ヒロイン(=俺)、王子との初夜を全力で回避します!

青杜六九

文字の大きさ
上 下
9 / 10
2周目

ヒロイン(俺)と番犬

しおりを挟む
「それでは、これよりライル様とルーシー様の披露宴を行います!」

 そんな司会の言葉と共に、新郎新婦が入場する。
 2人が登場しただけで、盛大な拍手が沸き起こった。

「それでは……乾杯のご発声をお願いします」

「ああ」

 司会に促され、新郎ライルが一歩踏み出る。

「今日は集まってくれてありがとう。みんなのおかげで、俺たち2人は結ばれた。だが……同時に多大な迷惑もかけてしまったと思う。俺がこの村に来なければ、ガルドによる襲撃だって――」

「おうおう! 難しいことはよく分からねぇが、今日がめでたい席だってことは分かってるぜ!! 湿っぽい話は要らねぇ!!」

 村人の1人が叫ぶ。
 そんな彼に、ライルが声をかけた。

「ダストン……。参加してくれてありがとな。そして、すまなかった。蘇生が遅れて……」

「いいってことよ。ライルの小僧にもいろいろあったみてぇだからな。な? ツルギの小僧」

「はい! ライルの兄貴にもらったこの剣で……今度こそ、村のみんなを守り抜いてみせるぜ!!」

「だそうだ。安心しろよ。ライルの小僧」

「ああ……」

 ダストンやツルギの言葉に、ライルは頷く。
 結婚式に続いて披露宴が開かえれているこの村は、ルーシーの故郷だ。
 そして、王家を追放された直後のライルが逃げ延びた場所であり、追跡してきたガルドによって壊滅させられた村でもあった。

 ライルは追加製作したエリクサーで村人たちを復活させ、村を復興させた。
 そして、ルーシーとの結婚式を挙げているのである。
 そんなライルを、村人たちは祝福してくれた。

「うふふ。私の娘も、ライル様のように強く、たくましく、そして優しく育ってほしいですわ」

「大丈夫さ。ヤエという素晴らしい名を、ライル様に頂いたのだから」

「ヤエ……か。赤ちゃんまで参列してくれて、嬉しいよ」

「あうー! あうあう!!」

 ヤエが満面の笑みを浮かべる。
 そんな赤ん坊を見て、ライルの口元に笑みが漏れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?

陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。 この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。 執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め...... 剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。 本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。 小説家になろう様でも掲載中です。

盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです

斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。 思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。 さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。 彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。 そんなの絶対に嫌! というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい! 私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。 ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの? ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ? この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった? なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。 なんか……幼馴染、ヤンデる…………? 「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

ヤンデレ悪役令嬢の前世は喪女でした。反省して婚約者へのストーキングを止めたら何故か向こうから近寄ってきます。

砂礫レキ
恋愛
伯爵令嬢リコリスは嫌われていると知りながら婚約者であるルシウスに常日頃からしつこく付き纏っていた。 ある日我慢の限界が来たルシウスに突き飛ばされリコリスは後頭部を強打する。 その結果自分の前世が20代後半喪女の乙女ゲーマーだったことと、 この世界が女性向け恋愛ゲーム『花ざかりスクールライフ』に酷似していることに気づく。 顔がほぼ見えない長い髪、血走った赤い目と青紫の唇で婚約者に執着する黒衣の悪役令嬢。 前世の記憶が戻ったことで自らのストーカー行為を反省した彼女は婚約解消と不気味過ぎる外見のイメージチェンジを決心するが……?

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

乙ゲーの主人公になって喜んでたら、ヤンデレ、メンヘラ、サイコパスに囲まれた病みゲーでバッドエンディングの予感しかしませんっっ!!

奏音 美都
恋愛
交通事故に遭って転生した先が乙女ゲーム、しかも自分がその主人公だと知って喜んでたわけだけど……なにやらおかしいことに気付いてしまった。 ヤンデレの弟、メンヘラな幼馴染、サイコパスな転入生……攻略キャラが病みすぎる。 こんな乙ゲー、ハピエンになるはずがねー!

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

処理中です...