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第25話 さっきからずっと黙ってたけど
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「ただのん、少しは落ち着いたか?」
「う、うん。嬉しいこと言ってくれたから、テンション上がっちゃって」
「テンション上がったのは分かったけど、その格好で抱きつかれるとマジで心臓に悪いから止めてくれ・・・」
「あ、ごめんね」
合掌してウィンクされた。それも止めてくれ。それにしてもなりきってるな・・・
「まぁ、大丈夫だけど」
「僕って学校では影薄いし、暗いでしょ?しかもクラスメイトに話しかける勇気も無いから全然友達ができなくて・・・だから、昇くんが友達って言ってくれて嬉しかったよ。本当にありがとう」
今気がついたが、呼び方が昇くんになったな。名前呼びのほうが嬉しいな。仲良くなった感じがする。
「それはこちらこそだ。確かにただのんは、暗いなって思ってた。けど、いざ話してみると全然そんな事はなかったし、久しぶりにアニメの話が出来て楽しかった。まぁ、改めて宜しくってことで」
「あ、うん!!」
コスプレの完成度が高すぎて、アニメキャラと話してるみたいで、ただのんを直視できないな。格好だけじゃなくて、雰囲気とか、体の動かし方?もキャラクターに寄せてるみたいで、ただのんが人気の理由が分かる。ファンになりそうだ。
「ただのん、一応このまま休んだほうが良いと思うけどどうする?」
「うん、休もうかな・・・・・・ねぇ、さっきからずっと黙ってたけど、僕のこと、ただのんって呼ぶの止めてくれないかな?」
「あ、聞こえてたんだ」
「そりゃ、聞こえるよ!」
「スルーされてたから別に良いのかなって」
「スルーしてたけども!」
「まぁ正直な話、この会場で只野~って呼んじゃうと、身バレ?しちゃうかもしれないって思ってさ。だから今日はただのんって呼ぶよ。我慢してくれ」
「あ、なるほど・・・配慮してくれてたんだね。じゃあ、仕方ないね」
「そういうこと。そこのベッド好きに使って良いから。じゃ、ごゆっくり~」
「あ、ちょっと、待って」
「ん?」
「もうちょっとだけ話ししていい?」
「あ、うん」
なんだろう?
* * *
「あの・・・前に、菊池さんとなにがあったのか話せないって言ってたと思うんだけど、昇くんには、話をしたいなって」
あ~、なるほど・・・彩花か・・・すっかり忘れてた。
「無理しないでいいんだぞ?」
「うんん。無理はしてないよ。簡単に言うと、趣味のコスプレが菊池さんにバレちゃって、それで脅されてたんだ」
「そういうことか・・・」
人の趣味を脅しに使うとか最低だな。
「高校に入学した頃、大きなコスプレイベントがあってね、僕もそのイベントに出場してたんだよ。高校に入りたてで、僕のことなんて覚えてる人なんていないって思って特に気にせずに参加してたんだけど・・・」
「そこに彩花がいたってことだな」
「うん。最初に菊池さんを見かけた時はヤバい、バレたって思ったんだけど、菊池さんは全然僕に気づいて無くて・・・で、僕が油断しちゃったんだけど、色々なポーズをしている時にポケットに入ってた学生手帳を落としちゃって、それを菊池さんに見られて、バレたって感じかな・・・」
「え、なんで学生手帳を持ってたの?」
「大きなイベントってこともあって、出場するコスプレイヤーさんは、本人確認の為に学生手帳が必要で・・・バックとかに入れておけば良かったんだけど、急いでポケットに入れたのが間違いだったね」
遠い目をしてるな。
「なるほど・・・」
「イベントが終わった後、菊池さんが会場の出口にいて、声を掛けてきたんだ。コスプレが趣味なんだね。似合ってたよって。最初は、菊池さんもコスプレに興味があるのかな?コスプレ仲間が出来るかなってちょっとワクワクしてたんだけど、話をしていると、そんなことは無くて、最後には、バラされたくなかったら私の奴隷になれって言われて。あの時は絶望だった・・・そこから学校で菊池さんの仕事をやってた感じかな」
「奴隷って・・・すごい言葉使うな」
「だよね・・・菊池さんってそんなこと言うようなタイプに見えなかったから余計に驚いたよ」
「見た目じゃ全然分からないよな。でもただのんが、彩花の仕事をやってたって全然気づかなかったな。俺から見たら、彩花は一人でクラス委員の仕事をしてて、頑張ってるなって思ってたくらいだったし」
「菊池さんには、バレないように気をつけろって言われてたから、図書室とか、教室じゃないところでやってたよ。気づかなかったってことは、僕が仕事をしてるときは、菊池さんは、教室で仕事をしてるふりでもしてたのかも」
「慎重派の彩花らしいな・・・褒めてないけど」
まぁ、本当の慎重派なら奴隷とか言わないと思うけどな。
「これは・・・言って良いのか分からないけど、テストの時に、カンニングペーパー?を作らされたこともあったよ・・・僕はそんなものを作りたくなかったんだけど・・・」
「えっ、マジか・・・高校でカンニングは不味いだろ。最悪退学レベルだぞ。彩花は頭が良いって思ってたけど、それも間違いだったのか・・・えっと、その時の証拠みたいなのってあるか?」
「うんん。もう無いよ・・・」
ただのんは、首を横に振った。
「だよな~~~」
「もう、あんなことしたくないよ」
ただのんの顔を見ると、辛いそうな顔をしていた。奴隷なんて言われて、仕事をやらされて・・・カンニングの手伝いをさせられて・・・許せんな!!
「ただのんは、やっぱりコスプレはバレたくないか?」
「うん・・・でも!もう菊池さんの言いなりにもなりたくない!」
「ただのん!良く言った!今度学校で作戦会議しよう」
さて、どうしたものかな?
====================
ここまで読んで頂きありがとうございます。
良かったら「お気に入り登録」「感想」を頂ければ、書くモチベーションが上がりますので、宜しくお願いします。
コメントも頂けると嬉しいです。できるだけ返信しようかと思ってます。
ただし、あまり強い言葉ですと、コメントを消すかもですのでご了承ください。
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「あ、ごめんね」
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「まぁ、大丈夫だけど」
「僕って学校では影薄いし、暗いでしょ?しかもクラスメイトに話しかける勇気も無いから全然友達ができなくて・・・だから、昇くんが友達って言ってくれて嬉しかったよ。本当にありがとう」
今気がついたが、呼び方が昇くんになったな。名前呼びのほうが嬉しいな。仲良くなった感じがする。
「それはこちらこそだ。確かにただのんは、暗いなって思ってた。けど、いざ話してみると全然そんな事はなかったし、久しぶりにアニメの話が出来て楽しかった。まぁ、改めて宜しくってことで」
「あ、うん!!」
コスプレの完成度が高すぎて、アニメキャラと話してるみたいで、ただのんを直視できないな。格好だけじゃなくて、雰囲気とか、体の動かし方?もキャラクターに寄せてるみたいで、ただのんが人気の理由が分かる。ファンになりそうだ。
「ただのん、一応このまま休んだほうが良いと思うけどどうする?」
「うん、休もうかな・・・・・・ねぇ、さっきからずっと黙ってたけど、僕のこと、ただのんって呼ぶの止めてくれないかな?」
「あ、聞こえてたんだ」
「そりゃ、聞こえるよ!」
「スルーされてたから別に良いのかなって」
「スルーしてたけども!」
「まぁ正直な話、この会場で只野~って呼んじゃうと、身バレ?しちゃうかもしれないって思ってさ。だから今日はただのんって呼ぶよ。我慢してくれ」
「あ、なるほど・・・配慮してくれてたんだね。じゃあ、仕方ないね」
「そういうこと。そこのベッド好きに使って良いから。じゃ、ごゆっくり~」
「あ、ちょっと、待って」
「ん?」
「もうちょっとだけ話ししていい?」
「あ、うん」
なんだろう?
* * *
「あの・・・前に、菊池さんとなにがあったのか話せないって言ってたと思うんだけど、昇くんには、話をしたいなって」
あ~、なるほど・・・彩花か・・・すっかり忘れてた。
「無理しないでいいんだぞ?」
「うんん。無理はしてないよ。簡単に言うと、趣味のコスプレが菊池さんにバレちゃって、それで脅されてたんだ」
「そういうことか・・・」
人の趣味を脅しに使うとか最低だな。
「高校に入学した頃、大きなコスプレイベントがあってね、僕もそのイベントに出場してたんだよ。高校に入りたてで、僕のことなんて覚えてる人なんていないって思って特に気にせずに参加してたんだけど・・・」
「そこに彩花がいたってことだな」
「うん。最初に菊池さんを見かけた時はヤバい、バレたって思ったんだけど、菊池さんは全然僕に気づいて無くて・・・で、僕が油断しちゃったんだけど、色々なポーズをしている時にポケットに入ってた学生手帳を落としちゃって、それを菊池さんに見られて、バレたって感じかな・・・」
「え、なんで学生手帳を持ってたの?」
「大きなイベントってこともあって、出場するコスプレイヤーさんは、本人確認の為に学生手帳が必要で・・・バックとかに入れておけば良かったんだけど、急いでポケットに入れたのが間違いだったね」
遠い目をしてるな。
「なるほど・・・」
「イベントが終わった後、菊池さんが会場の出口にいて、声を掛けてきたんだ。コスプレが趣味なんだね。似合ってたよって。最初は、菊池さんもコスプレに興味があるのかな?コスプレ仲間が出来るかなってちょっとワクワクしてたんだけど、話をしていると、そんなことは無くて、最後には、バラされたくなかったら私の奴隷になれって言われて。あの時は絶望だった・・・そこから学校で菊池さんの仕事をやってた感じかな」
「奴隷って・・・すごい言葉使うな」
「だよね・・・菊池さんってそんなこと言うようなタイプに見えなかったから余計に驚いたよ」
「見た目じゃ全然分からないよな。でもただのんが、彩花の仕事をやってたって全然気づかなかったな。俺から見たら、彩花は一人でクラス委員の仕事をしてて、頑張ってるなって思ってたくらいだったし」
「菊池さんには、バレないように気をつけろって言われてたから、図書室とか、教室じゃないところでやってたよ。気づかなかったってことは、僕が仕事をしてるときは、菊池さんは、教室で仕事をしてるふりでもしてたのかも」
「慎重派の彩花らしいな・・・褒めてないけど」
まぁ、本当の慎重派なら奴隷とか言わないと思うけどな。
「これは・・・言って良いのか分からないけど、テストの時に、カンニングペーパー?を作らされたこともあったよ・・・僕はそんなものを作りたくなかったんだけど・・・」
「えっ、マジか・・・高校でカンニングは不味いだろ。最悪退学レベルだぞ。彩花は頭が良いって思ってたけど、それも間違いだったのか・・・えっと、その時の証拠みたいなのってあるか?」
「うんん。もう無いよ・・・」
ただのんは、首を横に振った。
「だよな~~~」
「もう、あんなことしたくないよ」
ただのんの顔を見ると、辛いそうな顔をしていた。奴隷なんて言われて、仕事をやらされて・・・カンニングの手伝いをさせられて・・・許せんな!!
「ただのんは、やっぱりコスプレはバレたくないか?」
「うん・・・でも!もう菊池さんの言いなりにもなりたくない!」
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