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ラブレター!?
day1 尋ね人
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「なぁ井上まだ見つかんないのかよ」
「んー、まだぜんぜん完璧に見つかんない」
「てかちゃんと探してる?」
「宗こそサボってないよな」
俺はもう嫌気がさしてきて叫ぶしかなかった
「あぁーーー!!」
それに触発されたのか宗もついに
「………無理だろ」
と言い出した。そして僕ら二人はゴミ箱にはないという結論を勝手に出してゴミ捨て場を後にした。
なにも僕らは好き好んでゴミを漁っていたわけではない。
放課後それは部活動が盛んに行われる時間帯である
坊主頭の集団は本当に意味があるかもわからないがバカみたいに大声を出してグラウンドを列を乱さないように走っている。
校舎内から上手いのか下手なのか分からないがJr.オーケストラ部、吹奏楽部、軽音部これらのどこかであろう楽器の音が聞こえてくる。
他にもモテの代名詞であろうサッカー部が野球部と共同でグラウンドを使い球を蹴り、何部かはしらないが学校の敷地内をひたすら走っている部活動もある。
何も考えずにボーッとしててもこれだけの部活動の存在を確認することができる。
僕はそんな部活動が好きではない。理由はいたってシンプルで時間を決められて行動したくないからだ。スポーツならサッカーは好きだ、だが部活動となると嫌だ。好きなことをなんで時間を決められ半強制的にやらされるのなんか絶対にごめんだ。そんな僕にもぴったりの部活動がある
帰宅部だ!
素晴らしいだろ?是非君も入部を。
高校2年2組 井上 秋
「これで完璧だ。これを廊下に張り付けてこよう。そうすれば明日には部員数が増えるはず。」
「やめとけ井上あとで先生に怒られるよ。」
「んだよ宗、別にいいじゃんか怒られたって。これ張ったら楽しいかもしれないだろ?」
俺は本気でこれを張ろうと考えているんだが宗からしてみたらとてもアホらしいらしい。結構ノリはいいやつだが明らかに怒られるものは止めようとしてくる。
「大体考えてみろよこんなの見て部活やめるやつはそもそも入部しないから」
宗は結構こういうふうに俺を抑止しようとしてくることが多い。俺が子供なため宗がバランスを取ってくれている。
「あぁ、確かに。」
「納得するの早いな」宗は笑いながらそう言った。
そんな意味が大してない会話をしてると教室のドアがうるさい音をたてて開けられた。
見てみると見たことはあるが名前は知らない他クラスの男子が一人立っていた。僕らが数秒間見つめているとその男子は
「なぁ、このクラスに手紙落ちてたりしなかった?」
きっと走ってきたんだろうとわかるぐらい息を切らしながら言ってきた。
「手紙?なんの」よくわからないけれどとりあえず聞いてみることにした。しかし男子生徒は
「いや、ないならいいや。ありがとう。」
とだけ言って走っていってしまった。
僕と宗はお互い頭の上に?を浮かべていた。そして少しの間壁に取り付けられている時計の秒針の音が響く。この静寂を破ったのは宗だった。
「手紙か…手紙………ラブレター?」宗はそんな訳はないかという顔でこっちを見ながら呟いた。俺はその線もあるだろと思ったので
「それだ!!」と悪ノリをしといた。でもそうなると続けて疑けて疑問も浮かんできた
なんでラブレターさがしてんの?という疑問。宗はそれに対して
「いや、それは落としたんじゃない?」
「なんでラブレターなんか落とすんだよ。てかそもそもどっちだ?差出人なのか受け取ったのか。」
ラブレターなのかどうか定かではないのにも関わらずラブレターという前提で勝手に話を進めていた。
その後は教室で特にするとこもないので歩いて帰りながら話のネタにしていた。そして俺ら二人は手紙がラブレターだった場合の結論を出した。
あの男子生徒はラブレターを好きな女子に向けてを書いていた。きっと授業中とかに書いていたんだろう。だからもしかしたら授業で移動していたこの教室にあるかもって考えていたってこと。これがパターン1、そしてパターン2が貰ったラブレターを移動していた教室でも落とした。
この二つの可能性を考え出した。
「うーん、まぁ考えてもなんもならないでしょ」宗がそう言いながらこっちを振り返ってきた。多分その時の俺は相当悪い顔をしていたんだろう宗が直ぐに「えっ…」と言ってきた。俺はそんな声を打ち消すように続けざまに言葉をはいた。
「探そう!それ。宗も手伝えよ」
「え、どうやって探すの?なんか考えあるの井ノ上は?てかそもそもラブレターなの?」
案の定宗はとても焦って、かなり早口になり反応をしてきた。でも正直おれ自身もそんなに考えが纏まってるわけでもないのでとりあえずと言うことで納得してとらうことにした。
「知らない!とりあえず探そう。見つけたあとに考えればいいでしょ、そんなのは。とりあえず間違えて捨てられてるかもしれないからゴミ捨て場だな、レッゴー!」俺はダッシュで学校に戻ることにした。宗も「えー」と言いつつも仕方ないというオーラを出しながら渋々ついてきてくれた。
結構駅まで近いところまで歩いていたので学校に戻るのには20分以上かかった。
学校につく頃には俺と宗はかなり息が上がっていた。それでも宗は元テニス部レギュラーってだけあって直ぐに呼吸を整えていた。俺は永遠の帰宅部とまで称された人間なのでもちろん体力なんてあるわけなく息を整えるのにかなり時間がかかった。ようやく整えてゴミ捨て場に向かうと先程までのやる気は何処にいったのかというほどにやる気がなくなった。見るのも嫌になる山だ。そして触るのなんてもっと嫌だった。それでもせっかく学校に戻ってきたので俺らは部室棟から軍手かよくわからんがなんかの手袋を借りてゴミを漁ることにした。そうして俺らは今に至る。俺と宗は疲れたからカフェテリアに向かうことにしたがうちの学校は私立ってだけあって設備はすごい、そのせいでカフェテリアに向かうまでにいっそう疲れた。カフェテリアについた俺らは疲れていたせいでまともな会話ができず
「誰だよゴミ捨て場にいこうとか言い出したの」
「いや、お前だよ」
みたいな大して頭を使わない在り来たりなツッコミを宗がしてくる。 そして続けて
「で、どうすんの?次」と意外と乗り気なんじゃないかこいつと思うような発言をしてきた。
「んー、次ねぇ」俺はもう万策尽きたと言わんばかりに反応に困ってしまった。するとそれを察したのか宗が呆れた表情で「こういうときは人を探したほうが早いだろ」と助言をくれたので人探しのために少し情報を整理することにした。俺はさっき教室に走ってきた男子生徒のことを見たことはあったけど名前もさらに言うならクラスさえも知らなかった。「俺はさっきの人見たことあるんだけど宗は?」
「俺もあるだから多分同じ2年生だ」
「んー、他になんか特徴なかったかなぁ」
「あっ、そうだ井上クラス写真全部見て回ろうぜ」
「あっ、その手があったか。」
本当にこういうときに宗は役に立つ。テストの成績こそよくないものの多分頭がいいんだろうとこっそり思ってる。
「俺らのクラスを除けば残り9クラスだから楽勝でしょ」
「やっぱり宗おまえ乗り気だろ」もう今度は確信を得たこいつはかなり乗り気だ。まぁとりあえず俺らは2年生の階に上がることにしたが7クラスは既に鍵が閉められていて教室内いにはいることが出来なかった。
「まじかよ全然開いてないじゃん」
「最近やけに厳しいからなぁ盗難とかに」
「まぁさすが私立だわ」それでも少しは有益な情報も得られた。
教室が空いていた6組と7組には女子生徒が残っていたからこのクラスに手紙が落ちていたのを聞きにき来た男子生徒はいたかと訪ねると両クラスとも来なかったらしい。それにクラス写真にもそれらしい人物は写っていなかった。
「とりあえず6組と7組はなしだな。」
「うん、だけどさ井上一つ考えたんだけど」
「なんだよ?宗」
「僕らは2組だろ?で、そこに授業で来ることがあったってことはまず6、7、8、9、10この組は当てはまらないんじゃないか?」
「なんで?」と俺が尋ねると まじかよという顔をしながら言ってきた
「いやだって文系だし」
「あっ、そうか!なるほどね、そういうことねハイハイ」これは完全に盲点だった。
「となると残りは1,3,4,5,組の4クラスか」
「そうなるよねで、井上さらにいいことを教えてやるよ」
俺は思わず首をかしげた
「なに?」
「俺1組はよく行くけどあいつがいるのを見たことがない。つまり?」
「残りは3クラスってことか」
「そっ、これなら楽勝だろ?」
「まじかよ宗。おまえ実は見た目は子供中身は大人とかそういうあれか?」
「いや、もう高校2年だから普通に見た目も中身も限りなく大人だろ」
「でもとりあえずかなり絞れたな」
「でもさ井上ここからが難しくない?今日中にでしょ?」
「あぁ、今日中にが望ましい。明日まで俺のやる気が持つか怪しいからな」
「理由が本当にゴミだな」
とまぁこんな冗談を交えつつなんとか考えを絞り出そうとしていたが最初にゴミ捨て場に行った時から2時間が経っていた。時間も時間なので使いたくなかったが他の人に頼るという手段をとることにした。俺は基本的に努力が嫌いなので大体困るとすぐ人に頼る癖がある。
「よし宗、おまえ知り合い多いか?」
「いきなりなんだよ」
「いいから答えろって」
「え、井上ほどじゃないかも」
「テニス部は顔だしにくい?」
「んー、結構ね」
「じゃあ先生に知り合い多い?」
「あぁそれなら多いよ。でもなんで?」
「それなら部活動中の部員に声かけても怒られないかなって思って」
今度は宗がなかなか理解できていないらしい
「だから今学校にいる3,4,5 組の人たちにクラス写真見してもらうんだよ」
「あぁなるほど」ようやく理解できたのか、結構本気でそんな台詞を吐いてきた。だから俺はさっきとは一転して
「おまえやっぱり見た目は大人、中身は子供だな」とからかっておいた。ともあれとりあえずやることは決まったから次は行動するだけだ。
「で、井上。まず何部に行くの?」
「そりゃ、部員数No1といえば?」
「野球かな?」
「正解!だからとりあえず外にいこう」
俺たちの在学してる明専高校は私立高校なだけあって設備だけはいい。そして高校だけでなく中学も同じ校舎なのでまぁ単純に普通の高校の二倍はある。そして小学校、幼稚園も隣接しているためとてつもなく広い。そのため、外に出てからが大変だ。
「カフェテリアの空気はやたら揚げ物臭かったから外が気持ちいいなー」などと宗が言う。
宗は結構この学校のことをナチュラルにディスることがある。だから俺はその度に実はこの学校に恨みでもあるのか?と考えてしまう。
「まぁ、出れたんだし早速グラウンドにいこうぜ」
俺は正直ウキウキしていた。帰宅部である俺が放課後にグラウンドに立ち入ることなどまずないからだ。だがその高揚は直ぐ様なくなった。グラウンドにいる野球部はいざ近くに来ると迫力があったからだ。監督かコーチが打ったボールに謎の声を出しながら一生懸命飛び付いてる人、グランドの隅をひたすら掛け声をかけながら往復してる人、ブルペンでピッチング練習をしている人これらの部員がいる。これらをみて胸を張れる帰宅部が居るわけがない。それもそのはずそもそも帰宅部と野球部なんてのは真逆に位置する関係性だ。真逆といっても磁石のS極とN極みたいに引き付け合うわけでもなくむしろ反発するような関係だ。それでも一応来たからには何かしらのアクションをおこしたいから俺は宗に委ねることにした。
「これさ入っていいと思う?」
「俺に聞くなよ井上が決めろよ」
「えー、これはいやだなぁ。絶対にあの顧問怒ってくるじゃん」
「まぁ、怒るかはわからないけど好ましくはないよね。」
宗のその言葉を聞いて決心した。
「だよな、宗やっぱりやめとこう。よし決定!」先程までと一転して俺はとてもビビっていたから続けて
「よくよく考えたらやっぱり無理じゃね?厳しくね?どの部活も」と言うとても弱気な発言をしてしまった。それに対して宗は当たり前だろ的な反応をしてきた。
「それはそうでしょ。でも井上が行こうって言ったじゃんか」
「それは気の迷いってやつかな?」
「ふざけ」
「まぁまぁ、とりあえず今日できることはないからさ帰ろ」
「せっかく戻ってきたのにほぼ収穫無しじゃん」
「ごめんごめん」
とりあえず本当にもう出来そうなことがないので帰ることにした。さっきと同じ道なはずが時間が2時間は経っていたせいか全く別の道に見えた。基本的に学校が終わったら即帰る俺には無縁の景色だ。小説とかではこういう時に何かしらの感情を抱くのだろうなーなんて下らない話をしながら駅に向かった。駅につくと俺と宗は別々の電車に乗るためそこで別れた。
家から学校までは電車に乗る時間を含めて40分くらいかかる。その為部活動と呼ぶには充分すぎる活動時間だと思っている。電車はちょうど帰宅ラッシュのせいでかなり人が乗っていて気が滅入った。家につくといつもは何もすることもないから寝て、母親にご飯と呼ばれるまで過ごしているけれど今日のように遅い日は帰ったらちょうど晩御飯の支度が終わっていることが多い。晩御飯を急いで食べて自室に戻りあの人物について考えていたら知らないうちに時間が過ぎていたのでお風呂に入って寝ることにした。
「んー、まだぜんぜん完璧に見つかんない」
「てかちゃんと探してる?」
「宗こそサボってないよな」
俺はもう嫌気がさしてきて叫ぶしかなかった
「あぁーーー!!」
それに触発されたのか宗もついに
「………無理だろ」
と言い出した。そして僕ら二人はゴミ箱にはないという結論を勝手に出してゴミ捨て場を後にした。
なにも僕らは好き好んでゴミを漁っていたわけではない。
放課後それは部活動が盛んに行われる時間帯である
坊主頭の集団は本当に意味があるかもわからないがバカみたいに大声を出してグラウンドを列を乱さないように走っている。
校舎内から上手いのか下手なのか分からないがJr.オーケストラ部、吹奏楽部、軽音部これらのどこかであろう楽器の音が聞こえてくる。
他にもモテの代名詞であろうサッカー部が野球部と共同でグラウンドを使い球を蹴り、何部かはしらないが学校の敷地内をひたすら走っている部活動もある。
何も考えずにボーッとしててもこれだけの部活動の存在を確認することができる。
僕はそんな部活動が好きではない。理由はいたってシンプルで時間を決められて行動したくないからだ。スポーツならサッカーは好きだ、だが部活動となると嫌だ。好きなことをなんで時間を決められ半強制的にやらされるのなんか絶対にごめんだ。そんな僕にもぴったりの部活動がある
帰宅部だ!
素晴らしいだろ?是非君も入部を。
高校2年2組 井上 秋
「これで完璧だ。これを廊下に張り付けてこよう。そうすれば明日には部員数が増えるはず。」
「やめとけ井上あとで先生に怒られるよ。」
「んだよ宗、別にいいじゃんか怒られたって。これ張ったら楽しいかもしれないだろ?」
俺は本気でこれを張ろうと考えているんだが宗からしてみたらとてもアホらしいらしい。結構ノリはいいやつだが明らかに怒られるものは止めようとしてくる。
「大体考えてみろよこんなの見て部活やめるやつはそもそも入部しないから」
宗は結構こういうふうに俺を抑止しようとしてくることが多い。俺が子供なため宗がバランスを取ってくれている。
「あぁ、確かに。」
「納得するの早いな」宗は笑いながらそう言った。
そんな意味が大してない会話をしてると教室のドアがうるさい音をたてて開けられた。
見てみると見たことはあるが名前は知らない他クラスの男子が一人立っていた。僕らが数秒間見つめているとその男子は
「なぁ、このクラスに手紙落ちてたりしなかった?」
きっと走ってきたんだろうとわかるぐらい息を切らしながら言ってきた。
「手紙?なんの」よくわからないけれどとりあえず聞いてみることにした。しかし男子生徒は
「いや、ないならいいや。ありがとう。」
とだけ言って走っていってしまった。
僕と宗はお互い頭の上に?を浮かべていた。そして少しの間壁に取り付けられている時計の秒針の音が響く。この静寂を破ったのは宗だった。
「手紙か…手紙………ラブレター?」宗はそんな訳はないかという顔でこっちを見ながら呟いた。俺はその線もあるだろと思ったので
「それだ!!」と悪ノリをしといた。でもそうなると続けて疑けて疑問も浮かんできた
なんでラブレターさがしてんの?という疑問。宗はそれに対して
「いや、それは落としたんじゃない?」
「なんでラブレターなんか落とすんだよ。てかそもそもどっちだ?差出人なのか受け取ったのか。」
ラブレターなのかどうか定かではないのにも関わらずラブレターという前提で勝手に話を進めていた。
その後は教室で特にするとこもないので歩いて帰りながら話のネタにしていた。そして俺ら二人は手紙がラブレターだった場合の結論を出した。
あの男子生徒はラブレターを好きな女子に向けてを書いていた。きっと授業中とかに書いていたんだろう。だからもしかしたら授業で移動していたこの教室にあるかもって考えていたってこと。これがパターン1、そしてパターン2が貰ったラブレターを移動していた教室でも落とした。
この二つの可能性を考え出した。
「うーん、まぁ考えてもなんもならないでしょ」宗がそう言いながらこっちを振り返ってきた。多分その時の俺は相当悪い顔をしていたんだろう宗が直ぐに「えっ…」と言ってきた。俺はそんな声を打ち消すように続けざまに言葉をはいた。
「探そう!それ。宗も手伝えよ」
「え、どうやって探すの?なんか考えあるの井ノ上は?てかそもそもラブレターなの?」
案の定宗はとても焦って、かなり早口になり反応をしてきた。でも正直おれ自身もそんなに考えが纏まってるわけでもないのでとりあえずと言うことで納得してとらうことにした。
「知らない!とりあえず探そう。見つけたあとに考えればいいでしょ、そんなのは。とりあえず間違えて捨てられてるかもしれないからゴミ捨て場だな、レッゴー!」俺はダッシュで学校に戻ることにした。宗も「えー」と言いつつも仕方ないというオーラを出しながら渋々ついてきてくれた。
結構駅まで近いところまで歩いていたので学校に戻るのには20分以上かかった。
学校につく頃には俺と宗はかなり息が上がっていた。それでも宗は元テニス部レギュラーってだけあって直ぐに呼吸を整えていた。俺は永遠の帰宅部とまで称された人間なのでもちろん体力なんてあるわけなく息を整えるのにかなり時間がかかった。ようやく整えてゴミ捨て場に向かうと先程までのやる気は何処にいったのかというほどにやる気がなくなった。見るのも嫌になる山だ。そして触るのなんてもっと嫌だった。それでもせっかく学校に戻ってきたので俺らは部室棟から軍手かよくわからんがなんかの手袋を借りてゴミを漁ることにした。そうして俺らは今に至る。俺と宗は疲れたからカフェテリアに向かうことにしたがうちの学校は私立ってだけあって設備はすごい、そのせいでカフェテリアに向かうまでにいっそう疲れた。カフェテリアについた俺らは疲れていたせいでまともな会話ができず
「誰だよゴミ捨て場にいこうとか言い出したの」
「いや、お前だよ」
みたいな大して頭を使わない在り来たりなツッコミを宗がしてくる。 そして続けて
「で、どうすんの?次」と意外と乗り気なんじゃないかこいつと思うような発言をしてきた。
「んー、次ねぇ」俺はもう万策尽きたと言わんばかりに反応に困ってしまった。するとそれを察したのか宗が呆れた表情で「こういうときは人を探したほうが早いだろ」と助言をくれたので人探しのために少し情報を整理することにした。俺はさっき教室に走ってきた男子生徒のことを見たことはあったけど名前もさらに言うならクラスさえも知らなかった。「俺はさっきの人見たことあるんだけど宗は?」
「俺もあるだから多分同じ2年生だ」
「んー、他になんか特徴なかったかなぁ」
「あっ、そうだ井上クラス写真全部見て回ろうぜ」
「あっ、その手があったか。」
本当にこういうときに宗は役に立つ。テストの成績こそよくないものの多分頭がいいんだろうとこっそり思ってる。
「俺らのクラスを除けば残り9クラスだから楽勝でしょ」
「やっぱり宗おまえ乗り気だろ」もう今度は確信を得たこいつはかなり乗り気だ。まぁとりあえず俺らは2年生の階に上がることにしたが7クラスは既に鍵が閉められていて教室内いにはいることが出来なかった。
「まじかよ全然開いてないじゃん」
「最近やけに厳しいからなぁ盗難とかに」
「まぁさすが私立だわ」それでも少しは有益な情報も得られた。
教室が空いていた6組と7組には女子生徒が残っていたからこのクラスに手紙が落ちていたのを聞きにき来た男子生徒はいたかと訪ねると両クラスとも来なかったらしい。それにクラス写真にもそれらしい人物は写っていなかった。
「とりあえず6組と7組はなしだな。」
「うん、だけどさ井上一つ考えたんだけど」
「なんだよ?宗」
「僕らは2組だろ?で、そこに授業で来ることがあったってことはまず6、7、8、9、10この組は当てはまらないんじゃないか?」
「なんで?」と俺が尋ねると まじかよという顔をしながら言ってきた
「いやだって文系だし」
「あっ、そうか!なるほどね、そういうことねハイハイ」これは完全に盲点だった。
「となると残りは1,3,4,5,組の4クラスか」
「そうなるよねで、井上さらにいいことを教えてやるよ」
俺は思わず首をかしげた
「なに?」
「俺1組はよく行くけどあいつがいるのを見たことがない。つまり?」
「残りは3クラスってことか」
「そっ、これなら楽勝だろ?」
「まじかよ宗。おまえ実は見た目は子供中身は大人とかそういうあれか?」
「いや、もう高校2年だから普通に見た目も中身も限りなく大人だろ」
「でもとりあえずかなり絞れたな」
「でもさ井上ここからが難しくない?今日中にでしょ?」
「あぁ、今日中にが望ましい。明日まで俺のやる気が持つか怪しいからな」
「理由が本当にゴミだな」
とまぁこんな冗談を交えつつなんとか考えを絞り出そうとしていたが最初にゴミ捨て場に行った時から2時間が経っていた。時間も時間なので使いたくなかったが他の人に頼るという手段をとることにした。俺は基本的に努力が嫌いなので大体困るとすぐ人に頼る癖がある。
「よし宗、おまえ知り合い多いか?」
「いきなりなんだよ」
「いいから答えろって」
「え、井上ほどじゃないかも」
「テニス部は顔だしにくい?」
「んー、結構ね」
「じゃあ先生に知り合い多い?」
「あぁそれなら多いよ。でもなんで?」
「それなら部活動中の部員に声かけても怒られないかなって思って」
今度は宗がなかなか理解できていないらしい
「だから今学校にいる3,4,5 組の人たちにクラス写真見してもらうんだよ」
「あぁなるほど」ようやく理解できたのか、結構本気でそんな台詞を吐いてきた。だから俺はさっきとは一転して
「おまえやっぱり見た目は大人、中身は子供だな」とからかっておいた。ともあれとりあえずやることは決まったから次は行動するだけだ。
「で、井上。まず何部に行くの?」
「そりゃ、部員数No1といえば?」
「野球かな?」
「正解!だからとりあえず外にいこう」
俺たちの在学してる明専高校は私立高校なだけあって設備だけはいい。そして高校だけでなく中学も同じ校舎なのでまぁ単純に普通の高校の二倍はある。そして小学校、幼稚園も隣接しているためとてつもなく広い。そのため、外に出てからが大変だ。
「カフェテリアの空気はやたら揚げ物臭かったから外が気持ちいいなー」などと宗が言う。
宗は結構この学校のことをナチュラルにディスることがある。だから俺はその度に実はこの学校に恨みでもあるのか?と考えてしまう。
「まぁ、出れたんだし早速グラウンドにいこうぜ」
俺は正直ウキウキしていた。帰宅部である俺が放課後にグラウンドに立ち入ることなどまずないからだ。だがその高揚は直ぐ様なくなった。グラウンドにいる野球部はいざ近くに来ると迫力があったからだ。監督かコーチが打ったボールに謎の声を出しながら一生懸命飛び付いてる人、グランドの隅をひたすら掛け声をかけながら往復してる人、ブルペンでピッチング練習をしている人これらの部員がいる。これらをみて胸を張れる帰宅部が居るわけがない。それもそのはずそもそも帰宅部と野球部なんてのは真逆に位置する関係性だ。真逆といっても磁石のS極とN極みたいに引き付け合うわけでもなくむしろ反発するような関係だ。それでも一応来たからには何かしらのアクションをおこしたいから俺は宗に委ねることにした。
「これさ入っていいと思う?」
「俺に聞くなよ井上が決めろよ」
「えー、これはいやだなぁ。絶対にあの顧問怒ってくるじゃん」
「まぁ、怒るかはわからないけど好ましくはないよね。」
宗のその言葉を聞いて決心した。
「だよな、宗やっぱりやめとこう。よし決定!」先程までと一転して俺はとてもビビっていたから続けて
「よくよく考えたらやっぱり無理じゃね?厳しくね?どの部活も」と言うとても弱気な発言をしてしまった。それに対して宗は当たり前だろ的な反応をしてきた。
「それはそうでしょ。でも井上が行こうって言ったじゃんか」
「それは気の迷いってやつかな?」
「ふざけ」
「まぁまぁ、とりあえず今日できることはないからさ帰ろ」
「せっかく戻ってきたのにほぼ収穫無しじゃん」
「ごめんごめん」
とりあえず本当にもう出来そうなことがないので帰ることにした。さっきと同じ道なはずが時間が2時間は経っていたせいか全く別の道に見えた。基本的に学校が終わったら即帰る俺には無縁の景色だ。小説とかではこういう時に何かしらの感情を抱くのだろうなーなんて下らない話をしながら駅に向かった。駅につくと俺と宗は別々の電車に乗るためそこで別れた。
家から学校までは電車に乗る時間を含めて40分くらいかかる。その為部活動と呼ぶには充分すぎる活動時間だと思っている。電車はちょうど帰宅ラッシュのせいでかなり人が乗っていて気が滅入った。家につくといつもは何もすることもないから寝て、母親にご飯と呼ばれるまで過ごしているけれど今日のように遅い日は帰ったらちょうど晩御飯の支度が終わっていることが多い。晩御飯を急いで食べて自室に戻りあの人物について考えていたら知らないうちに時間が過ぎていたのでお風呂に入って寝ることにした。
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