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第18話 体鍛えてますよね

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6時限目が終わり、帰りのホームルームが終わった頃、たけが戻ってきた。
顔を見ると、顔色が悪いし、疲れているようだ。

「顔色悪いけど、大丈夫か?」

「ああ、お前から話を聞いた後、すぐに購買に行ったんだけど、結局お目当てのカルボナーラパンは無くてな・・・でなんか悔しいかったから珍しいパン食べてやろと思って、激辛パンって言ったっけ?見た目がまっかっかなパンを買って食べてみたら、思いの外辛くて、気づいたときには保健室にいたよ・・・」

それは記憶喪失かな?
辛い系かぁ。俺も少しなら辛いのを食べれるけど、激辛は無理だな。あれは美味しいって感じないと思う・・・もう痛いって感じだよ。

「な、なるほど~。大変だったな。個人的にあそこのパンはハズレが無いと思ってたんだけど・・・変なパンでも結構美味しいかったし」

「ハズレはあるみたいだ。気を付けたほうが良いぞ。ただ俺は明日からお昼になった瞬間、速攻購買に行くから」

「え、なんで?」

「カルボナーラパンが食べたいからだ!!」

「美味しいって言ったけど、そんなにハードルを上げると、期待値が高まってそこまで美味しいって思わないかもしれないぞ。低いハードルだからいいんだぞ?まぁ・・・止めないけど。頑張ってくれ」

「ああ頑張る、ちょっと大きい声出したらお腹が・・・ちょっとトイレ行ってくるから・・・また明日な。ぐふぅ」

なんかお腹に相当なダメージを負ったみたいだな。今日の放課後にカフェで彩花と別れたことを改めて報告しようと思ってたけど、後でもいいか。あいつの中では、彩花<カルボナーラパンだったからな。特に気にしてないだろう。

そういえば、彩花と只野が放課後に話すとか言ってたけど、まだ話をしていないようだ。彩花はクラスの女子とワイワイと話をしているが、只野の方を見ると、英単語帳を見ながら勉強をしているみたいだが、ただ落ち着きが無いように見える。

ま、関係ないか。





「堂道くん、ちょっと良いですか?」

「はい、なんでしょうか?」

俺は教室を出ると、中澤先生が声を掛けられた。

「ちょっと、図書委員会の仕事を手伝ってもらうことは可能ですか?」

「大丈夫ですけど、うちのクラスの図書委員って・・・」

誰だったっけ?

「午後急に体調が悪くなったみたいで、保健室でずっと休んでいたみたいです。さっきすれ違ったんですが、まだ本調子では無いみたいです」

「な、なるほどです」

はぁ~~~~~。これは、たけのことだな。あいつ絶対に図書委員の仕事忘れてたな。あんな調子じゃできないか。仕方ないからやってやるけど、今度なにかおごって貰わないとね。

「今日は、本の整理と新書の運搬があるみたいで、人手が必要みたいです。堂道くんは背が高いですし、それに体鍛えてますよね。なのでお願いしようかと思いまして」

先生は、俺が体鍛えてたって、なんで知っているだ?ただ鍛えてたのは中学までだけど。先生と中学の時に会ったことがあるとか?でも会ってれば、流石に分かるよな。

「今は鍛えてませんが分かりました。これから図書室に向かえば良いですか?」

「はい、宜しくお願いします」

俺はバックを教室に置いて、図書室に向かった。

* * *

図書室に行くと、1年から3年までの図書委員がすでに集まっていた。
ギリギリセーフって感じか。

「集まってくれてありがとうございます。今日は新書が大量に入荷するので、それの運搬と本棚の整理を行いたいと思います。ざっと20人いますので、効率よく行って早く終わらせましょう」

図書委員長は、特に緊張した様子は無く、人前で話すのは慣れているみたいだ。テキパキと指示を出している。

「男子は、職員室前にダンボールがありますので、それを図書室まで運んでください。女子は本の整理を行ってください。それでは宜しくお願いします」

職員室は1階で、図書室は3階ってことは・・・大変だな。
せめて軽いダンボールでありますように・・・・





祈りとは裏腹に本が入ったダンボールはだいぶ重かった。ダンボールに取っ手がついているんだが、手に食い込んで痛い。明日は絶対に変なところが筋肉痛になりそう。

ただ人数が結構いたので2往復で終わった。あとはこのダンボールから本を取り出して、本棚に入れる作業もあるみたいだ。
本の入荷は、年に1回あるみたいだけど、こんなに本を買って本棚に入るのかな?委員長に聞いてみようかな。

「委員長、すみません」

「ん?どうかした?」

「こんなに本を入荷して本棚に入るんですか?」

「ああ、それはね。女子には説明したんだけど、あの本棚にある本全てを別の高校に寄付するんだよ」

「なるほどです。寄付する本と新しい本を交換ってことですね」

「そういうこと。まずは取り出すところからだね。ちょっと大変だけど、頑張って!」

委員長をやるだけあってなんとなく本が好きそうな感じがする。

「はい、分かりました」

早速ダンボールを開けて、入荷した本を見てみる。ベストセラーの本や小難しそうな専門書があるみたいだ。今度図書室でどんな本があるか見てみようかな。

「あれ、堂道君?」

名前を呼ばれたので、声がしたほうを見ると、そこには、倉敷さんがいた。

「え、倉敷さん!?なんでここに!?」

「私は宮都高校1年の生徒だからだよ」

「同じ高校だったとは知らなかったよ。びっくりしたよ!」

「私もびっくりしたよ。見覚えがある後ろ姿だったからつい声かけちゃった」

倉敷さんはとびっきり笑顔でそう言った。

「あいつ誰だよ。倉敷さんの知り合いか?」
「倉敷さんから声を掛けて貰えるとか羨ましすぎる」
「俺はあの笑顔にやられた・・・」
「ウホ」

周りからそんな声が聞こえてきた。倉敷さんって、モテるんだな。なんか変なのもいるみたいだ。ていうか、俺を睨むな。
睨んでいた連中に視線を向けると、さささっといなくなってしまった。なんで逃げるんだよ。

「そういうことね」

「というか堂道君って年上だったんだね。てっきり同い年だと思ってたよ・・・じゃあ敬語で話さなきゃだね」

「別に今まで通りで良いよ。1歳しか違わないし。敬語で話されるとか堅苦しくて嫌だからさ」

「分かった!じゃあ、このままで」

「それでおーけー。じゃあ、あそこの本棚から整理していこうか」

「だね!」

こうして、俺達は本の整理に勤しんだ。

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