780 / 794
閑話 王子様はお菓子泥棒
9(終)
しおりを挟む
「……土下座百回」
「ごめんってば、エミリー!もう、勝手に借りたりしないって」
女子寮の部屋で、ジュリアは床に這いつくばった。マリナが腕を引いて立たせる。
「やりすぎよ、エミリー。ジュリアだって反省しているんだから、今回は許してあげて?」
「……マリナのその台詞、毎週聞いてる」
「……」
違うと言い返せないところが痛い。ジュリアが問題を起こすのは毎度のことであり、マリナが庇いきれない事態になることもしばしばだ。エミリーが怒るのも無理はない。
「制服は見つかったんだし、よかったよね、ね?」
アリッサがエミリーの服を引っ張り、上目づかいで縋るように見る。冷たく撥ねつければ泣き出してしまいそうな瞳だ。エミリーは深いため息をついた。
「……分かった。次やったら、水責めにするから」
「水責め……」
「顔の周りを水魔法で囲む」
「息できないじゃん!」
「じゃあ、火責め?」
「どっちもやだ!……ってか、不機嫌すぎない?」
ジュリアは自分が帰って来た時のことを思い返した。エミリーはリリーに髪を乾かしてもらっていた気がする。
「あの最悪な体操着で帰って来たの。マシューの水魔法でびちゃびちゃの」
「だから魔法科に戻って来なかったんだ。体操着を持って戻ったら、教室に誰もいなくなっててさ。仕方がないから、アリッサと一緒に寮に戻って……マシューと喧嘩でもした?」
「……言いたくない」
「マリナちゃんは帰るの早かったよね」
「ええ。昼休みの様子を見たら、悪い予感がしたものだから。早く帰るに越したことはないでしょう?」
「あー、殿下のハロウィンコスプレね。マシューがキースを疑ってるとこに、アレックスも来たからちょっと話したんだけど、殿下はやっぱ、マリナの寝こみを襲うらしいよ?」
「はあ……嘘であってほしかったわ」
「結界、強化するか……」
すぐにでも魔法をかけたいが、エミリーの魔力は十分に回復していない。マシューに怒った時にもそれなりの量を放出してしまった。
「女子寮に入ったら、王太子様でもすごく怒られるんじゃないかなあ?」
「入口から入って来れないでしょ。窓から入ってくる勇気はないと思う。大丈夫だって」
「……他人事だと思って」
腕組みをしてマリナは唇を尖らせた。
◆◆◆
「んんー、こうかな?」
黒い帽子を目深に被り直し、黒いマントの結び目を身体の中心に合わせる。セドリックは満足して頷いた。
「完璧だ!」
「……昼間の扮装か。まだ諦めていなかったのか?」
後ろから冷たい声を浴びせられる。振り返ると、不機嫌さを隠そうともしない再従兄が眉間に皺を寄せていた。
「あれ、レイ、いつの間に入って来たの?」
「かなり前だ。侍従がお前に呼びかけただろう?」
「そうだった?全然気づかなかったよ」
「鏡を見てニヤニヤしていたからな。王になる者として自分を卑下しないのは当然だが、自己陶酔もほどほどにしておけ。マリナに嫌われるぞ」
「なっ……」
帽子を取りまた直そうとしていたセドリックは、ビクンと震えて帽子を落とした。
「怪盗ごっこはやめておけ。あれはジュリアの狂言だ」
「狂言?」
「怪盗なんて初めからいなかった。女子寮に乗りこもうなどと、馬鹿なことは考えるな。いいな?」
アレックスに話した妄想がレイモンドに筒抜けだったと知り、王太子はがっくりと肩を落とした。
◆◆◆
「エミリーちゃん、まだ寝ないの?」
「……アリッサこそ。その本、何冊目?」
四姉妹の寝室では、自ら寝ずの番を買って出た二人が、外のフクロウの声に耳を欹てていた。
「……来ない、みたいね?」
「うん。もう遅いし、王太子様もお休みになったんじゃないかなあ?」
「一応、部屋の外と中には結界を張ったし、罠も仕掛けた」
「本当に?全然分からないよぉ」
「簡単に分かってたまるかっての。……私の罠より……」
エミリーは窓の外を見やった。気のせいではない。魔力の気配が濃くなっている。
「どうしたの?」
「ううん。……寝よ、アリッサ」
「そうだね。おやすみ」
アリッサが読みかけの本にしおりを挟んで閉じたのと、外から絶叫が聞こえたのは同時だった。
「……その本、閉じると叫ぶの?」
「違うよぉ。い、今の声、何!?」
断末魔の叫びにも似た、男性の声だ。アリッサはガタガタと震えて、エミリーの腕にしがみついた。
「心配はいらないから、寝よう」
「寝る!?あ、あ、ああ、あれ、怖くないの?」
「……ん。だいたい想像はついたから、別に」
しがみつくアリッサを引きずるようにして窓に近づく。姉はすっかり怯えて腰が引けている。
「え、エミリーちゃん、こ、怖い……」
ぽん。
肩を叩かれ、アリッサは悲鳴を上げて白目をむいた。
「あれ?ちょ、アリッサ、大丈夫?」
「……あんたが脅かしたからでしょ」
倒れこんできた妹を抱き留めて、ジュリアはおろおろと頭を振った。
「今の悲鳴、聞いた?」
「目覚まし四つ使っても起きないジュリアが起きたくらいだから、気づかないわけがないでしょう?」
ガウンを羽織ったマリナが続く。
「エミリーは起きていたのね」
「……結界張ってた。さっきのは、私の罠にかかったのとは違う」
「そうなの?」
「罠は部屋の周りだけだから。声は外……ああ、やっぱり」
夜の闇ではっきりとは見えないが、女子寮の裏の通用口の近くに人の背丈よりやや浅い大穴が開いている。誰かがそこから這い上がろうともがいているのが見える。
「大変。誰かん家の使用人じゃない?」
「黒ずくめよ?不審者に決まっているわ」
「……穴に落ち、頭から水を被ったか。まあ、鎌鼬で斬られたり、雷で黒焦げにならなかっただけマシ」
にやりと笑って、エミリーはベッドに向かった。マシューがやったにしては、温い魔法だと思う。誰が罠にかかっても酷い怪我をしないように、手加減をしたに違いない。
「助けに行ってあげたら?マリナ」
「あれ、殿下みたいだよ?……侍従さん達が来た。ほらほら、見て」
「行かなくてもいいみたいね」
マリナは部屋の窓を少し開けて、下の様子に目を凝らした。
「――マリナ!!」
セドリックの声が響く。一階の部屋の窓から漏れた灯りが、彼の姿をぼんやりと照らした。
「怪我してない?変な奴、怪盗とか、来ていないよね!?」
こちらに向かって、穴の中から必死に呼びかけている。酷い状況になっているのは自分なのに、彼は自分の身を案じているのだ。マリナは助けに行かないと決めたことを少し後悔した。
「……大丈夫、です」
「そうか。それならよかった。……おやすみ。温かくして寝るんだよ!」
「……おやすみなさい」
そっと窓を閉じ、マリナは俯いて一言も話さなかった。何事かと見守る妹達を振り返らず、リリーのいる使用人部屋へ入り、戻って来るとガウン姿のまま部屋を出て行った。
しばらくして、マリナが湿った髪と泥だらけになったガウンで戻って来た時は、三人の妹達はベッドの中で起きていたが、何をしてきたのか聞くのは野暮なので、気を遣って寝たふりをしてあげたのだった。
「ごめんってば、エミリー!もう、勝手に借りたりしないって」
女子寮の部屋で、ジュリアは床に這いつくばった。マリナが腕を引いて立たせる。
「やりすぎよ、エミリー。ジュリアだって反省しているんだから、今回は許してあげて?」
「……マリナのその台詞、毎週聞いてる」
「……」
違うと言い返せないところが痛い。ジュリアが問題を起こすのは毎度のことであり、マリナが庇いきれない事態になることもしばしばだ。エミリーが怒るのも無理はない。
「制服は見つかったんだし、よかったよね、ね?」
アリッサがエミリーの服を引っ張り、上目づかいで縋るように見る。冷たく撥ねつければ泣き出してしまいそうな瞳だ。エミリーは深いため息をついた。
「……分かった。次やったら、水責めにするから」
「水責め……」
「顔の周りを水魔法で囲む」
「息できないじゃん!」
「じゃあ、火責め?」
「どっちもやだ!……ってか、不機嫌すぎない?」
ジュリアは自分が帰って来た時のことを思い返した。エミリーはリリーに髪を乾かしてもらっていた気がする。
「あの最悪な体操着で帰って来たの。マシューの水魔法でびちゃびちゃの」
「だから魔法科に戻って来なかったんだ。体操着を持って戻ったら、教室に誰もいなくなっててさ。仕方がないから、アリッサと一緒に寮に戻って……マシューと喧嘩でもした?」
「……言いたくない」
「マリナちゃんは帰るの早かったよね」
「ええ。昼休みの様子を見たら、悪い予感がしたものだから。早く帰るに越したことはないでしょう?」
「あー、殿下のハロウィンコスプレね。マシューがキースを疑ってるとこに、アレックスも来たからちょっと話したんだけど、殿下はやっぱ、マリナの寝こみを襲うらしいよ?」
「はあ……嘘であってほしかったわ」
「結界、強化するか……」
すぐにでも魔法をかけたいが、エミリーの魔力は十分に回復していない。マシューに怒った時にもそれなりの量を放出してしまった。
「女子寮に入ったら、王太子様でもすごく怒られるんじゃないかなあ?」
「入口から入って来れないでしょ。窓から入ってくる勇気はないと思う。大丈夫だって」
「……他人事だと思って」
腕組みをしてマリナは唇を尖らせた。
◆◆◆
「んんー、こうかな?」
黒い帽子を目深に被り直し、黒いマントの結び目を身体の中心に合わせる。セドリックは満足して頷いた。
「完璧だ!」
「……昼間の扮装か。まだ諦めていなかったのか?」
後ろから冷たい声を浴びせられる。振り返ると、不機嫌さを隠そうともしない再従兄が眉間に皺を寄せていた。
「あれ、レイ、いつの間に入って来たの?」
「かなり前だ。侍従がお前に呼びかけただろう?」
「そうだった?全然気づかなかったよ」
「鏡を見てニヤニヤしていたからな。王になる者として自分を卑下しないのは当然だが、自己陶酔もほどほどにしておけ。マリナに嫌われるぞ」
「なっ……」
帽子を取りまた直そうとしていたセドリックは、ビクンと震えて帽子を落とした。
「怪盗ごっこはやめておけ。あれはジュリアの狂言だ」
「狂言?」
「怪盗なんて初めからいなかった。女子寮に乗りこもうなどと、馬鹿なことは考えるな。いいな?」
アレックスに話した妄想がレイモンドに筒抜けだったと知り、王太子はがっくりと肩を落とした。
◆◆◆
「エミリーちゃん、まだ寝ないの?」
「……アリッサこそ。その本、何冊目?」
四姉妹の寝室では、自ら寝ずの番を買って出た二人が、外のフクロウの声に耳を欹てていた。
「……来ない、みたいね?」
「うん。もう遅いし、王太子様もお休みになったんじゃないかなあ?」
「一応、部屋の外と中には結界を張ったし、罠も仕掛けた」
「本当に?全然分からないよぉ」
「簡単に分かってたまるかっての。……私の罠より……」
エミリーは窓の外を見やった。気のせいではない。魔力の気配が濃くなっている。
「どうしたの?」
「ううん。……寝よ、アリッサ」
「そうだね。おやすみ」
アリッサが読みかけの本にしおりを挟んで閉じたのと、外から絶叫が聞こえたのは同時だった。
「……その本、閉じると叫ぶの?」
「違うよぉ。い、今の声、何!?」
断末魔の叫びにも似た、男性の声だ。アリッサはガタガタと震えて、エミリーの腕にしがみついた。
「心配はいらないから、寝よう」
「寝る!?あ、あ、ああ、あれ、怖くないの?」
「……ん。だいたい想像はついたから、別に」
しがみつくアリッサを引きずるようにして窓に近づく。姉はすっかり怯えて腰が引けている。
「え、エミリーちゃん、こ、怖い……」
ぽん。
肩を叩かれ、アリッサは悲鳴を上げて白目をむいた。
「あれ?ちょ、アリッサ、大丈夫?」
「……あんたが脅かしたからでしょ」
倒れこんできた妹を抱き留めて、ジュリアはおろおろと頭を振った。
「今の悲鳴、聞いた?」
「目覚まし四つ使っても起きないジュリアが起きたくらいだから、気づかないわけがないでしょう?」
ガウンを羽織ったマリナが続く。
「エミリーは起きていたのね」
「……結界張ってた。さっきのは、私の罠にかかったのとは違う」
「そうなの?」
「罠は部屋の周りだけだから。声は外……ああ、やっぱり」
夜の闇ではっきりとは見えないが、女子寮の裏の通用口の近くに人の背丈よりやや浅い大穴が開いている。誰かがそこから這い上がろうともがいているのが見える。
「大変。誰かん家の使用人じゃない?」
「黒ずくめよ?不審者に決まっているわ」
「……穴に落ち、頭から水を被ったか。まあ、鎌鼬で斬られたり、雷で黒焦げにならなかっただけマシ」
にやりと笑って、エミリーはベッドに向かった。マシューがやったにしては、温い魔法だと思う。誰が罠にかかっても酷い怪我をしないように、手加減をしたに違いない。
「助けに行ってあげたら?マリナ」
「あれ、殿下みたいだよ?……侍従さん達が来た。ほらほら、見て」
「行かなくてもいいみたいね」
マリナは部屋の窓を少し開けて、下の様子に目を凝らした。
「――マリナ!!」
セドリックの声が響く。一階の部屋の窓から漏れた灯りが、彼の姿をぼんやりと照らした。
「怪我してない?変な奴、怪盗とか、来ていないよね!?」
こちらに向かって、穴の中から必死に呼びかけている。酷い状況になっているのは自分なのに、彼は自分の身を案じているのだ。マリナは助けに行かないと決めたことを少し後悔した。
「……大丈夫、です」
「そうか。それならよかった。……おやすみ。温かくして寝るんだよ!」
「……おやすみなさい」
そっと窓を閉じ、マリナは俯いて一言も話さなかった。何事かと見守る妹達を振り返らず、リリーのいる使用人部屋へ入り、戻って来るとガウン姿のまま部屋を出て行った。
しばらくして、マリナが湿った髪と泥だらけになったガウンで戻って来た時は、三人の妹達はベッドの中で起きていたが、何をしてきたのか聞くのは野暮なので、気を遣って寝たふりをしてあげたのだった。
0
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
【完結】死がふたりを分かつとも
杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」
私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。
ああ、やった。
とうとうやり遂げた。
これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。
私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。
自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。
彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。
それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。
やれるかどうか何とも言えない。
だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。
だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺!
◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。
詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。
◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。
1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。
◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます!
◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる