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第一章「仁平薫」
第三話【マルウェア(1)】
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記憶の癒着。
記憶消去方の利用者が、自らの体験談をブログに投稿したことから、広まった言葉だ。当初は、報告件数が少なかったこと、記憶消去方との因果関係が認められていなかったことなどから、都市伝説のような扱いをされていた。ネット上に噂はある。しかし、その実情は見えない。そんな感じか。
ブログに体験談が投稿されたのは、記憶消去方のサービスが始まってから一年が経過した頃。内容は、記憶消去方を利用したあとで、誰のものかわからない記憶が頭の中にあるのに気づいた、というものだった。それは、投稿者には身に覚えのない、生活の一部を切り取ったような断片的な記憶であり、なぜ、どこからその記憶が宿ったのか、まったくわからないのだ。
さらに少ししてから、それは記憶を消したことが原因ではないのか? と有識者から意見が出る。そこから、少しずつ同じような事例が報告されるようになり、この名前が広まっていった。
サービス提供サイドは、真偽はわからないとして、当初慎重な対応を見せていた。
しかし、噂が広まっていくにつれて、「脳神経とリンクさせて、ネットワーク上に記憶を展開した際に、なんらかの原因によって他者の記憶とシンクロして癒着に至ったケースではないかと思われます」と声明文を出すに至る。不具合(記憶の癒着)が発生した利用者に対して、再度記憶の消去を行うものとして、リコールを届け出た。
現在のところ、この事象が原因となった事故や事件は起きていない。引き続き原因究明をしていく、とサービス提供側はコメントをしている。
これが事の次第だ。
柚乃の頭の中にある不思議な記憶が、他人の記憶の癒着なのかはわからない。
ひとまずそれは置いておくとしても、柚乃の話には気になる点が多い。記憶を失っているのに、どうして他人の記憶はあるのか? 俺の名前を知っていたのはなぜか? それも、他人が持っていた記憶なのか? それとも柚乃が持っていたものか?
正直、調べる方法が何もない。だが、夜道を歩いていたという誰かの記憶については、何かわかるかもしれない。記憶の中に、場所を特定できるような情報がひそんでいたとしたら、だが。
それと、この記憶が癒着によるものだとしたら、柚乃は記憶消去方の利用者だということになる。
浅野に顧客リストを調べてもらえば、真相がわかるかもしれない。柚乃という名前が、本名であればだが。
『記憶の癒着ねえ……』
電話口の浅野は、あまり気乗りしない声だ。
『その件に関しては、僕からはなんともコメントできないんだよなあ。リコールを届け出ているのだから、運営側では「ある」と認めているわけなのだけれど、それは癒着です。それは違います、みたいな個別の判断は、僕たちにはできない。表立って「ある」と口にすることもできない。顧客を不安がらせてしまうからね』
「だろうな。それはよくわかっている。癒着した記憶が誰のものか、調べることは可能か?」
『結論から言うと無理だな。同じタイミングでネットワークにつながっていた者すべてが対象になるので、ハッキリ言って人数が多すぎるし、記憶消去保護法の観点から、俺たちにしても記憶の詳細を見ることはできないから』
「なるほど、それもそうか」
『顧客リストについては調べてみるよ。もっとも、すべての情報を開示してもらうのはまず不可能なので、あまり期待しないでおいてくれ』
「ああ。よろしく頼む」
そこで電話が切れた。柚乃からもう少しくわしく話を聞いて、癒着している記憶のルーツを調べていかなくてはな。
リビングに入ると、柚乃がかじりつくようにしてテレビを観ていた。
今日は元旦。テレビなんてどこも特番ばかりだろうに。そんなに面白いか? と思いきや、観ていたのは報道番組だ。流れてきたキャスターの声に息を呑む。
『先日あった飛び降り自殺なのですが、またしても記憶消去方を利用した人物だったようですね。これに関しては、どのようにお考えですか?』
若い女性のキャスターが、隣に座っている初老の男に話を振った。
記憶消去方を利用した人物。
またしても。
不安を煽ってくるこれら二つの単語が、小骨のように喉元に引っかかる。
「二人目なんだってさ」
カップアイスをしゃくりながら、柚乃は首を回してこっちを見た。冬に、幸せそうな顔でアイスを食べる感性はよくわからんが、ひとまずそれはいい。
「二人目だって?」
「はい。なんでも、先月も電車への飛び込み自殺があったとかで、どちらの自殺者も、記憶消去方の利用者だったらしいですよ」
「なんだって?」
柚乃の隣に座って、テレビの画面を注視した。
自殺者はどちらも男性。年齢は三十代と四十代。二人の間に面識はない。住んでいる場所も違う。これといった接点はない――と思われたのだが、二人とも記憶消去方の利用者であることがわかったのだ。とはいえそれだけだ。偶然の一致かもしれない。しかしここぞとばかりに、記憶消去方への反対派が糾弾しているらしい。
自殺者増加を食い止めるための奥の手として、鳴り物入りで実用化された技術だ。何かあれば風当たりが強くなる。
『あくまでも、記憶を消すだけなのです。人生そのものを好転させる技術ではありませんしね』
期待が強すぎたのかもしれませんね。今のところは、偶然である可能性が高いのですが、と結論を与え、報道番組は終わった。
実際、その通りだろう。記憶消去方との因果関係が認められなければ、自殺に至った原因は他にあったと考えるのが自然だ。
――かっくん。私、今日限りで研究チーム抜けることにした。
それなのに。なぜだろう、葉子の声をふと思い出した。
さっそく、柚乃に癒着している記憶の詳細について探っていくことにした。
それが記憶の癒着かもしれないと伝えても、柚乃はさして驚かない。テレビか何かで、そういった話題を耳にしていたのだろう。
「その記憶の中で、すれ違った人物はいる?」
リビングで雑煮を食べながら、柚乃に訊ねる。昆布とかつお節の香り高い出汁がとても美味い。少し悔しいが、こいつは本当に料理がうまい。
視線を宙に這わせて柚乃が考えを巡らせる。
「何人かいるね」
人の記憶とは実に不安定なもので、一生懸命に覚えておこうとしなければ、すくい上げた砂が指の隙間からこぼれ落ちてしまうように、次第に薄れていってしまうものだ。
だが、俺は当事者なので知っている。癒着した記憶は風化しない。
「それらの人物の中に、知っている顔は?」
「んー……。たぶんいないね。まあ、忘れているだけかもしれないけれど……。それから、火災現場に着くと今度はたくさん人がいる。けど、やっぱりそこにも知っている顔はないね」
もっとも、風化しないだけだ。最初から記憶が不鮮明では思い出しようがない。そして、記憶が不鮮明であるということは、記憶の持ち主が、そこに特に注意を向けなかった、ということでもあるのだ。
「じゃあ、そうだな……。日時や場所を特定できるような、何かが見えないか? 特徴的な建物とか、時計とかそういうの? ……それとおかわり」
「ふふふ。なかなか美味でしょう?」
柚乃が目を細めて、上機嫌に俺の椀を受け取った。おかわりをよそいながら、得意げにふふんと笑ってみせる。
場所、あるいは日時が特定できたなら、直近で起こった火災のニュースを洗い出すことで範囲を絞れるかもしれない。
「どこにでもあるような住宅街なんですよねえ……。あっ、そうだ。そういえば、歩いているとき、進行方向左側にセブンスマートがありますね」
「セブンスマート?」
「知らないんですか? 全国チェーンで展開しているコンビニエンスストアですよ」
「そのくらいは知っているよ」
記憶喪失の人間から物を教わるとは思わなかった。だが……セブンスマートか。
「セブンスマートから、火災のあった現場まではどのくらい歩いたんだ?」
「んー……十分くらいでしょうか?」
十分で人が歩ける距離は、せいぜい一キロ弱だ。となると、セブンスマートがある場所から、半径一キロメートル圏内に火災現場があるとみて良い。セブンスマートは店舗数が半端ないが、それでもこのふたつの条件を合致させたら結構しぼり込めるかもしれない。
「よし、明日からその情報を元に調査に入るぞ。お前の正体につながる何かが、見つかるかもしれない」
「え?」
不思議そうな顔をしたそのあとで、理解したように柚乃が頷いた。
記憶消去方の利用者が、自らの体験談をブログに投稿したことから、広まった言葉だ。当初は、報告件数が少なかったこと、記憶消去方との因果関係が認められていなかったことなどから、都市伝説のような扱いをされていた。ネット上に噂はある。しかし、その実情は見えない。そんな感じか。
ブログに体験談が投稿されたのは、記憶消去方のサービスが始まってから一年が経過した頃。内容は、記憶消去方を利用したあとで、誰のものかわからない記憶が頭の中にあるのに気づいた、というものだった。それは、投稿者には身に覚えのない、生活の一部を切り取ったような断片的な記憶であり、なぜ、どこからその記憶が宿ったのか、まったくわからないのだ。
さらに少ししてから、それは記憶を消したことが原因ではないのか? と有識者から意見が出る。そこから、少しずつ同じような事例が報告されるようになり、この名前が広まっていった。
サービス提供サイドは、真偽はわからないとして、当初慎重な対応を見せていた。
しかし、噂が広まっていくにつれて、「脳神経とリンクさせて、ネットワーク上に記憶を展開した際に、なんらかの原因によって他者の記憶とシンクロして癒着に至ったケースではないかと思われます」と声明文を出すに至る。不具合(記憶の癒着)が発生した利用者に対して、再度記憶の消去を行うものとして、リコールを届け出た。
現在のところ、この事象が原因となった事故や事件は起きていない。引き続き原因究明をしていく、とサービス提供側はコメントをしている。
これが事の次第だ。
柚乃の頭の中にある不思議な記憶が、他人の記憶の癒着なのかはわからない。
ひとまずそれは置いておくとしても、柚乃の話には気になる点が多い。記憶を失っているのに、どうして他人の記憶はあるのか? 俺の名前を知っていたのはなぜか? それも、他人が持っていた記憶なのか? それとも柚乃が持っていたものか?
正直、調べる方法が何もない。だが、夜道を歩いていたという誰かの記憶については、何かわかるかもしれない。記憶の中に、場所を特定できるような情報がひそんでいたとしたら、だが。
それと、この記憶が癒着によるものだとしたら、柚乃は記憶消去方の利用者だということになる。
浅野に顧客リストを調べてもらえば、真相がわかるかもしれない。柚乃という名前が、本名であればだが。
『記憶の癒着ねえ……』
電話口の浅野は、あまり気乗りしない声だ。
『その件に関しては、僕からはなんともコメントできないんだよなあ。リコールを届け出ているのだから、運営側では「ある」と認めているわけなのだけれど、それは癒着です。それは違います、みたいな個別の判断は、僕たちにはできない。表立って「ある」と口にすることもできない。顧客を不安がらせてしまうからね』
「だろうな。それはよくわかっている。癒着した記憶が誰のものか、調べることは可能か?」
『結論から言うと無理だな。同じタイミングでネットワークにつながっていた者すべてが対象になるので、ハッキリ言って人数が多すぎるし、記憶消去保護法の観点から、俺たちにしても記憶の詳細を見ることはできないから』
「なるほど、それもそうか」
『顧客リストについては調べてみるよ。もっとも、すべての情報を開示してもらうのはまず不可能なので、あまり期待しないでおいてくれ』
「ああ。よろしく頼む」
そこで電話が切れた。柚乃からもう少しくわしく話を聞いて、癒着している記憶のルーツを調べていかなくてはな。
リビングに入ると、柚乃がかじりつくようにしてテレビを観ていた。
今日は元旦。テレビなんてどこも特番ばかりだろうに。そんなに面白いか? と思いきや、観ていたのは報道番組だ。流れてきたキャスターの声に息を呑む。
『先日あった飛び降り自殺なのですが、またしても記憶消去方を利用した人物だったようですね。これに関しては、どのようにお考えですか?』
若い女性のキャスターが、隣に座っている初老の男に話を振った。
記憶消去方を利用した人物。
またしても。
不安を煽ってくるこれら二つの単語が、小骨のように喉元に引っかかる。
「二人目なんだってさ」
カップアイスをしゃくりながら、柚乃は首を回してこっちを見た。冬に、幸せそうな顔でアイスを食べる感性はよくわからんが、ひとまずそれはいい。
「二人目だって?」
「はい。なんでも、先月も電車への飛び込み自殺があったとかで、どちらの自殺者も、記憶消去方の利用者だったらしいですよ」
「なんだって?」
柚乃の隣に座って、テレビの画面を注視した。
自殺者はどちらも男性。年齢は三十代と四十代。二人の間に面識はない。住んでいる場所も違う。これといった接点はない――と思われたのだが、二人とも記憶消去方の利用者であることがわかったのだ。とはいえそれだけだ。偶然の一致かもしれない。しかしここぞとばかりに、記憶消去方への反対派が糾弾しているらしい。
自殺者増加を食い止めるための奥の手として、鳴り物入りで実用化された技術だ。何かあれば風当たりが強くなる。
『あくまでも、記憶を消すだけなのです。人生そのものを好転させる技術ではありませんしね』
期待が強すぎたのかもしれませんね。今のところは、偶然である可能性が高いのですが、と結論を与え、報道番組は終わった。
実際、その通りだろう。記憶消去方との因果関係が認められなければ、自殺に至った原因は他にあったと考えるのが自然だ。
――かっくん。私、今日限りで研究チーム抜けることにした。
それなのに。なぜだろう、葉子の声をふと思い出した。
さっそく、柚乃に癒着している記憶の詳細について探っていくことにした。
それが記憶の癒着かもしれないと伝えても、柚乃はさして驚かない。テレビか何かで、そういった話題を耳にしていたのだろう。
「その記憶の中で、すれ違った人物はいる?」
リビングで雑煮を食べながら、柚乃に訊ねる。昆布とかつお節の香り高い出汁がとても美味い。少し悔しいが、こいつは本当に料理がうまい。
視線を宙に這わせて柚乃が考えを巡らせる。
「何人かいるね」
人の記憶とは実に不安定なもので、一生懸命に覚えておこうとしなければ、すくい上げた砂が指の隙間からこぼれ落ちてしまうように、次第に薄れていってしまうものだ。
だが、俺は当事者なので知っている。癒着した記憶は風化しない。
「それらの人物の中に、知っている顔は?」
「んー……。たぶんいないね。まあ、忘れているだけかもしれないけれど……。それから、火災現場に着くと今度はたくさん人がいる。けど、やっぱりそこにも知っている顔はないね」
もっとも、風化しないだけだ。最初から記憶が不鮮明では思い出しようがない。そして、記憶が不鮮明であるということは、記憶の持ち主が、そこに特に注意を向けなかった、ということでもあるのだ。
「じゃあ、そうだな……。日時や場所を特定できるような、何かが見えないか? 特徴的な建物とか、時計とかそういうの? ……それとおかわり」
「ふふふ。なかなか美味でしょう?」
柚乃が目を細めて、上機嫌に俺の椀を受け取った。おかわりをよそいながら、得意げにふふんと笑ってみせる。
場所、あるいは日時が特定できたなら、直近で起こった火災のニュースを洗い出すことで範囲を絞れるかもしれない。
「どこにでもあるような住宅街なんですよねえ……。あっ、そうだ。そういえば、歩いているとき、進行方向左側にセブンスマートがありますね」
「セブンスマート?」
「知らないんですか? 全国チェーンで展開しているコンビニエンスストアですよ」
「そのくらいは知っているよ」
記憶喪失の人間から物を教わるとは思わなかった。だが……セブンスマートか。
「セブンスマートから、火災のあった現場まではどのくらい歩いたんだ?」
「んー……十分くらいでしょうか?」
十分で人が歩ける距離は、せいぜい一キロ弱だ。となると、セブンスマートがある場所から、半径一キロメートル圏内に火災現場があるとみて良い。セブンスマートは店舗数が半端ないが、それでもこのふたつの条件を合致させたら結構しぼり込めるかもしれない。
「よし、明日からその情報を元に調査に入るぞ。お前の正体につながる何かが、見つかるかもしれない」
「え?」
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