浮気されたけど特になんとも思ってません！！

第1話 浮気されました

俺こと、堂道昇《どうみちのぼる》は恋人の浮気現場を遭遇している。
恋人の菊池彩花《きくちあやか》は、知らない男と熱いキスをしている。
普段から俺への扱いが酷かったので特に悔しいとか悲しいみたいな感情は沸かない。

彩花は付き合い始めは優しかったが、付き合ってからは性格が変わったように酷かった。
ずっと猫をかぶっていたんだと思う。
俺への酷い扱いはクラスメイトには知られて無くて、周りからは美人の彩花と恋人で羨ましいという声が多かった。最初は彩花と付き合えて嬉しかったが、今は正直苦痛だ。

とりあえず、証拠の写真でも撮ろうかな。あ、動画のほうが分かりやすいか。
俺はポケットからスマホを取り出しカメラを起動して、二人の熱い～熱い～キスシーンを取り始めた。

数分間に渡るキスシーンを取り続けた俺は、なにやってんだろう？と冷静になった。
まぁ証拠の動画は残すんだけどね。
ていうかいつまでキスしてるんだ？

まっ、どうぞごゆっくり～。

俺は思っていたよりショックを受けていないと思いながら軽い足取りで教室に戻った。

＊ ＊ ＊

証拠を収めた俺は、教室に戻った。
というか掃除の時間にあいつらはなにやってんだ。
そのことにちょっとイラッときた。
浮気よりもそっちにイラッとくるという時点でお察しだと思うが・・・

「お～い昇、今日ゲーセン行かね？」

親友の北川尊《きたがわたける》が声を掛けてきた。
尊とは小学校の頃からずっとクラスが一緒で、あることがきっかけで仲良くなっていた。
俺は尊のことをたけと呼んでおり、親友だと思ってる。たけの方も俺のこと親友って思ってくれてたら嬉しい。

「ん～」

俺は首をかしげながらさっきのことを思い出していた。今後彩花とどう付き合っていこうかじっくり考えたいと思っていた。

「ん？どした？今日も彼女とデートか？俺とも遊んでくれよ～寂しいなぁ～」

たけはだいぶかまってちゃんだ。最近彼女の仕事を俺がやっていたせいもあって全然遊べていなかった。今はクラス委員の仕事は俺がすべてやっていると言っても過言じゃない。

「いや、特に予定は無いな。久しぶり遊ぼうか。ちょっと話したいこともあるし」

実はクラス委員の仕事があるが、今日くらいはいいだろう。

「おっけ～、じゃあ、一回家帰ってから駅前集合な！！」

「了解！！」

俺も久しぶりに遊べるからテンションが上ってきた。

＊ ＊ ＊

家に帰る最中に彩花とのことを思い出していた。

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「昇、あんたこれやっておきなさいよ！！」

「この私と付き合えているんだから、私のために何でもすること！！いいね！！」

「誕生日はこのアクセサリーね！！」

「ちょっと服のセンス無いんじゃないの？こんなんが私の彼氏って恥ずかしすぎるんですけど」

「私以外の女子と喋ったら許さないから」

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俺から彩花に告白した。
彩花は、はっきり言って美人だ。最初は一目惚れだった。

彩花はクラス委員でクラスの仕事をいつも1人で頑張っていた。それを見ていて、いつの間にか惹かれていた。クラスメイトだけど、あんまり話す機会が無かったので、クラスの仕事を手伝うことで、彩花と自然に話すようになっていた。
俺にしては頑張った。小中と誰かを好きになったことが無かったから、どうして良いのかわからずがむしゃらだった。

そして、仕事を手伝うようになってから半年くらい経った頃に俺は告白した。
結果告白は成功して、彩花と付き合っている。

それが付き合い始めて、半年経ったくらいに急に彼女の態度がおかしくなった。
初めのうちは甘えてくれてるのかな？と思ってやれやれって感じだったが、次第に彼女の要求がどんどん増えていった。
彼女が出来たことが無かった俺は、別れたくないという気持ちが強かったので、頑張った。
正直彼女と付き合い始めてから寝不足になったし、体重も数キロ落ちた。

それを幼馴染のさっちゃんに心配された。

さっちゃんこと、中条幸《なかじょうさち》は、俺の幼馴染だ。幼稚園より前からの付き合いだ。俺の親とさっちゃんの親同士が親友だったこともあり、さっちゃんとは仲良くしてもらっている。

さっちゃんは、どちらかというと自分を出すのが苦手なタイプでクールな感じに見られがちだけど、笑顔が可愛い女の子だ。さっちゃんの良いところを皆にも知ってほしい。

話はそれたが、さっちゃんにもまだ彼女のことは相談できていない。
心配された時は適当に誤魔化してしまったけど、多分何か隠してるってバレていると思う。

＊ ＊ ＊

待ち合わせ場所に着いた俺はたけが来るのを待っていた。

「昇、おまた～」

スウェット姿のたけが来た。駅前集合だったので、人が多い。周りの視線が気になる。

「お前・・・なんでスウェットなんだ？」

「母ちゃんが、お気に入りの服を洗っちゃてたから、仕方なくこれだったのよ」

たけは特に服装は気にしないみたいで洋服も少ない。
俺も持っている洋服は少ないがスウエットで外を出歩こうとは思わない・・・
たけ、お前、いつもモテたいとか言ってるくせにそこら辺は気にしないんだな。

「たけ、今度一緒に洋服買いに行こうな」

とりあえず、こいつに似合う洋服を選んでやろうと思った俺だった。

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