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閑話 聖杯の行方
聖杯の行方 12
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「ベストカップルコンテストのお題は、これ!」
司会者が掲げたのは、町の特産のソーセージだった。
「……早食い?」
「早食いは不得手だが、……お前と一緒なら何でも頑張れる」
――くぅ。こんなところで無駄に甘い囁きを……!
隣に密着している黒ローブの怪しい魔導士をチラ見しつつ、エミリーは低音ボイスに痺れた。ゲームではなかなか甘々モードにならず、そっけない対応ばかりだったマシューが、自分だけを見て自分だけに甘い言葉をくれる。膝に力が入らない。
「知っているか。優勝の賞品は、リュンネ草一年分だぞ」
「リュンネ草?一年分って……」
リュンネ草とは、様々な魔法薬に欠かせない材料である。混合すると効果を打ち消し合ってしまう二つの材料を、その効果を維持したまま混ぜ合わせるのに使う。この地方ではスパイスとして料理に用いることがあり普通に畑で栽培されているが、生のままでなければ薬効が十分に出ないため、王都では手に入りにくい品だった。魔法薬を研究している二人には、賞品はとても魅力的だ。
「……優勝したら、山分け?」
何も言わずにこちらを見て微笑む。マシューには聞こえているのかいないのか、ただ蕩けたような顔が気になる。
突然、ファンファーレが鳴った。
「皆さん、ご注目!ご覧ください、特産のリュンネ草入りのソーセージです。職人が作り上げた、ながぁーい特製ソーセージを両側から食べていただきます。一番先に食べ終わった二人が優勝です!」
――ちょっと待った!
他のカップルがきゃあきゃあはしゃぐ横で、大問題発生のエミリーはトーテムポールのように固まった。
「どうした?」
「どうした、って……両側から食べて……最後は……」
マシューは軽く首を振り、赤と黒の瞳を細めた。
「……問題ないだろう?」
「勘弁して」
何もかも、エミリーの心でさえ、この男は見透かしているような気がする。魔力だけではない。年齢差のせいでもない。永遠に勝てないような気さえしてくる。
「これこれ、皆さん。お題を聞いてからやめるのはなしですよ?はい、全員に配られましたね」
二人の前に大皿に乗った長いソーセージが置かれた。
――もう、逃げられない!
長い帽子を被った派手な眼鏡の魔導士と向かい合い、エミリーはソーセージの端を口に入れた。
◆◆◆
「消えた……?」
「俺も、消えたみたいに見えた」
「だよね。やっぱ、消えたよね?あの人。うわー、何、オバケ?」
「変なこと言うなよ。俺、怖い話は……」
オバケのふりをして脅かすジュリアの垂らした手首を掴み、アレックスは真剣な瞳で見つめた。
「なあ、さっきの……宝物の話……本当か?」
「本当だよ」
「おま……そんな、さらっと言うな」
アレックスは真っ赤になって顔を手で覆った。
「みーんな大事なんだもの。寄越せって言われてもねえ。……あ、アレックスがどうしても残りたいって言うなら……」
「誰が言うかよ。っつか、さっきの神官、神殿の神様か何かか?聖杯を手に入れるチャンスをふいにしちまったな」
「仕方ないよ。アレックスはハズレくじ引いたし、用もないから帰……」
来た道を振り返ると、猛スピードで走ってくる一団がいた。町の屈強な若者達に混じって、王太子の側近の姿がある。
「レ、レイモンドさん?!?」
「レイモンドがあんな必死になってる姿、初めて見たかも。しかも、あの眼鏡!確か殿下がしてたやつじゃん」
ぷっ、と笑いながら、ジュリアは傍観者を決め込んだ。どんなに急いでも、行く先には聖杯はないのだから。
「……おい、ジュリア!あれ」
肩を叩かれて神殿を見上げると、崖に一本のロープが垂れ下がっていた。
「あんなのあったか?」
レイモンドと町の若者達がロープに群がって端を取り合い、掴んだ者が次々に代わっていく。
「何もなかったから神殿に向かって叫んだんでしょ。……どういうこと?」
見ていると神殿の入口から、テーブルを運び出す神官の姿が見えた。神官四人で、遠目にも豪華な装飾がされていると分かる四足の台を崖側ぎりぎりのところへと動かしている。その台の上には、日光を浴びて輝く金色の物体がある。
「おい、せ、聖杯じゃ……」
先刻の謎のオバケとのやり取りは何だったのか。ジュリアは呆気にとられた。すぐにアレックスの袖を掴み、
「行くよ!こうしちゃいられない!」
と全速力で崖に向かった。
◆◆◆
「どうしようマリナちゃん。もう、短くなってる」
エミリーとマシューが食べていたソーセージが残り少なくなり、二人の顔が近づいているのを見て、アリッサは頬に手を当てて赤くなった。
「このままじゃ、み、皆の前で……き、キスしちゃうよぉ」
「そういうイベントなのよ。ほら、見ている町の皆も、キスを期待しているのよ」
「きゃ、は、恥ずかしいぃ」
「私だって妹のキス現場なんか、別に見たくないわよ。賞品が魔法薬に使う草らしいから、張り切っているんでしょうよ。ねえ、アリッサ……」
向こうで待っていましょう、と妹に呼びかけようとした瞬間、人ごみの向こうから凛とした声が聞こえた。
「町の皆さん!僕の話を聞いてください!」
――あの声、セドリック様?
はっと振り返ると、町の広場に集まっていた人々が円を描いて何かに注目していた。円の中心には両手を挙げて足を踏ん張ったセドリックが立っている。
「王太子様?」
「何を始めるつもりかしら?聖杯を取りに行ったと思っていたのに」
「レイ様は一緒じゃないのね……」
言われて気づいたが、いつも一緒の側近の姿はない。ジュリア達も戻っていないことを考えると、セドリックが途中棄権して戻ったと考えるのが妥当だろう。
「皆さんにお知らせがあります!これから言うことをよく聞いてください。それと、知り合いに教えて広めてください!」
――嫌な予感。
セドリックがやる気を出している時は、十中八九マリナに好印象を持たれようとしている時だ。何が始まるのか、マリナは諦めの境地で眺めた。
「皆さんの飲み水の水源、山頂近くの泉が、何かで汚染されています。町の若者が倒れています。彼らを助けてください。そして、水を飲まないでください!」
シン、と静まった町の広場に、すぐにざわめきが戻った。
「水を飲むなって……どうすりゃいいんだよ」
「困ったわ。あの泉の水がどこを通っているかなんて分からないし、地下水に流れ込むのを止めようがないじゃない」
セドリックは町の人々の間を通り、祭りの舞台へ上がった。ソーセージを食べていたベストカップルコンテストの出場者達は、口を開けて彼を見た。エミリーがソーセージから口を離すと、マシューが恨めしそうな視線を向ける。
「……何よ」
残り十センチほどを食べきり、飲み込んでから大きく息を吐く。一気食いなどしたことはないだろうから、彼にとっても厳しい挑戦だっただろう。
「……残念だ。ところで、エミリー。リュンネ草で作る万能薬と言えば何だ?」
赤い瞳が魔力を帯びて輝く。いつの間にか、マシューは指導者の顔に戻っていた。
司会者が掲げたのは、町の特産のソーセージだった。
「……早食い?」
「早食いは不得手だが、……お前と一緒なら何でも頑張れる」
――くぅ。こんなところで無駄に甘い囁きを……!
隣に密着している黒ローブの怪しい魔導士をチラ見しつつ、エミリーは低音ボイスに痺れた。ゲームではなかなか甘々モードにならず、そっけない対応ばかりだったマシューが、自分だけを見て自分だけに甘い言葉をくれる。膝に力が入らない。
「知っているか。優勝の賞品は、リュンネ草一年分だぞ」
「リュンネ草?一年分って……」
リュンネ草とは、様々な魔法薬に欠かせない材料である。混合すると効果を打ち消し合ってしまう二つの材料を、その効果を維持したまま混ぜ合わせるのに使う。この地方ではスパイスとして料理に用いることがあり普通に畑で栽培されているが、生のままでなければ薬効が十分に出ないため、王都では手に入りにくい品だった。魔法薬を研究している二人には、賞品はとても魅力的だ。
「……優勝したら、山分け?」
何も言わずにこちらを見て微笑む。マシューには聞こえているのかいないのか、ただ蕩けたような顔が気になる。
突然、ファンファーレが鳴った。
「皆さん、ご注目!ご覧ください、特産のリュンネ草入りのソーセージです。職人が作り上げた、ながぁーい特製ソーセージを両側から食べていただきます。一番先に食べ終わった二人が優勝です!」
――ちょっと待った!
他のカップルがきゃあきゃあはしゃぐ横で、大問題発生のエミリーはトーテムポールのように固まった。
「どうした?」
「どうした、って……両側から食べて……最後は……」
マシューは軽く首を振り、赤と黒の瞳を細めた。
「……問題ないだろう?」
「勘弁して」
何もかも、エミリーの心でさえ、この男は見透かしているような気がする。魔力だけではない。年齢差のせいでもない。永遠に勝てないような気さえしてくる。
「これこれ、皆さん。お題を聞いてからやめるのはなしですよ?はい、全員に配られましたね」
二人の前に大皿に乗った長いソーセージが置かれた。
――もう、逃げられない!
長い帽子を被った派手な眼鏡の魔導士と向かい合い、エミリーはソーセージの端を口に入れた。
◆◆◆
「消えた……?」
「俺も、消えたみたいに見えた」
「だよね。やっぱ、消えたよね?あの人。うわー、何、オバケ?」
「変なこと言うなよ。俺、怖い話は……」
オバケのふりをして脅かすジュリアの垂らした手首を掴み、アレックスは真剣な瞳で見つめた。
「なあ、さっきの……宝物の話……本当か?」
「本当だよ」
「おま……そんな、さらっと言うな」
アレックスは真っ赤になって顔を手で覆った。
「みーんな大事なんだもの。寄越せって言われてもねえ。……あ、アレックスがどうしても残りたいって言うなら……」
「誰が言うかよ。っつか、さっきの神官、神殿の神様か何かか?聖杯を手に入れるチャンスをふいにしちまったな」
「仕方ないよ。アレックスはハズレくじ引いたし、用もないから帰……」
来た道を振り返ると、猛スピードで走ってくる一団がいた。町の屈強な若者達に混じって、王太子の側近の姿がある。
「レ、レイモンドさん?!?」
「レイモンドがあんな必死になってる姿、初めて見たかも。しかも、あの眼鏡!確か殿下がしてたやつじゃん」
ぷっ、と笑いながら、ジュリアは傍観者を決め込んだ。どんなに急いでも、行く先には聖杯はないのだから。
「……おい、ジュリア!あれ」
肩を叩かれて神殿を見上げると、崖に一本のロープが垂れ下がっていた。
「あんなのあったか?」
レイモンドと町の若者達がロープに群がって端を取り合い、掴んだ者が次々に代わっていく。
「何もなかったから神殿に向かって叫んだんでしょ。……どういうこと?」
見ていると神殿の入口から、テーブルを運び出す神官の姿が見えた。神官四人で、遠目にも豪華な装飾がされていると分かる四足の台を崖側ぎりぎりのところへと動かしている。その台の上には、日光を浴びて輝く金色の物体がある。
「おい、せ、聖杯じゃ……」
先刻の謎のオバケとのやり取りは何だったのか。ジュリアは呆気にとられた。すぐにアレックスの袖を掴み、
「行くよ!こうしちゃいられない!」
と全速力で崖に向かった。
◆◆◆
「どうしようマリナちゃん。もう、短くなってる」
エミリーとマシューが食べていたソーセージが残り少なくなり、二人の顔が近づいているのを見て、アリッサは頬に手を当てて赤くなった。
「このままじゃ、み、皆の前で……き、キスしちゃうよぉ」
「そういうイベントなのよ。ほら、見ている町の皆も、キスを期待しているのよ」
「きゃ、は、恥ずかしいぃ」
「私だって妹のキス現場なんか、別に見たくないわよ。賞品が魔法薬に使う草らしいから、張り切っているんでしょうよ。ねえ、アリッサ……」
向こうで待っていましょう、と妹に呼びかけようとした瞬間、人ごみの向こうから凛とした声が聞こえた。
「町の皆さん!僕の話を聞いてください!」
――あの声、セドリック様?
はっと振り返ると、町の広場に集まっていた人々が円を描いて何かに注目していた。円の中心には両手を挙げて足を踏ん張ったセドリックが立っている。
「王太子様?」
「何を始めるつもりかしら?聖杯を取りに行ったと思っていたのに」
「レイ様は一緒じゃないのね……」
言われて気づいたが、いつも一緒の側近の姿はない。ジュリア達も戻っていないことを考えると、セドリックが途中棄権して戻ったと考えるのが妥当だろう。
「皆さんにお知らせがあります!これから言うことをよく聞いてください。それと、知り合いに教えて広めてください!」
――嫌な予感。
セドリックがやる気を出している時は、十中八九マリナに好印象を持たれようとしている時だ。何が始まるのか、マリナは諦めの境地で眺めた。
「皆さんの飲み水の水源、山頂近くの泉が、何かで汚染されています。町の若者が倒れています。彼らを助けてください。そして、水を飲まないでください!」
シン、と静まった町の広場に、すぐにざわめきが戻った。
「水を飲むなって……どうすりゃいいんだよ」
「困ったわ。あの泉の水がどこを通っているかなんて分からないし、地下水に流れ込むのを止めようがないじゃない」
セドリックは町の人々の間を通り、祭りの舞台へ上がった。ソーセージを食べていたベストカップルコンテストの出場者達は、口を開けて彼を見た。エミリーがソーセージから口を離すと、マシューが恨めしそうな視線を向ける。
「……何よ」
残り十センチほどを食べきり、飲み込んでから大きく息を吐く。一気食いなどしたことはないだろうから、彼にとっても厳しい挑戦だっただろう。
「……残念だ。ところで、エミリー。リュンネ草で作る万能薬と言えば何だ?」
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