5 / 30
第一章:幼馴染たち
『渡辺美也①』
しおりを挟む
広瀬慎吾は、いつも私と斗哉の後ろを控えめに付いてくる少年だった。
『どうやって音楽を作っているのかと尋ねられたとき、ただ音楽の中に踏み入るだけだと答えます。それは川の中に足を踏み入れて、流れに身を任すようなもの。川の中のすべての瞬間が、それぞれの歌を持っている』
幼少期から理屈っぽく、また博識だった彼は、なんの脈絡もなくこんな感じの哲学的な台詞を呟いた。
「なんなのそれは?」と私が困惑気味に訊ねると、「僕が大好きなアメリカのシンガー・ソングライター、マイケル・ジャクソンの名言だよ」と答えた。彼が音楽を好きなのは、趣味で楽器を弾いている父親の影響なのだとか。
「マイケルの名前だけはなんとなく、知ってるけどね。音楽とか名言とかさ、普通、そこまで詳しくないよね」と私が笑うと、「いや、全部父親の受け売りだから。僕だってそんなに詳しいわけじゃないよ」と彼は謙遜して笑った。
私と慎吾の家は、いわゆるお隣さん。物心付いたころからずっと一緒に遊んでいたし、小学校に入学した後も、近所に住んでいた阿久津斗哉も交えて三人でよく遊んだもんだ。
春は桜が満開になった近所の公園を暗くなるまで駆けずりまわり、夏は川の浅瀬に入って魚取りをして、裏山に登るとカブトムシを探して木を見上げた。冬になると流石に遊びの手段も限定されてしまうものの、慎吾の家に上がりこんではコタツで温もりながらテレビゲームに興じた。
それは、平凡ながらも楽しく充実した日々で、それこそ小学校時代の六年間は、無限に続くのではないかと思えるほどに、夏休みや冬休みが長く感じられたものだった。
斗哉は運動神経が抜群なのもあり、何をして遊ぶにも、常に三人の中心であり続けた。一方で慎吾は彼よりも身体が一回り小さいので、何をやっても常に二番目。とはいえ決して運動神経が悪いとか、下手なわけでもなく、木登りをしても、三年生になってから始めた野球でも、だいたい人並みにはこなせる男の子だった。
私は背が低かったので、駆けっこは苦手じゃなかったけれど、何かと体力では劣りがち。斗哉が一人で突っ走ってしまうと、私はいつも取り残される。それでも慎吾は私の歩調にちゃんと合わせて、優しく手を引いてくれた。
だからなのかな。
小学校の高学年になり心身ともに成長してくると、いつの間にか慎吾に惹かれている自分に気が付く。初恋の相手は誰ですか? と訊かれたならば、迷うことなく彼の名前を挙げられるくらいには。
だが、私の身長が伸び悩んでいたのも五年生の頃までだった。ある日突然成長期に突入した私はそこからぐんぐん身長が伸び、中学校入学時には百六十センチを優に越えていた。 そうなると、複数の運動部から勧誘を受けたりするもので、以前から斗哉に勧められていたバレー部に、悩んだ末に入部する。
元々悪くなかった運動神経。緊張なんてしない物怖じしない性格と、高身長。様々な条件が重なった結果だろうか? 私はめきめきとバレーの才能に目覚めていく。中二の秋からはエースアタッカーとして期待されるようになり、地方大会で優勝。その後の全県大会でもベスト八進出の原動力となった。
うちの冴えない中学においては、何年振りの快挙で云々かんぬん……色々と持て囃されたけれど、正直そこまで興味はなかった。
もっとも、バレーボールが嫌いかというとそんなことはない。むしろ好きだし練習にもマジメに取り組んだ。スパイクを決めた時などやっぱり爽快だし、背が高いからブロックだって得意。自惚れかもしれないけれど、バレーボールをしているときの自分は、間違いなく輝いていると思う。
それなのに。私がバレーで活躍をすればするほど、身長が伸びれば伸びるほど、斗哉もだけど、何よりも慎吾の気持ちが離れていくのが辛かった。
「はあ……なんでだろ」
三年生に進級したとき、せっかく斗哉や慎吾とも同じクラスになれたというのに、冷え切った私達の関係に、改善の兆しは見えていなかった。
私の百七十一センチという身長は、実業団入りまで見据える選手から見れば高くもないけど、普通の高校生女子として見れば、まあデカいほうだ。
やっぱりそれが、原因なのかな。
「な~にを溜め息などついているのですか美也! そら、アタクシめが慰めてあげましょう」
放課後。部活も終わり着替えをしている最中、上半身下着のままで鬱々とした感情に捉われ溜め息を漏らした私の胸を、背後から手を回してきた相楽優花里が揉みしだいた。
「んあっ……。ちょっと止めなよ優花里! くすぐったいだろ!」
「お~……? なんですの、その声、その反応。今、乳首のトコ、感じたのではありませんこと?」
「感じてねーよ……お願いだから、手、離せ」
すると彼女はハイハイと言わんばかりに両手を広げ、自身の着替えに戻っていった。リベロの優花里は、バレー部でも一番背が低く、たぶん百五十九センチくらい?
横目に彼女の姿を窺うと、相変わらず今日も派手な下着を着けていた。フリルの付いた真っ赤なブラに、同色でレースのあしらわれたショーツ。それらを恥ずかしげもなく、堂々と披露するように着替えている。
私が把握している限りでも、彼女の男性経験は五人。いや、おそらくはもっと多い。いわゆるビッチと呼ばれる存在が彼女だった。
「美也、使うかしら?」と優花里が、小さな手のひらでくるくると回しながら、軽々しい口調とともに差し出してくるのはコンドーム。
「使わねーよ……いい加減にしないと怒るぞ」
冗談が過ぎる、と拳を握って抗議した。
「あらあら、こわ~い。美也、あなたさっきからずっと怒っているではありませんの。アタクシはね、あなたを心配して言っているのです。いつ何時、何が起こってもよろしいように、避妊具の一つくらい携帯しておくのも、レディの嗜みってものですのよ?」
「聞いたことねえし、そんな嗜み。……だいたいそんなこと起こらねえし」
彼女が無駄話を続けているうちに着替えを終えた私は、荷物を肩に担ぐとロッカーの扉を閉める。じゃあ、と言い掛けたところで、優花里が私を呼び止めた。
「でも。美也って、処女なんでございましょ?」
ウェーブの掛かった髪をくるくると指で弄びながら、優花里が私の顔色をうかがってくる。
「大きい声で聞かないでよそんなこと……。私は優花里とは違うんだよ」
「さっさと捨てちゃえば、よろしいですのに。それとも誰かに捧げるつもりで、純潔を守っているんでございますの? もし……そうなのでありましたら、尚更、その殿方にアプローチするべきでございましょう?」
「ぐ……」
見た目と違って晩熟ですこと美也は。そう言われると、図星なだけに言葉に詰まる。こんな恥ずかしい話題でも、堂々と、かつ微妙に正論を並べてくるだけにやりにくい。
「ねえ、美也。一つ提案なんですけど、これといって決まった殿方がいないのでしたら、アタクシの紹介でお付き合いしてみませんこと?」
「紹介? 男ってことだろ?」
「ま・さ・か、女の子が良いんですの?」と目を丸くする優花里の勘違いを慌てて否定する。「――違えよ、変な誤解すんな」
すると彼女は、呆れたように溜め息を漏らす。「とりあえずは、その男まさりな口調を直すところから、始めたほうがよろしいかもしれませんわね――美也」
再び、何も言い返せなくなる。
習慣になっているとは言え、この言葉遣いが私の女子力を下げているのは紛れもない事実だ。せめてもう少し、女の子らしい服装や仕草でもすれば、慎吾も振り向いてくれるんだろうか?
男っぽく見られる元凶の一つであるショートカットの襟足を、反射的に掻きながら言った。
「で? 結局、誰を紹介するつもりなのさ?」
ようやく乗り気になったんですの、と食い気味に身を乗り出して、優花里が人差し指を立てる。
「三年C組の手塚君ですのよ。知っていますでしょ? サッカー部の男子ですわ」
「ああ、もちろん知ってるよ」
だって、そいつお前の元カレじゃん、どういう神経してんだよ。今度はこっちが呆れる番だった。でもな……まあ手塚君は爽やかイケメンだし、とりあえず誰かと交際してみれば、私の女子力も上がるんだろうか……。
そう考えた私は、こう伝えておいた。「一応、話だけは聞くからって言っておいて」
『どうやって音楽を作っているのかと尋ねられたとき、ただ音楽の中に踏み入るだけだと答えます。それは川の中に足を踏み入れて、流れに身を任すようなもの。川の中のすべての瞬間が、それぞれの歌を持っている』
幼少期から理屈っぽく、また博識だった彼は、なんの脈絡もなくこんな感じの哲学的な台詞を呟いた。
「なんなのそれは?」と私が困惑気味に訊ねると、「僕が大好きなアメリカのシンガー・ソングライター、マイケル・ジャクソンの名言だよ」と答えた。彼が音楽を好きなのは、趣味で楽器を弾いている父親の影響なのだとか。
「マイケルの名前だけはなんとなく、知ってるけどね。音楽とか名言とかさ、普通、そこまで詳しくないよね」と私が笑うと、「いや、全部父親の受け売りだから。僕だってそんなに詳しいわけじゃないよ」と彼は謙遜して笑った。
私と慎吾の家は、いわゆるお隣さん。物心付いたころからずっと一緒に遊んでいたし、小学校に入学した後も、近所に住んでいた阿久津斗哉も交えて三人でよく遊んだもんだ。
春は桜が満開になった近所の公園を暗くなるまで駆けずりまわり、夏は川の浅瀬に入って魚取りをして、裏山に登るとカブトムシを探して木を見上げた。冬になると流石に遊びの手段も限定されてしまうものの、慎吾の家に上がりこんではコタツで温もりながらテレビゲームに興じた。
それは、平凡ながらも楽しく充実した日々で、それこそ小学校時代の六年間は、無限に続くのではないかと思えるほどに、夏休みや冬休みが長く感じられたものだった。
斗哉は運動神経が抜群なのもあり、何をして遊ぶにも、常に三人の中心であり続けた。一方で慎吾は彼よりも身体が一回り小さいので、何をやっても常に二番目。とはいえ決して運動神経が悪いとか、下手なわけでもなく、木登りをしても、三年生になってから始めた野球でも、だいたい人並みにはこなせる男の子だった。
私は背が低かったので、駆けっこは苦手じゃなかったけれど、何かと体力では劣りがち。斗哉が一人で突っ走ってしまうと、私はいつも取り残される。それでも慎吾は私の歩調にちゃんと合わせて、優しく手を引いてくれた。
だからなのかな。
小学校の高学年になり心身ともに成長してくると、いつの間にか慎吾に惹かれている自分に気が付く。初恋の相手は誰ですか? と訊かれたならば、迷うことなく彼の名前を挙げられるくらいには。
だが、私の身長が伸び悩んでいたのも五年生の頃までだった。ある日突然成長期に突入した私はそこからぐんぐん身長が伸び、中学校入学時には百六十センチを優に越えていた。 そうなると、複数の運動部から勧誘を受けたりするもので、以前から斗哉に勧められていたバレー部に、悩んだ末に入部する。
元々悪くなかった運動神経。緊張なんてしない物怖じしない性格と、高身長。様々な条件が重なった結果だろうか? 私はめきめきとバレーの才能に目覚めていく。中二の秋からはエースアタッカーとして期待されるようになり、地方大会で優勝。その後の全県大会でもベスト八進出の原動力となった。
うちの冴えない中学においては、何年振りの快挙で云々かんぬん……色々と持て囃されたけれど、正直そこまで興味はなかった。
もっとも、バレーボールが嫌いかというとそんなことはない。むしろ好きだし練習にもマジメに取り組んだ。スパイクを決めた時などやっぱり爽快だし、背が高いからブロックだって得意。自惚れかもしれないけれど、バレーボールをしているときの自分は、間違いなく輝いていると思う。
それなのに。私がバレーで活躍をすればするほど、身長が伸びれば伸びるほど、斗哉もだけど、何よりも慎吾の気持ちが離れていくのが辛かった。
「はあ……なんでだろ」
三年生に進級したとき、せっかく斗哉や慎吾とも同じクラスになれたというのに、冷え切った私達の関係に、改善の兆しは見えていなかった。
私の百七十一センチという身長は、実業団入りまで見据える選手から見れば高くもないけど、普通の高校生女子として見れば、まあデカいほうだ。
やっぱりそれが、原因なのかな。
「な~にを溜め息などついているのですか美也! そら、アタクシめが慰めてあげましょう」
放課後。部活も終わり着替えをしている最中、上半身下着のままで鬱々とした感情に捉われ溜め息を漏らした私の胸を、背後から手を回してきた相楽優花里が揉みしだいた。
「んあっ……。ちょっと止めなよ優花里! くすぐったいだろ!」
「お~……? なんですの、その声、その反応。今、乳首のトコ、感じたのではありませんこと?」
「感じてねーよ……お願いだから、手、離せ」
すると彼女はハイハイと言わんばかりに両手を広げ、自身の着替えに戻っていった。リベロの優花里は、バレー部でも一番背が低く、たぶん百五十九センチくらい?
横目に彼女の姿を窺うと、相変わらず今日も派手な下着を着けていた。フリルの付いた真っ赤なブラに、同色でレースのあしらわれたショーツ。それらを恥ずかしげもなく、堂々と披露するように着替えている。
私が把握している限りでも、彼女の男性経験は五人。いや、おそらくはもっと多い。いわゆるビッチと呼ばれる存在が彼女だった。
「美也、使うかしら?」と優花里が、小さな手のひらでくるくると回しながら、軽々しい口調とともに差し出してくるのはコンドーム。
「使わねーよ……いい加減にしないと怒るぞ」
冗談が過ぎる、と拳を握って抗議した。
「あらあら、こわ~い。美也、あなたさっきからずっと怒っているではありませんの。アタクシはね、あなたを心配して言っているのです。いつ何時、何が起こってもよろしいように、避妊具の一つくらい携帯しておくのも、レディの嗜みってものですのよ?」
「聞いたことねえし、そんな嗜み。……だいたいそんなこと起こらねえし」
彼女が無駄話を続けているうちに着替えを終えた私は、荷物を肩に担ぐとロッカーの扉を閉める。じゃあ、と言い掛けたところで、優花里が私を呼び止めた。
「でも。美也って、処女なんでございましょ?」
ウェーブの掛かった髪をくるくると指で弄びながら、優花里が私の顔色をうかがってくる。
「大きい声で聞かないでよそんなこと……。私は優花里とは違うんだよ」
「さっさと捨てちゃえば、よろしいですのに。それとも誰かに捧げるつもりで、純潔を守っているんでございますの? もし……そうなのでありましたら、尚更、その殿方にアプローチするべきでございましょう?」
「ぐ……」
見た目と違って晩熟ですこと美也は。そう言われると、図星なだけに言葉に詰まる。こんな恥ずかしい話題でも、堂々と、かつ微妙に正論を並べてくるだけにやりにくい。
「ねえ、美也。一つ提案なんですけど、これといって決まった殿方がいないのでしたら、アタクシの紹介でお付き合いしてみませんこと?」
「紹介? 男ってことだろ?」
「ま・さ・か、女の子が良いんですの?」と目を丸くする優花里の勘違いを慌てて否定する。「――違えよ、変な誤解すんな」
すると彼女は、呆れたように溜め息を漏らす。「とりあえずは、その男まさりな口調を直すところから、始めたほうがよろしいかもしれませんわね――美也」
再び、何も言い返せなくなる。
習慣になっているとは言え、この言葉遣いが私の女子力を下げているのは紛れもない事実だ。せめてもう少し、女の子らしい服装や仕草でもすれば、慎吾も振り向いてくれるんだろうか?
男っぽく見られる元凶の一つであるショートカットの襟足を、反射的に掻きながら言った。
「で? 結局、誰を紹介するつもりなのさ?」
ようやく乗り気になったんですの、と食い気味に身を乗り出して、優花里が人差し指を立てる。
「三年C組の手塚君ですのよ。知っていますでしょ? サッカー部の男子ですわ」
「ああ、もちろん知ってるよ」
だって、そいつお前の元カレじゃん、どういう神経してんだよ。今度はこっちが呆れる番だった。でもな……まあ手塚君は爽やかイケメンだし、とりあえず誰かと交際してみれば、私の女子力も上がるんだろうか……。
そう考えた私は、こう伝えておいた。「一応、話だけは聞くからって言っておいて」
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
僕とやっちゃん
山中聡士
青春
高校2年生の浅野タケシは、クラスで浮いた存在。彼がひそかに思いを寄せるのは、クラスの誰もが憧れるキョウちゃんこと、坂本京香だ。
ある日、タケシは同じくクラスで浮いた存在の内田靖子、通称やっちゃんに「キョウちゃんのこと、好きなんでしょ?」と声をかけられる。
読書好きのタケシとやっちゃんは、たちまち意気投合。
やっちゃんとの出会いをきっかけに、タケシの日常は変わり始める。
これは、ちょっと変わった高校生たちの、ちょっと変わった青春物語。

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ノアの箱庭~Noah's Ark Garden~
木立 花音
青春
【その日、世界の命運は一人の少女の命に委ねられた】
哘乃蒼(さそうのあ)が死んだ。
自分をかばって彼女だけが死んでしまったことを、主人公である長濱立夏(ながはまりっか)はずっと後悔していた。
そんな立夏の前に、死んだはずの乃蒼が再び現れる。
死んだはずの乃蒼がなぜここにいるのかはわからず、また彼女も、なぜ自分がここにいるのかわからないのだという。乃蒼が死んだあの日から、彼女の記憶は飛んでいるらしい。
何か未練を残していることによって、乃蒼がここにやってきたのだとしたら、それを解消するべきなんじゃないのか。そう考えた立夏は、二人でかつて書いていた、未完成のままになっている小説を二人で完成させよう、と提案する。
小説の完成が間近に迫ったある夏の日。二人の元に木田(きだ)と名乗る女性がやってくる。
「哘乃蒼は生きている」と木田に告げられ、向かった先の病院で、二人は衝撃的な光景を目にする。
見えてきた世界の秘密。乃蒼の正体。
世界の命運か。それとも彼女の命か。
二人は、厳しい選択を迫られることになるのだった。
タイムリミットは、彼女の命日である十一月三日。


坊主の誓い
S.H.L
青春
新任教師・高橋真由子は、生徒たちと共に挑む野球部設立の道で、かけがえのない絆と覚悟を手に入れていく。試合に勝てば坊主になるという約束を交わした真由子は、生徒たちの成長を見守りながら、自らも変わり始める。試合で勝利を掴んだその先に待つのは、髪を失うことで得る新たな自分。坊主という覚悟が、教師と生徒の絆をさらに深め、彼らの未来への新たな一歩を導く。青春の汗と涙、そして覚悟を描く感動の物語。
私と副部長のものかたり
三谷朱花
恋愛
由以子は部活には入る気はなかった。だけど、部活紹介で気になった”文芸部”に顔を出してみると、2年生の先輩たちの勢いに押され、気が付けば由以子の名前を記入してしまった入部届が先輩の手に。そしてその入部届を持った先輩は去っていく。
部室に残されたのは、由以子と一人の先輩だけだった。
その先輩は、実質唯一の文芸部部員で、地味な副部長だった。
その副部長、本性を表すと、実は……。
※毎日11時に更新します。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる