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最終章「七月七日夜七時」
第三話【恋は刹那的な輝きで(2)】
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「どうしたの? 血相を変えて。今、薫君のところに行こうとしていたのに」
「ちょうどいいところに。これから、俺をとある場所まで連れていってくれないか?」
「え? 誕生日を祝ってあげようと思ってせっかくお酒を買ってきたのに」
松橋さんがワインのボトルを持ち上げて見せた。
「……どうしても、今なの?」
「どうしてもだ」
松橋さんが何かを察した顔になる。「女?」とだけ短く問う。二秒だけ俺は悩んで、それからゆっくりと頷いた。
「ここ最近、ずっと落ち込んでいた人が突然行動的になっているものだから何かと思えば。……そういうことか。ま、いいや。隣乗って」
「すまない」
助手席のドアを開けて、素早く体をすべり込ませた。
「よくわからないけど、緊急事態なんでしょ?」
「察してくれると助かる」
何か言いたそうな顔をして、でも、口を噤んで、松橋さんが車を発進させる。走り出した車の中で、状況をかいつまんで説明していく。
知り合いがトラブルに巻き込まれた可能性がある。それが元で、とある場所に呼び出された。口止めされているので、トラブルの内容や場所は話せない。悪いとは正直思うが万一があっては困るので、肝心な部分はすべてお茶を濁した。
話し終えたあと、松橋さんはしばらく沈黙していた。
「あまり気分のいい話じゃないな。正直、よくわからない話だし。でも、今は何も聞かないでおくね。……でも、本当にヤバそうだったらちゃんと相談してよね」
「わかった。でもまあ、大丈夫だよ。金銭トラブルとかじゃないから」
嘘はついていない。断じて。
夜の帳が降りた東京の街を、二人を乗せた車が走っていく。会話が途切れる。
話題を探して流れていく車窓のネオンを目で追っていたそのとき、松橋さんが言った。「これ飲む?」と。
差し出されたコーヒーのペットボトルを受け取った。
「ありがとう。いただくよ」
ひと肌くらいの温かさのそれを、すがるように両手で握った。
――これから、とある場所に向かいます。
葉子が残したメッセージの後半に、そう書いてあった。
――私が、記憶消去方の脆弱性についてこちらから発信しなかったのは、父を失脚させたくなかったから、というわけではなく、父が自分の意思で研究をやめてほしかったから。今思うと、これは甘えだったのかもしれないね。すぐマスコミに発表するべきだったのかもしれない。変な気遣いなどせず、かっくんに相談したら良かったのかもしれない。データをすべてまとめ終わった頃合いに、見知らぬ番号から電話がかかってきたの。「お前の父親の罪を知っている。拡散されたくなければ、指定した場所にこい」と。それで今、この文章を急いで書いています。乱筆乱文があって読みにくかったらごめんね。
七月の蒸し暑い夏の夕暮れ時。お気に入りのブラウスとミニスカートを身につけた葉子が、パソコンの前に座って必死にキーボードを叩いている。
焦っているのか、何度かタイピングをミスして書き直している。伝わればいいだけの文章なのだから多少の誤字なんてあってもいいのに、それでも葉子は律儀だから読む人のことを考えて万全を期すのだ。
そんな姿が容易に想像できて視界が滲んだ。
あのとき俺は、ワインの瓶を抱えて呑気に電車に揺られていたというのに。葉子は。
――父が犯した罪とはなんだろう? 大学であったイジメ問題への対応かな、と最初は思った。けど、少し考えてわかった。父がした不貞の話なのだろうと。私も、この話はバラされたくない。この事実を知ったら、きっと柚乃ちゃんが傷つくから。
葉子は優しい奴だ。全部自分一人で解決することで、俺と柚乃とを守ろうとしていたのだろう。
――さっき、安易に記憶を消すべきではないと書いたよね? それでも、私はかっくんに私のことを忘れないでとは言えない。もし私が死んだなら、私のことは忘れちゃってもいいから。
勝手なことを言うんじゃねえよと、怒ってやりたい気分だった。
「そうか」
ふと、ひとつの事実に思い当たった。隣の松橋さんが変な顔をする。
自殺をするに至った人間のすべてに、共通点があったんだ。
全員が、『大切な人』の記憶を忘れていた。
沙耶は、恋人と過ごした日々を忘れた。自殺をした男性は、亡き娘と過ごした日々を忘れていた。美優さんは、おそらく妹と二人で乗り越えてきた貴重な日々の記憶を。
心の痛みを和らげるために記憶を消したとき、同時に大切な記憶を消してしまった人たちが、自殺に至っていたんだ。
――戒めなのかもしれないなって。
葉子。君が言うと通りなのかもしれないな。痛みを抱えて生きていくのも、また人生なんだ。
――もし私が死んだら、柚乃ちゃんのことよろしくね。
柚乃をおもんぱかった一文のあとに、柚乃の連絡先をそえて葉子のメッセージは終わっていた。
もしかしたら、柚乃が俺のところにきたことすらも、葉子の計らいだったのだろうか。
「なんか怖い顔してる」と苦笑され、眉間に力が入りすぎていると気づく。
「松橋さん」
「ん? 何かしら?」
「今後、俺の行動で何か不快な思いをさせてしまったらごめんな」
「何それ? 抽象的すぎて、全然意味がわからないんだけど。なんだか、これから私振られるみたいだ」
松橋さんがおどけた口調でそう言ったが、顔はちっとも楽しそうじゃなかった。
夏の夜の線香花火のように、小さく静かに燃え始めた恋は、大きく燃え上がることもなく燃え尽きようとしていた。刹那的な輝きも、線香花火なら美しいが、恋までがそうであってはならない。
「我ながら、優柔不断だと思うよ」
言ったあとで、答えになっていないなと自分でも思う。
沈黙が、二人の間に横たわる。すれ違う車の音や風切音が、やたらと耳障りに聞こえた。
そっか、と場をつなぐみたいに彼女が言った。
「女って、やっぱりそういう関係の人なんだ。もうちょっとだけ夢を見させてほしかったかな。……なんとなく、予感はあったんだ。私ね、いつもそうなんだ。男運が悪いっていうか。男を見る目がないのか、私に引き留める魅力がないのかはわからないけど、気がつけばダメになっている。私はまだその人のことが好きなんだけど、相手はもう私を見ていない」
でもね、と自虐的な声が落ちる。
「薫君は、元からそんなに私のほうを見てはいなかったしね」
うまく言葉を返せなかった。
「そこで黙らないでよ。いよいよ私が惨めになっちゃうじゃん」
「ごめん」と反射的に謝って、それは失礼だなと口を塞いだ。
「そこで謝られるのしんどいなあ……。あなたの気持ちが誰のほうを向いていようとも、私はまだ諦めてはいないから」
そこで今度こそ会話が途切れた。
七夕の夜を彩る街のネオンは、今の俺らには少し眩しすぎた。
目的地に着く直前に、呼び出し場所を変えられた。変更された呼び出し先もやはり神社で、住宅街の外れにあった。長い階段を上っていく途中に鳥居がある。そのまた先に神社の社があった。
階段を上り切ってから見下ろすと、住宅街の灯が見えた。神社がひっそりと街を見守っているみたいだ。
「一時間だけここで待っているよ」と松橋さんが別れ際に言ってくれた。彼女と別れてここまでやってきたのだが、神社の境内には誰もいなかった。
辺りは気味の悪い暗闇だ。がらんとしている石畳の境内。手水舎も、拝殿も、闇の中に沈んでいる。闇の中で何かが蠢いた気がして、恐怖心がかき立てられる。
どうして、誰もいないのか。
右も闇。
左も闇。
刑事ドラマなんかだと、背後から忍び寄ってきた男に突き飛ばされて、階段を転げ落ちて打ち所が――なんて場面をよく観る。
氷を投げ込まれたみたいに背筋が冷えて、振り返ったが誰もいなかった。
そのとき視界がぐらりと揺れた。階段を上ってくるときも、そういえば何度か足がもつれた。自覚はないが疲れているのかもしれない。
仕事の引き継ぎで、残業続きだったしな。
「誰かいないのか?」
一度呼びかけてみたが応える声はない。
――万全だったかどうかともかくとして、策を講じていたことが逆に慢心を呼んだのだ。このときの俺は、きっと心がゆるんでいた。
まだ来ていないのか? 神社の中で待っているのか? ポケットの中に忍ばせていたスタンガンを握り締め、社のほうに一歩踏み出した。
瞬間。
視界が九十度回転して頭の横に地面があった。
いや、回ったのは視界ではなく俺の体だ。
遅れてやってきた側頭部の強い痛みで、誰かにこめかみ付近を殴られたのだと気づく。
くそっ、誰が。
うつ伏せの状態から体を起こそうとしたが、上から誰かにのしかかられる。
頭の芯が激しく痛む。くっきりとした痛みとは裏腹に、頭の回転はとても鈍い。視界が段々暗くなり、痛みと一緒に意識が遠のいていった。
*
「ちょうどいいところに。これから、俺をとある場所まで連れていってくれないか?」
「え? 誕生日を祝ってあげようと思ってせっかくお酒を買ってきたのに」
松橋さんがワインのボトルを持ち上げて見せた。
「……どうしても、今なの?」
「どうしてもだ」
松橋さんが何かを察した顔になる。「女?」とだけ短く問う。二秒だけ俺は悩んで、それからゆっくりと頷いた。
「ここ最近、ずっと落ち込んでいた人が突然行動的になっているものだから何かと思えば。……そういうことか。ま、いいや。隣乗って」
「すまない」
助手席のドアを開けて、素早く体をすべり込ませた。
「よくわからないけど、緊急事態なんでしょ?」
「察してくれると助かる」
何か言いたそうな顔をして、でも、口を噤んで、松橋さんが車を発進させる。走り出した車の中で、状況をかいつまんで説明していく。
知り合いがトラブルに巻き込まれた可能性がある。それが元で、とある場所に呼び出された。口止めされているので、トラブルの内容や場所は話せない。悪いとは正直思うが万一があっては困るので、肝心な部分はすべてお茶を濁した。
話し終えたあと、松橋さんはしばらく沈黙していた。
「あまり気分のいい話じゃないな。正直、よくわからない話だし。でも、今は何も聞かないでおくね。……でも、本当にヤバそうだったらちゃんと相談してよね」
「わかった。でもまあ、大丈夫だよ。金銭トラブルとかじゃないから」
嘘はついていない。断じて。
夜の帳が降りた東京の街を、二人を乗せた車が走っていく。会話が途切れる。
話題を探して流れていく車窓のネオンを目で追っていたそのとき、松橋さんが言った。「これ飲む?」と。
差し出されたコーヒーのペットボトルを受け取った。
「ありがとう。いただくよ」
ひと肌くらいの温かさのそれを、すがるように両手で握った。
――これから、とある場所に向かいます。
葉子が残したメッセージの後半に、そう書いてあった。
――私が、記憶消去方の脆弱性についてこちらから発信しなかったのは、父を失脚させたくなかったから、というわけではなく、父が自分の意思で研究をやめてほしかったから。今思うと、これは甘えだったのかもしれないね。すぐマスコミに発表するべきだったのかもしれない。変な気遣いなどせず、かっくんに相談したら良かったのかもしれない。データをすべてまとめ終わった頃合いに、見知らぬ番号から電話がかかってきたの。「お前の父親の罪を知っている。拡散されたくなければ、指定した場所にこい」と。それで今、この文章を急いで書いています。乱筆乱文があって読みにくかったらごめんね。
七月の蒸し暑い夏の夕暮れ時。お気に入りのブラウスとミニスカートを身につけた葉子が、パソコンの前に座って必死にキーボードを叩いている。
焦っているのか、何度かタイピングをミスして書き直している。伝わればいいだけの文章なのだから多少の誤字なんてあってもいいのに、それでも葉子は律儀だから読む人のことを考えて万全を期すのだ。
そんな姿が容易に想像できて視界が滲んだ。
あのとき俺は、ワインの瓶を抱えて呑気に電車に揺られていたというのに。葉子は。
――父が犯した罪とはなんだろう? 大学であったイジメ問題への対応かな、と最初は思った。けど、少し考えてわかった。父がした不貞の話なのだろうと。私も、この話はバラされたくない。この事実を知ったら、きっと柚乃ちゃんが傷つくから。
葉子は優しい奴だ。全部自分一人で解決することで、俺と柚乃とを守ろうとしていたのだろう。
――さっき、安易に記憶を消すべきではないと書いたよね? それでも、私はかっくんに私のことを忘れないでとは言えない。もし私が死んだなら、私のことは忘れちゃってもいいから。
勝手なことを言うんじゃねえよと、怒ってやりたい気分だった。
「そうか」
ふと、ひとつの事実に思い当たった。隣の松橋さんが変な顔をする。
自殺をするに至った人間のすべてに、共通点があったんだ。
全員が、『大切な人』の記憶を忘れていた。
沙耶は、恋人と過ごした日々を忘れた。自殺をした男性は、亡き娘と過ごした日々を忘れていた。美優さんは、おそらく妹と二人で乗り越えてきた貴重な日々の記憶を。
心の痛みを和らげるために記憶を消したとき、同時に大切な記憶を消してしまった人たちが、自殺に至っていたんだ。
――戒めなのかもしれないなって。
葉子。君が言うと通りなのかもしれないな。痛みを抱えて生きていくのも、また人生なんだ。
――もし私が死んだら、柚乃ちゃんのことよろしくね。
柚乃をおもんぱかった一文のあとに、柚乃の連絡先をそえて葉子のメッセージは終わっていた。
もしかしたら、柚乃が俺のところにきたことすらも、葉子の計らいだったのだろうか。
「なんか怖い顔してる」と苦笑され、眉間に力が入りすぎていると気づく。
「松橋さん」
「ん? 何かしら?」
「今後、俺の行動で何か不快な思いをさせてしまったらごめんな」
「何それ? 抽象的すぎて、全然意味がわからないんだけど。なんだか、これから私振られるみたいだ」
松橋さんがおどけた口調でそう言ったが、顔はちっとも楽しそうじゃなかった。
夏の夜の線香花火のように、小さく静かに燃え始めた恋は、大きく燃え上がることもなく燃え尽きようとしていた。刹那的な輝きも、線香花火なら美しいが、恋までがそうであってはならない。
「我ながら、優柔不断だと思うよ」
言ったあとで、答えになっていないなと自分でも思う。
沈黙が、二人の間に横たわる。すれ違う車の音や風切音が、やたらと耳障りに聞こえた。
そっか、と場をつなぐみたいに彼女が言った。
「女って、やっぱりそういう関係の人なんだ。もうちょっとだけ夢を見させてほしかったかな。……なんとなく、予感はあったんだ。私ね、いつもそうなんだ。男運が悪いっていうか。男を見る目がないのか、私に引き留める魅力がないのかはわからないけど、気がつけばダメになっている。私はまだその人のことが好きなんだけど、相手はもう私を見ていない」
でもね、と自虐的な声が落ちる。
「薫君は、元からそんなに私のほうを見てはいなかったしね」
うまく言葉を返せなかった。
「そこで黙らないでよ。いよいよ私が惨めになっちゃうじゃん」
「ごめん」と反射的に謝って、それは失礼だなと口を塞いだ。
「そこで謝られるのしんどいなあ……。あなたの気持ちが誰のほうを向いていようとも、私はまだ諦めてはいないから」
そこで今度こそ会話が途切れた。
七夕の夜を彩る街のネオンは、今の俺らには少し眩しすぎた。
目的地に着く直前に、呼び出し場所を変えられた。変更された呼び出し先もやはり神社で、住宅街の外れにあった。長い階段を上っていく途中に鳥居がある。そのまた先に神社の社があった。
階段を上り切ってから見下ろすと、住宅街の灯が見えた。神社がひっそりと街を見守っているみたいだ。
「一時間だけここで待っているよ」と松橋さんが別れ際に言ってくれた。彼女と別れてここまでやってきたのだが、神社の境内には誰もいなかった。
辺りは気味の悪い暗闇だ。がらんとしている石畳の境内。手水舎も、拝殿も、闇の中に沈んでいる。闇の中で何かが蠢いた気がして、恐怖心がかき立てられる。
どうして、誰もいないのか。
右も闇。
左も闇。
刑事ドラマなんかだと、背後から忍び寄ってきた男に突き飛ばされて、階段を転げ落ちて打ち所が――なんて場面をよく観る。
氷を投げ込まれたみたいに背筋が冷えて、振り返ったが誰もいなかった。
そのとき視界がぐらりと揺れた。階段を上ってくるときも、そういえば何度か足がもつれた。自覚はないが疲れているのかもしれない。
仕事の引き継ぎで、残業続きだったしな。
「誰かいないのか?」
一度呼びかけてみたが応える声はない。
――万全だったかどうかともかくとして、策を講じていたことが逆に慢心を呼んだのだ。このときの俺は、きっと心がゆるんでいた。
まだ来ていないのか? 神社の中で待っているのか? ポケットの中に忍ばせていたスタンガンを握り締め、社のほうに一歩踏み出した。
瞬間。
視界が九十度回転して頭の横に地面があった。
いや、回ったのは視界ではなく俺の体だ。
遅れてやってきた側頭部の強い痛みで、誰かにこめかみ付近を殴られたのだと気づく。
くそっ、誰が。
うつ伏せの状態から体を起こそうとしたが、上から誰かにのしかかられる。
頭の芯が激しく痛む。くっきりとした痛みとは裏腹に、頭の回転はとても鈍い。視界が段々暗くなり、痛みと一緒に意識が遠のいていった。
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