777 / 794
閑話 王子様はお菓子泥棒
6
しおりを挟む
「……恥ずかしいです」
俯いて頬を赤らめ、アリッサは膝に抱えたバスケットに視線を落とした。
「気にするな。ここは庭園の外れだ。誰も来ないぞ」
「でも……レイ様、私と仲良くしているのを、他の方に見られたくないんですよね?」
「だから、他の生徒は通らないと言っているだろう?……それで、何を用意してくれたんだ?ケーキか、クッキーか……」
ドキン。
アリッサはいよいよだと身を堅くした。
「ケーキは……作り直す時間がなくて。焼き菓子が少しだけ」
「ほう」
「あ、あのっ、ご、ごめんなさいっ!!」
ぺこりと頭を下げる。銀の髪がさらりと落ち、姿勢を戻してもリボンが曲がったままだ。レイモンドは笑い声を押し殺し、アリッサのリボンを直してやった。
「謝る必要はない。……不足している分、君が」
「私が?」
「……俺に悪戯をされれば済む話だ」
――!!
ハロウィーンを模したイベントなのだから当然だ。アリッサは一瞬血の気が引き、すぐに真っ赤になった。耳の奥でドクンドクンと心臓が音を立てている気がした。
「悪戯って……」
レイモンドの長い指がアリッサの顔に向かって伸ばされ、冷たい指先が頬に触れた。
「……っ!」
「怯えるな」
視線が絡み、眼鏡の奥の緑の瞳に心を囚われる。
――逃げられない!
元より逃げるつもりなどないのだ。アリッサは喜んで蛇に睨まれた蛙になった。
◆◆◆
「こんな時に限って!」
自分にしては長距離を歩いてきたと思っていたエミリーは、魔法科教官室のドアを足蹴にした。マシューは不在で、入口の罠の存在を失念していたために、思いっきり引っかかってしまったのだ。今回は捕縛されず、どこから現れたのか分からない大きな水の塊を頭から浴びせられた。
――加減しなさいよ!あの魔法馬鹿!
一刻も早く着替えたい体操着は、水に濡れてさらに不快なものになっている。エミリーは濡れ鼠のまま部屋に入り、マシューのローブが落ちていないか長椅子を見た。
「……スペアくらい置いて行ってもいいのに。ケチ」
令嬢であることを忘れ、しっかりと舌打ちをした瞬間、背後から強い魔力の気配がした。
「……エミリー?何故、ここに?」
振り返るとそこには、部屋の主である黒ずくめの六属性持ち魔導士が立っていた。所用で出かけていて、転移魔法で戻って来たらしい。
「ローブを貸していただけませんか、コーノック先生?」
「……断る」
「たくさんあるって言ったくせに」
「今日は貸せない」
マシューは俯きがちに、悔しそうに呟いた。
――まさか、もうアイリーンに?
教室を出た段階では、アイリーンはローブを手にしていたようには見えなかった。
「……」
「お前に言われて、ローブを点検した。どれも綻びが見つかって、魔法防御も落ちていた。魔導具屋に修理に出している」
実行力があるのかないのか、何もすぐに取り掛からなくてもいいではないかと、エミリーはげんなりした。
「……ご覧の通り、先生の魔法で全身ずぶ濡れなんですが?」
「申し訳なかったと思っている。先生方から、捕縛はやりすぎだと言われて」
だからと言って、水を浴びせるのが適切だとは思えない。魔法の研究以外ではからっきしの男である。
「……責任」
「え?」
「責任を取ってください」
「せ、っせキにんン!?」
明らかに動揺し、マシューの声が裏返る。落ち着き払った低い声が上ずったことに自分でも驚いたのか、転びそうになって机の角に背中をぶつけた。
「誰かに見られたのか?」
「何を?」
「その姿を、誰かに……」
「分かりません。見られたかもしれないし、見られてないかも……」
「……そう、だ、な。よく分からないが……貴族令嬢は……」
「?」
ローブを貸してもらえれば、濡れた体操着のままでも寮に帰れる。それだけのことなのに、何を考えているのか。赤くなったり青くなったりしながら、一人でぶつぶつと呟いている。
「確かに、俺の魔法で君が……恥を……」
「??」
「人前で恥をかき、け、結婚でき、なく、なったのだから……」
「???」
「責任、を取ろう」
――何言ってるのかさっぱりだわ。
エミリーの首が九十度に傾いた。表情は相変わらず人形のようだ。
「じゃあ、魔法で乾かして。……それと、ローブ……の代わりになるものを貸して」
「制服はどうしたんだ?」
「……なくなった」
「何ぃ!?」
「練習場を掃除してる間に」
「もしかして……盗まれたのか?」
「さあ?アイリーンは制服が盗まれたって騒いでたけど」
「噴水で洗濯して忘れていったのだろう?フィービー先生が見つけて、魔法科の先生方が綺麗にして返すことになった」
「……ふうん」
――アイリーンの自作自演は失敗したわけか。だったら、私の制服がないのはどうして?
「エミリー」
「何?」
「……その……言いにくいんだが、体操着を乾かしたい」
「そうね」
「一度、ぬ、脱いでもらえないか?完全に乾かすには……ぉぶうっ!」
顔面にクッションの直撃を受け、マシューは長椅子に倒れた。
「……だったらいい。濡れたままで帰るから!」
◆◆◆
「おーい。キースぅ、ねえねえ」
魔法科一年の教室の前で、ジュリアは手をひらひらさせて、中にいる数少ない知り合いに呼びかけた。
「どうしたんですか、ジュリアさん」
「あのさー、エミリーは?」
「エミリーさんは、どこかに行ってしまいました。体操着を着替えなくてはならないのに」
「そっかー、体操着……あっ!」
手に持っていた袋はどこにやってしまったのか。ジュリアは頭を抱えて叫んだ。
「やっば、どっかに忘れてきちゃった!」
「体操着を、ですか?」
キースは腕組みをして首を傾けた。
「違う。体操着入れに入ってた制服!エミリーのを持ち出したら、中に体操着がなくて」
「練習場の掃除でしたから。……うーん、エミリーさんは制服を探しに行ったんですかねえ」
「多分そう。エミリーが来たら謝っておいて!私、必ず見つけて持ち帰るから!」
キースの二の腕を掴んでガクガクと揺さぶる。アレックスに比べて細身の彼は、ジュリアの勢いに完全に負けている。
「ちょっとごめんなさいね」
ジュリアの背後にいい香りのする人物が立った。カツンと鳴ったハイヒールの音が、否応なしにクラス全員の注目を集める。
「フィービー先生?」
「何だろう?」
先生は教室の中に入り、制服がなくなったと一人芝居を始めているアイリーンの傍へ歩いて行った。
「シェリンズさん。噴水に制服を置きっぱなしにしてはいけないわよ?噴水で洗濯をするのは、ダーメ。分かった?」
アイリーンは絶句し、フィービー先生を睨んだ。生徒達がひそひそと「やっぱり」「自作自演か」と囁き合っている。
「制服は魔法科の先生方が綺麗にしてくださったのよ?メーガン先生にお礼を言ってね」
それじゃ、と先生は優雅に立ち去り、床に座り込んだアイリーンが残された。
「……くぅううううっ!」
制服が入った紙袋をグシャグシャに握り、可憐なヒロインはとびきり邪悪な表情で歯ぎしりをした。
俯いて頬を赤らめ、アリッサは膝に抱えたバスケットに視線を落とした。
「気にするな。ここは庭園の外れだ。誰も来ないぞ」
「でも……レイ様、私と仲良くしているのを、他の方に見られたくないんですよね?」
「だから、他の生徒は通らないと言っているだろう?……それで、何を用意してくれたんだ?ケーキか、クッキーか……」
ドキン。
アリッサはいよいよだと身を堅くした。
「ケーキは……作り直す時間がなくて。焼き菓子が少しだけ」
「ほう」
「あ、あのっ、ご、ごめんなさいっ!!」
ぺこりと頭を下げる。銀の髪がさらりと落ち、姿勢を戻してもリボンが曲がったままだ。レイモンドは笑い声を押し殺し、アリッサのリボンを直してやった。
「謝る必要はない。……不足している分、君が」
「私が?」
「……俺に悪戯をされれば済む話だ」
――!!
ハロウィーンを模したイベントなのだから当然だ。アリッサは一瞬血の気が引き、すぐに真っ赤になった。耳の奥でドクンドクンと心臓が音を立てている気がした。
「悪戯って……」
レイモンドの長い指がアリッサの顔に向かって伸ばされ、冷たい指先が頬に触れた。
「……っ!」
「怯えるな」
視線が絡み、眼鏡の奥の緑の瞳に心を囚われる。
――逃げられない!
元より逃げるつもりなどないのだ。アリッサは喜んで蛇に睨まれた蛙になった。
◆◆◆
「こんな時に限って!」
自分にしては長距離を歩いてきたと思っていたエミリーは、魔法科教官室のドアを足蹴にした。マシューは不在で、入口の罠の存在を失念していたために、思いっきり引っかかってしまったのだ。今回は捕縛されず、どこから現れたのか分からない大きな水の塊を頭から浴びせられた。
――加減しなさいよ!あの魔法馬鹿!
一刻も早く着替えたい体操着は、水に濡れてさらに不快なものになっている。エミリーは濡れ鼠のまま部屋に入り、マシューのローブが落ちていないか長椅子を見た。
「……スペアくらい置いて行ってもいいのに。ケチ」
令嬢であることを忘れ、しっかりと舌打ちをした瞬間、背後から強い魔力の気配がした。
「……エミリー?何故、ここに?」
振り返るとそこには、部屋の主である黒ずくめの六属性持ち魔導士が立っていた。所用で出かけていて、転移魔法で戻って来たらしい。
「ローブを貸していただけませんか、コーノック先生?」
「……断る」
「たくさんあるって言ったくせに」
「今日は貸せない」
マシューは俯きがちに、悔しそうに呟いた。
――まさか、もうアイリーンに?
教室を出た段階では、アイリーンはローブを手にしていたようには見えなかった。
「……」
「お前に言われて、ローブを点検した。どれも綻びが見つかって、魔法防御も落ちていた。魔導具屋に修理に出している」
実行力があるのかないのか、何もすぐに取り掛からなくてもいいではないかと、エミリーはげんなりした。
「……ご覧の通り、先生の魔法で全身ずぶ濡れなんですが?」
「申し訳なかったと思っている。先生方から、捕縛はやりすぎだと言われて」
だからと言って、水を浴びせるのが適切だとは思えない。魔法の研究以外ではからっきしの男である。
「……責任」
「え?」
「責任を取ってください」
「せ、っせキにんン!?」
明らかに動揺し、マシューの声が裏返る。落ち着き払った低い声が上ずったことに自分でも驚いたのか、転びそうになって机の角に背中をぶつけた。
「誰かに見られたのか?」
「何を?」
「その姿を、誰かに……」
「分かりません。見られたかもしれないし、見られてないかも……」
「……そう、だ、な。よく分からないが……貴族令嬢は……」
「?」
ローブを貸してもらえれば、濡れた体操着のままでも寮に帰れる。それだけのことなのに、何を考えているのか。赤くなったり青くなったりしながら、一人でぶつぶつと呟いている。
「確かに、俺の魔法で君が……恥を……」
「??」
「人前で恥をかき、け、結婚でき、なく、なったのだから……」
「???」
「責任、を取ろう」
――何言ってるのかさっぱりだわ。
エミリーの首が九十度に傾いた。表情は相変わらず人形のようだ。
「じゃあ、魔法で乾かして。……それと、ローブ……の代わりになるものを貸して」
「制服はどうしたんだ?」
「……なくなった」
「何ぃ!?」
「練習場を掃除してる間に」
「もしかして……盗まれたのか?」
「さあ?アイリーンは制服が盗まれたって騒いでたけど」
「噴水で洗濯して忘れていったのだろう?フィービー先生が見つけて、魔法科の先生方が綺麗にして返すことになった」
「……ふうん」
――アイリーンの自作自演は失敗したわけか。だったら、私の制服がないのはどうして?
「エミリー」
「何?」
「……その……言いにくいんだが、体操着を乾かしたい」
「そうね」
「一度、ぬ、脱いでもらえないか?完全に乾かすには……ぉぶうっ!」
顔面にクッションの直撃を受け、マシューは長椅子に倒れた。
「……だったらいい。濡れたままで帰るから!」
◆◆◆
「おーい。キースぅ、ねえねえ」
魔法科一年の教室の前で、ジュリアは手をひらひらさせて、中にいる数少ない知り合いに呼びかけた。
「どうしたんですか、ジュリアさん」
「あのさー、エミリーは?」
「エミリーさんは、どこかに行ってしまいました。体操着を着替えなくてはならないのに」
「そっかー、体操着……あっ!」
手に持っていた袋はどこにやってしまったのか。ジュリアは頭を抱えて叫んだ。
「やっば、どっかに忘れてきちゃった!」
「体操着を、ですか?」
キースは腕組みをして首を傾けた。
「違う。体操着入れに入ってた制服!エミリーのを持ち出したら、中に体操着がなくて」
「練習場の掃除でしたから。……うーん、エミリーさんは制服を探しに行ったんですかねえ」
「多分そう。エミリーが来たら謝っておいて!私、必ず見つけて持ち帰るから!」
キースの二の腕を掴んでガクガクと揺さぶる。アレックスに比べて細身の彼は、ジュリアの勢いに完全に負けている。
「ちょっとごめんなさいね」
ジュリアの背後にいい香りのする人物が立った。カツンと鳴ったハイヒールの音が、否応なしにクラス全員の注目を集める。
「フィービー先生?」
「何だろう?」
先生は教室の中に入り、制服がなくなったと一人芝居を始めているアイリーンの傍へ歩いて行った。
「シェリンズさん。噴水に制服を置きっぱなしにしてはいけないわよ?噴水で洗濯をするのは、ダーメ。分かった?」
アイリーンは絶句し、フィービー先生を睨んだ。生徒達がひそひそと「やっぱり」「自作自演か」と囁き合っている。
「制服は魔法科の先生方が綺麗にしてくださったのよ?メーガン先生にお礼を言ってね」
それじゃ、と先生は優雅に立ち去り、床に座り込んだアイリーンが残された。
「……くぅううううっ!」
制服が入った紙袋をグシャグシャに握り、可憐なヒロインはとびきり邪悪な表情で歯ぎしりをした。
0
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
【完結】死がふたりを分かつとも
杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」
私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。
ああ、やった。
とうとうやり遂げた。
これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。
私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。
自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。
彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。
それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。
やれるかどうか何とも言えない。
だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。
だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺!
◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。
詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。
◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。
1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。
◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます!
◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる