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タバコ 最終話
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「これも、バイトのせいにする?」
「・・・」
彼女は少し俯き、何も言わなかった。
「俺さ、昨日バイトでDVの話聞いたんだよね。もしかしてと思って確認したんだけど、やっぱり、彼氏とかに暴力受けてんでしょ?」
彼女は黙ったままだ。吸わずに燃えて伸びたタバコの灰が重力に従いぽろっと落ちていく。
俺は続けて問い詰めた。
「これで関係が崩れる?俺が君と会ってることに対して彼氏が怒ってるなら確かにそうなるけど、そんなこともないんじゃない?」
彼女は何か言いたげに顔を上げたが、また俯いた。
それでも俺は話し続ける。なぜ言ってくれなかったのか、俺は相談役として役不足なほど情けなく見えていたのか。そんな一人よがりな思考が俺の感情を暴走させていた。
「てかさ、事情は詳しく知らないけど、暴力なんて振るう彼氏なんて早く別れたほうがいいんじゃない?大学生なんだし、出会いはいっぱいあるでしょ?」
「違うよ」
彼女が発した一言は否定の言葉だった。俺は何に否定しているのかわからなかったが、先日の常連さんの会話もあり、やはり彼氏のことをかばってるのではないか。ねじ曲がった母性というやつで。俺はそれを否定したかった。なんせ、彼女にそんな感情を持ち合わせてほしくなかったのだ。自分のエゴだと頭では認識していても本能は言うことを聞かない。
「まぁさ、自分がいないとダメって気持ちはあるのかもしれないけど―」
「違う!私はそんなことを否定してるわけじゃない!」
彼女は俺の言葉を遮りベンチから立った勢いで俺のつかんだ手を思いきり振り払った。
彼女の眼は怒りを宿していた。会ってから初めてめにしたものだった。
「わかんないんだよ、、、」
そういってまた彼女は座り込んだ。そして小さな声でつらつらと語り始めた。
「彼さ、昔は優しかったんだけど、だんだん日がたつにつれて私の扱いが雑になってきたの。パチンコに負けたときとか、ほかにもイライラしてるときは暴言が当たり前になってさ」
彼女は蝉が鳴いている桜の木を見つめながら話を続ける。
「でも私は彼を信じたかった。思いやりのある昔の彼にいつか戻ってくれるって」
「でも、それは間違ってった。」
「あるときね、私の友達のことにも難癖つけてきたの。その時は私もカッとなって言い返しちゃったの。そこが引き金だったのかな。そこから暴力が始まったの」
「最初は怖くて怖くてたまらなかったけど、いつしかそれに慣れちゃって。「あぁ、これが終われば今日はイライラしないのかな」って思い始めちゃってさ」
「でもたまに、ふとしたときに限界がくるんだよね。その時は涙ボロボロ流しちゃうんだけど、別れようとは思わなかったんだ。だから、別れようとしなかったの。彼からも言ってこないからまだ私のこと好きなんじゃないかなって期待もしちゃってた」
俺は茫然としていた。人間の心理は状況によってこれほど変わることに。テレビやネットで見聞きはしていたが、実際にこれほどに人に依存することが危険なことなのか。しかし、この時なぜか俺は少しいら立ちを覚えていた。
「そんな時にさ、この喫煙所に君がいたんだよ。ここで君を始めてきたとき、なんでかな、この人はきっといい人だって思ったの。だから最初は衝動的にあんなことしちゃったんだ」
あの時のことを思い出す。彼女は確かに涙を流していた。
「君に一目ぼれしたのかは正直わからなかった。彼のことを好きなのかも曖昧だったから、ここまで引き延ばして逃げてたのかも」
俺は何も言えなかった。ただ黙って彼女の話を聞いていた。
「でも、やっと決心がついた。彼とは別れるね。このままで過ごしていくなんてダメな気がする。」
彼女は目には決意が宿っていた。これで一安心だな。
「で、この喫煙所とも、君ともさよならする」
「え?」
俺は思わず腑抜けた声を出した。
「君とか、この喫煙所を見ちゃうとさ、なんか弱いままな気がしてさ。甘えちゃう自分がいる気がする。だから私が一歩前に踏み出せるように勝手だけど決別させてください。」
予想外だった。まさかもう会えなくなるなんて。
「ちょ、ちょっとゆっくり考えようよ、君が彼と別れるのと、俺とこの喫煙所は関係なくない?」
「ごめん、私は決めたの。ここをスタートラインとして強い自分を作るよ。だから、君に会えなくなるのはさみしいけど、君も私の背中を押すためだと思って決別ほしい。」
俺は混乱した。気持ちはわかるがまさか今日が最後になるなんて思いもよらなかったのだ。
まだ話したいことがたくさんある。君にもっと笑ってほしいしその彼と別れた後のケアもしてあげたい。そんな気持ちが「彼女が強い人間になるためにも彼女の背中を押すべきだ」という理性と戦っていることに気づいた。
俺は彼女のことを好きになっていたと気づいた。
頼ってくれないことも彼に依存いている彼女をみてイラついていたのも合点が合う。
なんとか彼女を引き留めようとして言葉を探しているうちに彼女をよしと意気込みベンチから立ち上がった。
「また、会えるといいね」
彼女の凛とした表情で吹っ切れたように話しかけてたのを見て、俺は引き留めようとしていた自分がバカだと思えた。そのくらい彼女の決意は高潔なものだと本能が感じていた。
これは彼女の一歩を支えるべきだ。好きならば尚更。
「うん、わかった。またどこかで会えるといいね。」
「「その時は名前も教えてね」」
声が重り、少しの空白の後に笑いが起こった。
「バイバイ!またね!」
「おう!がんばれよ!」
こうして俺は彼女の背中を見送った。そしてベンチに腰掛け、この場所で最後になるタバコを咥え火をつけた。
それ以来あの喫煙所には行かず、彼女とは大学卒業まで一度も会うことはなかった。なにせ名前もsnsも知らないから調べようにも調べれず俺の大学人生は終わりを告げた。
―――――――――――っていう話なんすよね」
「なんか、すごいな。ドラマみたいじゃん」
先輩はニヤニヤしながら三本目になったタバコを灰皿に押し付けた。
「やっぱ女は強いよな!急にピシーって決めちまうからなぁ」
「おかげでこっちは失恋しましたけどね」
それ以降は上司の愚痴や、先輩の嫁さんの少し面白い話などで盛り上がった。
「そういえば、お前今週の日曜ちゃんと空けてるよな?」
「もちろんっすよ、なんせこれが生きがいですからね」
今週の日曜は関東郊外のある場所で行われる二日目のフェスだ。数々の大物アーティストたちが演奏するのを目の当たりにできるのは今考えても飛び跳ねるほどうれしい。
「それより先輩のほうは大丈夫なんですか?嫁さん、妊娠してるんっすよね?」
「まぁな、土下座して、イタリアンの店つれってってくれるって条件でなんとか」
「ひえー、さすが先輩、いい感じに尻に敷かれてますね」
「うるせぇわい!」
そして待ちに待った日曜日が来た。やはり大物アーティストの歌唱力と演奏力はすさまじく、彼女におススメしてもらってから以来、はまり続けているオーラルの歌も聞くことができ、大満足の状態で先輩と昼休憩を迎えた。地ビールフェアを開催しており、そのビールとともに昼ご飯に出店されていた出店の中でも比較的すいていたご当地ラーメンを購入した。
「先輩、おっせーなぁ」
先輩は事前にすさまじく調べていたらしく、「ここのこれは絶対食う!」と豪語していた(記憶がうろ覚えでほぼ覚えていない)ものを買うために長蛇の列に飛び込んでいったのが見えたので、まだ並んでいるのだろう。席は確保してあったので、そこに貴重品以外の荷物を置き、一服することにした。
出店コーナーのそとに出て設営されていた喫煙所へ向かう。喫煙所が至るとこにあるため人は少なく、吸う環境としてはなかなか整っていて心地よく据える気がした。
煙草に火をつけてふうっと煙を味わいながら、先輩にlineしていると後ろから女性が声をかけてきた。
「あのー。すいません、火、貸してもらえますか?」
若い子だし女の子ってなだけで珍しいのにライター貸してほしいなんて稀なこともあるんだな。
「どうぞ」
ライターをポケットから取り出し、ふり向こうとしたら
「違う違う、覚えてないの?」
そういって女の人は俺の顔をグイっと引っ張って俺が咥えていた煙草の火から自分の煙草のの火をつけた。
「久しぶり。君もやっぱり来てたんだね。」
彼女の声は感極まったような、弾んでいるような、様々な感情が混じっているようだった。
俺も胸の高鳴りを抑えて話す。
「久しぶり。ロック好きは来るにきまってんじゃん」
「そうかも!やっぱりロックっていいよねー、心を震わす歌詞も、胸を躍らすメロディも!それに」
彼女はさわやかな笑顔を見せた後俺に囁いた。
「こうして君にも再会できたんだし」
彼女は俺から少し距離をとり、言った。
「私、長瀬日奈っていうの、君は?」
「俺は―――――
End
「・・・」
彼女は少し俯き、何も言わなかった。
「俺さ、昨日バイトでDVの話聞いたんだよね。もしかしてと思って確認したんだけど、やっぱり、彼氏とかに暴力受けてんでしょ?」
彼女は黙ったままだ。吸わずに燃えて伸びたタバコの灰が重力に従いぽろっと落ちていく。
俺は続けて問い詰めた。
「これで関係が崩れる?俺が君と会ってることに対して彼氏が怒ってるなら確かにそうなるけど、そんなこともないんじゃない?」
彼女は何か言いたげに顔を上げたが、また俯いた。
それでも俺は話し続ける。なぜ言ってくれなかったのか、俺は相談役として役不足なほど情けなく見えていたのか。そんな一人よがりな思考が俺の感情を暴走させていた。
「てかさ、事情は詳しく知らないけど、暴力なんて振るう彼氏なんて早く別れたほうがいいんじゃない?大学生なんだし、出会いはいっぱいあるでしょ?」
「違うよ」
彼女が発した一言は否定の言葉だった。俺は何に否定しているのかわからなかったが、先日の常連さんの会話もあり、やはり彼氏のことをかばってるのではないか。ねじ曲がった母性というやつで。俺はそれを否定したかった。なんせ、彼女にそんな感情を持ち合わせてほしくなかったのだ。自分のエゴだと頭では認識していても本能は言うことを聞かない。
「まぁさ、自分がいないとダメって気持ちはあるのかもしれないけど―」
「違う!私はそんなことを否定してるわけじゃない!」
彼女は俺の言葉を遮りベンチから立った勢いで俺のつかんだ手を思いきり振り払った。
彼女の眼は怒りを宿していた。会ってから初めてめにしたものだった。
「わかんないんだよ、、、」
そういってまた彼女は座り込んだ。そして小さな声でつらつらと語り始めた。
「彼さ、昔は優しかったんだけど、だんだん日がたつにつれて私の扱いが雑になってきたの。パチンコに負けたときとか、ほかにもイライラしてるときは暴言が当たり前になってさ」
彼女は蝉が鳴いている桜の木を見つめながら話を続ける。
「でも私は彼を信じたかった。思いやりのある昔の彼にいつか戻ってくれるって」
「でも、それは間違ってった。」
「あるときね、私の友達のことにも難癖つけてきたの。その時は私もカッとなって言い返しちゃったの。そこが引き金だったのかな。そこから暴力が始まったの」
「最初は怖くて怖くてたまらなかったけど、いつしかそれに慣れちゃって。「あぁ、これが終われば今日はイライラしないのかな」って思い始めちゃってさ」
「でもたまに、ふとしたときに限界がくるんだよね。その時は涙ボロボロ流しちゃうんだけど、別れようとは思わなかったんだ。だから、別れようとしなかったの。彼からも言ってこないからまだ私のこと好きなんじゃないかなって期待もしちゃってた」
俺は茫然としていた。人間の心理は状況によってこれほど変わることに。テレビやネットで見聞きはしていたが、実際にこれほどに人に依存することが危険なことなのか。しかし、この時なぜか俺は少しいら立ちを覚えていた。
「そんな時にさ、この喫煙所に君がいたんだよ。ここで君を始めてきたとき、なんでかな、この人はきっといい人だって思ったの。だから最初は衝動的にあんなことしちゃったんだ」
あの時のことを思い出す。彼女は確かに涙を流していた。
「君に一目ぼれしたのかは正直わからなかった。彼のことを好きなのかも曖昧だったから、ここまで引き延ばして逃げてたのかも」
俺は何も言えなかった。ただ黙って彼女の話を聞いていた。
「でも、やっと決心がついた。彼とは別れるね。このままで過ごしていくなんてダメな気がする。」
彼女は目には決意が宿っていた。これで一安心だな。
「で、この喫煙所とも、君ともさよならする」
「え?」
俺は思わず腑抜けた声を出した。
「君とか、この喫煙所を見ちゃうとさ、なんか弱いままな気がしてさ。甘えちゃう自分がいる気がする。だから私が一歩前に踏み出せるように勝手だけど決別させてください。」
予想外だった。まさかもう会えなくなるなんて。
「ちょ、ちょっとゆっくり考えようよ、君が彼と別れるのと、俺とこの喫煙所は関係なくない?」
「ごめん、私は決めたの。ここをスタートラインとして強い自分を作るよ。だから、君に会えなくなるのはさみしいけど、君も私の背中を押すためだと思って決別ほしい。」
俺は混乱した。気持ちはわかるがまさか今日が最後になるなんて思いもよらなかったのだ。
まだ話したいことがたくさんある。君にもっと笑ってほしいしその彼と別れた後のケアもしてあげたい。そんな気持ちが「彼女が強い人間になるためにも彼女の背中を押すべきだ」という理性と戦っていることに気づいた。
俺は彼女のことを好きになっていたと気づいた。
頼ってくれないことも彼に依存いている彼女をみてイラついていたのも合点が合う。
なんとか彼女を引き留めようとして言葉を探しているうちに彼女をよしと意気込みベンチから立ち上がった。
「また、会えるといいね」
彼女の凛とした表情で吹っ切れたように話しかけてたのを見て、俺は引き留めようとしていた自分がバカだと思えた。そのくらい彼女の決意は高潔なものだと本能が感じていた。
これは彼女の一歩を支えるべきだ。好きならば尚更。
「うん、わかった。またどこかで会えるといいね。」
「「その時は名前も教えてね」」
声が重り、少しの空白の後に笑いが起こった。
「バイバイ!またね!」
「おう!がんばれよ!」
こうして俺は彼女の背中を見送った。そしてベンチに腰掛け、この場所で最後になるタバコを咥え火をつけた。
それ以来あの喫煙所には行かず、彼女とは大学卒業まで一度も会うことはなかった。なにせ名前もsnsも知らないから調べようにも調べれず俺の大学人生は終わりを告げた。
―――――――――――っていう話なんすよね」
「なんか、すごいな。ドラマみたいじゃん」
先輩はニヤニヤしながら三本目になったタバコを灰皿に押し付けた。
「やっぱ女は強いよな!急にピシーって決めちまうからなぁ」
「おかげでこっちは失恋しましたけどね」
それ以降は上司の愚痴や、先輩の嫁さんの少し面白い話などで盛り上がった。
「そういえば、お前今週の日曜ちゃんと空けてるよな?」
「もちろんっすよ、なんせこれが生きがいですからね」
今週の日曜は関東郊外のある場所で行われる二日目のフェスだ。数々の大物アーティストたちが演奏するのを目の当たりにできるのは今考えても飛び跳ねるほどうれしい。
「それより先輩のほうは大丈夫なんですか?嫁さん、妊娠してるんっすよね?」
「まぁな、土下座して、イタリアンの店つれってってくれるって条件でなんとか」
「ひえー、さすが先輩、いい感じに尻に敷かれてますね」
「うるせぇわい!」
そして待ちに待った日曜日が来た。やはり大物アーティストの歌唱力と演奏力はすさまじく、彼女におススメしてもらってから以来、はまり続けているオーラルの歌も聞くことができ、大満足の状態で先輩と昼休憩を迎えた。地ビールフェアを開催しており、そのビールとともに昼ご飯に出店されていた出店の中でも比較的すいていたご当地ラーメンを購入した。
「先輩、おっせーなぁ」
先輩は事前にすさまじく調べていたらしく、「ここのこれは絶対食う!」と豪語していた(記憶がうろ覚えでほぼ覚えていない)ものを買うために長蛇の列に飛び込んでいったのが見えたので、まだ並んでいるのだろう。席は確保してあったので、そこに貴重品以外の荷物を置き、一服することにした。
出店コーナーのそとに出て設営されていた喫煙所へ向かう。喫煙所が至るとこにあるため人は少なく、吸う環境としてはなかなか整っていて心地よく据える気がした。
煙草に火をつけてふうっと煙を味わいながら、先輩にlineしていると後ろから女性が声をかけてきた。
「あのー。すいません、火、貸してもらえますか?」
若い子だし女の子ってなだけで珍しいのにライター貸してほしいなんて稀なこともあるんだな。
「どうぞ」
ライターをポケットから取り出し、ふり向こうとしたら
「違う違う、覚えてないの?」
そういって女の人は俺の顔をグイっと引っ張って俺が咥えていた煙草の火から自分の煙草のの火をつけた。
「久しぶり。君もやっぱり来てたんだね。」
彼女の声は感極まったような、弾んでいるような、様々な感情が混じっているようだった。
俺も胸の高鳴りを抑えて話す。
「久しぶり。ロック好きは来るにきまってんじゃん」
「そうかも!やっぱりロックっていいよねー、心を震わす歌詞も、胸を躍らすメロディも!それに」
彼女はさわやかな笑顔を見せた後俺に囁いた。
「こうして君にも再会できたんだし」
彼女は俺から少し距離をとり、言った。
「私、長瀬日奈っていうの、君は?」
「俺は―――――
End
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