を頼む!」
「おうよ!」
弓部隊を倒すべくゲラルトとリオが隊を離れ高く飛び上がる。
いきなりのクーデターにまだ体制が整ってない城内をどんどんと突き進む。
先頭に立つハーゼルゼットが圧倒的な力を見せつけ敵を薙倒していく。
「オズワルド、やり過ぎるな」
「安心しろ、加減はしている、さっさと動け」
「親に命令するな!」
「お前が動かなければ大事な殿下が負けるぞ?」
「まったく、お前という奴は…」
「約束は守っている、気分がいいだろ?」
「っ‥‥」
苦渋の表情を浮かべ眉を寄せ、前に迫る城の者を薙倒していく。
その後ろについてジークヴァルトを守り剣を振るうキャサドラが怪訝な瞳でちらりと見る。
(ハーゼルゼット様‥なぜ?…ああ、団長の力は秘密だからか…でもこれは…)
見た目ハーゼルゼットが圧倒的な力で薙倒しているように見える。
だけどオズワルドを良く知るキャサドラの目にはしっかりとそれがオズワルド団長が倒していると解った。
オズワルドの力が秘密とは言え、後ろから見ればオズワルドは普通の戦闘力に見えてしまう。
(また、舐められちゃう、団長、もっと自分も力ある所見せればいいのにっっ)
少しイラっとするキャサドラの前に見知ったうっとおしいアナベル派の貴族が武装して現れた。
「やっと一発殴れるわ」
「な、なんだとっこのデカ女!! ぐあっっ」
呆気なくやられ、地面に倒れる。
「ふぅ、スカッとした♪」
「キャサドラ!ボケッとしない!」
「はっ」
サディアスの叱咤に返事を返すと、部下の女が並ぶ。
「隊長、中庭に回ります」
「じゃ、私も‥」
「ドラ!お前はこっちだ」
「はっ」
「そちらはルーサーに向かわせなさい」
「はっ」
どんどんとジークヴァルト革命軍が物凄いスピードで攻め入る。
そして城の奥へと進んだところで足を止めた。
「殿下、お覚悟はできておりますか?」
「ああ、もちろんっ」
ハーゼルゼットに力強くジークヴァルトが頷く。
「殿下!お行き下さい!」
「ここからは俺達が身を挺してでも突破はさせません!」
「悲願を!アグダスの未来のために!殿下!お行き下さい!」
キャサドラはじめ殿下を守っていた兵達が先頭のジークヴァルト達に背を向ける。
「任せた、必ず悲願を達成させると約束しよう!」
「オズワルド、お前もここに残って食い止めよ」
オズワルドも頷く。
そしてハーゼルゼットはジークヴァルトを見た。
「殿下」
ハーゼルゼットに頷くと、案内役のそのじじいの背を追う。
「あの扉の向こうです!殿下!」
「解った!」
案内されたその先の扉を思い切り蹴り破る。
「!」
そこには父である国王陛下が剣を手に一人佇んでいた。
「来たか、待っていたぞ」
陛下が剣を構える。
「父上!ご覚悟を!!」
ジークヴァルトも剣を手に取ると、一気に陛下に向かう。
「うぉおおおおっっっ!!!」
「!」
―――― …‥ グサッッ
勝負は一瞬だった。
いや、違う。
陛下は剣を構えただけで動かなかった。
「父…上…?」
「よくやった、我が息子よ」
驚き振り返るその目の前で崩れ落ちていく。
「父上!何故?!」
既に息絶えた父である陛下に膝をつき叫ぶジークヴァルト。
そこへサディアスが駆けつけ、声を張り上げた。
「今すぐ皆に伝えよ!ジークヴァルト殿下が陛下を倒したと!まだ歯向かう者は皆切り捨てると!」
「はっ!」
サディアスの命令に兵達が城中を駆け巡る。
「ディア!どうなった?!」
「ジーク様を頼みます」
駆け付けたキャサドラにそう言うと、陛下の遺体の前に跪くジークヴァルトを置いてサディアスがその場を掛け去る。
陛下を倒したことで震えあがったアナベル派の兵は怖気づき、あっけなくアナベル派が降伏した。
「何ですって?!クーデター?何としてでも城を守りなさい!陛下の元に兵を集めよ!」
「はっ」
アナベルの兵が部屋を駆け出す。
「アナベル様、ここは危険です、安全な場所へ避難を」
頷くアナベルがふと天井に目線を向け、そしてまた目線を戻す。
「外の状況は?」
「敵は既に場内奥深くまで進出しております」
「なっ、早過ぎるわ、一体どうして?」
「ハーゼルゼットが城門を開きジークヴァルト率いる革命軍を引き入れたようです」
「?!」
瞠目するアナベル。
「…ハーゼルゼット…ですって?」
確かに両目を潰し、もう牢獄で動くことさえできぬほど衰退し死にかけていたはず。
「どうやって…、まずい、ハーゼルゼットで士気が上がる、このままでは――――」
「アナベル様、早く非難を、ここも幾何の猶予はないでしょう」
「っ!すぐに安全な場所に案内なさい!」
「はっ」
部屋にいる臣下に目を向ける。
「お前たちは皆、何としてでも陛下を守りなさい!」
「はっ」
命令に飛び出す臣下。
その部屋にまた兵が駆け込む。
「大変です!」
「今度は何です?!」
「陛下が!――――うぐっ」
駆け込んできた兵が血飛沫を上げ倒れていく。
その後ろからロングの髪を靡かせ優雅に入ってくる男を睨み見る。
「サディアス軍師」
「ごきげんよう、元王妃アナベル様」
「!」
『元』を付けた事で全てを察するアナベルは扇子をパチンと閉じる。
「ご安心ください、まだ宣言は有効ですから今は殺しは致しません」
「まさか力でくるとはね、あの坊やが」
悔しそうに手を震わせ扇子を握りしめる。
「王妃でないあなたはこの部屋を退場して頂きましょう、大丈夫です、とっておきの場所をご用意して差し上げます」
そう言うとサディアスが手を上げる。
兵達がサッと入り込むとアナベルに剣を携え連行するように横に立つ。
「元王妃を連れていけ!」
「はっ」
キッとサディアスを睨む。
「覚えてらっしゃい」
そう言い残すと、兵達に連れられ部屋を出ていく。
「さて、後は…」
サディアスが王室に戻ると、丁度目当ての客がやってきた。
「これは… 本当でしたのね」
「な、何てことを!!」
ロドリゴ教皇が顔を真っ青にさせ声を上げる。
陛下が血に塗れ横たわっている姿に、レティシアはジークヴァルトを睨む。
「おう、いい所に来たな」
ジークヴァルトが振り返り二人を見る。
「何を暢気な!何て…何てことをしたのです!陛下はあなたの父親ではなかったのですか!国賊ですぞ!これは国家反逆罪です!!」
「ほう、お前はおかしなことを言う」
「何がです!」
「今この国の王はこの俺だ、国家反逆罪も何もないだろう?」
「馬鹿な、屁理屈を仰っている場合じゃないのですぞ!」
「ジークヴァルト!聖女としてあなたをこの国の王であることを認めません!」
「聖女の言葉に教会側は付きますぞ!」
まくしたてるロドリゴ教皇と聖女として宣言するレティシア。
「そう、それだ」
「何がそれですの?」
「国王として新しい改革を提案する!我が国では教会は民間のものとし、協定は破棄する!」
「!」
「何ですと‥‥正気ですかっ」
口をパクパクとさせるロドリゴ教皇に頷く。
「我が国の事は我が国の国王が決める、シンプルでいいだろう?」
「協定を破棄するなど!!この世界の教会側を敵にするおつもりか!」
「敵も何も我が国の事は我が国で決めると言っているだけだ、至極当然のことだろう?」
「当然ではありません!教会を無視するなどそんなこと許されるはず――――っっひっ」
ジークヴァルトの剣がロドリゴ教皇の前に翳される。
「剣で脅すなど卑怯な!聖女としてあなたを絶対認めない!」
「許す許されるじゃぁない、認める認めないではない、協定を破棄するか我が国に反逆するかを問うておる」
「聖女は神の言葉ですわ!」
「そ、そうじゃ!これは正当な聖女の神の言葉!反逆などでは―――ひっっ」
剣が煌めく。
「この国の国王に逆らうのだ、反逆だろう?」
「っ…」
「まだ聖女の言葉は有効ですわ!」
「はぁ~まだ解らんか」
ジークヴァルトがやれやれと息を吐くとギラリと睨みつける。
その瞳にロドリゴ教皇が尻餅をつく。
「これは話し合いではない、協定を破棄しないというならば力で排除すると言っておる」
「!」
「協定を破棄するのであれば、この国に置いてやることぐらいは許してやる、今までの民の希望の象徴でもあったからな、それを潰すのは俺もちと気が引けるからの」
「ぅ‥‥」
「卑怯ですわ!」
「卑怯?城の中だけのお姫様には解らんか」
「私は正当性を――――」
「これはクーデターだ、戦だ! 卑怯など口論のレベルはとうに終わっている」
「な…」
「この城を抑えた時点で、レティシア、お前はもう負けたのだ」
「!」
剣をグイッと前に出す。
「さぁ、今すぐ決めろ!」
「ひ‥‥う‥‥わ、わ、解りました、破棄します」
「教皇!」
ロドリゴ教皇の言葉にザッとレティシアを兵が取り囲む。
「何ですの?」
「只今を以てあなたは民間の聖女です、そして教会は国に関与しない事になりました、よって前回の宣言に効力が無くなったという事です」
「!」
「アナベル元王妃は国家反逆罪で死刑、そしてレティシア嬢あなたは…そうですね、爵位も返上ですから民間人となります、ですが民間で暮らすのは厳しいでしょうからお情けで遠くの修道院にでも行ってもらいましょうか」
「な‥‥」
容赦ないサディアスの言葉にポロっと扇子が床へ落ちる。
「ああ、準備が必要ですから、しばらくはこのお城に留まる事を許しましょう、監視はもちろん付けます、下手な動きはなさらない方が身のためだと心に留め置きください」
「‥‥な、ナセルは…ナセルはどうなりますの?」
「ナセル殿にはロレシオの元にでも入れましょう、あそこなら監視が十分に行き届きますから」
「‥‥」
「他に質問は?」
レティシアはがくりと肩を下ろし首を横に振る。
「では連れて行きなさい」
「はっ」
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