1 / 1
カイル様との記憶
しおりを挟む
回避的思考。
わたしは昔から危ないことを避けてきた。
いかにも悪そうな集団を見れば、道を変えて遠回りをした。
人の悪口が始まりそうな会話は、そこから離れるようにした。
やるべきことがうまく行かないときは部屋の掃除をして、気を紛らわせた。
わたしはそれが普通だと思っていたが、どうもそうではないみたいだ。
「シア。ボーっとしてどうしたんだ?」
フィリシア国第二王子のカイル様に話しかけられた。
この人はどうして平民のわたしを気にかけるのだろう?
「すみません。むかしのことを思い出していました」
「そうか。なんだか遠くを見ていたから心配したよ」
心配してくれてる?嘘だとしても、こころが暖かくなる。カイル様に気にかけていただけるとは思ってなかったから。
「カイル様、どうしてここに?」
「ああ、仕事の合間で買い物でもしようと思ってね」
「ふふ。王子様でもそういうことするのですね」
思わず笑ってしまった。
「あ、すみません。わたしったら笑ってしまって」
「はは。今日は天気がいいからね。表情が穏やかになるんだろう」
「それって関係あるんですか?」
「あるよ。今日のシアはすごくキレイに見えるから」
突然の告白に驚いてしまった。
「お上手ですね。カイル様。わたしのような平民にも優しいのですね」
「はは。冗談じゃないよ。それに、シアは自分のことをよく分かってないと思う」
わたしのことをよく分かってない?
「どういうことでしょう?」
「シアは思ってるより、気高く強い子だと思う」
「え…?」
「君は自分がずっと逃げてると思ってるよね?」
…たしかに
ずっとそう思ってる。でもどうしてわかったんだろう?
「なぜ、そう思うのですか?」
「だって、僕はシアのことを見てきたから」
「……」
「本当は怖いんだろう?僕と話すのが。いや、人と関わるのが…かな?」
「…カイル様にはすべてがお見通しなのですね」
わたしの性分を見透かされたのが、
少しだけ嫌だったので
彼の股間を掴んだ。
「ぐっ…」
「カイル様、どうか許してください」
「何をするんだシア」
「ごめんなさい、カイル様。手が止まらないのです」
わたしは彼の股間を揉みしだいた。
王子の王子は
まだ戦闘状態ではなく
服の上からは大きさを感じない。
しかし、彼を包む袋は
とても大きく感じた。
これは…
「カイル様の、大きいですね…」
「ぐっ…シア、人前でそんなことやめてくれ」
「ダメです。左手が勝手に動くのです…」
王子のモノは
少しずつ膨張する。
服の上からでもわかるそれが、
わたしの手に心酔してゆく。
「シア。ひと思いにやってくれ!俺はもう駄目みたいだ…」
「カイル様…どうか諦めないでください」
「くっ…」
「わたしはカイル様がいつも民のために尽力していると知っています」
「……」
「そんなカイル様ならこの苦難も乗り越えられると信じています」
「しかしこれは…」
「覚えてますか?わたしたちが初めて会ったときのことです」
「うっ…」
「わたしが野良猫にエサをあげていたとき、カイル様がふと現れたのです」
「いくっっっっぅ……!!」
カイル様がからだをうねらせた。
手には脈打つ感覚があるが、
服の上からはそれしか伝わらない。
しかし、カイル様の表情を見ると
きっと天にも登るようなお気持ちなのだろう…。
「あの時と同じですね…」
「そうだな」
「わたしカイル様が好きだと思います」
「…そうか」
王子は遠くを眺めていた。
わたしが初めにしていた目と
同じ目をしていると感じた。
わたしは昔から危ないことを避けてきた。
いかにも悪そうな集団を見れば、道を変えて遠回りをした。
人の悪口が始まりそうな会話は、そこから離れるようにした。
やるべきことがうまく行かないときは部屋の掃除をして、気を紛らわせた。
わたしはそれが普通だと思っていたが、どうもそうではないみたいだ。
「シア。ボーっとしてどうしたんだ?」
フィリシア国第二王子のカイル様に話しかけられた。
この人はどうして平民のわたしを気にかけるのだろう?
「すみません。むかしのことを思い出していました」
「そうか。なんだか遠くを見ていたから心配したよ」
心配してくれてる?嘘だとしても、こころが暖かくなる。カイル様に気にかけていただけるとは思ってなかったから。
「カイル様、どうしてここに?」
「ああ、仕事の合間で買い物でもしようと思ってね」
「ふふ。王子様でもそういうことするのですね」
思わず笑ってしまった。
「あ、すみません。わたしったら笑ってしまって」
「はは。今日は天気がいいからね。表情が穏やかになるんだろう」
「それって関係あるんですか?」
「あるよ。今日のシアはすごくキレイに見えるから」
突然の告白に驚いてしまった。
「お上手ですね。カイル様。わたしのような平民にも優しいのですね」
「はは。冗談じゃないよ。それに、シアは自分のことをよく分かってないと思う」
わたしのことをよく分かってない?
「どういうことでしょう?」
「シアは思ってるより、気高く強い子だと思う」
「え…?」
「君は自分がずっと逃げてると思ってるよね?」
…たしかに
ずっとそう思ってる。でもどうしてわかったんだろう?
「なぜ、そう思うのですか?」
「だって、僕はシアのことを見てきたから」
「……」
「本当は怖いんだろう?僕と話すのが。いや、人と関わるのが…かな?」
「…カイル様にはすべてがお見通しなのですね」
わたしの性分を見透かされたのが、
少しだけ嫌だったので
彼の股間を掴んだ。
「ぐっ…」
「カイル様、どうか許してください」
「何をするんだシア」
「ごめんなさい、カイル様。手が止まらないのです」
わたしは彼の股間を揉みしだいた。
王子の王子は
まだ戦闘状態ではなく
服の上からは大きさを感じない。
しかし、彼を包む袋は
とても大きく感じた。
これは…
「カイル様の、大きいですね…」
「ぐっ…シア、人前でそんなことやめてくれ」
「ダメです。左手が勝手に動くのです…」
王子のモノは
少しずつ膨張する。
服の上からでもわかるそれが、
わたしの手に心酔してゆく。
「シア。ひと思いにやってくれ!俺はもう駄目みたいだ…」
「カイル様…どうか諦めないでください」
「くっ…」
「わたしはカイル様がいつも民のために尽力していると知っています」
「……」
「そんなカイル様ならこの苦難も乗り越えられると信じています」
「しかしこれは…」
「覚えてますか?わたしたちが初めて会ったときのことです」
「うっ…」
「わたしが野良猫にエサをあげていたとき、カイル様がふと現れたのです」
「いくっっっっぅ……!!」
カイル様がからだをうねらせた。
手には脈打つ感覚があるが、
服の上からはそれしか伝わらない。
しかし、カイル様の表情を見ると
きっと天にも登るようなお気持ちなのだろう…。
「あの時と同じですね…」
「そうだな」
「わたしカイル様が好きだと思います」
「…そうか」
王子は遠くを眺めていた。
わたしが初めにしていた目と
同じ目をしていると感じた。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる