749 / 794
学院編 14
577 王子の予想は的中する
しおりを挟む
「あった!」
王太子の椅子の座面と背凭れの隙間に手を入れ、リオネルは何かをつまみ取り出した。
「……何だ?」
「僕と兄上の秘密の手紙」
「まさかそんなところに……」
ルーファスが唖然としている。神社の木に結ばれたおみくじのように細く折りたたんで結ばれているそれを開き、リオネルは文面に目を走らせた。
「……兄上は全てご存知だったんだ。あえて敵を自由にさせていた」
「敵って?」
「アスタシフォン王国を陰から操り、乗っ取ろうとする輩だよ。兄上の師として有利な立場を利用して、ね。デュドネとセヴランの対立を煽っていた証拠もある。一方をけしかけることで、もう一方が焦って父上に近づこうとする。どちらが先に動いてもクレムはそれを利用するつもりだった。国王の病気が悪化したのは配慮をしない妾のせいだと」
「オーレリアン様はどうやって証拠を?」
「兄上は外国語で日記をつけているから、事件が起こった順番は記録されていると思う。シャンタルとソレンヌの動きも、気づかないふりをして配下の者に追わせていたようだし、クレムが大学で嫌がらせを受けていたというのも、妾達を始末するための自作自演だと気づいてた。そして、決定的な事件を『起こさせた』んだ」
「なるほど……ん?」
廊下が騒がしくなり、一人二人ではない兵士の足音が聞こえた。
「……来たね」
リオネルが目を眇める。間もなくドアが開いて、大勢の兵士が二人の前に進み出た。
「どうしたの?」
「リオネル殿下、ルーファス・ハガーディー・エルノーにオーレリアン殿下暗殺の疑いがかかっておりまして……」
「ふうん」
「殿下?」
「どうしてそこで僕を捕まえようとしないのかな?」
「は……?」
兵士はぽかんと口を開けた。
「だってさ、ルーはずっと僕と一緒にいたんだよ?兄上の部屋には僕と二人で行ったんだ。状況だけなら、僕も犯人の可能性があるよね」
「それは、その……」
「魔法です!」
言い淀んだ兵士の背後に控えていた若手が叫んだ。
「魔法?魔導士だからってこと?」
「恐れながら……オーレリアン殿下のお身体には傷はなく、まるでお眠りになっているかのようでした。そこで、我々は専門家に判断を仰ぎ……」
「誰?」
「殿下を治療することができるのではないかと一縷の望みを託し、殿下の魔法の師匠でもあるクレメンタイン殿にお願いしたのです」
リオネルは予想通りすぎて唇を歪めた。笑いを堪える表情が、兵士達には怒りで震えていると見えたらしい。平伏してリオネルの言葉を待った。
「それで、先生は兄上を治して見せた。……違うかな?」
「はい。オーレリアン殿下は確かに意識を取り戻されました。しかし……」
「目を開けているのに、人形みたいに動かない?」
「リオネル殿下!?どうしてそれを……!」
「兄上は何も話せない。そして、クレメンタインだけが兄上の気持ちを代弁できる。そんなことを言われてやってきたんでしょう?」
兵士達は顔を見合わせて、信じられないといった様子で目を泳がせた。
「何度も同じ手を使うなんて、進歩がないなあ」
「あの、リオネル様?」
「父上は療養中、兄上もそんな状態。皆に指揮するのは僕だよね」
大きな目をくるくるさせてリオネルが兵士に訊ねる。
「え、は、はい……」
「すぐにハーリオン侯爵夫妻への追捕をやめ、グランディアに使いを出す」
「はっ!」
「僕がいいと言うまで、王宮から誰も外に出すな。外部に繋がる魔法陣を魔導士達に守らせろ」
「御意!」
くるりと後ろを向き、リオネルがルーファスの顔を覗き込んだ。
「クレムを捕まえようと思うんだけど、ルー、一人でやってみる?」
「無茶言うな。グランディアに使いを出すのも、応援を頼むんだろ?」
「うん。さて、兄上のところに行こうか。僕達が見張っていれば、クレムも部屋から逃げられないよね。マシュー先生が来るまで、何とかして足止めしとかなきゃ」
ルーファスの腕をぐいぐいと引っ張り自分の腕を絡める。リオネルは彼の鼓動が早くなったのを感じていた。
◆◆◆
「ハーリオン侯爵を断罪するには、人数が足りませんな」
王と王妃、宰相や名だたる貴族が居並ぶ場で、開口一番エンフィールド侯爵ははっきりと言った。
「エンフィールド侯爵様は、それほどまでにハーリオン侯爵様を罰したいようですな」
「当然です。隣の領地で、迷惑を蒙っているのですよ。辺鄙なエスティアに傭兵を集め、今度は何をするつもりなのやら。領地に戻るのも恐ろしいくらいです」
日中は図書館にいることが多いエンフィールドの言い分に、自らをインテリだと自負している貴族達は尤もだと頷いた。
「武力を持たない我々には、資金力にものを言わせて武装する集団は恐ろしいの一言に尽きますな。娘達を有力者に嫁がせ、将来のグランディアを牛耳る意図が見えるようです」
「ですから、私は王太子殿下の妃には、マリナ嬢は相応しくないと思うのです。先日の新年の舞踏会で、殿下をお守りした少女、彼女は身分が低いのですが、私の養女として殿下のお傍に侍らせたいと考えております」
「妃候補、というわけですな」
「はい。男爵家から王妃に立った例はありません。ですが、あの魔力と度胸。殿下をお守りするには相応しい」
「ちょっと待ってください!」
手を挙げてすっくと立ったのはパーシヴァルだ。今日は騎士ではなく、五侯爵の一人、ロファン侯爵としてこの場にいる。
「皆さんは何か思い違いをしていらっしゃる。グランディアを牛耳るなんて、ハーリオン侯爵がお考えになるとは思えません」
「証拠を集めたのは、君達騎士団じゃないか。数々の悪事を働いたのは、証拠からも明らかなのだろう?」
「はい。証拠は証拠ですが、それらは全て推測の域を出ません。領民に不当に高い年貢を課していたと言われていますが、それらがハーリオン家に流れた証拠は見つかっていません。フロードリンの荒廃も、侯爵の指示で急激な工業化が進んだとされています。しかし、領地管理人は侯爵本人と対面したことはなく、代理人を名乗る男が指示をしていたと証言しています」
国王ステファン四世は何度も頷いた。オードファン宰相に目くばせすると、宰相は一連の調査資料を王に手渡した。
「本当なのだろうか。この報告書には、『代理人』を見つけることができなかったとあるが」
「はい。領地管理人も、フロードリンで働いていた者達も、代理人と間近に接していたはずなのに顔がおぼろげにも思い出せないと証言しました。このことから、その代理人は何らかの魔法を使って目くらましをしていたのではないかと思わ……」
「全く。魔法を知らぬ者は、何でも魔法のせいにしたがるな」
パーシヴァルが言い終わらないうちに、向こう側から声が上がった。エンウィ魔導師団長は、魔法の専門家として存在感を示そうと、横柄な態度でパーシヴァルを制した。
「だから騎士団の捜査は片手落ちだと言っておる。我が魔導師団の力をもってすれば、ハーリオン侯爵の不正の証拠を挙げることなど造作もない。領地のビルクールをほんの少し調べただけで、もう、出るわ出るわ。先ほど陛下に申し上げた通りでございますよ。ベイルズ商会から禁輸品を扱った際の帳簿を押収してまいりました。ベイルズ準男爵は、通商組合の顔と言っていい。その組合が密輸に手を染めるのを、侯爵は黙って見過ごしていたのではないのです。明らかに指示をしていた痕跡がありました」
「痕跡とは?」
オードファン宰相が眼鏡を上げ、鋭く質問した。
「ハーリオン侯爵は年に数回、ビルクール通商組合の集会に参加している。彼が参加できない時は、家族の誰かが。それ以外にも、養子のハロルドが頻繁にビルクールを訪れていたという証言があります。これはもう間違いがないでしょう」
胸を張って得意げに息を吐き、エンウィ魔導師団長はゆっくりと自席に着いた。
「ハロルドか……彼はどうしている?」
「牢に入れておりますが」
「相変わらず、自分が全ての罪を被ると言っているのかな?」
国王は宰相に顔を近づけて囁いた。宰相は短く頷いた。
「そうか……。あのことは言ったの?例の、髪の毛の……」
「いや、まだだが……」
「教えてあげるべきだ。特に、マリナが亡くなったという話は」
宰相は視線だけで国王の意図を汲んだ。エンウィや他の貴族達があれやこれやと話している横で、控えていた兵士を手招きした。
王太子の椅子の座面と背凭れの隙間に手を入れ、リオネルは何かをつまみ取り出した。
「……何だ?」
「僕と兄上の秘密の手紙」
「まさかそんなところに……」
ルーファスが唖然としている。神社の木に結ばれたおみくじのように細く折りたたんで結ばれているそれを開き、リオネルは文面に目を走らせた。
「……兄上は全てご存知だったんだ。あえて敵を自由にさせていた」
「敵って?」
「アスタシフォン王国を陰から操り、乗っ取ろうとする輩だよ。兄上の師として有利な立場を利用して、ね。デュドネとセヴランの対立を煽っていた証拠もある。一方をけしかけることで、もう一方が焦って父上に近づこうとする。どちらが先に動いてもクレムはそれを利用するつもりだった。国王の病気が悪化したのは配慮をしない妾のせいだと」
「オーレリアン様はどうやって証拠を?」
「兄上は外国語で日記をつけているから、事件が起こった順番は記録されていると思う。シャンタルとソレンヌの動きも、気づかないふりをして配下の者に追わせていたようだし、クレムが大学で嫌がらせを受けていたというのも、妾達を始末するための自作自演だと気づいてた。そして、決定的な事件を『起こさせた』んだ」
「なるほど……ん?」
廊下が騒がしくなり、一人二人ではない兵士の足音が聞こえた。
「……来たね」
リオネルが目を眇める。間もなくドアが開いて、大勢の兵士が二人の前に進み出た。
「どうしたの?」
「リオネル殿下、ルーファス・ハガーディー・エルノーにオーレリアン殿下暗殺の疑いがかかっておりまして……」
「ふうん」
「殿下?」
「どうしてそこで僕を捕まえようとしないのかな?」
「は……?」
兵士はぽかんと口を開けた。
「だってさ、ルーはずっと僕と一緒にいたんだよ?兄上の部屋には僕と二人で行ったんだ。状況だけなら、僕も犯人の可能性があるよね」
「それは、その……」
「魔法です!」
言い淀んだ兵士の背後に控えていた若手が叫んだ。
「魔法?魔導士だからってこと?」
「恐れながら……オーレリアン殿下のお身体には傷はなく、まるでお眠りになっているかのようでした。そこで、我々は専門家に判断を仰ぎ……」
「誰?」
「殿下を治療することができるのではないかと一縷の望みを託し、殿下の魔法の師匠でもあるクレメンタイン殿にお願いしたのです」
リオネルは予想通りすぎて唇を歪めた。笑いを堪える表情が、兵士達には怒りで震えていると見えたらしい。平伏してリオネルの言葉を待った。
「それで、先生は兄上を治して見せた。……違うかな?」
「はい。オーレリアン殿下は確かに意識を取り戻されました。しかし……」
「目を開けているのに、人形みたいに動かない?」
「リオネル殿下!?どうしてそれを……!」
「兄上は何も話せない。そして、クレメンタインだけが兄上の気持ちを代弁できる。そんなことを言われてやってきたんでしょう?」
兵士達は顔を見合わせて、信じられないといった様子で目を泳がせた。
「何度も同じ手を使うなんて、進歩がないなあ」
「あの、リオネル様?」
「父上は療養中、兄上もそんな状態。皆に指揮するのは僕だよね」
大きな目をくるくるさせてリオネルが兵士に訊ねる。
「え、は、はい……」
「すぐにハーリオン侯爵夫妻への追捕をやめ、グランディアに使いを出す」
「はっ!」
「僕がいいと言うまで、王宮から誰も外に出すな。外部に繋がる魔法陣を魔導士達に守らせろ」
「御意!」
くるりと後ろを向き、リオネルがルーファスの顔を覗き込んだ。
「クレムを捕まえようと思うんだけど、ルー、一人でやってみる?」
「無茶言うな。グランディアに使いを出すのも、応援を頼むんだろ?」
「うん。さて、兄上のところに行こうか。僕達が見張っていれば、クレムも部屋から逃げられないよね。マシュー先生が来るまで、何とかして足止めしとかなきゃ」
ルーファスの腕をぐいぐいと引っ張り自分の腕を絡める。リオネルは彼の鼓動が早くなったのを感じていた。
◆◆◆
「ハーリオン侯爵を断罪するには、人数が足りませんな」
王と王妃、宰相や名だたる貴族が居並ぶ場で、開口一番エンフィールド侯爵ははっきりと言った。
「エンフィールド侯爵様は、それほどまでにハーリオン侯爵様を罰したいようですな」
「当然です。隣の領地で、迷惑を蒙っているのですよ。辺鄙なエスティアに傭兵を集め、今度は何をするつもりなのやら。領地に戻るのも恐ろしいくらいです」
日中は図書館にいることが多いエンフィールドの言い分に、自らをインテリだと自負している貴族達は尤もだと頷いた。
「武力を持たない我々には、資金力にものを言わせて武装する集団は恐ろしいの一言に尽きますな。娘達を有力者に嫁がせ、将来のグランディアを牛耳る意図が見えるようです」
「ですから、私は王太子殿下の妃には、マリナ嬢は相応しくないと思うのです。先日の新年の舞踏会で、殿下をお守りした少女、彼女は身分が低いのですが、私の養女として殿下のお傍に侍らせたいと考えております」
「妃候補、というわけですな」
「はい。男爵家から王妃に立った例はありません。ですが、あの魔力と度胸。殿下をお守りするには相応しい」
「ちょっと待ってください!」
手を挙げてすっくと立ったのはパーシヴァルだ。今日は騎士ではなく、五侯爵の一人、ロファン侯爵としてこの場にいる。
「皆さんは何か思い違いをしていらっしゃる。グランディアを牛耳るなんて、ハーリオン侯爵がお考えになるとは思えません」
「証拠を集めたのは、君達騎士団じゃないか。数々の悪事を働いたのは、証拠からも明らかなのだろう?」
「はい。証拠は証拠ですが、それらは全て推測の域を出ません。領民に不当に高い年貢を課していたと言われていますが、それらがハーリオン家に流れた証拠は見つかっていません。フロードリンの荒廃も、侯爵の指示で急激な工業化が進んだとされています。しかし、領地管理人は侯爵本人と対面したことはなく、代理人を名乗る男が指示をしていたと証言しています」
国王ステファン四世は何度も頷いた。オードファン宰相に目くばせすると、宰相は一連の調査資料を王に手渡した。
「本当なのだろうか。この報告書には、『代理人』を見つけることができなかったとあるが」
「はい。領地管理人も、フロードリンで働いていた者達も、代理人と間近に接していたはずなのに顔がおぼろげにも思い出せないと証言しました。このことから、その代理人は何らかの魔法を使って目くらましをしていたのではないかと思わ……」
「全く。魔法を知らぬ者は、何でも魔法のせいにしたがるな」
パーシヴァルが言い終わらないうちに、向こう側から声が上がった。エンウィ魔導師団長は、魔法の専門家として存在感を示そうと、横柄な態度でパーシヴァルを制した。
「だから騎士団の捜査は片手落ちだと言っておる。我が魔導師団の力をもってすれば、ハーリオン侯爵の不正の証拠を挙げることなど造作もない。領地のビルクールをほんの少し調べただけで、もう、出るわ出るわ。先ほど陛下に申し上げた通りでございますよ。ベイルズ商会から禁輸品を扱った際の帳簿を押収してまいりました。ベイルズ準男爵は、通商組合の顔と言っていい。その組合が密輸に手を染めるのを、侯爵は黙って見過ごしていたのではないのです。明らかに指示をしていた痕跡がありました」
「痕跡とは?」
オードファン宰相が眼鏡を上げ、鋭く質問した。
「ハーリオン侯爵は年に数回、ビルクール通商組合の集会に参加している。彼が参加できない時は、家族の誰かが。それ以外にも、養子のハロルドが頻繁にビルクールを訪れていたという証言があります。これはもう間違いがないでしょう」
胸を張って得意げに息を吐き、エンウィ魔導師団長はゆっくりと自席に着いた。
「ハロルドか……彼はどうしている?」
「牢に入れておりますが」
「相変わらず、自分が全ての罪を被ると言っているのかな?」
国王は宰相に顔を近づけて囁いた。宰相は短く頷いた。
「そうか……。あのことは言ったの?例の、髪の毛の……」
「いや、まだだが……」
「教えてあげるべきだ。特に、マリナが亡くなったという話は」
宰相は視線だけで国王の意図を汲んだ。エンウィや他の貴族達があれやこれやと話している横で、控えていた兵士を手招きした。
0
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
【完結】死がふたりを分かつとも
杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」
私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。
ああ、やった。
とうとうやり遂げた。
これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。
私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。
自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。
彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。
それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。
やれるかどうか何とも言えない。
だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。
だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺!
◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。
詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。
◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。
1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。
◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます!
◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる