230 / 794
学院編 3 初めてのキスと恐怖の勉強会
78 悪役令嬢は思い切り寝過ごす
しおりを挟む
「う……ん……」
首を傾けていたせいか、肩が凝ってしまった。ジュリアは目を閉じたまま首をぐるりと回した。
――あれ、どこで寝たんだっけ?
目を開けて見た空間は、すぐにどこだか分からない馴染みのない場所だった。重厚なこげ茶色の棚は書架だ。
「図書室……ああっ!」
大声を出すと、ジュリアの膝に頭を乗せて寝ていたアレックスが驚き、長椅子から転げ落ちた。
「痛ってえ……いきなり大声出すなよ」
「ゴメン。ってか、大変だ!寝過ごした!」
起き上がったアレックスは窓の外に目をやった。真っ暗な空には秋の星座と月が輝いている。
「夜だな……」
「夜だな、じゃないよ。早く帰らないと、寮の玄関の鍵が閉まっちゃうよ」
寝ぼけているアレックスに掴みかかる。
ぐううううう……。
二人の腹が同時に鳴った。
「……」
「……ぷはっ、はははははは!」
アレックスが爆笑した。ジュリアは笑いが止まらない彼の額を指ではじき、頬をつまんで横に引っ張った。
「いででで」
「笑わないの!今は帰るのが先!」
図書室のドアに手をかけて、ジュリアはがくりと項垂れた。
「開かない……」
「嘘だろ?鍵穴がない」
「向こうから閉めるようになってるんだ。二人とも寝てたから、誰もいないと思われたんだよ」
レナードとの練習で体力を消耗していたジュリアと、慣れない(?)アスタシフォン語の勉強で脳をフル稼働させたアレックスは、共に疲れて熟睡してしまったのだ。
「……鍵を壊すしかないか」
「壊しちゃダメ。怒られるよ。ひとまず叫んでみよう」
「分かった」
それからしばらく、二人は同時に声を上げて助けを呼んでいたが、人の気配がなかった。図書室と職員室は別の棟にある。残っている教師がいても気づいてもらえないのだ。
「声が枯れそうだ」
「諦めるな!アレックス!諦めたらそこで終わりだ」
ジュリアは変なテンションになっていた。
「一旦落ち着け。……さっきの椅子に戻って、他の作戦を考えよう」
「……うん。ああ、お腹すいたなあ……」
長椅子に戻ると、明るく照らしていた月は雲に隠れ、辺りはさらに暗くなっていた。
「真っ暗だね」
「ああ。なあ……バルコニーから他の部屋に行けないか?」
「どうかな……」
ジュリアは窓を開けて左右を見た。左側は階段の踊り場で、バルコニーは手前で途切れている。右側はバルコニーがいくつか見える。間は空いているが、飛び移れそうな気がした。
「行けそうな気がする!」
覗き込んだ顔のすぐ傍にアレックスが顔を出す。親友の頃より近くなった距離に、一瞬胸が高鳴った。
「隣に渡れる距離だな。……隣の部屋は何だっけ?」
「資料室。使わないから窓には鍵がかかってると思うね。で、その向こうが美術室」
「そこも鍵が閉まっていそうだな」
「うん。でも、ほら」
指さした先には背の高い樹木があった。
「美術室まで行けば、あの木から下りられそう」
「うげえ。この歳になって木登りかよ」
「文句言わないの。アレックス、木登り苦手だもんね」
「うるさい。お前のせいだろうが」
子供の頃に二人はよく庭の木に登って遊んでいたが、バランスを崩したジュリアを引っ張ったアレックスが落ちてしまったことがあった。それ以来、アレックスは転落の不安から木登りに自信がなくなっている。
窓から簡単に抜け出し、バルコニーの端まで歩き、隣のバルコニーへ飛び移る。四つ目のバルコニーへ移った時、ジュリアは暗闇に動く何かを見た。
「アレックス」
袖を引き、小声で話しかける。アレックスも何かを察知し、ジュリアの視線の先を辿って小さく頷いた。
「いるな」
「人間、かな?警備員さんの巡回?」
「それにしてはうろうろしすぎだろ。学院の人間じゃなさそうだな」
「泥棒?捕まえなきゃ!」
木へ飛び移ろうとしたジュリアをアレックスが羽交い絞めにした。
「放して」
「やめろ。相手は暗殺者かもしれないんだぞ。俺達は丸腰……って、お前、剣持ってたのか」
「うん。練習で使ったやつ。刃は潰してあるけど」
と言うが早いが、ジュリアは木の枝を目がけて飛んだ。
◆◆◆
中庭の中央付近まで歩いてきた時、マクシミリアンは急に歩くのをやめた。
「……ふ、くくっ……はははっはは……」
――え?
肩を揺らして大笑いしている。すっきりとした灰色の瞳が細められ、目尻に涙を浮かべている。
「あの……何がおかしいんですか?」
今のマクシミリアンは、アリッサにとって未知の怖い人でしかなかった。問いかけるのも躊躇われたが、手を取られている以上、彼と一緒に立ち止まるしかない。
「いや」
マクシミリアンは指先で涙を拭い、笑いを噛み殺した。強い力で押さえていたアリッサの腕を放す。
「……先輩?」
首を傾げて様子を窺う。
「はい、これ」
アリッサの手を取り、胸ポケットから出した何かを握らせた。
「イヤリング……」
「ええ。まさか私が、本気であなたを脅していると思いましたか?」
「……はい」
素直に頷く。アリッサは本気で怖かったのだ。
「あの鬼のようなレイモンド副会長の婚約者であるあなたを、私が脅すとでも?」
マクシミリアンはまだ細かく震えている。
「鬼……」
アリッサは首を捻った。レイモンドは自分以外には鬼に見えるらしい。
「命がいくつあっても足りませんよ。まあ、教室でつけるには、そのイヤリングが少々派手ではないかと思ったのは本当ですが」
「そう……でしょうか……」
レイモンドには学院内でつけられる程度のものと聞いた。人によって基準が違うのは仕方がないとしても、奪ってしまうのはいただけない。
「いきなり耳から取って、返してくれないのは酷いです……」
「怒りましたか?」
「怒っていません。……びっくりして、怖かっただけです」
マクシミリアンは何を考えているか分からないアルカイックスマイルを浮かべた。
「あなたが怯える様子も実に愉快でした」
――怯える?愉快?何を言っているの?
「イヤリングを返してほしいあまりに、好きでもない男と中庭にくるほど、それが大事なのですね。誰かからのプレゼントですか?」
石の色から恐らく気づいているだろうに、レイモンドの名前を出そうとはしない。
「ところで、アリッサさん。ここが中庭の中央だと気づいていましたか?」
自分達は石畳の上に立っている。三歩も行けば中央の噴水の水しぶきがかかりそうだ。
「はい。あと半分だと思っています」
「知っていますか?この噴水のジンクスを」
アリッサはジンクスなど知らないが、乙女ゲーム『とわばら』の中で、攻略対象者とデートをした時、イベントは噴水の前で起きていた。
「聞いたことはありませんが……何かありそうだとは思っています」
「何か特別な力があるわけではないのですよ。ただ……」
マクシミリアンは、腕を組み考え込むようなふりをして
「ここへ来る男女は、大概が恋人同士なんですよ」
と流し目でアリッサを見つめた。
首を傾けていたせいか、肩が凝ってしまった。ジュリアは目を閉じたまま首をぐるりと回した。
――あれ、どこで寝たんだっけ?
目を開けて見た空間は、すぐにどこだか分からない馴染みのない場所だった。重厚なこげ茶色の棚は書架だ。
「図書室……ああっ!」
大声を出すと、ジュリアの膝に頭を乗せて寝ていたアレックスが驚き、長椅子から転げ落ちた。
「痛ってえ……いきなり大声出すなよ」
「ゴメン。ってか、大変だ!寝過ごした!」
起き上がったアレックスは窓の外に目をやった。真っ暗な空には秋の星座と月が輝いている。
「夜だな……」
「夜だな、じゃないよ。早く帰らないと、寮の玄関の鍵が閉まっちゃうよ」
寝ぼけているアレックスに掴みかかる。
ぐううううう……。
二人の腹が同時に鳴った。
「……」
「……ぷはっ、はははははは!」
アレックスが爆笑した。ジュリアは笑いが止まらない彼の額を指ではじき、頬をつまんで横に引っ張った。
「いででで」
「笑わないの!今は帰るのが先!」
図書室のドアに手をかけて、ジュリアはがくりと項垂れた。
「開かない……」
「嘘だろ?鍵穴がない」
「向こうから閉めるようになってるんだ。二人とも寝てたから、誰もいないと思われたんだよ」
レナードとの練習で体力を消耗していたジュリアと、慣れない(?)アスタシフォン語の勉強で脳をフル稼働させたアレックスは、共に疲れて熟睡してしまったのだ。
「……鍵を壊すしかないか」
「壊しちゃダメ。怒られるよ。ひとまず叫んでみよう」
「分かった」
それからしばらく、二人は同時に声を上げて助けを呼んでいたが、人の気配がなかった。図書室と職員室は別の棟にある。残っている教師がいても気づいてもらえないのだ。
「声が枯れそうだ」
「諦めるな!アレックス!諦めたらそこで終わりだ」
ジュリアは変なテンションになっていた。
「一旦落ち着け。……さっきの椅子に戻って、他の作戦を考えよう」
「……うん。ああ、お腹すいたなあ……」
長椅子に戻ると、明るく照らしていた月は雲に隠れ、辺りはさらに暗くなっていた。
「真っ暗だね」
「ああ。なあ……バルコニーから他の部屋に行けないか?」
「どうかな……」
ジュリアは窓を開けて左右を見た。左側は階段の踊り場で、バルコニーは手前で途切れている。右側はバルコニーがいくつか見える。間は空いているが、飛び移れそうな気がした。
「行けそうな気がする!」
覗き込んだ顔のすぐ傍にアレックスが顔を出す。親友の頃より近くなった距離に、一瞬胸が高鳴った。
「隣に渡れる距離だな。……隣の部屋は何だっけ?」
「資料室。使わないから窓には鍵がかかってると思うね。で、その向こうが美術室」
「そこも鍵が閉まっていそうだな」
「うん。でも、ほら」
指さした先には背の高い樹木があった。
「美術室まで行けば、あの木から下りられそう」
「うげえ。この歳になって木登りかよ」
「文句言わないの。アレックス、木登り苦手だもんね」
「うるさい。お前のせいだろうが」
子供の頃に二人はよく庭の木に登って遊んでいたが、バランスを崩したジュリアを引っ張ったアレックスが落ちてしまったことがあった。それ以来、アレックスは転落の不安から木登りに自信がなくなっている。
窓から簡単に抜け出し、バルコニーの端まで歩き、隣のバルコニーへ飛び移る。四つ目のバルコニーへ移った時、ジュリアは暗闇に動く何かを見た。
「アレックス」
袖を引き、小声で話しかける。アレックスも何かを察知し、ジュリアの視線の先を辿って小さく頷いた。
「いるな」
「人間、かな?警備員さんの巡回?」
「それにしてはうろうろしすぎだろ。学院の人間じゃなさそうだな」
「泥棒?捕まえなきゃ!」
木へ飛び移ろうとしたジュリアをアレックスが羽交い絞めにした。
「放して」
「やめろ。相手は暗殺者かもしれないんだぞ。俺達は丸腰……って、お前、剣持ってたのか」
「うん。練習で使ったやつ。刃は潰してあるけど」
と言うが早いが、ジュリアは木の枝を目がけて飛んだ。
◆◆◆
中庭の中央付近まで歩いてきた時、マクシミリアンは急に歩くのをやめた。
「……ふ、くくっ……はははっはは……」
――え?
肩を揺らして大笑いしている。すっきりとした灰色の瞳が細められ、目尻に涙を浮かべている。
「あの……何がおかしいんですか?」
今のマクシミリアンは、アリッサにとって未知の怖い人でしかなかった。問いかけるのも躊躇われたが、手を取られている以上、彼と一緒に立ち止まるしかない。
「いや」
マクシミリアンは指先で涙を拭い、笑いを噛み殺した。強い力で押さえていたアリッサの腕を放す。
「……先輩?」
首を傾げて様子を窺う。
「はい、これ」
アリッサの手を取り、胸ポケットから出した何かを握らせた。
「イヤリング……」
「ええ。まさか私が、本気であなたを脅していると思いましたか?」
「……はい」
素直に頷く。アリッサは本気で怖かったのだ。
「あの鬼のようなレイモンド副会長の婚約者であるあなたを、私が脅すとでも?」
マクシミリアンはまだ細かく震えている。
「鬼……」
アリッサは首を捻った。レイモンドは自分以外には鬼に見えるらしい。
「命がいくつあっても足りませんよ。まあ、教室でつけるには、そのイヤリングが少々派手ではないかと思ったのは本当ですが」
「そう……でしょうか……」
レイモンドには学院内でつけられる程度のものと聞いた。人によって基準が違うのは仕方がないとしても、奪ってしまうのはいただけない。
「いきなり耳から取って、返してくれないのは酷いです……」
「怒りましたか?」
「怒っていません。……びっくりして、怖かっただけです」
マクシミリアンは何を考えているか分からないアルカイックスマイルを浮かべた。
「あなたが怯える様子も実に愉快でした」
――怯える?愉快?何を言っているの?
「イヤリングを返してほしいあまりに、好きでもない男と中庭にくるほど、それが大事なのですね。誰かからのプレゼントですか?」
石の色から恐らく気づいているだろうに、レイモンドの名前を出そうとはしない。
「ところで、アリッサさん。ここが中庭の中央だと気づいていましたか?」
自分達は石畳の上に立っている。三歩も行けば中央の噴水の水しぶきがかかりそうだ。
「はい。あと半分だと思っています」
「知っていますか?この噴水のジンクスを」
アリッサはジンクスなど知らないが、乙女ゲーム『とわばら』の中で、攻略対象者とデートをした時、イベントは噴水の前で起きていた。
「聞いたことはありませんが……何かありそうだとは思っています」
「何か特別な力があるわけではないのですよ。ただ……」
マクシミリアンは、腕を組み考え込むようなふりをして
「ここへ来る男女は、大概が恋人同士なんですよ」
と流し目でアリッサを見つめた。
0
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
【完結】死がふたりを分かつとも
杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」
私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。
ああ、やった。
とうとうやり遂げた。
これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。
私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。
自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。
彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。
それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。
やれるかどうか何とも言えない。
だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。
だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺!
◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。
詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。
◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。
1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。
◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます!
◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる