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期待の眼差し
期待されるわけ 5
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しばらく中庭で黄昏ていたが日も沈み暗くなってきたので寮に戻ることにした。俺たちはの学校は基本的に全寮制だ。なんでも自主性を重んじているらしい。自主性なんていってるのに朝は声の異能力を持っている音楽の先生が容赦なく歌って起こそうとしてくる。何が自主性だよ。そんなことを考えているうちに寮の部屋についた。部屋に戻ると廉が自分のベッドに横になり読書をしていた。足音で俺に気づいたのかこちらに目を向けることなく聞いてきた。
「おー、白木どうだった?」
「どうって?」
「いや、なんかあったんでしょ?」
「あぁ、まぁ………な」
「で、どうなんだ?」
………こいつ絶対にもう既に俺の思考を読んだだろ。
「はぁ、まぁもう分かってると思うけど異能力はわからなかったよ。ただ異能量があることはわかった」
「へー、よくわかんないけど良かったな」
「聞いといてなんだよその反応」
「だってよくわかんねぇんだもん」
「まぁそうか」
「アレのことはなにか言ってたか?」
「いや、それに関しては何も聞かれてないし言われてもない」
「そっか…」
そう。俺には一応秘密って言うほどのことでもないが少し特別なことがある。これが恐らく俺が期待されている訳の大部分を占めている。あれは高校に上がる前、まだ俺らが中等部のときに授業の一環ということで校外学習で少し離れた場所にある森にいったときのことだ。そして校外学習の内容はクラス対抗の陣取りゲーム。
俺たちのクラスも決められたポイントをいくつか陣取っていた。
「もうそろそろじかんじゃないか?」
「現時点では俺らのほうがポイントは高いこのまま終われば1位だ」
「どうだ?周りに異常はないか?」
「うん、大丈夫だよ」
「気を抜くなよ」
「分かってるって」
「よし、あと少し耐えるぞ」
クラスの一丸となって残り時間を耐えようと気を引き締めた瞬間に事件は起きた。
「何でこんな所で遊びなんかしてんだよ?」
いきなり森にドス黒い声が響いた。
「なんだ?」
「おい、音は?」
「何も感知できない」
「何だ今の声」
周囲に何かいないか感知しようとしたが何もできない。
「やめろ!!!」
今度は悲鳴のような声が聞こえた。
「なんなんだ?」
「今の声、悲鳴?」
「おい、今のは誰の声だ??」
「今のは別のクラスの担任の声だよ…」
「先生の声?」
「どういうこと??」
俺たちは誰も何もわからないまま息を呑んだ。しばらくするとまた
「なんだよお前らは!!」
「くっ、逃げろ!!」
など悲鳴が聞こえた。
「これは…もしかしてかなりまずいんじゃないのか?」
「いやまて誰かの異能で何かをやってるってことはないか?」
「その可能性はないだろう」
「なんでそう言える?」
「俺らの学年に声を変える異能なんて持ってるやついないからだよ」
「なるほど」
「納得してる場合じゃないぞ」
「どうするの?」
皆かなり焦っている。俺も例外ではなくかなり焦っている。何も状況が掴めていないので判断材料がなさすぎるのだ。
「委員長どうする?」クラスメイトの一人が委員長に支持を仰いだ。委員長はしばらく悩んだ様子でだまつまっていた。
「分かりました」
「私の判断で現時点ですべての陣地を放棄します。一度連絡がつくクラスメイトをここに集めましょう。」
「おー、白木どうだった?」
「どうって?」
「いや、なんかあったんでしょ?」
「あぁ、まぁ………な」
「で、どうなんだ?」
………こいつ絶対にもう既に俺の思考を読んだだろ。
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「へー、よくわかんないけど良かったな」
「聞いといてなんだよその反応」
「だってよくわかんねぇんだもん」
「まぁそうか」
「アレのことはなにか言ってたか?」
「いや、それに関しては何も聞かれてないし言われてもない」
「そっか…」
そう。俺には一応秘密って言うほどのことでもないが少し特別なことがある。これが恐らく俺が期待されている訳の大部分を占めている。あれは高校に上がる前、まだ俺らが中等部のときに授業の一環ということで校外学習で少し離れた場所にある森にいったときのことだ。そして校外学習の内容はクラス対抗の陣取りゲーム。
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「どうだ?周りに異常はないか?」
「うん、大丈夫だよ」
「気を抜くなよ」
「分かってるって」
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「何でこんな所で遊びなんかしてんだよ?」
いきなり森にドス黒い声が響いた。
「なんだ?」
「おい、音は?」
「何も感知できない」
「何だ今の声」
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「やめろ!!!」
今度は悲鳴のような声が聞こえた。
「なんなんだ?」
「今の声、悲鳴?」
「おい、今のは誰の声だ??」
「今のは別のクラスの担任の声だよ…」
「先生の声?」
「どういうこと??」
俺たちは誰も何もわからないまま息を呑んだ。しばらくするとまた
「なんだよお前らは!!」
「くっ、逃げろ!!」
など悲鳴が聞こえた。
「これは…もしかしてかなりまずいんじゃないのか?」
「いやまて誰かの異能で何かをやってるってことはないか?」
「その可能性はないだろう」
「なんでそう言える?」
「俺らの学年に声を変える異能なんて持ってるやついないからだよ」
「なるほど」
「納得してる場合じゃないぞ」
「どうするの?」
皆かなり焦っている。俺も例外ではなくかなり焦っている。何も状況が掴めていないので判断材料がなさすぎるのだ。
「委員長どうする?」クラスメイトの一人が委員長に支持を仰いだ。委員長はしばらく悩んだ様子でだまつまっていた。
「分かりました」
「私の判断で現時点ですべての陣地を放棄します。一度連絡がつくクラスメイトをここに集めましょう。」
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